『信賞筆罰』　ある在野研究者の記録

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  『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』　春名幹男（著）　KADOKAWA

  日本の戦後史において、春名幹男さんの『秘密のファイル　CIAの対日工作』は　欠かせない資料である。春名さんの本は全て購入をしていますが、まさか「ロッキード事件」を追っていたとはと。大学時代　入学式前の暇な時間に立花隆の『巨悪と言論』を読み、戦前　戦後史をつなぐ「糸」を　つぶさに観察をしていました。立花隆　春名幹雄が、「巨悪」と断じたのは誰か？それは　岸信介　児玉誉士夫　中曽根康弘であるそして、ニクソン　キッシンジャーだ。奴らが何をしたか？というと、民間航空機の日本の航空会社への口利きもあるが、本丸は　P3Cなど　空軍機の発注を軍産複合体からの口利き＋賄賂だ。その購入費用は　もちろん日本国民の税金である。そして　その賄賂額は　当時の数十億円単位で、ちゃっかりニクソンにもキックバックしているのである。この巨悪たちの行動は、私も1998年から2003年　ワシントン　アメリカ公文書図書館で　財閥解体の資料を探している暇な時間に、戦後史のキーパーソンである　彼らのファイルがあるのか？調べてみたが、全然出てこなかった。それも「ごっそり」ないことも知っていた。なので、公文書館の係員からも「まだ機密解除されていないかも」と言われていたし、どこかに保管されているはずだが、公開されない　秘密にし続けなければいけないものだったように思います。ロッキード事件の裏幕　陰謀について　「なぜ　田中角栄が逮捕されたのか？」が焦点で、きっかけは　アメリカを出し抜いて　日中国交正常化へと突き進んだ田中角栄への報復であるとは　知られていた。ただ、実証する資料がなかったのである。それをしっかり、実証したのが、この春名幹雄さんのこの『ロッキード疑獄』である。犯人は、やっぱりキッシンジャー　大統領補佐官。キッシンジャーは相当クセモノで、外交に関してのフィクサーであり、彼は共和党保守のニクソンなど忌み嫌う存在だった。彼を動かしていたのは、ウォールストリート保守派（佐々木毅先生の『アメリカの保守とリベラル』（講談社学術文庫）であり、わかりやすくいえば、『フォーリン　アフェアーズ』を主催する　ロックフェラーだ。テレビ東京で、『日高義樹のワシントンレポート』で新春　キッシンジャーが出てきて　1年の予言を出していたが　ほぼ的中していた。なぜなら、CIAなどの情報機関からの情報が入っていたからであり、公開していい情報は全部さらけ出していたのである。キッシンジャーの日本の見方を一言でわかる内容がある。日本青年会議所主催の会議で　ある沖縄出身の日本青年会議所の会頭に対して　アメリカの不平不満をぶつけて、沖縄の基地問題など取り上げて　論戦を挑んだが、彼らは一刀両断された。キッシンジャーは　彼らに「日本は戦争に負けたのだよ」と。この意味は、おそらく青年会議所の人たちは全く理解できなかっただろう。戦争に負けるということは、要するに、何を要求しても、相手国に対し　もう一度戦争して勝たないと、「自分たちが望む要求は　かなうことができない」ということだ。だから、田中角栄が日中正常化を行ったことは、「敗戦国の日本国が戦勝国のアメリカに対して　何をやってくれるんだ」という　ある種　黄渦論にも似た人種差別的な要素がキッシンジャーにはあったと私は考えています。ロッキード疑獄関係は全日空ルート　丸紅ルートなどは　ほぼ立花隆の著作で知っていたが、最大の本丸はP3Cだった。ここが全く突破できず、事件が終了したので、長年の謎でもあった。春名さんは　対潜水艦　哨戒機　P3Cに関しても積極的にアメリカの機密文書から探りを入れていったのは圧巻でした。一番の見せ所は、第三部の『巨悪の正体』。参考文献に関しては。英文以外の資料は　ほぼ知っていたが、重要な文献が抜けている。巻末　春名さんの講演会の動画があるが　最後に「ハリーカーン」の存在を強調している。これは立花隆の『巨悪と言論』にも出てくる超重要登場人物である。ハリーカーンといえば　アメリカ対日政策の逆コースを仕掛けたジャパン　ロビー、そのボスは　元駐日大使だったジョセフ・グルー。『占領　1945-1952』　ハワード　ションバーガー『軍隊なき占領』　ジョン　ロバーツ『昭和天皇とワシントンを結んだ男』　青木冨美子『ジャパニーズ　コネクション』ハワード　ションバーがーなぜか、春名さんのこの本の参考文献　資料に　上記の重要参考文献がないのである。最初　何かの間違いではないか？と思ったが　確認をしたが　参照がない。おそらく、春名さんの最後の仕事は　アメリカの対日政策　「逆コース」へと舵をきらせた　ジャパン　ロビーではないか？と思うのである。だから、最後の最後は尻切れトンボになったことが惜しいです。日本の占領史や戦後史に関して、最近　「これは」という研究　文献を見たことがありません。日本の学術レベルの低さに呆れるばかりです。

  2021.07.15

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  『世界を変えたいなら一度“武器”を捨ててしまおう　スキルの奴隷から抜け出す7つのライフレベル』　奥山真司（著）　フォレスト出版

  いまだに　戦略と戦術の区別ができない日本人が非常に多い。特に　高等教育で「抽象化」⇔「具体化」の思考訓練ができないと　戦略の持つ意味がわからない。前回、『情報なき国家の悲劇　大本営参謀の情報戦記』で　山下奉文大将が、指摘した下記の意味を日本人は理解しないとダメのように思われるし　企業の管理職はこの意味を知らないと　会社組織は崩壊するか　自滅する恐れがあるように思われる。「情報は、常に作戦に先行すべき」「戦略​的失敗は、戦術的成功で、回復できない」では、戦略とは何か？これも　ラグビーワールドカップで　エディー・ジョーンズさんの　JAPANチームの「戦略」で当てはめてみる。組織を運営する上で　「戦略」がないと、組織は動けないのである。また　思いつきや　急激な路線変更、行きあたりばったりだと、命令系統　指示系統がグチャグチャになり、組織としての活動がバラバラになる。要するに　一丸となっての組織行動ができないばかりか、個人が目的のためにバラバラの行動になるから結局成果には至らないのである。日本では、この組織論は、「失敗学」「経営学」「株式会社論」など数多く話題となるが、結局は組織行動＝「人をどうやって束ねて　どうやって動かすか？」で　最大のキーワードが「戦略」なのである。会社組織や店舗運営など　「戦略」を持っている　また、その戦略をもって動いている日本企業はどれだけいるのか？唯一、この戦略を使って経営を行っている企業がある。それは交通機関であり、建築　土建分野　製造工場における現場運営だ。工事現場で　必ず、戦略が掲げられている。それは「安全第一」である。戦略というのは、戦術ではない。安全対策は、上から「あれに注意しろ」「それをしてはならない」など　事細かいルール作りを守らせる方法＝これが組織管理だ。しかし　組織管理よりも各作業員が、戦略を理解し　その戦略に沿った労働安全衛生活動や行動を行えばいいのである。つまり、安全第一に沿った意思決定、行動、選択が自主的に現場作業員ができていれば良いわけだ。彼らに考えさせ、自分たちが主体的に戦略を達成する組織こそ　最強なのである。この自主的に現場作業員が、安全のために工夫をしたり　いろいろな安全に対する情報共有、安全装置を設置する提案など　トップダウンではなくボトムアップで労働安全衛生活動を行うこと、それが創発的戦略になるのだが　これを日本のトップマネージメントや中間管理職が理解していない場合が非常に多い。日本は口出しするわ　戦略から逸脱した言動、命令、戦略変更など　ひどいものが多い。Topがブレブレな場合が多いから　衰退する　大企業病になるのである。また、全て　現場で事故があったときは、対処療法、要するに「やっつけ仕事」で行う場合が多いのである。それか、意味のない会議ばかり開き　対処療法　思いつきの対処法の情報共有だけ行いb満足するだけだ。このような「戦略を決め　準備をいかに行うか？」が　組織運営を行うことが非常に重要なのである。筆者の奥山真司さんが、組織運営だけでなく　人生のビジョン＝戦略があるのか？　と、この本では指摘しているわけだ。欧米の知識人は「プリンシプル」「政治思想」というのは、結局　人生の「戦略」をもっているから　日本人のようにブレないのである。白洲次郎が「プリンシプルをもて」というのは　ブレない生き方をしろということなのである。よく「1本　芯がある」「ブレない」人というのは、自分に戦略をもっているから行動に移せるのである。最後に　「抽象」⇔「具体」の訓練がなければ　結局、大きな目標を達成できないのである。この本が指摘していることは非常に大事なことが書かれているので、是非オススメする。

  2021.07.14

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  『天才アラーキー写真ノ方法 』　荒木経惟 （著）　集英社新書

  アラーキーは、フィルムと共に、道連れへ。天才　アラーキーこと　荒木経惟は、フィルムカメラと共に滅んでいく。デジタルカメラからスマホのカメラへ大衆の利用が変わり　芸術写真のジャンルがドンドン廃れていく。そして、静から動へ、媒体も写真から動画へと　関心が移り変わってきている。デジタルの進化が進めば進むほど、アラーキーは写真の世界のスミへ追いやられていくように思われます。というのも　アラーキーの最大の長所である「何気ない日常」。その日常を　大衆は簡単に記録できるようになり、かつ、今までアラーキーの得意分野であったはだか写真も　AVビデオ　そしてスマホによるはめ撮りによって、もう侵食されてしまったのである。また、写真を動的に行う表現も、もう写真ではなく、デジタル技術により動画から写真が取り出せるようになってしまった。今まで　躍動する写真　動的な写真が得意としていたアラーキーの得意分野が　これまた侵食されてしまい、もうアラーキーでしか撮影できなかった写真が素人でも撮影できるようになってしまったのである。技術の進歩というのは恐ろしい。誰もが写真家になれてしまう時代になり、アラーキーらしさとは何なのか？アラーキーにしか撮影できない被写体は、「人間」である。それも、被写体の内面まで写し出す写真のインパクト。これは、アラーキーにしかできない。特に　有名な作品で全国の顔シリーズがある、PENTAX　6☓7で、ガチャン　ガチャンと、シャッター音全開で撮影していくが　その被写体の表情がみんな良いのである。彼の有名な写真集で『さっちん』、そして、幼女の泣き顔などの写真においては、アラーキーに勝てる写真家は世界中にいないと思う。子供の躍動感　無邪気さ　幼さ　内面など、まるで子供同士で写真を撮影したかのような、緊張感のなさ、そして生活感。よく「おいた」をしたと彼は表現するが、被写体と何かのやり取りをしているのは確かだ。この本の中で「アラーキーの写真術」において　重要なアドバイスがある。「写真術とは人間関係のテクニック』である。そして　荒木が最初に出した私写真集であう『センチメンタルな旅』が、その元祖になると思います。しかし、この私写真もデジタル化によって、私写真　私動画まで　スマホでできてしまい、素人がネットという媒体でさらけ出してしまうこともできてしまったわけだ。なので、アラーキーの人間関係の衰退＝老化による活動衰退が、彼の死に至る病にまでなってきているし、それはもう戻ることもできない現実である。アラーキーが、『遺書』のような写真集を出しているのも、自らその死期を悟っているかもしれない。彼の生命力のある写真である　『人妻エロス』や『緊縛』なども、もう見ることができず、過去の撮影したものしか拝むことができないのも悲しいものです。

  2021.07.13

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  『私時代 WATAKUSHI-JIDAI 野呂一生自叙伝』　野呂一生（著）　リットーミュージック

