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『信賞筆罰』 ある在野研究者の記録

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2021.09.05
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カテゴリ:読書日記





私は仏教徒です。
一応 浄土真宗ですが、空海さんも好きで、空海の著作もよく読みます。

ただ、「仏教とは どんな宗教なのか?」。
私は大乗仏教派で 浄土宗の法然上人の教えが一番わかりやすく理にかなっていると思っています。

親鸞の『教行信証』や、弟子の『歎異抄』、空海の書物も読んだのですが、仏教の真髄に関して 法然上人の教えが一番だと考えています。

法然上人といえば『選択本願念仏集』もありますが、『一百四十五箇条問答』のほうが、もっとわかりやすいと思います。

なぜなら、法然上人が一般庶民からの質問に非常に丁寧に答えているからです。

まるで、ラジオの電話相談室のような人々からの疑問や 鎌倉時代の風習までこの本を読めばわかる。
(鎌倉時代から物忌の風習があったり、子供を産んだ女性は、穢れの対象で すぐに寺に
行ってはいけないなど)

一般庶民といっても、質問者が千差万別。

貴族から武士から、寺に寄進するような金持ちや有力者から、一般大衆のそこらへんにいる おじいちゃんやおばあちゃんが 「仏様の お供えについてどうすれば?」という質問まで。

法然上人の彼らに対する回答が、非常に明確で短く、かつ たまに「禅問答」のように考えさせられる回答もあるわけです。

法然上人ほど 数多くの仏教経典を比叡山延暦寺や南都のお寺で読んだ者はいないというほどの勉強家でもあり、真言から南都六宗から様々な宗派の教えにも精通し、「仏像の開眼の儀式」についても 詳細にその意味をわかりやすく回答しているのだから、本当に凄い人だったんだなぁと。

当然 法華経に関しても 相当読み込んでおられるので、日蓮宗(法華宗)の宗徒が疑問をもって、法然上人に「法華経では こうなのですが、阿弥陀様は こんな私でも救ってくれますか?」と質問し、法然上人は快く受け入れ、阿弥陀様を信じ 往生するようにがんばりましょう」と、励ますのである。

この本を読めば読むほど、法然上人の凄さが実感できます。

この中で「南無阿弥陀仏」と、数多く念仏を唱える「多念」と、体が弱り、数多く念仏を唱えることができないのでどうすればいいですか?という質問で、法然上人は「一念でもいいですよ。それであなたは往生できます」と答えている。

弟子が この「多念」VS「一念」に論争に火をつけ、「往生するには 念仏を多く唱えなくてもいいんだ!」と、思っていると、法然上人は「私は暇さえあれば念仏を唱えています」と答えている。

そこで別の弟子が「ほら、法燃上人は多念をしていて一念など駄目だ」と、言いふらすと、「多念よりも、阿弥陀様に一念を捧げることも大事ですよ」と弟子を諭しているのである。

要するに 念仏には「多念」も「一念」も どちらも大事なんですよということなのだ。

これは小学館の『少年少女 まんが 日本の歴史』の鎌倉時代に法然上人を紹介したエピソードなのだが この出典こそ『一百四十五箇条問答』だったのである。
小学館や監修者の児玉先生の目の付け所が、凄いと思ったわけです。

この本の良いところは 1ページから読まなくて良い。
さらっと読むことができるように1話1話完結しているので 自分の興味のある問答から 読めばいいのである。

もし、この時代に法然上人に会えるのなら、いろいろ質問してみたいと思うほど、この本は庶民の目から見た「仏様の教え」を丁寧に法然上人が解説をしています。

仏教書や理論書を読むぐらいなら、「南無阿弥陀仏」の真髄をこの本で楽しむほうがよいように思います。

もう少し、阿弥陀様のことが知りたければ『選択本願念仏集』も読むと面白いです。

まぁ、念仏の根拠が『浄土三部経』が偽書だからショックなどと書いている人がいますが、法然上人の意思を勘違いしている人が多いですね、
ま、こういう早合点する人が、大した経典や教えも知らず 生半可の知識で考えるのは 浅はかすぎます。

それなら『般若心経』も『法華経』も、全部偽書ですよ。

初期仏教の経典は 中村元先生の『原始仏典』(ちくま学芸文庫)の 「スッタニパータ」「サンユッタニカーャ」「大パリニッバーナ経」を読めばいいのであり、小乗仏教と大乗仏教の違い、 思想の違いをもう少しお勉強しないと駄目ですからね、

「あ、この人 中途半端な知識で、仏教語っているわ」と思う 今日このごろでございます。





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最終更新日  2021.09.05 01:08:36



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