詩人たちの島

2008/01/07(月)00:18

冬の読書

essay(268)

藤井貞和さんの『詩的分析』をやっと読み終わった。前半よりも後半が面白い。言語学に対してモノを言っているところが。詩の実作者として言語学に食い込んでゆくというのがモチーフである。コトとモノの区別などは、この本で一番面白かった。「おもろ」の分離解読を唱えた小野重朗は高校時代の旧師だが、その対句部と繰り返し部の分け方も小野先生とは異なるそれが最近の研究では試みられているということも、はじめて知った。 Raymond Carverの” On Writing”というエッセイを読んでいたら、机のそばの壁に自分が書く上で参考にすべき大切な言葉を貼り付けてあるという話があった。たとえば、 “Fundamental accuracy of statement is the ONE sole morality of writing.” これはEzra Poundの言葉。 CarverはChekovがよほど好きだったのか、彼の物語の一節をもカードにして掲げていた。その言葉は、 “… and suddenly everything became clear to him.”という短いものだ。これについて次のように書いている。 I find these words filled with wonder and possibility. I love their simple clarity, and the hint of revelation that’s implied. There is mystery, too. What has been unclear before? Why is it just now becoming clear? What’s happened? Most of all―what now? There are consequences as a result of such sudden awakenings. I feel a sharp sense of relief―and anticipation. Chekovの言葉もいいが、それに感動するCarverの素直さも、読んでいていいなと思った。

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