  CASIOPEA。カシオペア座の正式な英語表記は「Cassiopeia」。ただし、CASIOPEAの表記は、ある分野では　十分世界で通じる表記でもある。英語の発音で　”CASIOPEA”とネイティブなどが話すと　発音がぎこちない。世界のスムーズジャズ、かつてはフュージョン、クロスオーバー　ジャズ・ロックという音楽のジャンルで、歌詞がない　音だけのインストゥルメンタル＝インストの音楽。わかりやすくいえば、スーパーのBGMや、自動車レースのF1などの効果音楽、プロレスラーの入場曲で、誰もが関心がなければ、聞き流されている音楽でもある。CASIOPEAといえば、知っている人は知っている。知らない人は全く知られていない音楽バンドである。ワールドツアーも成功させ、世界のトップ　ミュージシャンからも認められた日本の音楽バンドであり、そのリーダーがこの本の筆者である野呂一生さんである。CASIOPEAのレコード会社がアルファレコードで、その当時　YMOもいた。YMOといえばテクノサウンドで、これまた、歌詞のない音楽で世界から大注目され　数々の世界のミュージシャンに影響を与えている。おそらく、この自叙伝を読んだとしても、CASIOPEAのファンなら、興味深く読み進めることができるが、興味のない人には、全く無用なモノでしかない。百聞は一見にしかず。久保田利伸の名曲である　『流星のサドル』を、野呂一生氏　アレンジ（編曲）、CASIOPEAの演奏になると、こうなる。それも律儀に Ⅱ-Vの規制を他人の曲まで適用させている真面目さとストイックさ。この演奏もそうだが、CASIOPEAのの演奏を聞いていると、日本のバックバンドは　CASIOPEA基準になってしまう。1980年代　日本のスタジオ・ミュージシャンのテクニックレベルが超ハイレベルで、アイドル歌謡曲　シンガーソングライター　演歌、ほぼ、日本のバックバンドは高い演奏能力でした。というのも、日本にもスタジオ録音専用のスタジオ　ミュージシャンと呼ばれた人たちがいて　百戦錬磨のツワモノばかり。坂本龍一もスタジオミュージシャンからスタートです。彼らはインストのバンドもやっておりますが　サポートは松原正樹さん　＝　ユーミン　さだまさしなど今剛さん　＝　寺尾聰など村上ポンタさん　＝　ピンクレディーなど松岡直也さん　＝　中森明菜角松敏生など　ギター演奏法をスタジオミュージシャンから教わり　インスト曲まで出していますし。今でも、福山雅治　井上陽水　MISIA　布袋寅泰　山下達郎など　大体　バックバンドは、昭和からの超有名スタジオ　ミュージシャンで　演奏レベルは半端ないレベルで演奏されています。TVでも一番カネがかかっている音楽番組はNHKの『SONGS』ぐらいですね。バックバンドのメンバーを見れば、カネがかかっているかどうか一発でわかりますし。だから、今のシーケンサー打ち込みや、某集団アイドルグループ　ガールズバンド、ロック・バンド、の　日本のバンド演奏　TV番組の音楽番組など、「演奏レベルが　ちょっとなぁ～」と思うことが多いです。これは、クラシック音楽を聴いている人も同様にように感じると思います。演奏はうまいことは当たり前。その中でどのように音楽を表現するか？ということが重要で、安定感というものがないと、音楽を聞いても無駄とも思えます。内心　「また　カノンコードか？」　「変な意味のわからない歌詞」「ただのノリの良いダンス　ミュージックじゃないの？」「音痴だなぁ」「演奏が下手」「テクニックがアマチュアバンド並み」「編曲が雑」「どこかのパクリ音楽？」こう感じてしまうわけです。野呂一生さんの凄さは、自分で縛りをかけて創作します。ある種　「野呂さんは　M（マゾ）なのか＿？」と、ある会場で野呂さん本人に質問したことがあります。1. Ⅱ-V禁止令2  エレキギターで多重録音だけでアルバム（リズムはドラムだけ生音　それ以外　全部エレキギターで編曲　演奏）3　フレッドレスギターだけで全曲アルバム作曲　（それも2回）4　ディストーション　エフェクター類　全て禁止にしたギターサウンドで　1枚のアルバム5　全ての楽器を432HZに合わせて　アルバムを作成あと　コードが循環コードの単純さはなく　コネくり回す。でも　メロディはファンクでキャッチー。16刻みがカシオペアサウンドの代名詞ですが　8刻みの名曲も多く　ハーモニーとビートと　ライブでの強烈なアドリブ　ドライブ感は　いつも心を引きつけられます。今、危惧しているのは　日本が誇る演奏家の高齢化です。日本では　20歳　30歳代で、インスト音楽　ゲーム音楽しかり、爆発的なヒット　ブレイクしたバンドがありません。また、音楽ジャンルも多様になってきましたが、才能のある日本の若手ミュージシャンが非常に少ないのです。まだ、日本のクラシック業界では　有望な方が多いですが　J POP系はほぼ全滅ですね。今　元気なのは　TRIXぐらいでしょうか？　新作新譜を出しているインストバンドは。日本経済の衰退は文化の衰退を招き　人材も育たない。そういう時代になってきているように思います。

  2021.07.12

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  『王手』　升田幸三（著）　中公文庫

  升田幸三先生は、将棋界のレジェンドであり、今の将棋界があるのは、彼がいたから生きながられているといっていい。なぜなら、アメリカ占領期時代、SCAP　GHQから将棋文化の廃絶を指令されそうになり、真っ向と彼らと対峙したのが升田幸三先生だからである。米軍司令部からは「将棋は、持ち駒というルールがある。捕虜になった兵士を再度、戦いの中に投入するなど兵士虐待のゲームではないか？」と。その時の升田先生の切り返しが痛快。「将棋の持ち駒のルールは虐待でもなんでもない。捕虜にした兵士を味方にし、一緒に戦略を実行する仲間として敵側の将兵を生かしている。それに比べ、西洋のチェスはどうだ？　持ち駒ルールのようなルールもないし、チェスは駒を確保したら　活かすことも再活用しない。それこそ　抹殺　虐殺をしているのはチェスのほうではないか？」これで、勝負ありで、将棋の文化が存続できたのである。升田先生のエッセイは、読めば「クスっ」と笑ってしまう　ユーモアと鋭い観察眼。人間の本質を一刀両断でズバッと斬る痛快さがある。将棋棋士になる前に、「武士」になりたかったという逸話もあるぐらいだ。だから　読んでいて　非常にタメになるものが多い。巻末でも　升田先生が「私の流儀で　人事、仕事、勝負、人生を語ったのがこの本である」と宣言されている。ここに出てくる　升田先生の有名人、作家、経済人、棋士の評が特に面白い。特に、経済人　政治家の器のデカさ　肝っ玉が座った人が多いという事実である。今の平成　令和の経営者は、肝っ玉が小さいよなぁと思うほど　豪快な伝説がない。例えていうなら、サル山の大ボスがいない状態といっていいだろう。だから、今の経営者も「コモノ」感が強すぎて、こんなリーダーで、日本経済や政治は、ダメになるわなと。威厳も　大物感、処世術、責任のとり方など、スケールが全然違いすぎる。だからこそ、戦後の成長期の昭和経済を作った人たちの偉大さをこの本を読めば感じることができる。最後に、升田先生が菊池寛の女性の口説き方について、事細かに書いている。菊池寛といえば『文藝春秋』を創設し、今でも　芥川賞　菊池賞が有名だが、升田先生曰く、菊池寛の口説き方は、女性以外にも　いろいろな人に対しても　かなり有効という評である。興味がある方は、是非　この本を読んでみればいいと思います。

  2021.07.11

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  『誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方』　Clair Davies (著), Amber Davies (著), 大谷 素明 (監修)

  首こりや肩こりで悩んでいる方が非常に多いと思います。 私も、首コリや肩コリで、ひどい時は頭痛や吐き気。不眠症にもなったりすることがありました。 何が原因なのか？ その答えがＮＨＫで放送された​「ためしてガッテン」のトリガーポイント ​について。 肩こりや首こりは、整形外科ではなく、麻酔科が専門であったことを、この放送で初めて知りました。 このことで専門的な治療方法があったことを知り、たまたま、通っていた整骨院が、この理論と合致していまして、今まで苦しんでいた首こりや肩コリが、嘘のように消えました。 時々、ひどい首こりや肩こりが再発しますが、整骨院で治療すると、ほぼ完治するようにまでなりました。 このことは、特集で「首コリ解消大作戦」で書いていますので、ご参考に。 私の場合は、「牽引療法」が一番効果があると、わかりました。 牽引療法について、なかなか、まだまだ、科学的に解明されていないので、積極的に治療器具として認知されていないようです。 さて、今回、ＮＨＫのトリガーポイントについての解説で、非常に興味があったので、たまたま新刊で、おいしい本が出てきました。 それが、この本。 体のあらゆるトリガーポイントが解説されており、どのように「自分で」治療するか＿？も書いています。 当然、マッサージの方法が書いていますので、これを覚えておくと、体が軽くなる、ラクになります。 専門的になりますが、手技の「ASTR」も、なかなか良い治療法だと思います。 整骨院で、このような、トリガーポイントや「コリコリ」について、専門的に治療しているところって、なかなかありません。 ASTRも、整骨院で実践しているところは少ないでしょう。 日本で、このような本が出てきたのは、非常に良い傾向だと思います。 初心者で興味のある方なら、ちょっと高いですけど、その読む価値は十分にあります。 トリガーポイント関係の本なら、この一冊で十分です。 それ以上のことを知りたいなら、専門的になりますが 『はじめてのトリガーポイント鍼治療』　（鍼は、無資格者の他人への治療は違法行為です！！！） →　​この著者のブログ ​ 『痛みの臨床に役立つ手技療法ＡＳＴＲ』 →　沓掛先生のページ　（​コリとり体操 ​は必見！！！　） 私はこの本を片手にゴルフボールを3個使って、セルフトリートメントしています。 効果は絶大です。 肩こりや首こりで困っている方。 まずは 日本ペインクリニック学会の参加メンバーに行ってみるといいでしょう。 整骨院なら、柔道整復の専門学校の方は、あまりお勧めできません。 最低でも「トリガーポイント」や「筋肉の弛緩についての専門知識」などがないと、私はあまり信用できません。 治療装置も、最低、低周波装置、超音波装置、牽引機を揃えている整骨院で、さらに、鍼灸もでき、スポーツ医学にも詳しい整骨院だと、ベストだと思います。 なかなか、ありそうでないんですよね。そのような整骨院は。 大阪で私も何十回　整骨院を変えましたし、沖縄でも５件ぐらい変えています。 ようやく自分にあった整骨院とめぐり合うと、本当に、心身ともも健康を維持できるようになりました。 しかし、整骨院も民主党の事業仕分けの対象になり、淘汰される時代になってきています。 レセプトの不正受給を行う整骨院も多く、今年から、いきなり店をたたんだりするところもあると思いますので、ご注意を。 特に、500円ぐらいで治療を行っている整骨院は、かなり淘汰されるように思います。

  2021.07.10

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  『「バカ上司」その傾向と対策』　古川裕倫（著）　集英社新書

  部下は上司を選べない。これほど、働く人々にとって、「運」の要素しかない人間関係もない。そして、その上司が「バカ上司」だったら？私の場合は、バカ上司にあたったときは、大抵「会社を辞めている」ことが多い。たまに、「バカ上司の首を切る」ことも2度ほどやったことがある。半沢直樹のように「倍返し」どころか「10倍返し」に。バカ上司ほど、「おまえは、上司の器でもないし、社内の評判　自分で探ってみたらどう？」と、思うことが多いし、ほとんどが「仕事ができない上司」である。バカ上司をとっちめる方法が、いろいろ書籍で出てきているが、まだまだ甘いとうか、ぬるい。なぜなら、本の著者は、実際に自分でバカ上司の追放する方法をしたことがないからだ。やるなら徹底的に戦ったほうがいいし、自らの能力が試される場合もある。そして、その行為が社長に認められたら、昇進することも、たやすくなる。その一方で、こんなバカ上司を相手にするなら、もっと有名企業や自分の価値を認めてくれる会社へと、転職したほうがよい選択もある。なので、上司をどのような関係を保つのか？は、結構難しい場合ば多い。ここでは書かれていない　バカ上司の典型がまだある。１　専門知識も知らず、自分の思いつきの考えを押し通し、結局　「あいつ何もわかってない」と周囲からバカ扱いされるヤツ。最後は、周囲から「あの上司には関わるな　貧乏くじを引くことになる」と、遠ざけられる存在となる。２　部署間のすべてのメールを細かく見るだけで、営業にも行かずに　客からもバカにされ、裸の王様状態になるもの。しかし。自分がエライと勘違いし権力を行使し、パワハラ三昧するが、結局　社長に「おまえは、部下の成長を何も考えないのか？」と叱責され、クビにさせられるバカ上司3　なんでもかんでも丸投げ。自分で判断できず、能力の部下にひたすら、お願いし、コバンザメのように周囲にはヘコヘコしている上司この本の中で　一番参考になるのは、バカ上司との戦い方についてです。1　仲間を増やせ2　証拠を残せ3　外堀を埋めよ4　戦い始めたら　徹底的に5　喧嘩と直訴6　「戦う人だ」と周囲に認識させよこの6点は、ご指摘どおり　非常に大事なことだ。最後は、社長との1対1での会談を設けてもらう機会があるのなら、全ての証拠記録と「会社のために」仕事をしているのに、なぜ、上司が邪魔をして会社の業績を落とすことをするのか？を　実証していけばいい。よほどのバカ社長でない限り、説得力と証拠、そして背後に控えるチカラがあれば、上司など簡単にクビか左遷になる。私の場合は、一人で戦い続けるよりも支えてもらった仲間の存在の方が大きかったですし、労働組合の結成でも、たまたま、ヨーロッパで労働組合活動に非常に理解を示してくれた外国人の社長だったおかげで、組織改革　リエンジニアリングにまでなり、儲けることができる会社へとなっていったことは言うまでもありません。もともと、社長も「あの支店は　どうして　こんなに数字が悪いのだ。TOPの支店長がなにかやらかしているな？」と思っていたそうで。だから、その状況を逐一監視、チェックしていたことも　こちらに有利な状況だったともいえます。最後に、日本企業と外資系企業についてですが、バカ上司はどちらにも居ます。ただし、外資系のほうが、バカ上司の自浄作用が多いように思います。なぜなら、職務記述書（JOB DISCRITION）とR+R（ROLE and Responsibility）が明確だからだと思います。あと、外資系のほうが、チームワークで作業できるかどうか？　かなりシビアに見られます。外資系ほど個人主義　実力主義と思われますが　私の経験上、外資系のホワイト企業ほど「チームワーク」ので業績　職務記述書が評価の基準になります。なので。組織を束ねることができない　部署が束ねることができないバカ上司ほど、外資系には居場所ががないといっていいと思います。ただし、TOPの社長がバカ上司の外国人だと、最悪です。そういう外資系企業は、本当に悲惨というか、救いようがない労働環境　勝手気ままな人事査定になるので、離職率が非常に高い環境になってしまいます。上司が選べない　サラリーマンの運命は、運次第なんでしょう。

