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November 13, 2005
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カテゴリ:TOTO日記
不登校との出会い その2



エコキャンプの紹介をしていると、あるフリースクールからご依頼をいただいて、
子どもたちと座談会をすることになりました。
途中、一人の女の子と一緒にジュースを買いに外に出たとき、
女の子が、「好きなように自由に生きて、たくさん出会いがあって、いいね。」と言ってくれました。
ボクが努めて明るく、「そのほうが楽しいじゃない?」と投げかけると、
彼女は急に下を向き、
「それは不登校のコには言わないほうがいいよ…」と言って、
突然、泣き始めました。
「不登校のコも、そのほうが楽しいのは分かってるの。
でもそれを聞くと、『自分にはそれができない』って思ってしまうから。」と言うのです。


その場は「分かった。気をつける。ゴメンね。教えてくれてありがとう。」と言いましたが、
内心、「これは厄介だ…」と思いました。
「気をつける」? そこまで気をつけて、一体、人としゃべれるのか?
自分で振り返ってみても、ボクが言った言葉、表情、そのトーンなど、
一般的に人を傷つけるものとは思えなかったのです。
しかし、出会って数分で泣かれ、その彼女に「他のコと話すときにも気をつけて」と言われ、
「おおお…これが彼女の『不登校』かぁ…」と、洗礼を受けたような思いでした。


その後しばらくして、その時の彼女の言動が理解できるようになりました。
彼女の言う通りに、不登校の心理に気をつけてしゃべるようになったわけではありません。
理解したんです。
彼女はあのとき、「サイン」を発していました。
彼女は、自分が抱える問題に目を向けて欲しかったんです。
あのときボクは突然泣かれて、ワケが分からなかったので、彼女の話を聞きました。
偶然、彼女のことに「目を向けた」結果になったワケです。
また、とりあえず道端で泣くのを止めてほしかったので、「分かった、気をつける」と言いました。
偶然、彼女の主張を拒否せず、「受け入れた」結果になったワケです。
あのときは偶然でした。結果的に彼女のサインに答える形になったのです。
結局、彼女はそれ以来ボクを慕ってくれて、2回もフロリダまで来てくれました。


通常、誰かに自分の悩みを聞いてほしいなら、そういう会話のもっていき方があると思うのですが、
多分、彼女の場合には、自分自身、その欲求に気づいていなかったのかもしれません。
だから、「サイン」という形でしか読み取れないのです。
さらに「不登校のコと話すときには気を付けて」と、ボクに対する「要求」という形で出してきたので、
危うく見過ごすところでした。
仮にその要求に対して、「普通そこまで気をつけて人としゃべれないよ」と要求を拒否してしまっていたら、
状況は全く変わっていたと思います。
しかし、これに気づいたことは、ボクにとっては大きな財産となりました。
それ以来ボクは、人と話しているとき、その人が話している内容ではなくて、
その人が発している「サイン」に注意するようになりました。
正直、ボクは頭の回転が特別良いわけではないので、
言葉の「受け取られ方」に細心の注意を払いながらしゃべることはできません。
また企業での経験もあってか、相手に「要求」をされれば、つい自己防衛に構えてしまいます。
しかし、相手が発している「サイン」を拾えれば、相手のニーズが分かるわけですから、
自分が何を言ってあげられて、何をしてあげられるかが分かるのです。
ときには相手がしゃべっている内容とは全く関係のないところに「ニーズ」があることも学びました。



例えば、あるプログラム中、宿舎での約束事をどうしても守ってくれない男の子がいました。
彼が突然、「トト(ボクのニックネーム)の言っていることおかしくない?」と怒り出しました。
過去のボクの発言に矛盾があると言うのです。
彼は理論をコネくり回すように話し出しました。
一通り話を聞くと、彼のサインが読み取れたので、反論することなく、
「スゴ~イ、○○○! そうか、なるほどなぁ。」と彼の発見を誉めました。
すると彼の表情は一変して笑顔になり、絶好調の口ぶりで熱弁を振るいました。
矛盾などないんです。ただ彼はボクと話したかったんです。
最後に彼の肩に腕を回して、
「そうか、分かった。でもな、○○○。コレだけは大切なことだから、悪いんだけど守ってくれ。」と、
宿舎の10ほどある約束事のうち一つだけをお願いしました。
彼は、「分かった」とすんなり聞き入れてくれました。
それだけでなく、その後、彼は他の約束事もスタッフから聞き出したり、張り紙を見たりして、
自分から積極的に守るようになり、さらに頼めば何でも手伝ってくれました。
まさに「模範生徒」のようになってしまいました。
帰国後、彼が家の手伝いを進んでしてくれるようになったと、お母さんから喜びの声が届きました。



プログラムの始めは、諸注意などもあって、どうしても「1対多」のコミュニケーションになりがちです。
彼のように「1対多」のコミュニケーションが苦手な子どもはたくさんいます。
彼らにとっては、「1対多」で言われたことは、文字通り、頭に残らないのです。
でも1対1で話して、お互いを認め合えれば、すんなり指示は通ります。
そんな彼にとってしてみれば、「学校」という所は本当に苦痛な場でしょう。
またそれがために成功経験を積むことがさらに少なくなり、
「言うことを聞かない」というレッテルを貼られてきたことでしょう。
彼にとっては、「1対1」の場面とは、常に自分が怒られている状況をだったのかもしれません。
彼もどうしていいか分からないから、指示はほしいのです。でも、よく分からない… 
そのフラストレーションが、怒るという形で出てきたのでしょう。
もちろん、ボクと話したことだけでなく、イルカとの体験や異文化での生活の中で、
周囲のスタッフが彼の挑戦を暖かく支えたことが、彼の変化を起こしたのだと思います。



人間関係においては、問題が起きることは「問題」じゃないんです。
ボクのためにも周囲のためにも、問題を起こさないようにするほうが「問題」だと思います。
特に不登校の子どもたちにとっては、人間関係は最大の関心事です。
何も不登校の子どもたちを特別扱いすることはなく、特別な技術が必要なわけでもなく、
ボク自身も人間関係で成長しながら、彼ら彼女たちにも同様に接するだけのことなんだと思いました。
それを気づかせてくれたあの彼女には、今でも感謝をしています。






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最終更新日  November 13, 2005 10:38:56 AM
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