詩人たちの島

2007/06/10(日)22:41

菖蒲の花

essay(268)

久しぶりに、午後五時過ぎ一人で片倉城址に散歩にゆく。花菖蒲がきれいに咲いていた。紫、紺、白いろいろ、丈高い姿の先に、大きく重たい花びらを開いている。曇天で、人もあまりいなかった。写真を撮ろうと思ったが、カメラも携帯も持って出なかったことに気づいた。帰ってから、芭蕉の句集にあたってみたら、次のような句が見つかった。 あやめ生ひけり 軒の鰯のされこうべ あやめ草 足に結ばん草鞋の緒 後句は「おくのほそ道」のもの。もちろん、ここにある「あやめ」と片倉城址の菖蒲とは異なるものにちがいないが、いずれがあやめかかきつばたか私にはよくわからない。芭蕉の句は、前句が小野小町の伝説によるもの、細道のものは、あやめが病をのぞくということから草鞋にでも結んで、旅中の無事を祈ろうという意味である。 菖蒲ふく軒の高さよ彦山(ひこ)の宿    杉田久女

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