  2021.07.09

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  『アメリカの保守とリベラル』　佐々木毅（著）　講談社学術文庫

  アメリカ政治の基本書といえば、絶対お勧めの本がこの本です。アメリカの政治・経済思想について的確にかつ理論的にわかりやすく書かれた本は、「この本しかない！！」というぐらい名著中の名著です。私が会社を辞め海外へ放浪した時の愛読書こそ、まさにこの本でした。佐々木先生は東大法学部政治学科教授であり、学長であり、東大を退官されてからは学習院大教授をされていました。『政治学史』の福田歓一先生のお弟子さんでもあります。佐々木先生といえばマキャベリズムや西洋政治思想史など専門書を書かれていますが、私はアメリカ政治に政治分析が非常に分類　派閥　思想の違いを丹念に政治雑誌や新聞などから拾い上げ　解説する能力がずば抜けていると思いました。よく似た書籍は、副島隆彦氏の『アメリカ政治思想の大研究』筑摩書房　（現在では『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』　講談社+α文庫）ぐらいでしょう。現代アメリカ政治の歴史や政治思想の変換は、ほぼ佐々木先生の見方や考え方を、佐々木三部作で私は勉強しました。（私が勝手に名づけているだけですが。）佐々木先生のアメリカ政治における「佐々木三部作」とは大まかにいえば、1980年～2000年にかけてのダイナミックなアメリカ政治の潮流を理解するには最高の三部作でした。『現代アメリカの保守主義』（岩波書店、1984年／同時代ライブラリー、1993年）レーガン時代　新保守主義の台頭についてのお話。1960～1970年のケインズ全盛時代から　ハイエク・フリードマン　自由主義　マネタリスト全盛へ『アメリカの保守とリベラル』　講談社学術文庫　レーガンからクリントン時代　ネオ・コンサバティブ（新保守主義）、ネオリベラリズム、キリスト教右翼の台頭　保守でもリベラルでもない第三極の形成『現代アメリカの自画像――行きづまる中産階級社会』（日本放送出版協会［NHKブックス］1995年）クリントン時代以降　ブッシュ時代　「思いやりの保守主義」　アメリカの国内問題の混乱。アメリカ孤立主義の揺り戻しの機運佐々木先生の引用文献もすばらしく、デビット・フラム、キッシンジャー、ジョセフ・ナイ、ハンチントンから、ボルガー、グリーンスパン、ルービンなどのウォール街やFRBの経済思想。そして、フランシス・フクヤマから『アメリカンマインドの終焉』のアラン・ブルームまで、重要人物や政治思想の流れまで、わかってしまいます。今でも　佐々木先生がこの本で参照した政治雑誌や登場人物について、自分なりにネットで調べ　現在までWATCHしています。（最近、激動のアメリカ政治の内部についてWATCHしていないTVや日本の新聞の特派員っているのか？と思いますが）多分、この本を参考にして（またはパクって）「アメリカ政治学」の本を書いた人は数多いと思います。私の希望は、この三部作の続編となる2000年以降から現代までのアメリカ政治について、佐々木先生に是非見解と流れについての本を書いて頂きたいと、切に願っています。数多くのアメリカ政治関係の本が、日本では出版されていますが、いまだに、佐々木先生を超えるアメリカ現代政治史の本は、読んだことがありません。それだけ、実に深く研究をされており、アメリカの政治思想やその変換、ニュースなどをタイムリーに見られているんだなぁ～と思っています。TBSの深夜番組で、佐々木毅先生が司会で、明大の越智道雄先生などアメリカに関する知識人を集めた番組　たしか『ワシントン　ウォッチ』なるものが　1990年代に放送されていました。『60minutes』のネタがないとき　『CBSドキュメント』の代わりで、あのような番組が民放で放送されることはもうないでしょう。アメリカ現代政治を1960年代から見てみると民主党のリベラル派の分裂、ネオコンサバティブの台頭、保守派の再結成、キリスト教右派の台頭ロス・ペローから続く　共和党　民主党にも属さない第三極の政治集団トランプによるアメリカ孤立主義の復活　アメリカンファースト　（オールド　ライトの復活）そして、共和党保守派のトランプによる切り崩しと分裂このような政治潮流が、今のアメリカにあります。このアメリカ政治の潮流をうまく解説する日本人がいないのも、日本の国際政治のの貧困さを示すものだと思います。

  2021.07.08

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  『座右の銘―ピンチはチャンスなり』　大橋武夫（著）　三笠書房　知的生き方文庫

  大橋武夫さんの著書は、数々の古典や古今東西の名将の戦略や作戦など膨大の研究資料と、実際に足を運んで試行錯誤しながら、自分の言葉で書かれている点は素晴らしいと思います。 数ある古典や名著の中で、大橋さんが「これは！！」と思った名言や訓を「座右の銘」としてまとめたのがこの著書です。  特に、統率方法において、命令・号令・訓令を使い分けることを強調されていた箇所に、思わず納得してしまいました。 さすが、陸軍参謀だっただけに、人を指示する時に、この３つを使い分ける力量と、部下の能力をしっかり理解していないとできないこと。 そして、今の日本の管理職は、ほとんど号令ばかりで、命令や訓令の指示もできないから、かえって、部下はそのバカ上司の言動で右往左往し、無駄な仕事ばかりし続けることにもなる。 いくら、コーチングをしたり、管理職を教育したりしても、命令・号令・訓令の使い方ができなければ、組織や人は動かないわけだと。 座右の銘という言葉は、名言集ともいってよい。 おいしい名著の名言集を非常にコンパクトに集め、多くの名著が語っている共通した教訓も実は、かなり似たような名言や訓が多いことを知り、「なるほど」と思わせることが多かったです。 孫子の「将能ありて、君御せざるものは勝つ」。ドイツ公刊戦史の「最高統帥の命令指示は、各軍の作戦を妨害したことのほうが多く、命令伝達が遅れたのが逆に幸いして、敗戦を免された例もある」 上層部がグチャグチャわけのわからん命令など中間管理職がぶっつぶすか、無視をする調整機能があったからこそ、日本企業は成長できたことを如実にあらわす教訓でもある。 今、このような交渉力、仲介、仲裁できない社員が非常に少ないことが組織の閉塞感・コミュニケーション不足になっているわけだ。自己啓発や利己心だけでは、どうやっても組織は動かないわけで。 この本は非常に良いでいて、「組織とは？」を考える上で、面白い考察を名著と共に学べる良書だと思います。

  2021.07.07

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  『ハードワーク　勝つためのマインド・セッティング』　エディー・ジョーンズ（著）　講談社＋α文庫

  2019年のラグビーワールドカップの日本の快進撃の熱狂から冷め、日本のトップリーグには、そのワールドカップで活躍した世界の名選手が大量に日本のチームに加入している。ただし、試合については、ポツポツと、スポーツ番組で短時間取り上げられるのみである。女子サッカーでもそうだが、日本人は「熱しやすくて冷めやすい」。そして、世界選手権やワールドカップなどで好成績を出すと　必ず指導者の采配　考え　リーダーシップ論などが注目され、書籍化になる。野球なら野村監督　落合監督　権藤監督バレーなら植田辰哉監督サッカーならオシム監督　岡田監督そして、ラグビーなら、平尾誠二監督とエディー　ジョーンズ監督であろう。ラグビーが強くなる秘訣は、私は「限界突破」であると考えています。これはラグビー以外でも、野球やサッカー　ビジネスでも同じように思うのですが　「限界突破」した者しか　上には行けない　出世はできない、戦いには勝てないのだと。そのヒントが、たまたま　神戸製鋼や同志社大で活躍した林俊之さんの講演を聞いた時です。「人間の伸びしろは、自分がもうダメだと思った　もっとさらに先の苦しさを超えて　一歩一歩　ほんの少しでもいいから伸ばしていくことをしないと、向上したパフォーマンス　成長にはならないのです」と。「もうだめだ」と思うギリギリのライン。それも、自分の体や精神が壊れる寸前まで　自分を追い込まないと、真の成長はないと。この話、実は、エディージョンズさんが下記解説している。『ハードワーク』のP165でも　「何事も、本番で大きなチカラを発揮しようと思えば、普段から自分を追い込む訓練が必要だ」。P87「努力は100%のものでないと意味がありません。80% 50％のものなど　そもそも努力ではない」この追い込むこと　3日間連続で18時間準備をして新店を開店させたとか、新しいプロジェクトのために　5日間　施設で缶詰めで資料を作成し、入札に勝ったとか。私も、英語留学で1日　15時間ぐらいスパルタ方式の英語教育で　海外のELSで缶詰になって英語を勉強を1年ほどしていました。スラスラとアタマの中で英語を聞いて　英語でイメージして　英語で切り返すという生活を1年していました。朝から晩まで　起きてから寝るまで　ずーと英語。だから、日本でコツコツ勉強するよりも一気に英語の勉強ができ　英語が使えるようになりました。週に2～3回　90分の授業をやるよりも、1BY1で　ずーと、1日中　英語の読み書き　リスニング　ライティング　ディベートをやったほうが　そりゃ　成績はよくなります。そこは全寮制なので逃げることさえできませんし。あと、最後に　エディーさんがこの本の巻末で「部下がリーダーを超える時」という章があります。2015年9月　ラグビーワールドカップ　スポーツ史上　最大の番狂わせと言われた南アフリカVS日本での逆転勝利。「本当の成功は、部下がリーダーを超えたときに起こります。逆転を狙わず　ゴールキックで引き分けで良い。選手はその指示を無視し、選手たちが自主的に状況判断をし、行動した結果、勝利を生んだ。　それが真の成功だった」と。これは、石原莞爾の『最終戦争論』や菊澤研宗の『命令違反が組織を伸ばす』権藤博の『教えない教え』に詳しいが、「自分で考え　自分で状況判断し、自分で行動する。」兵士、将官、野球選手のほうが、指示待ちの管理組織よりも、圧倒的に実践では強い。しかし、実践を行うまでの訓練や練習、努力があってこそ、はじめて成り立つのである。そして、その組織こそ、​『人材は不良社員から探せ』​なのである。

  2021.07.06

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  『新板　アメリカ横断TVガイド』　町山智浩（著）　洋泉社

  町山智浩さんといえば　宝島社で　みうらじゅんとハチャメチャなことをしていたイメージがある。最近では　BS朝日の『町山智浩のアメリカの今を知るテレビ』を、レギュラー化されていない時から視聴していましたし、オセロの松嶋さんと『未公開映画を見るTV』など、アメリカの大衆文化、大衆の政治思想やアメリカの歴史を伝えていました。2000年以前のアメリカのTVは、ぶっとんでいました。何がぶっとんでいたか？というと、ドラマからアニメから「アングラばかりでじゃねーか！」「これ　放送コードひっかからないのか？」と、ドキドキするものが多かったからです。下記の映画のタイトルを知っている人は相当　アメリカのTVや映画マニアだろう。『ピンク・フラミンゴ』『ジェリー　スプリンガー　ショー」『コップス』『マッドTV』『Law ＆　Order』「Candid　Camera』 マイケル・ムーアあと、『ザ・シンプソンズ』なんですが、たま～に、日本でCMで出てきたりしていますけど、ストーリーがどれだけぶっ飛んでいる内容なのか？　日本人で知っている人はほぼいないだろう。最低を通り越して、笑うに笑えないほど、ストーリーなのである。○　ホーマー　シンプソン史上最低のダメおやじ。勤め先の原発で1日１回は原子炉を暴走。バスで身体障害者が乗ってきても「あんた　タダ乗りだろう？」夜中に粗大ごみを近所の庭に不法投棄自宅ではブリーフパンツ一丁でウロウロ隣から盗んだケーブルTVの回線でTVを見る。コンビニでコンドーム万引芸能人水泳大会を見れば　奥さんを押し倒す家族は奥さんのマージーは良妻賢母だけど、よくホーマーの奇行を我慢しながらも、ソバで支えてるし長男バードは　いたずらの天才（でも、やりすぎて笑えないものもある）、長女リサは「小学生左翼」でありアニマルライツ（次回　アニマルライツについては解説しようと思いますが）わかりやすくいえば動物愛護主義者。ダメおやじホーマーとはいつも揉めている。こんな家族のアニメが本場アメリカの日曜日よる8時のゴールデン枠で放送されている　今でも最長アニメ番組である。要するに家族団らんの時間に　これを放映して「な、こんな親父よりも、俺のほうがマシだろう？」と、アメリカのお父さんたちは、ホーマーの馬鹿親父を皮肉りつつ　家族でニヤニヤ視聴しているわけなのである。（ホーマー親父の奇行も鼻の中にチョークが詰まっているかららしい。このチョークが抜けると　真人間になるらしい）日本の『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』など、ホーム　アニメではない。ロック、セックス、ドラッグ、バイオレンス、人種差別　何でもありのぶっ飛んだアニメが、『ザ・シンプソンズ』なのである。だから、『ザ・シンプソンズ』を見るのが好きというのは、よほどの変わり者か、本当のシンプソン　ファミリーの言動を知らないのだろう。そして、アメリカは家族全員　おじいちゃん、おばあちゃん　お父さんもお母さんも　子どもたちもニコニコ　このアニメを見ていることが、異常な世界だと、つくづく思いました。シンプソンズといえば、日本のピカチュー事件でも、余裕でてんかん症状をパロっていたり、天皇陛下でさえ、ブラックジョークで利用する。もう一度いいます。こんなアニメが全米のゴールデンタイムでアメリカの家族の団らんの日曜日の８時に視聴されて　それが高視聴率で続いているのです。いやはや、アメリカ人って　アタマおかしいわと本気で思えますし、町山さんの解説も　このぶっとび具合を楽しんでいるようにさえ思えます。最後に、2000年以降、ドラマからリアリティーTVへシフトしてきました。この原因はドラマ制作費の高騰です。アメリカのドラマは　当たると、長ロングランシリーズで作られますが、当たらないと、ポイ捨て。だから、最近、ドラマがシリーズ化すると、当然、俳優のギャラは高くなる。新しいドラマがヒットしないと、カネだけ飛んでいくし　高いギャラの俳優を使い続けることにも限界があるし、シリーズ化したドラマも飽きられてしまう。だから、素人参加番組や、リアリティーTVなど制作費を安くつくもの「警察24時」「サバイバー』「恋愛リアリティー」など、どんどん出てきているわけです。これは　アメリカだけでなく日本も同じです。そして、もう一つの流れが、アメリカではマイケル　ムーアの登場です。ブッシュJRが大統領になってから、アメリカライフル協会への突撃取材など保守派に対するドキュメンタリー映画　ドラマを作っていますが　2000年以降から彼の知名度はドンドンあがっていきました。この突撃取材の方法はCBSの『60　MINITES」が老舗ですが、マイケル　ムーアの影響で、アメリカでは若手がドキュメンタリー番組　映画も多く作られるようになってきました。最近の短編映画におけるアカデミー賞は、短編ドキュメンタリー映画が多いこともわかるでしょう。しかし、日本では、あいもかわらず、ちんけな恋愛ドラマやら、サスペンス、刑事モノばかりで、「何がおもしろいんだ？」と。逆に　NHKのほうがカネがあるので、突拍子もないストーリーのドラマを作っています。『おっさんずラブ』とかですね。さらには、ノンフィクション　ドキュメンタリーが日本では　あまりにも少ないように思います。フジTVは『ザ　ノンフィクション』、日テレは『NNNドキュメント』、TBSは『報道特集』ぐらいでしょうか。NHKは　たま～に　NHKスペシャルで取り上げるぐらいですね。社会問題に対して　映像で表現する時代は、日本では経済成長もできず、人材が育たない　カネやスポンサーが集まらないのが原因のように思います。日本でぶっとんだ　ドキュメンタリーは1980年から1990年初頭によく放映されていました。その過去の栄光の遺物が「DQN」という言葉が残っていることぐらいです。

