テーマ:今日飲んだお茶(1041)
カテゴリ:喫茶道楽記 鉄観音
「玄公子、台湾福茶さんから、今年の冬茶が届きましてございますよ。」 「張福欽さんの鉄観音ですね。」 「今年は、こちらは殆ど雨がございませんでしたが、台湾はどうだったのでしょうねぇ。 お茶の出来は如何でしょう…。」 「毎度のことですが、新しいお茶が出来る季節というのは、こう、なにか心がそわそわと落ち着かないものですね。」 「左様でございますね。 それがし、春茶よりも冬茶の淡白な味わいにトーンの高い香りが乗っているのが好きでございまして、特に冬茶を最初にいただきます時はドキドキいたします。」 「それでは、早速…。」 「はい、ドキドキ…。」 「キュッとよく揉み込まれて、可愛らしい茶葉でございますね。」 「火焙もしっかりしていて、香もいい。」 「香りは…そこそこでございましょうか…。 ん? んんん???」 「おや、このお茶は、非常に味が濃い!」 「はい、にもかかわらず、嫌味がないのです。 呑み込んだ後に残る酸味が実にくっきりとしていて、それがまた、見事な余韻を醸し出しますねぇ。」 「鼻で味わう香りはそうでもありませんが、喉で味わう香りが実にいい。 非常に透明感の高いお茶ですが、実にボディがしっかりとしていて、これは、パンチの効いたお茶ですねぇ」 「さらに凄いのは、その味が2煎目・3煎目でも衰えることなく持続するところでしょう。 いや、まいりました。 比賽茶のような繊細さはありませんが、これもまたいいお茶でございます。」 「5煎目のお茶を、“やっぱり、このお茶は美味しい!”と言って飲めるお茶というのも、最近はほとんどなくなって来ましたからね。 このようなお茶は貴重ですよ。」 「はい、それがしもそう思います。」 「しっかり揉み込まれ、火焙されたいかにも鉄観音、といったゴワゴワの茶葉ですね。」 「はい。 この珍しく一芯二葉の形状を留めている茶底、いかにも手でちぎりました、という風情でございますね。 それがし、このところ手摘みだという掛川茶やダージリンをいただいたのですが、どちらも茶葉が裁断されておりまして、どの辺りで手摘みを見分けたらよいやら…でございましたが、これなどは分かりやすくてようございますね。」 「で、冬茶の比賽結果はどのようになったのでしょうね。 白椿どのは、近々また寒舎へ赴く予定はないのですか?」 「それは…行きたいのはヤマヤマでございますが…。 行けましょうか…。 なにせ、航空券代はマイレージで何とかなるにしても、燃料代というのが恐ろしくかかるご時世になってしまいましたので…。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[喫茶道楽記 鉄観音] カテゴリの最新記事
|
|