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2007.07.27
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カテゴリ:科学と医学
実はこれ、一言で片付けられるようなものではない。
と言うのも「欧米人」と括ってしまいがちだが、その中身はイタリア人もフランス人もスイス人もドイツ人もイギリス人もいるからだ。
つまり食文化もそれだけ多様に存在するわけで、比較的肉を多食する文化圏もあればそうでない文化圏もあり、また初期中世、後期中世、近代、現代と時代によっても大きく変わっているからである。

さて、確かに肉、それも豚肉というのはヨーロッパ文化圏において重要な食べ物であったことは間違いない。
特に初期中世では小麦1粒から2~3粒ほどしか収率が望めなかったこともあり(年貢に1粒、教会に10分の1税を払ってしまえばもう残りは2粒もない。1粒は種籾として残しておかねばならない)、森に豚を放してオーク木の団栗を食べさせ、太ったところをハムやソーセージに加工する、あるいは干し肉や塩漬け肉にするということが一般に行われていた。
この頃のドイツでは一人当たり年間100キログラム程度の割り当てであったという(食の乏しい冬季の保存食として肉は重要だったため、常時肉を多食できていたわけではない)。
とはいえこれだけで食事すべてを賄えるものではなく、ライ麦パンや穀物や豆を使った粥も重要な食事であったし、大麦を使ったビールも良く飲まれていた。
このビール、ヨーロッパでは現代に至るまで、ある意味パン以上に重要な食品なのである。

さて、農業が発展し森が切り開かれ穀物収穫が増加するのが12~13世紀ごろである。
人口も増加し、逆に肉が食べられなくなるのがこの時期からである。
レオナルド・ダ・ビンチは菜食主義者であったと言われるが、実態は、彼が完璧主義者ゆえ作品を完成させることがなかなかできず、肉を買う金銭的余裕が余りなかったというのが本当のようである。彼がメモ魔であることは有名だが、買い物メモには肉を買ったという記録が残っている。
大航海時代を経て、新大陸産のジャガイモにより食が豊かになった、はずなのだが、人口の増加圧も高かった。
生き物というのは養える最大数まで増えてしまう特徴があるので、食料供給に余裕があると食が豊かになる前にまず人口が増えてしまうのである。
大航海時代の船乗りの食事と言えばコクゾウムシの沸いた乾パンにウジの沸いた塩漬け肉、腐ったチーズかバター、そしてビールなのだが、質は兎も角量は十分あったという(建前上は。ピンハネや損失分が相当あった)。
農民は船乗りよりはるかに貧しい食生活であったようだ。
皮肉にも14世紀から18世紀ごろまで断続的に流行した黒死病によって人口が減少し、食糧供給力に余裕が出たことで食文化が豊かになったという面がある。
19世紀初頭のドイツでは年間20キロ程度の肉消費だったという。

産業革命期、都市の食糧事情はむしろ悪化する傾向にあったようだ。
都市人口が爆発的に伸びたためでもあるし、人口増加圧自体も大きかった。
ここで労働者にとって重要な食品として出てくるのがビールである。
文献には労働者が食事や休憩のたびに1パイントずつビールを飲むという記述もあり、労働に耐える強い体を作るには強いビールが必要だと固く信じられている、という記述もある。
当時の家計簿からイギリスに置ける労働者の肉消費を類推すると、1810年ごろの裕福な最上位労働者4人家族で肉は14ポンド/週、一人当たり225グラム/日であり、1840年ごろの一般的労働者5人家族では5ポンド/週、一人当たり65グラム/日である(最下層ジェントルマンの家計では230グラム/日という数字が見て取れる。なおジェントルマンの条件は最低一人のメイドを雇うことであったという)。
これに対し、下層労働者となると肉ではなくベーコンが貨にして数ペンス程度入ってくるだけであり、殆ど肉の消費がなかったことが分かる。

以上、私が把握している範囲の内容であるが、仮に一日300グラムの豚肉を食べたとしてもそれによるカロリー摂取は600~700キロカロリーであり、それ以外の栄養分は当然他のものから取らざるを得ないわけである(和牛は別。脂身が多くカロリーで1.5倍以上ある)。
つまり欧米人は肉食だとしても、日本人に比べれば肉を良く食べているというだけで「肉ばかり食っている」訳ではないのである。


追記
肉を食うとはつまり「家畜を殺す」ことなのである。
そして豚以外の家畜は食肉以外の用途の方が有益だった。
牛は乳を出し、また畑を耕したりロバと共に荷車を動かす畜力となる。
馬は畜力の他、軍用として非常に重要な家畜であった。
ヤギは乳を出し、羊は羊毛を生む。
家禽、特にニワトリはまず卵を生むことが重要だった。
そして肉の為にこれらを殺してしまうというのは、つまるところ財産を使い潰すのと同じなのである。





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Last updated  2007.07.27 17:01:37



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