  2021.07.05

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  『目に見えぬ侵略　中国のオーストラリア支配計画』　クライブ・ハミルトン（著）　飛鳥新社

  ​​​最近、日本人の国際感覚が完全に麻痺しているようにしか思えないのは私だけなのか？やたらとTVからネットから、果ては5CHの掲示板まで五毛が荒らすわで　「支那」「支那」「支那」のオンパレード。自民党から野党まで、親中派の政治家が　まぁ～中国共産党擁護をするわ、日本へ観光きてくださいなど　アタマを下げて、「インバウンド戦略」を大宣伝していたわけだ。日本の親中派の政治家の皆さんへ「あなたたちは日本を中国共産党の属国にしたいのですか？」と、胸ぐらをつかんで問い正したい。1990年代から2000年代には　自民党の某有名な先生方が　ハニートラップにハマって中国共産党の言いなりに。外務省の領事館員までもハニートラップで自殺している有様である。中国共産党の連中に、政治家　官僚　民間の日本の大企業、経団連まで　みんなハニートラップで　またヤラれたのか、大金積まれて懐に入れているのか？　なにか中共に弱みを握られているのか？としか思えない日本の対中戦略のおろかしさ。すでに、香港も中国共産党の軍門に下ったわけだ。いくら民主化運動を行おうがひっくり返すことはできない。皆さんは　英国から中華人民共和国へ香港返還式典の時、香港側の代表者が広東語訛りの北京語を話していたことをご存知であろうか？香港ではこれまで広東語が共通言語だった。中華帝国である中国共産党は、「ひとつの国語　ひとつの国民」という国民国家の幻想を守るために、香港でも北京語の使用が強制されているわけだ。事実上の香港の「中共化」がすでに返還式典から始まり　中共化を止めることはできなかったのである。香港が国家として行動を起こしたこともないし　香港市民が香港を国家として活動せず　大英帝国の傘で暮らしていただけなんだから　民主化など叫んでも　中共に潰されることは誰でも予想でき　中共に反抗すれば　どうなるか？は　すでに皆さんもご存知のとおりだ。今では、香港だけではなく台湾にまでその範囲を広げており、もう中国共産党の「帝国主義」化といってもよい。「一帯一路」など、陸　海の国際物流を盾にした　実質的な植民地支配戦略だと、誰も指摘していないことが、大いに私は疑問を感じるのである。日本の支那に対する危機意識のなさは　もう病的であり、かつての戦前の旧ソ連のスターリンやコミンテルンの対日工作、日本人スパイの暗躍をご存知ないようで。中国共産党は　『孫子』の兵法を忠実に実行へと移している。今、その危険性に気がついて、中国共産党と戦っている国がある。それは、オーストラリア（豪州）だ。今、豪州の首相を含め、徹底的に中国共産党と戦っているし、経済制裁の報復合戦になっている。その発端こそ、この『目に見えぬ戦略』のよる告発と　豪州国民の中共に対する見方が代わり、選挙で親中派　媚中派の労働党を野党にさせたからだ。オーストラリア産の下記の商品は、中華人民共和国では禁輸である。・ロブスター　・ワイン　・石炭・大麦・砂糖・木材・銅鉱石（さすがに軍事物資である鉄鉱石までは禁輸にしなかったのが支那らしい）オーストラリアは対中貿易で30％の比率を占めている。なのに　この報復措置を中国共産党が行っているのはなぜか？その原因の発端を作ったのが　この『目に見えぬ侵略』なのである。奥山真司さんの本なので購入はしていたが、読む時間がなかったが、この本を読みだした途端　真っ先に思ったのが「これ、日本も同じようなことをされているではないか！」という驚嘆しかありませんでした。目次序第一章 オーストラリアを紅く染める第二章 中国は世界における自国の立場をどう見ているのか第三章 僑務と華僑第四章 黒いカネ第五章 「北京ボブ」第六章 貿易、投資、統制第七章 誘惑と強要第八章 新旧のスパイ第九章 「悪意あるインサイダー」と科学機関第十章 オーストラリアの大学で「魂に工作する」第十一章 文化戦争第十二章 中国の友人：親中派第十三章 自由の価格◎原著は大手出版社Aleen&Unwinと出版契約を結んでいたが刊行中止、その後も2社から断られた。「（本書の）販売中止を決めた自粛は自己検閲だ」（フィナンシャル・タイムズ）と物議をかもし、中国共産党の海外工作ネットワークをすべて実名入りで解明した、執念の本格研究、ついに全訳完成！◎オーストラリア政財界・メディアに介入した手法は、日本にも使われている！「中国が他国をどのように影響下におこうとしているのかを知りたければ、まず本書を読むべきである。」（ジョン・フィッツジェラルド教授の推薦の言葉）◎「世界各国のモデルになるのでは」とされる、ターンブル政権の外国人・企業からの献金禁止の法制化や「スパイ活動」の定義拡大の動きに本書が先鞭をつけた。「中国による浸透工作が半ば完了しつつあった時、強烈なウェイクアップコールとなったのが、ハミルトン教授による本書「サイレント・インベージョン」である。本書はオーストラリアを変え、アメリカにも大きな影響を与えた。」（監訳者解説より）​​​​​この『目に見えぬ侵略』で書かれていることを端的に解説すると、オーストラリア（豪州）の下記の分野で、中国共産党の影響、もしくは帝国主義を拡大させるために　いかに賛同者や支持者、もしくは無理やり中国共産党の意向にいやいやながらも協力したりする人たちが海外で中共支持のプロパガンダ工作活動を行い、その影響を受けている支那国外の人が非常に多いという事実を紹介している。オーストラリアの中共の侵食具合は異常である。まさにオーストラリアで中共の協力者は「売国奴」レベルではない。「売国奴」どころか　中国共産党の「心酔者」だ。そして、オーストラリア人は「支那は、経済が安定しており、平和な国である。汚職なども上層部が汚職撃滅運動をしており　クリーンな政治だ」と本気で信じている人がいる。チベットやウイグル　香港などは中国共産党に逆らう反乱分子であり、暴力的なデモや行動を鎮圧しているだけだと。日本人でも同じように考えている人が多いのも、自分で考えることができないからだろう。特に　日本人の場合、シナ人に対して隣国だし、彼らのことはよくわかるという人がなんと多いことか。はっきりいって　そういう人はほとんどわかっていない。・支那国内の汚職の横行・チベットやウイグル自治区の弾圧。・香港の『リンゴ日報』の廃刊（言論の自由の抹殺）・党　企業複合体としての国営の支那企業の海外進出の拡大（ファーウェイの中国人民開放軍の大きな影響は有名）・欧米企業　欧米の大学で知的財産権の奪取　スパイ活動を行い、奪取し、自国に利用する。・オーストラリアのエスタブリッシュ層へのカネのバラマキ（カネを出して従うモノと従わないモノを選別し、従うモノを家畜並みに調教しシンパにする）・中共のプロパガンダの対外に伝播し　支持者を獲得し　海外諸国の内側から属国化する。＜豪州＞教育機関　オーストラリア国立大などでの支那留学生が大量に流入　中共の思想拡大もし　中共の考えに沿わない主張や教育を豪州の大学で講義すれば　授業ボイコット。留学生は帰国するし授業料は払わないと。ほぼ　この強行に豪州の大学は従っていること。　政治　政治家の親中派　媚中派工作　与党である豪州労働党幹部　首相　外相など媚中派になり　豪州の金属資源や農産物を激安価格で提供。経済　豪州へ中共の党　企業複合体の巨額投資とビジネスの拡大通信情報　ファーウェイ　ZTEなどの通信機器の売り込みメディア　豪州の新聞やTV　NEWS　ジャーナリストの親中派記事の奨励と中共のカネのバラマキ＜日本＞教育機関　孔子学院などの中国語　語学学校を隠れ蓑にした　親中派の獲得と宣伝政治　自民党の2Fなどの媚派　中共100周年の祝辞を送る政治家全て経済　対中貿易に拡大路線を続ける企業通信情報　ファーウェイ　ZTEなど支那企業の日本市場への開放と拡大メディア　親中派　媚中派メディアの　中共プロパガンダの拡大と親中派政治家の擁護もう、完全に豪州も日本も同じことが　国内で工作として行われているのは明らかだ。中華人民共和国　中国共産党の根本となる対外大戦略とはなにか？すでに、支那ウォッチをされている方はご存知だろう。それは、中国人民解放軍の当時　大佐だった　喬良 王湘穂（著）の ​『超限戦』​に詳しく書かれている。この『超限戦』に関して　すでに欧米諸国が中国人民解放軍＝中国共産党の対外軍事大戦略としてしっかり研究され尽くしている。​​​日本では、『超限戦』に関して退役自衛官が研究しているぐらいで、また、防衛大学の幹部候補生ぐらいしか勉強　研究はしていないだろう。日本の政治家や官僚は　全くキャッチ・アップもできていない悲惨な状況である。『超限戦』の基礎ベースは、『三國志』、『孫子』、『韓非子』である。それに、この読書日記でも紹介した『間書』の知識があれば、かなり理解できるでしょう。当然、西洋のリデル・ハート、ジェミニ、クラウゼヴィッツ、ナポレオン、ワイズなども　彼らは勉強して　『超限戦』に反映しています。日本の政治家や経済人、学者が『超限戦』レベルを理解できるレベルでもないし　まして　その対抗策などの対案も出せない状況。つまりは、やっつけ仕事の対応しかできないお粗末さが簡単に予測ができるわけです。武漢から発生した新型コロナウィルスに関する中国共産党のプロパガンダ、フェイクニュースの主張のバラマキ。そして、日本の報道、日本政府の情報戦の対応策、本当にお笑いレベルでしかないことが実証していますね。この本を読んで、オーストラリアの中国共産党が行っている報復に対し、もし　日本も支那からの観光客を止める、支那に進出した日本企業を人質にする、もしくは労働争議を起こすなど行われた場合、毅然と日本もオーストラリアと同じように対抗できるのかと。支那の属国化の侵食を許すのか　それとも、防護しながらカウンターで対抗できるのか？どちらを日本の政治家　官僚　経営者の言動に注目すべきだ。さて、日本国内でも　巨額な支那マネーが襲っている。カーボンニュートラル宣言し　ジンコーソーラーなど太陽光パネル会社が勢力を伸ばしたり　日本の山林　水源地帯、北海道のリゾート施設や日本全国の都市部の土地　不動産、すごい勢いで、日本国内に支那人を多く入りこませ　大金投資の引き換えに、彼らに永住権を乱発している日本の対応から、「支那の水面下の日本の属国化」のほうが、長期的な大戦略から現実味があるように思えます。土地　漁業権　所有権　山林権が、外国人でも　無制限に所有でき、なんでもありの法整備をしていれば、外国勢力に国土をカネで買われ　間接的に日本が中共に属国化されるのは時間の問題です。また、彼らが　日本国民を殺傷する兵器など使用せず、電磁波爆弾を日本全国に使用すれば　電子機器類はすべてダメになり簡単に日本の産業活動　商取引、経済活動が崩壊させることができます。インフラの安全保障など　これっぽっちも考えていない日本など　何でも有りの邪道と言われている『超限戦』の大戦略で　滅ぼすことなど簡単のように思います。彼らからすれば「バカは死ななきゃ治らない」と、思われているように思えます。このバカとは　中国共産党から見れば、支那国内では　チベット　ウイグルであり　香港であり　台湾であり　国外では日本　豪州、ベトナム　インドでしょうね。​​

