イルカを始めた理由 2
イルカを始めた理由 その2
ある雑誌の取材で、
「自然保護とセラピーのどちらが目的ですか?」と聞かれました。
「どっちもです。<いってこい>です」と即答しました。
その時はとっさの回答でしたが、後で「その通りだ」と自分で納得してしまいました。
「自然保護」と言っても、ボクは何かに反対したり、我慢をしたり、というのがどうも苦手です。
そういうエネルギーは、どうも反動するエネルギーを生むだけのように思えてしかたありません。
一方で、「知る」ことによって、意識は随分と変わると信じています。
「知りたい」は「好き」から始まります。
好きなものは、知りたいし、守りたいと思います。
時間がかかりますが、「101匹目のサル」現象がいつ起きても不思議ではありません。
基本的に、こういうエネルギーは反動するエネルギーを生まず、
むしろ周囲の人に感染する種類のエネルギーだと思います。
「恐怖」をあおるより、「愛」をあおる方が、あおられて良し、あおって良し、なんです。
そしてさらに「知る」ことによって、
生活の中でできる小さな「自然に優しい」運動が、少しずつ増えていきます。
自分に無理をせず、できる範囲から、でいいと思うんです。
また、「好き」は同時に「癒し」だと思います。
ヒトの免疫機能は素晴らしく優れています。
ちゃんと機能すれば… ですが。
「拒絶」「不安」「固執」などのアドレナリン系の心の働きも、
生きていくためには必要ですが、ずっとこんな状態になりがちな現代社会では要注意です。
「受容」「感謝」「思いやり」という、エンドルフィン系の心の働きは、
自己治癒力を活性させてくれます。
ヒトがたくさん持っている知識を正しく認識して、心のバランスを保てることができたら、
多分お医者さんがいらない時代が来ると思います。
そのときには、実は、自然保護という目的も同時に達成しているように思えるのです。
(写真: Donald Tipton)
「自然保護とセラピーは、<いってこい>」
結局、自然保護もセラピーも、根底にあるのは「愛」なんです。
そういうエネルギーは、常に双方向に働くものだと思います。
自然に癒されているとき、同時にボクたちは、自然に対する愛を深めています。
心で自然を愛し、感謝し、大切にしています。
それが何よりの自然保護につながっていくと信じています。
もちろん、次の段階で「知る」ということが必要ですが、「意識」さえもっていれば、「知識」はついてくるものです。
イルカは、野生動物の中で唯一(と言えるでしょう)、ヒトと交流してくれています。
そんなことに気づかせてくれる大切な仲間です。
ボクは、イルカと泳いでいるときの自分の状態が、
あまりに普段の自分の状態とかけ離れていることに気づいて愕然としました。
まず第一に「自分のため」に、生き方を変えようと思いました。
そして、「生きる」とは「伝える」ことだ、と考えるようになりました。
自分の毎日の選択が、メッセージとして人に伝わる、と信じるようになりました。
あくまで「自分のため」の選択だけど、人に伝えたいことを選んでいこう…
そんな勢いで、1年の半分はフロリダ、半分は日本、という生活がスタートしました。