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2013/04/15(月)02:09

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徳川歴代と枝葉(223)

慶喜葬式,葵を枯らした一国一城大泥棒_鵺と狼の群,悔涙の玄米餡パン,葵を枯らした男終焉の時,徳川慶喜秘話_餡入り玄米パンと葬式No.54晩年徳川慶喜秘話「玄米餡パン」と葬式No.54徳川慶喜:晩年秘話_玄米餡パン話_No.44【晩年の徳川慶喜、心の応援団_少女「糸さん」初めから読む:No.1<・・<No.8:上記1~8:徳川慶喜のラスト象徴幼年時代談話【1】窮地とて不屈?!技は奇策!武器は頭脳、【2】ダメなもんはダメ!早期撤退、沈思黙考徳川慶喜:晩年秘話_玄米餡パンと葬式(No.9)~葵を枯らした男の晩年【慶喜維新後】徳川慶喜:天保8/9/29(1837)~大正2(1913/11/22):享年77歳:死因は風邪が悪化、肺炎慶喜の葬式と、悔し涙の「玄米餡パン」(その9)泣き虫、子虫、葵の葉っぱの子虫_その3大正の世、初に痛感した「徳川転落の訳:内部零落と、身辺の根腐れ」<前頁から読む:No.53暫し、糸さんは、考えた。どうして、あの男、「玄米餡パン」事件を知っているのだろう?あれは、慶喜の屋敷内のできごと。どうして外部の者が知っているだろうか?どう考えても、あんな男に、かつて、どこかで会った記憶もないし。だが、不気味だ。あの男の視線は皆と違った。あの目は「年頃の娘」を見る男特有の目じゃない。そんなに年寄りでもないのに、まるで孫を見るような眼差し。薄気味悪いヤツめ!でも、きっと、私が小姓代理として幼女時代から御前様の側にあった身と知っている者なのだろう。変だ、変だ!変だけど、明らかに、★どっかから漏れている!それは、人の口。人の口に戸は立たぬ。だが、我が家ではあるまい。歴代奉公の家なれば、鉄則。どんなに下らない小事とて、外部に漏らすは、ご法度。それは、当たり前のど真ん中。糸さんは、ここまで考えた後、突如、浦島太郎が蓋をあけた玉手箱みたいに、自分が魔法の煙にやられて、この瞬間、お婆さんに化けたような錯覚に襲われた。時代は流れ、流れているのだ。私が暮らした世界は特殊だったのだ。明治の半ばに生まれ、典型的な現代っ子のつもりの自分。だけど、やっぱり人と違うんだ。あの家の中で暮らしてきたから。ふと、口の奥から、ぐぐっと苦汁が、沸いてきた。それは、あの時、毎日、毎日、玄米パン。ついに耐え切れず、半泣きで慶喜にギブアップを告白した時。気のせいか、なんとなく、襖の向こうで、「クスッ!」、思わず吹き出したような小さい笑い声が。なんとなくだけど、聞こえたような気がしたのだった。慶喜屋敷の従業員とは、よくよく考えてみると、糸さんの仕事「慶喜附の小姓代理」や、膳所(※▼)の頂点を君臨するお女中頭のような特殊セクションばかりではない。こーゆーセクションは、旧来の家柄から、当然、昔の世襲のごとく、明治に至っても、そこから来るわけだから、これは硬い。だが、雑用や、色んな分野、そこまで、世襲族ばかりかき集めて使っていたわけではないだろう。※膳所:(旧来の仕来りどおりの知識を要する特殊な台所&調理の場)大切なお殿様のお口に入るものだから、万全を尽くす。味だけじゃなくて、毒殺防止&安全性重視。毎日〃、定例の儀式事、祭事、法要、お供え作り・・・と、特殊な調理も含む。旧来の法則に則る為、来客用の膳の際、同時の食事とて、主賓と、付随家族、従者とでは、各々メニュー詳細も、出し方も違う。いかに、鬼の「Mr.家令」が、全従業員に目を光らせて君臨したところで、人の口に戸は立たぬ。すっかり泣き疲れて、泣き腫らした目の糸さん。思わず、独り言。私は、まるで、浦島太郎さん・・みたい!・・・現世に生きていながら、人と違う世界に住んでいたんだわ。これ以上、いくら犯人さんを考えたって、解るわけないわ。瞼が重い。泣きすぎて、腫れすぎて、まともに開かない。仕方ないから、よせばいいのに、またしても、高い位置にある格子窓に目をやった。あの老木が、おんなじように、突っ立っている。真っ茶色に枯れたボロボロの枯葉が、やっぱりご忠義のごとく、枝先に、ほんの2~3枚だけ、必死で、ぶらさがってる。もう、時間の問題だ。今日か明日か、あさってか知らないが、風が吹いたら、もう終わり。忠義の老兵は、ついに力尽きて、落ちてゆくだけ。・・・なにもかも、終わった!御前様は、もう居ない。天下の大将軍「慶喜」様は、今、棺の中。遠い昔、自分が幼女だった頃、親戚のお兄さんは、なんだか、ややっこしい事を言っていた。外部侵食よりも、内部の零落、身辺の根腐れだったと・・・。・・・悔しいけれど、今なら解る。御前様の側にあって、私は、十余年、育ててもらった。小姓代理係からずっと慶喜家で奉公してきた糸さんは、ぼんやりと、過去を思った。お家の仕来りは、鬼の禁則事項が山盛りだった。お殿様は、明治になっても買い食いが許されない。そんな慶喜様が、食べたそうに興味を示されたのは、「玄米餡パン」。それは、行商人が売り歩く「玄米餡パン」。双眼鏡を覗いていた時、偶然発見して以来、毎日、毎日、行商人のことを言っていた。さては、食べたいんだな!ピンと来たから、アタシが頑張った。慶喜様も新米の端下女(雑用係りの女中さん)をわざと捕まえて、買って来い!と命令してみたけれど、いくら新米さんでも、お家を仕切る司令官「Mr.家令」の教育が行き届いているから、その手には、ひっかからない。いっつも失敗。だから、アタシが頑張った。あれを、なんとか、御前様に食べさせてあげようと、毎日~頑張った。食べ飽きても、頑張って毎日、お毒見。だけど、ついに、慶喜様は食べてくれなかった。20歳になった今日なら、その訳がようやく解る。御前様(=慶喜のこと)は諦めたのよね。だけど、幼い私におやつを与えているつもりで、毎日、毎日、お毒見と称して、「玄米餡パン」を。優しいのに、とんちんかんな御前様。今となっては、折角、素敵な思い出だったのに・・!「玄米餡パン」の思い出は、私と御前様だけの秘密だったのに! サイトTOPは犬猫サイト<幕末玄関<徳川慶喜スポット玄関<晩年徳川慶喜秘話_餡入り玄米パンと葬式<No.1<・・<No.53<No.54(現在頁)<No.55

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