  2021.07.04

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  『大本営参謀の情報戦記　情報なき国家の悲劇』　堀栄三（著）　文春文庫

  この本は、私が何度も何度も愛読している教科書です。情報戦とは何か？そして、情報収集・分析・結果報告・検証・予測、あらゆるインテリジェンスの最高峰となる書籍であると思います。なので、たえず、何度も何度も読み返して推敲している本です。（そのため、3冊、この本をもっています。）日本政府や官僚組織って、全く、堀さんがいらっしゃった戦前の時代と全く変わっていない。彼の上司である山下奉文　陸軍大将が、この著書　P232で、堀氏に「戦略はいったん失敗すると、戦術で取り戻すことは至難というより不可能だ」というのは名言だと思います。この意味を、真に理解している企業TOP、政治家、官僚TOPが何人いるのか？と。これは、日本の組織運営　全てにおいてあてはまるもので、数多くの組織運営上の失敗は、まさに、この山下大将の言葉に集約されています。負け戦をしているばかりの状況が、今の日本の現実でしょう。太平洋戦争から70年経った今でも、日本政府や日本の大企業は同じ過ちを犯している。一体、この国の統治能力・経営能力のなさは、伝統なのであろうか？実際、日本の官僚機構で最大だったのは、旧帝国陸軍であった。この中で優秀な戦争指導者が生まれることもなく、かつ、情報に対する価値、そして近代戦に必要な情報の軽視であったことは、ゆがめない。しかし、この巨大組織の中で、職人気質の情報参謀がいらっしゃったことは知りませんでした。戦略や情報について、いろいろ本を探しているうちに発見した本がこの本でした。敵軍の攻撃方法、いつ、来襲するのか？　さらに、どれぐらいの規模でくるのか？それがパターン化されていること見抜く観察力　分析力。この時　米軍の攻撃パターンは、1.上陸する一番近い島をまず占領。2.艦砲射撃の雨あられ（空からの制空権をとる）3.上陸戦最大の弱点は「山」など、海から遠いところに離れての持久戦。特に、山間部など奥入ったところには、攻撃力を集中できず　戦車も利用できないためかなり米軍は苦戦することが知られていた。これを筆者の堀さんが米軍戦術早わかりという冊子にまとめ　前線に配布したのである。配布後、バンザイ玉砕で全滅ではなく　山に籠り　トンネルなどの陣地を作り　持久戦　ゲリラ戦へと戦い方の方針転換する司令官が出てきた。この戦術を用いたのが、硫黄島の戦いの栗林中将、沖縄戦の嘉数の戦いなど、山地に塹壕を堀り立てこもる作戦だ。さらに、旧帝国陸軍のこの戦術を参考にし　米陸軍の弱点を最も有効的に突いた戦い方をしたのが　ベトナム戦争時で山地　ジャングルのゲリラ戦を用いたヴォー・グエン・ザップ将軍の戦術である。このように、今後予想される展開や状況についての情報を上層部にあげたとしても、その上層部がその情報を生かして戦略・作戦・政治・外交に生かすことができないというのは日本の上層部の致命的な欠陥であるように思える。唯一、フィリピンにおいて筆者の上司だった山下奉文大将。大本営の不条理な要求を受けながら、フィリピンにて米軍相手に防戦のための準備の逸話。筆者が山下大将を尊敬してやまなかった裏話も書いてありました。山下大将は筆者のアドバイスを信じ、そのアドバイスを作戦に利用して、フィリピン　ルソン島のバギオで　持久戦にもちこむことで、米軍の勢いを封じ込め、終戦まで戦い続けることができ、米軍の本土上陸作戦を遅らせたのである。筆者の父　堀丈夫、そして父からの紹介された土肥原賢二大将の情報に対する見識と教訓が重大なところで出てくる。筆者の情報収集と分析、そして、判断力とカンは、多くの米軍の動きや攻撃時期を的中させ、さらには本土決戦になったときの上陸先まで、ずばり的中させて、「マッカーサー参謀」と呼ばれていた内幕も書かれている。読めば読むほど、面白い本です。あと、この本では米軍が日本軍の情報活動に対する総評点が記されている。（P328）１　軍部の指導者は、ドイツが勝つと断定し、連合国の生産力、士気、弱点に関する見積もりを不当に過小評価してしまった。（国力判断の誤り）２　不運な戦況、特に航空偵察の失敗は、最も確度の高い大量の情報を逃す結果となった。（制空権の不統一）３　陸海軍間の円滑な連絡が欠けて、せっかく情報を入手しても、それを役立てることが出来なかった。（組織の不統一）４　情報関係のポストに人材を得なかった。このことは、情報に含まれている重大な背後事情を見抜く力の不足となって現れ、情報任務が日本軍では第二次任務に過ぎない結果となって現れた。（作戦第一　情報軽視）５　日本軍の精神主義が情報活動を阻害する作用をした。軍の立案者たちは、いずれも神がかかり的な日本不滅論を繰り返し声明し、戦争を効果的に行うために最も必要な諸準備を蔑ろにして、ただ攻撃あるのみを過大に強調した。その結果、彼らは敵に関する情報に盲目になってしまった。（精神主義の誇張）日本で危機的な状況になりTOPが意思決定しなければならない状況で、2度とも同じ過ちを犯していることを指摘しておこう。菅直人　民主党時代の福島原発事故時１　政府指導者は、福島原発が安全と断定し、日本の生産力、士気、弱点に関する見積もりを不当に過剰に評価。２　不運な状況、特に航空偵察の失敗は、もっとも確度の高い情報を逃す結果となった。３　政府・東電間の円滑な連絡が欠けて、せっかく情報を入手しても、それを役立てることができなかった。４　情報関係のポストに人材が得なかった。５　政府・東電のの原子力発電の安全神話が、情報活動を阻害する作用をした。現在の新型コロナ対策を行う自民党　公明党与党　日本政府　そして、厚生労働省もしくは、東京都知事の行動様式に当て嵌めてみる。１　日本の政治家　官僚は新型コロナウィルスを克服できると断定し日本国内の生産力　経済力、士気、弱点に関する見積もりを不当に過小評価してしまった。（国力判断の誤り）２　新型コロナウィルスの不運な感染状況、特に都市部の感染状況の偵察　観察の失敗は、最も確度の高い大量の情報を逃す結果となった。（情報収集の不統一）３　閣僚　都道府県知事　政治家　官僚　専門家間の円滑な連絡が欠けて、せっかく情報を入手しても、それを役立てることが出来なかった。（組織の不統一）４　情報関係のポストに人材を得なかった。このことは、情報に含まれている重大な背後事情を見抜く力の不足となって現れ、情報任務が日本政府　東京都の中では第二次任務に過ぎない結果となって現れた。（作戦第一　情報軽視）５　日本の精神主義が情報活動を阻害する作用をした。政府　行政の立案者たちは、いずれも神がかかり的な日本不滅論を繰り返し声明し新型コロナウィルス対策感染症予防を効果的に行うために最も必要な諸準備を蔑ろにして、ただ東京五輪　経済優先あるのみを過大に強調した。その結果、彼らは敵＝新型コロナウィルスに関する情報に盲目になってしまった。（精神主義の誇張）馬鹿　アホと罵る前に、すでに2度も同じ誤ちを犯しているわけである。今度　3回目で同じようなことをすれば、日本は亡国だろうと真剣に思っています。情報に疎い日本の組織の「構造的欠陥」は、もう日本人では埋め合わせも改善もできないものなのでしょう。なら、とことん、日本が落ちぶれて、好きなように外圧に翻弄され、全知全能の1人のスーパーマンのような政治家の誕生を心待ちに願いながら、祈り続け、そのまま、日本国が朽ち果てればいいのではないか？と最近思うようになっています。そのような未来を選んだのは、結局　日本国民なのですから。私は外資系の企業で働きながら、のほほ～んと傍観しております。

  2021.07.03

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  『吉原花魁日記　-光明に芽ぐむ日』　森光子（著）　朝日文庫

  Googleで女優の森光子さんが7月1日の表紙を飾っていた。2009年7月1日　『放浪記』が2000回の上演を果たしたメモリアルDAYが7月1日だったから、Googleは森光子さんを表紙にしたのだろう。女優の森光子さんといえば、喜劇もできる女優さんで、クレージーキャッツ、ドリフ、ホームドラマなど、「日本のお母さん」ともいえる存在でした。読書人からすれば「森光子」の名前を聞くと、女優　森光子さんよりも、この『光明に芽ぐむ日』の森光子さんを思い浮かべる。朝日文庫の表紙の絵から想像もできない吉原の遊郭で働いていた春駒さんの渾身の日記であり、ノンフィクション作品である。 かつては花街＝遊郭と同一だった。 それが1957年に売春防止法によって、「娼妓」と「芸妓」が区別されるようになったのだ。 よく海外で、日本の紹介に「ゲイシャガール」として紹介されている。 私達は、彼らに「芸者とは何か？」を説明できなくてはいけないのだが、それを説明できない人が多い。 この「芸者＝ゲイシャ」という言葉の多様性や解釈の違いで、多くの問題が出てきている。 それは、ゲイシャという言葉は、現在と、江戸時代とは全く違う。 江戸時代、いや、売春防止法以前は、花街＝遊郭と同一の時代のことを指したことで、海外でも「芸者」＝「風俗嬢」と勘違いされるケースは　ここに起因する。 その典型例が映画にもなった『サユリ』である。 『サユリ』は、あくまで花柳界の世界なわけだ。 花柳界の世界では『花いくさ』が有名ですが、これは、はっきりいって資料的価値は全然ない。 それなら、相原恭子さんの『京都 舞妓と芸妓の奥座敷』をお勧めします。 現在、日本人で、「娼妓」と「芸妓」の違い、さらに花柳界と遊郭の違いについて、理解している人が本当に少ない。 京都の祇園や花見小路などの御茶屋さんは、花柳界の世界。 すなわち、「芸妓」さんの世界だ。 お座敷遊びや踊り、三味線などの歌。 そして、舞妓さんがお酒をついてくれたりする、粋なお遊びである。 一方、「娼妓」というのは、読んで字のごとく、風俗の世界。 過去には、赤線地帯と呼ばれるもので、現在でも吉原、島原、飛田新地などの遊郭がある場所が有名である。 今回は、これらの「娼妓」の世界のお話なのだ。 それも一大拠点である吉原の本当の世界を描いた稀有な一冊なのです。 吉原で働く花魁の人間模様。 客との駆け引きやトラブル。 楼がやっている花魁たちへの搾取と、過酷な労働実態。 花魁が客を操る情報戦と心理戦など。 ソープランドではなく「これが日本の風俗の世界なのだ」と、一撃をくらうでしょう。 また、花魁だった、森光子（でんぐり返し　ばあちゃんではない）さんの心の葛藤や気持ちを素直に書いています。 吉原で働く環境や、事件、病院検査（性感染病　結核　生理不順）など、吉原という世界が、映画や本で見たような華やかな世界ではなく、ドロドロとした醜い男女の世界を一部始終余すことなく書かれた本が、この本なのです。 久しぶりに、一気読みをしました。この主人公の春駒さんは、親の借金で、仲介者に騙され　吉原に売られたことになっています。その経緯についての詳細については、全くわかりません。春駒さんは地頭がよく、文章も　高等小学校（今の中学校）卒の文体ではない。石川啄木の詩集を愛読していたというのだから、相当の文学少女だったらしく、吉原の男性客とのやり取りや内心の思いを、この本でぶちまけている本音。あと、周囲の遊女たちや主人のことなどの心理描写や、言ったことを全部覚えていて　この日記にしたためて　ストレスを発散しているようにも。あと　行動力がスゴイ。たまたま、病気で吉原から出ることができる時に　そして吉原の区域にある病院へ行く途中で　寄り道がてらに　柳原白蓮へ助けの手紙を送り、夫であった　社会運動家で弁護士の宮崎隆介　労働総同盟の援助をとりつけ、一旦吉原に戻り、　援助者が吉原に行き　情報交換をして、準備を着々と練り　最後は病院へ行くといって、ついに吉原を脱走し　吉原~上の~目白の白蓮の家まで到着。そして、吉原の職を廃業するまでの流れは　かなりスリリングな展開です。吉原の花魁　遊女は、吉原から逃げることができません。周囲は堀がめぐり、吉原大門しか入り口はありません。ただし　体調を崩した時　吉原から出て病院へ行くことが認められていました。ただ、見張りがいるのに　どうやって柳原白蓮の家にいったのか？がわかりませんが、このタイミングを狙ったワケです。昭和50年代の書籍　筆者のプロフィールには、住所が書いてあった時代があったので、柳原白蓮の歌集を購入し、白蓮のプロフィール欄の住所へ向かった可能性があります。 こんな本が大正時代に発刊されていたのも驚きで、続編である『春駒日記』も読んでみたいと思いました。 まさに傑作です。最近、この本がタネ本で漫画化もされているみたいで、あちらは「吉原花魁残酷日記」と、タイトルのセンスが悪い。筆者の『光明に芽ぐむ日』のタイトルのほうがセンスがあり、教養レベルも上のように感じます。

