2007/07/10(火)23:05
浅田次郎著 『憑神』
別に映画化された本や話題になった本ばっかり、
好んで読んでる訳ではないんですが・・・
最近、本屋さんへ行って、読みたいなと思う本にめぐりあわないんです。
今は本を読むなって事でしょうか?
さて、この本は本屋で大量に平積みされてたので購入しました。
幕末の江戸、文武両道に秀でながら出世の道をしくじり、
今は実家に出戻りの部屋住み生活。
酔った勢いで手を合わせた祠が憑神様の祠だった。
貧乏神、厄病神、死神に追われながらも、己の進む道を探していく・・・
幕末の武士達。
武士道が揺らぎ、それぞれが生き残りの道を探して右往左往している時代。
官軍へと寝返る幕臣達がいる中で、
主人公は武士としての矜持を貫こうとする。
以前観た映画「ラスト・サムライ」では
寡黙の中に武士道の矜持を表現されていて、圧倒される思いでしたが、
こちらは、あれこれ人間臭く悩み迷いながらも、
武士としての己を貫こうとしたラストサムライでした。
最初のあたりは主人公が貧乏神や疫病神に憑かれて、
どうにかやり過ごそうと躍起になる姿がとてもユーモラスに描かれていて、
面白おかしく読める作品なのですが、
どこか、そんな話の中に、主人公達に向ける作者の優しさや愛情を
感じとれる作品でした。
先の『佐賀のがばいばあちゃん』と、この『憑神』
読んでいて、違う形で同じ事を教えてもらっているような気がしました。
大切なのは目に見える物ではなく、それぞれの「心のあり方」なのだと。