  2021.07.02

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  "Investor Capitalism: How Money Managers Are Changing The Face Of Corporate America" , by Michael Useem i

  Since few people write book reviews in English on Rakuten Blog, I write book reviews in English as well.At Toshiba's general shareholders meeting on June 25, 2021, the company rejected Toshiba's proposal to reappoint Osamu Nagayama as chairman of its board of directors. It has been reported that there have been growing opposition from activist shareholders to the management of the 2020 general meeting of shareholders.​"Toshiba's largest shareholder Effissimo demands stronger governance" KYODO NEWS - Jun 18, 2021 ​Japanese media were surprised by the news and reported that it was an unusual shareholders meeting.Dr. Hiroshi Okumura called this heterogeneous corporate ownership structure "corporate capitalism." in japan.Most of the shareholders of Japanese companies are their affiliates, group companies, financial companies of conglomerates with which they do business, and business companies with which they do business. This means that corporatization of equity ownership is mainstream.This is why, until recently, the managers of famous listed companies in Japan, where most of their stock ownership is controlled by the corporations of their friends, were opposed to proposals at general shareholders meetings and were not cancelled.This time, they opposed Toshiba's proposal to monitor the management of their portfolio companies and seek to increase corporate value in order to protect investors' interests.This is nothing new. They only exercised the rights of stockholders, but this has rarely happened so far, and Japanese newspapers have been writing articles that incite fear of overseas stockholders.The news made Stewardship Code famous.But , MICHAEL USSM, a professor at the Wharton School of the University of Pennsylvania, originally argued in 1999 for ”Investor Capitalism”.In this book he argued in 1999:”General Motors and IBM dismissed their chief executives and laid off thousands of employees. Sears cut staff, closed its catalog, and auctioned off divisions. American Airlines, Bell Atlantic, and Digital Equipment reengineered their operations. Chase and Chemical Banks merged, while ITT and AT&T divided themselves.Taken in isolation, each company action may appear to be the product of unique circumstances, but behind each merger, each breakup, each shake-up, is the growing power of investors. And the investors wielding this power are not the plutocrats of old but the managers of pension funds, bank trusts, insurance contracts, charity endowments, mutual funds, and 401(k) plans. Pooling the money of millions of small investors, these managers have built massive stakes in the nation's enterprises, and in recent years they have begun to flex their muscles in reshaping corporate direction and improving company performance.The old rules of investing used to be simple and clear: you bought shares and left the operation of the company to a group of professional managers; if you where unhappy with the firm's performance, you sold your shares and moved on. But with the rise of large institutional investors, the option of selling has become problematic. It's one thing to cash out when you own a hundred shares of a company; it's another thing entirely when you own a hundred thousand shares.So fund managers have adopted a new strategy—changing the corporation's policies from within—with dramatic results. Investor Capitalism documents the ensuing struggles among interested parties that have transformed the way in which business goes about its business. Michael Useem takes us inside the boardrooms and into the proxy battles to track the origins of this shift in corporate power and analyze what it has meant for corporations, shareholders, employees, and the American economy. His insights reveal a brave new world of business, which we ignore at our peril.”Especially for investment trusts, Vanguard's S & P 500 Index Fund keeps investment costs as low as possible and returns high performance profits to investors. Their strategy is to avoid the massive stock sell-off problem pointed out by Professor MICHAEL USSM and to hold stocks for a long period of time, and to make the compounding system work by monitoring the management of the invested companies and reinvesting the dividends they have earned, which has been a great success.I believe that the actions of these overseas shareholders that took place today at Toshiba's General Meeting of Shareholders will have a ripple effect on other famous Japanese companies as well as famous companies around the world.After Investor capitalism, I think the world of pension fund socialism, Peter Drucker's book ”The Pension Fund Revolution”, is approaching.Period.

  2021.07.01

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  『第1種衛生管理者 一問一答パーフェクト1500』 衛生管理者試験対策研究会（著） 秀和システム

  目次・第一種衛生管理者試験の最近の合格率・ネットや合格者のデマ情報は信じるべからず・不合格者の情報こそ貴重・通信講座　DVD講座　対策講座の有効か？・合格できる勉強方法とは・公開問題の使い方 直近の関東（五井）　第一種衛生管理者の合格率 2021年1月７日　 合格率29％2021年1月13日　合格率49％2021年1月18日　合格率27％2021年1月21日　合格率33％2021年1月27日　合格率23％2021年1月29日　合格率46％ ２　ネットや合格者のデマ情報は信じるべからず 衛生管理者のネットのデマ情報とは・過去問だけやっていれば合格できる・テキストを読み込めばよい・過去問でも選択肢でなぜ間違えたか？説明できるようにすべし・通信講座　対策講座を受講すれば独学よりも合格できる・YOU TUBEなど語呂合わせが参考になる・2週間～1ヶ月も勉強すれば合格する 受験前にネットで衛生管理者試験の情報収集をしましたが全然参考にならないものばかりでした。逆に　不合格になり反省し勉強法を改め二度目で合格された方の体験記のほうが有益です。なかなか情報をUPされる方は少ないのが実情です。 デマ１　過去問だけやっていれば合格できる・過去問と公表問題は違います・数年間の公表問題だけ暗記しても合格は難しいです。 ・公表問題は過去問ですが、非常に優しいレベルです。本番の試験で公表問題と同じ問題が出る確率は低いです。問題文の変形　語句で細かい誤った数字や表現を入れるなど小細工する問題が最近出ています。公表問題ではなく過去問を調べればわかるようになります。 公表問題＝年に数回公開されている問題過去問題＝過去の出された問題（公開問題　未公開問題を含む） ・数年間の公表問題を繰り返して合格したというのは今の試験レベルでは絶対不可能であると断言できます。 逆にその方法で合格されているなら、公表問題以外で何かしらの他の資格試験　安全衛生の実務を通して専門知識をすでに勉強されていた方のように思います。私の経験上　10年分から20年分の過去問はあたるべきだと考えています。 デマ２　テキストを読み込めばよい テキストをすべて覚えても、試験で正答率があがるわけがありません。また、テキストを読み込む時間がある受験生は少ないと思います。皆さんは仕事をされながら受験している方がほとんどだと思うからです。試験に正答する確率を上げる勉強法をどうするか？は、どれだけ問題をこなして間違ったところをテキストで確認する方法のほうが効率的です。 デマ3　過去問でも選択肢でなぜ間違えたか？説明できるようにすべし 数年分や市販されている8年分の過去問＝公開問題の選択肢で　すべての選択肢が説明できるようにしても合格はできません。なぜなら、公開問題の問題数が圧倒的に少ないこと　ダブっている問題が多いからです。 本試験で、よく受験後の感想で「見たことがない問題ばかりだった」と。実は、10年～20年の過去問を研究していれば、本試験の8割は過去問から出ています。（実際　私が本試験（1月7日　合格率27％）を受験したとき　8割は過去問だなと思いました）  デマ4　通信講座　対策講座を受講すれば独学よりも合格できる たまたま、会社からSATの衛生管理者のDVD講座が送られてきましたけど正直　テキストが本試験の範囲内だったか？というと、私の感想では合格点ギリギリの内容でした。インプットのテキストは市販の衛生管理者のテキストよりも良く出来ています。過去問が5年分の公表問題が付属していて「過去問を攻略すれば合格できます」とSATでも強調されていました。 私からすれば「過去問の数が少なすぎるし。市販の過去問題集と変わらない、かつ　回答の説明が詳しくないのであまり使えない」と思いました。DVD講座から大きくはみ出た問題も当然本試験から出てきます。（いくら合格最低限を狙うといっても不合格になるリスクが高いです） デマ5　 YOU TUBEなど語呂合わせが参考になる 正直　YOU TUBEでの語呂合わせは覚えにくいです。自己満足の類ですから、自分で語呂合わせを考えたほうがいいです。SATなど通信講座などは語呂合わせもテキストにありましたが、これもあまり使えないものが多いです。 使える語呂合わせは、医学試験　看護試験のものが一番覚えやすいです。有機など衛生管理者の試験問題とかぶっているところは医学や看護師試験の語呂合わせを参考にしたほうが覚えやすいです。 デマ6　1ヶ月も勉強すれば、合格できる 嘘です。 私は合格点まで達成できるアウトプットができるまで、正月休みや土日などを使って約3ヶ月～4ヶ月ぐらいかかっています。 逆に1ヶ月で合格した方は　よほど暗記が得意か、たまたま、ヤマがあたったか当てずっぽうで書いた回答がたまたま合格点だったかだと思います。  第一種衛生管理者試験で合格できる勉強方法とは 「どうしたら合格できるか？」　を書きたいと思います。 勉強方法は、第一種衛生管理者の試験問題で合格点が出せるアウトプットができるか？です。そのため、アウトプットできるように、何度も問題を繰り返しやっていく方法が一番効率的です。 まず　この本は絶対買うべきだと思います・ 最新年度版の　『第一種　衛生管理者　一問一答パーフェクト1500問』　衛生管理者試験対策研究会（著）秀和システム 最新版をなぜ必要か？というと法改正や新しい規則改正など対応する必要があるからです。 ネットの5チャンネルの資格板で、衛生管理者が乱立されていて「1500問　問題集を異常にアピールする」厄介者がいて、この問題集の評判を下げているようにも思います。 しかし　この問題集が第一種衛生管理者資格の試験で市販されている問題集で一番合格に近づける最強の問題集だと思います。私もこの問題集を時間があるごとに頭に叩き込んで、間違ったところは鉛筆でチェックを何度も入れて繰り返しやっていました。 アウトプットを行うときに「なぜ　なぜそうなるのか？」を補完するため　確認をするため資格講座のテキスト　市販のテキストが必要になるわけです。正解が出せないところを　どんどんチェックしていく。そして、その根拠をテキストを読んで理解する。 そして、二度目　三度目と同じ問題が出てきたら、◯か☓か即答でき　その理由も言える状態にすればいいだけです。  『第一種　衛生管理者　一問一答パーフェクト1500問』　内容「最近の10年分（20回分）の公表問題に、過去20年以上にわたって独自に収集した「非公式問題」を加えた約1500問（7500枝）をベースにし当面出題が予想される問題をほぼ網羅した」「無印の設問までマスターすれば　80％以上取得できますので余裕をもって合格できるでしょう」 この一問一答1500問と他のの第一種衛生管理者の過去問と大きな違いは、圧倒的な過去の問題量なのです。​そして、公式問題以外で独自に収集した非公式問題の過去問が網羅されていることです。​​（この非公式問題が、市販されている衛生管理者の問題集にないことが多い。​ほとんどが公開問題の寄せ集めです） この1500問を理解し　頻出問題だけではなく　無印の設問まで　正しくアウトプットができれば、本試験の問題で「見たことがない」という問題は3～5問の選択肢でした。  だから、見直しの段階で自信のある回答は80％ぐらい正答できているし一発で合格できると思いました。 そして、この『第一種　衛生管理者　一問一答パーフェクト1500問』から本試験の問題のパターン分け　クセ　問題の引っ掛け方もわかってきます。  圧倒的な過去問数から、問題パターンがわかれば　正解の選択肢が消去法で絞れます。この消去法ができるかどうかは迷った時に非常に有効です。  テキストで一番わかり易いのはユーキャンの第一種　第二種　衛生管理者のテキストがわかりやすいです。 それ以外は衛生管理者のテキストの範囲を押さえているのは　ほぼありませんでした。 ○  第一種衛生管理者試験の5択から正解を選ぶパターンは３つある　○１　キーワードを暗記していて、5択の中から１つの正解である選択肢を選ぶ（即答法）２　5択の中から誤っている選択肢を消去していき、２つぐらい絞って、比較してから１つに選ぶ（消去法）３　誤りの「キーワード」に目星をつける。（例の方法）  具体例１　キーワードを暗記していて、5択の中から１つの正解である選択肢を選ぶ（即答法）Q　派遣労働者が労災にあったとき、派遣先　派遣元は報告書をどこに出すのか？A　派遣先　派遣元　双方が近くの労基署に労災の報告書をそれぞれ出す。→　これが書いていれば即選択 ２　5択の中から誤っている選択肢を消去していき、２つぐらい絞って、比較してから１つに選ぶ（消去法）Q　潜水士　高圧内作業　石綿作業　放射線業務　ガンマ線　　この中で作業主任者で１つ誤っているものを選べA　免許制の作業主任者＝潜水士　高圧作業　放射線業務　ガンマ線　　石綿作業だけ講習終了したものが作業主任者になることができる。・ ３　誤りの「キーワード」に目星をつける。（例の方法）大学受験で流行した「例の方法」。 問題中に「すべて～」「誤った数字」を入れておく。誤った語句をわざと入れる　「窓から　→　屋根から1.5M」「門脈　→冠状動脈」「くも膜下出血は『数日中に』発症」「統括安全衛生管理者はその統括管理もしくは『それに準ずる者』」。  知っていて得をする第一種衛生管理者試験問題の覚え方 衛生管理者　（ウェルネット流→　ネットでノートが公開されていた覚え方）2☓5＝10　（2＝201人以上と5＝501人以上のこと　かけると1000人　その上が2000人と3000人。2000人と２と3000人の3の頭をかけると6。3000人以上の衛生管理者は6人から1人ずつ減っていく）20302☓3＝6 https://ameblo.jp/naokuroneco/entry-12438416881.html 特別教育や作業主任者の免許が必要な場合の覚え方はお笑い芸人　江頭2：50さんの過去のエピソードとリンクさせると簡単に覚えられる・ 作業主任者免許制　ゴロあわせ　　『高圧なエガちゃんが潜水記録』　高圧＝高圧業務　エガのエは「エックス線」　エガのガは「ガンマ線」。潜水＝「潜水業務」 特別業務エガちゃんの過去のエピソード（作業主任の免許と同じ）高圧＝高圧業務　エガのエは「エックス線」　エガのガは「ガンマ線」。潜水＝「潜水業務」粉＝お尻から粉を出すエガちゃんの芸を思い出す酸素欠乏＝アサヤン時代の潜水記録と酸欠で倒れるエガちゃんを思い出す除染＝エガちゃんが東日本震災のときに緊急物資を運んだエピソード石綿とチェーンソーは暴れまわる石綿にチェーンソーをぶつ切りにするスリルのテーマで暴れまわる　エガちゃんをイメージ  衛生管理者と看護師　医学試験を語呂合わせ共通するところが多い     トルエン: 尿中馬尿酸    キシレン: 尿中メチル馬尿酸    スチレン: 尿中マンデル酸 語呂合わせ​「スッチーまで抱きしめちまうトルシエは馬鹿」​  ５　公開問題の使い方 公開問題は年度ごとで２回公開されている。使い方については、覚える材料とするのではなく　覚えたものをアウトプットできているか？確認するために使用するといいです。なので、『パーフェクト1500問』を一通り終えてから　理解度を公開問題で時間を計って行うほうがよい。 そして、初見だけで8割取れたら、OKである。取れなかったら　間違ったところを復習し、また『1500問』に戻って　何度も「1500問」をやるほうが効果的です。公開問題は初見の問題集として、初見で8割取れるかどうか？なので、初見以外なら3度も公開問題はやらないほうがいいです。 公開問題は数年間で同じような問題が多く簡単な部類なのでこれを何度も復習することは間違った勉強法です。同じ問題が出てくる確率よりも出てこない問題が多いからです。 2回ぐらいで十分である。間違ったところは『1500問』の中の問題に必ず入っているので、1500問の問題を完璧することが最重要事項です。なにせ公開問題の数十年分が1500問の中に入っているので、公開問題など1500問の習熟度を測るためだけのテストと思えばいいわけです。 最初の腕試しは古い公開問題からがベストです。 もし、1500問がある程度　回答できるなら、初見の公開問題を行えば8割は絶対とれているはずです。逆に取れていないと、基本問題ができていないことになるので、1500問に戻って再度覚え直しが必要です。 だから、公開問題の最新のものは　1500問が大体　ある程度すべて回答できる状態のときに最後の最後に取っておくほうが良い。もし、最新の初めて行う公開問題で8割とれていたら、自信をもって　本試験に望めるはずです。 最後に 「苦労して覚えた1500問の問題が数年分の公開問題に全く出ていないのに、本当に本試験で出てくるのか？」と不安に思われる方がいると思います。 今まで行ってきた公開問題で見たことがないが　1500問の中に出てきた問題の選択肢や似たような選択肢が本試験で必ず出てきます。それも80％は絶対出てきます。 試験官から「問題のページ数が正しく配列されているかを確認してください」と指示され、問題文をみたときに　「あ、この問題知っている」と　ページをめぐるたびに必ず思いますから。この気持ちの余裕が合格へとつながるように思います。 逆に「この問題見たことがない　初めてみる」と本試験で感じたのなら、勉強法が間違っているように思えます。 この差が最近の衛生管理者の合格率の低下につながっているように思います。あと、各市町村にある労働基準協会などが主催する衛生管理者　講習会　模擬テスト（要するに本番試験に近い問題）が行われていないことも一因でしょう。 皆さんの合格をお祈りいたします。

  2021.06.30

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  『それ、パワハラです　何がアウトで、何がセーフか』　笹山尚人（著）光文社新書

  ​ハラスメントといえば？クイズ問題ではないが、某都知事のフリップ芸＋横文字の芸のようなカタカナの羅列。パワーハラスメントマタニティー・ハラスメントスモーク　ハラスメントモラル・ハラスメントジェンダー　ハラスメントソーシャル　ハラスメントスメル　ハラスメント思わず、医薬業界の新病の羅列か？と思えるような　なんでも「○○○ハラスメント」。その中で、パワハラ問題は　企業内の問題でアタマをかかえるものだ。いじめ問題で　よく　「いじめられている者も悪いのだ！」「いじめているヤツが悪いんだ」など　水掛け論が多い問題でもある。パワハラに関して言えば、「自分の働いている会社が　労働法をしっかり理解し　運用をしている会社なのかどうか？」を　しっかり調べるべきである。コンプライアンス（法令遵守）が注目される中、人事部やリスク管理を任されている管理部　法務部が、「労働三法＝労働組合法　労働基準法　労働関係調整法　を知らない」という　信じられない会社が意外と多い。特に　労働組合が企業にあるのか　ないのか？が　非常に大きい。労働組合も　企業内労働組合と産業別労働組合がある。また　産業別労働組合も　連合系と全労連系に分かれている。労働組合の組織率が20％ぐらいになり、労働組合が組合員のための賃上げや労働条件の改善　福利厚生の充実など　団体交渉を行っているのか　政治闘争になっているのか？で　組合員の労働組合に対する協力の仕方も変わってくる。労働貴族と呼ばれるように、上層部　幹部になって　だんだん従業員の人数が少子高齢化で少なくなり　それでも組合員から集めた組合費で専従で好き勝手なことをする。もしくは　組合員の生活など全く気にもとめず　私利私欲に走るものが多くなってきていると悲惨である。また、労働組合がストライキを行ったというのは、あまり聞かないのが現状だ。なぜなら、ストライキをする方法を知らない、団体交渉の仕方がわからない　そして　ストライキをするためのカネ　貯蓄がないからだ。（港湾と日本の航空会社のパイロット組合や従業員組合は。たま～にストライキをしますが）笹山さんの　この書は「パワハラと労働法」の関係について　非常に具体的に何がセーフで何がアウトなのか？が記されている。・目次第１章 言葉の暴力　　―――　パワハラの典型例第２章 パワハラ判定の難しさ　　―――　「証拠」はどこにある？第３章 長時間労働はパワハラか？　　―――　「名ばかり管理職」事件第４章 そもそも、「パワハラ」「いじめ」とは何か　　―――　　法の視点で考える第５章 パワハラのパターンⅠ　　―――　　労働契約を結ぶ際の嫌がらせ第６章 パワハラのパターンⅡ　　―――　　再び、言葉の暴力を考える第７章 パワハラのパターンⅢ　　―――　　仕事の取り上げ、本人にふさわしくない仕事の強要と退職強要第８章 「退職強要」をどう考えるか　　―――　　「見極め」が肝心第９章　　では、どうするか　　―――　　問題を二つに分けて考える第10章　　精神疾患を発症した場合の労災認定　　―――　　文字に残すことの重要性私も、ハラスメント関係の予防のために、労働組合をイチから作ったこともありますし　進んで労働法を勉強したり、組合員と組合活動することは非常に好きでした。また、企業内組合　産業別組合　どちらの労働組合も経験しています。企業内でもパワーをもった人たちに対して、労働者が一人で戦っても勝てるわけがありません。本気で戦う決意をしたなら、１人で戦うよりも　労働組合を作り　対抗するほうが合法行為ですし、上司もしくは　人事部長、さらに上の社長を団体交渉で呼び出し　直接団体交渉をすることも可能です。（もし、団体交渉を拒否すれば　不法労働行為で経営者側が罰せられます。）ただし、どの労働組合に加入するか？がポイントです。本気で戦うなら、日本共産党系の全労連の産業別組合の労働組合で１人で加入するほうがいいでしょう。ただし、管理職になるまでは、組合活動を続けることが大前提です。GIVE　AND TAKEのように、助けてもらっているなら、自分も組合活動に協力することをしないとダメだと思います。しっかり活動している大きな労働組合になると　労働法のスペシャリストである専属の弁護士さん、組合員も団体交渉の準備と行い方、交渉の方法など、ノウハウや経験があるので、非常に頼りがいがあります。１人だけで企業相手に戦うことなど、無茶であることを痛感すると思います。また、労働組合グループの中でも　連合系はカネはあるが、あまり組合活動に対して身内以外は協力的ではないです。地域組合は、一緒に戦ってくれますが　資金力が弱いため、そして、組合に加入しますが闘争が終了すれば　組合員を辞めてしまうケースが多いので　駆け込み寺のようなサポートしか受けることができません。逆に、メディアに取り上げられる労働組合も、しっかり調べてから加入したほうがいいでしょう。あまり評判が良くないところが多いです。評判がいいのは　首都圏青年ユニオンですね。この笹山さんの本で一番の重要項目は、第９章のように思います。パワハラを受け、会社に居続けて戦うか？　退職して離れるのか？書かれていることは　非常にスマートで端的にポイントを絞って　「どうすればいいのか？」が　コンパクトにまとまっています。あと、もし　戦うと決めたら、スマホなどの録音機能を最大限に活かすことです。もともと　労働裁判でも「隠し撮り」は証拠採用不可となったりもしましたが、胸ポケットなどにスマホを入れたり　スマホの常備し　会社内の状況　上司のやり取りを録音するべきです。団体交渉でも「言った　言わない」問題が多く出てきます。その時の最後の切り札が録音でのやり取りの再生です。数多く証拠を握るということは　それだけ主導権をもって、会社と戦うことができます。今は、わたしは管理職の立場の人間ですが、重要な会議などでは録音しておいて、あとで議事録や備忘録を作成したりしています。また、部下などの言葉使いや、部下にも労働法の大切さを教えています。もし、人事異動になり、他の部署でハラスメントをされたときの武器を　しっかり持つことができるようにすること。本来、法務部や人事部が率先して　コンプライアンス案件で社員教育すべきですが、このような教育を行っているところはほとんどありません。大企業や外資系などホワイト企業ほど　コンプライアンスが求められ　労働法に対しても遵守を求められます。また　産業医の先生のチェック機能が働いていれば　残業時間や有給消化など厳しく指導を受けます。産業医は営業停止処分も可能な権限を持ちます。衛生管理者も会社に改善を忠告できます。日本の労働法がしっかり機能していれば、かなり労働環境が改善になると思うのですが　労働法の牙城である労働基準監督署がブラック体質になっていれば、よほどの労働問題が起きない限り　動かないので　結局　自己防衛するしかないというのが今の状況のように思われます。

  2021.06.29

• TOEIC対策　TOEICの勉強法として、英単語帳で先に覚えるより、対策本を解いたほうが効率的だと思う

  いつも、業務で英語を用いているのですが、TOEIC試験って、どんなものなんだろう？と興味をもち、一度受けてみようっと思って勉強をしております。TOEICの問題集を勉強していると、いろいろな問題があり、その解説で「？」と思ったところを　このブログに書いたり　出版社に連絡し　「この問題　おかしくないですか？」と指摘すると、増刷版で訂正をしますや、「この問題、あなた以外にも指摘されていて、訂正の予定です」というご返事を頂いています。別に　TOEICマニアではないですが　普通のビジネスで英語を使っていても、「これ何いっているか？　わからない」「相手の主張が主観的すぎる」ことが多く、反論する英語したり「あなたの主張がわからないので　詳しく教えてください」と、催促し　相互理解ができるようにしています。なので、TOEICでも「？」って問題は、すぐに気がついてしまうわけです。あと、TOEICの素朴な疑問なんですが、「TOEICの試験に、単語帳いりますか？」と。よくTOEICに頻出の英単語帳『金フレ』などがベストセラーですが、「必要かな？」と思っています。なぜなら、TOEICの頻出英単語を覚えるぐらいなら、実際の問題集を解きまくって、その文で出てきた英文を理解できるようになれば　英単語なんて覚えてなくてもいいのではないか？と。その英文に出てくる、英単語をしっかりアタマの中でイメージできるかどうかです。それか　リスニングであれ　リーディングであれ、その内容を続けて　すぐに後を追って　シャドーイングができればいいわけです。人気の英単語帳にはよくTOEICに出るフレーズで書いてくれいますので、そのフレーズを覚えるのは有効だと思います。ただ、英単語帳をひたすら、覚えるって　私には苦行でしかありません。英単語覚えるぐらいなら、問題の量をいかに解いていくか？　そして、わからないところは間違えればいいのです。この間違えてから、理解し、再度　同じ問題が解くことができれば、いいだけのことです。大体　評判の良い　TOEICの問題集は、しっかりTOEICのテスト対策で作られていますので、頻出の英単語や、よく出てくるコロニケーション、ひっかける仕掛けもTOEIC本番のテスト通りに作っています。要するに本番に出てくるTOEICの本試験と同じようなものが対策本なのですから、TOEIC対策の問題集の問題をたくさん間違っても　正解しても　そこに出てくる英単語　英熟語　文法　コロニケーションを理解することが重要です。TOEICの本番の試験前に　どれぐらいの問題集を皆さん解いているのでしょうか？「模擬試験とか、対策本で、何冊ぐらいやったか？　何周復習した　回したという話」って、　TOEIC高得点の方やTOEICマニアの方は、公表をそんなにしていないように思います。私はTOEICのスタディーサプリの関先生が、スリーエーネットワークで出されている最新刊のTOEICの問題集　数冊出ていますよね。あのシリーズ、じっくり問題を一つずつ理解していき、間違えたら、どこで間違えたのか？をしっかり考える。そして、英文解釈を使って　自分で日本語で訳をしてもいいし、その逆に日本語から英語に瞬間英作文ができ、シャドーイングでスラスラ、あとから追って発音できるまで復習をしています。これを　5セットぐらいを目標に。そして、TOEICのの模擬試験で有名なものを、解きまくって、同じように復習をする。あと、ジャパンタイムズのTOEICの模擬問題集で問題数の数をこなす。これが完了したら、『金フレ』で、知らない英単語だけ　チェックして　フレーズで覚えて潰していく。今は　高得点用の黒の英単語も出ているそうですが、まぁ～、金フレだけで十分のように思います。大学受験をし、受験英語を終えた人でも、対策本を解きまくって、そこに出てくるフレーズをしっかり理解する。また　問題のクセを見つける。別に間違ってもいいので、ドンドン解いていく、理解できないところを　しっかり復習する。「これ　わからない単語だな？」　と思ったら、問題集にイエローマーカーでチェックし、フレーズで覚えてしまう。英単語帳で必死に覚えるよりも　ある程度　英語の基礎力がある方なら、TOEIC対策本の問題をたくさん解いて、その英文を理解してから　覚えていくほうが効率的だと思います。

  2021.06.28

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  『予測不能の時代』　矢野和男（著）　草思社

  読書日記を続けていますが、最新刊がほとんどなく既刊ばかりの本ばかりじゃねーかとお思いの方。ちゃんと　最新刊も時間があるときに読んでます。著書である矢野和男氏については『データの見えざる手』が有名で、ビックデータからの解析からいろいろな見解を書かれていることは知っていました。しかしである。『データの見えざる手』『予測不能の時代』の目次を見て「ポジティブ心理学」の項目があり　「あ、この人も　ポジティブ馬鹿の伝道師なのか？」と、かなり批判的に読んでいます。ポジティブ馬鹿については、​『ポジティブ病の国、アメリカ』バーバラ　エーレンライク（著）　河出書房新社​を取り上げましたが、私はエーレンライクと同じく　ポジティブ心理学には批判的な立場にいます。この『予測不能の時代』でも、まずは「ツッコミ」どころを紹介しようと思います。「我々は幸せと仕事や健康との関係について、『仕事がうまくいくと幸せになる』『健康だと幸せになりやすい』というふうに考えがちである。実は、研究が明らかにしたのは、因果関係はこれとは逆だということだった。すなわち、幸せにより生産性や創造性が高くなり、『幸せだと　病気になりにくく、なっても治りやすいのだ」『予測不能の時代』　P56ついでに、この根拠が参考文献が記されいるので、この参考文献はネットでも読めます。（矢野さんは科学者ですから、しっかり著書に参考文献を記しています。最近　参考文献　引用文献を書かない日本の著者が多い。要するにパクリを隠したいのでしょう）​"The Value of Happiness" Harvard Business Review, Shawn Achor January 2012​​The Benefits of Frequent Positive Affect: "Does Happiness Lead to Success?"​​『幸福の習慣』　トム・ラス（著）　ディスカヴァー　21​この主張に「？」と思われた方。それは正しい印象だと思います。しかし、『ハーバード・ビジネスレビュー』やら、参考文献のもっともらしい論文、そして統計の羅列。これらを示されたとき、「そうなるのかぁ～」と共感する人がほとんどのように思います。そのように思った方　ご明答です。「幸せにより生産性や創造性が高くなる。」反論ニッセイ基礎研究所の研究レポートを参考に。　​幸福度が高まると労働者の生産性は上がるのか？－大規模実験を用いた因果関係の検証2020年01月15日 ニッセイ基礎研究所：プログレスレポート－　保険研究部 研究員  岩﨑敬子氏​幸福度が生産性を高めるという因果関係を証明するものではない。生産性の高まりが幸福度を高めるという逆方向の影響や、その国の文化や慣習等の別の変数が生産性と幸福度の両方に影響を与えている可能性が考えられるから。日本はOECD諸国の中では、幸福度も生産性も低い位置にある。統計学における「相関」と「因果」はイコールではないという基本的な知識が必要。『幸せだと　病気になりにくく、なっても治りやすいのだ」これは　マーティン・セリグマン教授の「ポジティブ心理学」の一連の著作が影響しているものだ。この中に記述されている検証論文が根拠となる。・「修道女の研究」　　比較的幸福な修道女は　それほどでもない修道女よりも長生きする。一方は90代まで生き　　　一方は70代　80代までだったという研究。これは1930年代はじめ22歳前後　日常生活と宗教生活の　　かかわりあいを簡単な文章で書いていた。その文章から研究者が修道女の幸福度を判断した。・「幸福度をはかる尺度として　ある女子芸術大学の卒業アルバム　たった2冊を材料に　搭載された　　　　　　　卒業写真で「心から幸せそうに笑顔」卒業生を選びだし追跡調査を行ったこと・　メキシコ系アメリカ人の年配者に対して、幸福であると自己申告をした人は、そうでない人よりも　　長生きし、体の衰えが少なかったというレポート。収入、教育、体重、喫煙　飲酒などの情報込みこの件に関しては、つっこみどころ満載の反論ができるので是非皆さん　考えてほしい。バーバラ・エレンライク（著）河出書房新社　P197-198セリグマンは、ポジティブ心理学の先駆者の一人で、大衆的ポジティブ・シンキングを『詐欺的』であると断じている。しかしである。彼はコーチング事業やモチベーション事業の後を追い、企業相手に商売をしている。それも電話会議を用いて1度に数百人を相手にコーチングをし　１人当たり2000ドルの料金を取るビジネスである。『ポジティブ病の国、アメリカ』　バーバラ・エレンライク（著）河出書房新社　P181-183反論幸福感などのポジティブな感情をもっていても　健康には全く無関係であるという可能性が示されている。　具体例1.乳がん患者はサポートグループに参加したり心理療法を受けたりして将来の見通しを明るくもつように努力するようになっても、余命を伸ばすことはできない。2. 頭頚部や肺がん患者も楽観主義で余命は伸びることはない3. 悲観主義などのネガティブな特性は長い目で見れば楽観主義や幸福感よりも健康的であるという統計データがある。4. 軽いうつ状態の女性は、うつ状態でない女性、重いうつ状態の女性に比べて長生き5. カリフォルニア州　児童1000人以上を対象にした長期わたる研究で　楽観主義は、中年、老年の早い　うちに死亡する傾向にある統計6. セリグマンも参加した2001年の研究で　高齢者を対象とした調査で家族の死などネガティブな出来事　　の後では悲観主義者のほうがうつになりにくい。『ポジティブ病の国、アメリカ』バーバラ・エレンライク（著）河出書房新社　P199-200と、まぁ、これぐらいの反論材料が集めることができますし、やっぱり「ポジティブ馬鹿」だわと。最初に示した、修道女～メキシコ系アメリカ人の反論として１　修道女の研究　幸福の尺度は、「文章」から判断できるのか？　このとき　たまたま文章を書くのが上手な人が幸福度が高いと判断されただけで　その他の修道女も　同様の幸福度だったのでは？。　もっと端的にいえば、長寿の秘訣は幸福度ではなく文章作成能力ともいえる。２　たった２冊の卒業アルバムの顔写真で　にこにこした女子大生に「この娘は幸せな顔で写ってる」。卒業アルバムなのだから、そりゃ～　ブスッとするより　にっこり愛嬌のある笑顔を作りますがな。　　逆に、写真撮影時に緊張して固くなったりして、それがアルバムに入っていることもあります。　　写真撮影時の状況も考えず　研究者の主観で幸福度を写真で計測するなど科学的ではない。　　実際、同じような実験をして、正反対の結果の研究も心理学会で論文で出ています。3.　年配のメキシコ人の身体活動データは？　ご高齢の方の健康って、運動と言われますよね？　　メキシコ人ですから歩き　踊り　運動　そして肉体労働に従事しているかなどデータがない。　　高齢者の健康と体力の指標は、身体活動データが重要なのに、それがない。組織　特に会社においては、この筆者はあまり経営学　理論経済学の本を読んでなさそうな節がある。理論経済学の分野でも　フリードマンVSケインズでは　ケインズが早く死んでしまって　ハイエク　フリードマンの影響力が強くなったという私見も　「もうちょっと、1980年代のサッチャー　レーガン時代のアメリカの対ソ連政策　と　新保守主義時代を勉強してみたらどうでしょう？」と思うわけである。企業風土改革も、​マイケル・ハマーの『リエンジニアリング革命』日経ビジネス人文庫​の内容とよく似ているしと。この本の主題は「予測不能な時代に　どうすれば幸せに？」だ。幸せなど個人の価値観によって違います。いくら日本国憲法で幸福追求権が明記されていたとしても、結局、日本国民の不断の努力によってしか幸福を得られることはできないというのが私の価値観です。なので、幸福になる方法ではなく　自分にあった幸福を追求するために必要な最低限なものを　取り上げたほうがいいように思います。なぜなら、筆者のテーマが大きすぎて　大風呂敷になり、結局、ポシャる可能性のほうが高いと思うからです。ただ、経済物理学を用いて　格差社会の原因を追求していく試みと、教育が平等に受けさせることが格差改善の本丸であり重要であることの解説は、非常に共感をもちました。もう少し、ビックデータ解析で何がわかったのか　具体例をドンドン出してほしいものだと思います。ポジティブ心理学や、幸福とは？というプライスレスの押し付けは、結局、​『魔女狩り』​と同じです。『パンセ』パスカル（著）の有名な一節「人は、宗教的信念によって行うときほど喜び勇んで、徹底的に悪を行うことはない」

  2021.06.28

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  『株主総会』　奥村宏（著）　岩波新書

  2021年6月25日　東芝の株主総会が経済ニュースで話題となった。永山治取締役会議長の再任案が否決されたからだ。東芝と経済産業省が一体となって“物言う株主”に圧力をかけたことが　昨日の株主総会で調査報告書で詳細が公表されている。​​2021年6月25日　調査報告書​この124ページもある調査書を丹念に読むと、非常に詳細に調査を行っている。まるで、国税専門官（マルサ）の強制捜査並みの詳細な情報収集とインタビューに基づいたものだった。1.　東芝副社長から経産省に対して「モノいう株主」＝海外の機関投資家　金融機関の排除を要請。　　要するに、東芝の経営陣に文句やケチをつけてくる海外勢力の抑制　排除を経産省に相談していること。２　東芝が経産省の役人へ外為法の安全保障権限の規制発動を海外の株主へ行うことのへの協力。　　経産省役人が国家公務員法の守秘義務違反の可能性。（規制当局である経産省　安全保障貿易管理政策課によるエフィッシモに検討状況を東芝側へ開示）3　経産省も　海外の「モノいう株主」の排除に協力を行っていたこと。調査報告書の結論が下記　記されている。「東芝は、本定時株主総会について、経産省といわば一体となり、エフィッシモ（シンガポールの投資ファンド）の株主提案権の行使を妨げようと画策し、3D（投資ファンド）の議決権行使の内容に不当な影響を与えようと画策し、さらにHMC（ハーバード大学の基金）についてはその議決権全てを行使しないことを選択肢に含める形で投票行動を変更させる交渉を行うようM氏に対して事実上依頼した。よって、本定時株主総会が公正に運営されたものとはいえないと思料する」これらが昨年の定時株主総会で行われたと考え、その当時、株主総会議長であった永山治取締役会議長に　公正な株主総会運営を行っていなかったので、今年の株主総会で　永山議長の再任について株主投票行われ　再任は否決されたのである。『ロイター』が永山議長再任問題で、海外機関投資家の状況について解説をしていた。「焦点：東芝株主総会、永山議長の再任は接戦　国内投資家が左右」　ロイター　2021年6月23日「東芝の株主構成は変化している。東証１部に復帰した東芝株が東証株価指数（ＴＯＰＩＸ）に組み入れられた２月下旬以降、国内インデックスファンドによる投資が増加。３月の臨時総会で投票できなかった彼らが、今は議決権を持つ。東芝の株主構成を見ると、海外投資家の割合は１８年３月末の７２．３％をピークに減少しており、２１年４月末時点で５０．４％となっている。また、すべての海外株主が永山氏の再任に反対しているわけではない。米公的年金基金のカリフォルニア州職員退職年金基金（ＣａｌＰＥＲＳ）は、永山氏の再任に賛成。関係者によると、東芝株５％超を保有する米資産運用大手ブラックロックも賛成票を投じた。リフィニティブによると、このほかノルゲスバンクが１．３％、ＣａｌＰＥＲＳが０．４５％、フロリダ州公務員年金基金が０．０４％の東芝株を保有している。」日本の上場企業は、グループ会社、取引会社、旧財閥系なら財閥のグループ会社、系列会社。そして、メインバンクの銀行、グループ会社の金融会社（火災　生命保険会社　投資信託　投資顧問）など、今でも株式の持ち合いを行っている。東洋経済新報の四季報を見れば　主要株主が法人ばかりだ。日本では　安定株主工作といって、海外勢や敵対買収を行うライバル企業に企業買収をされないように　身内で固めてしまうのである。そして、昭和時代から財務省（旧　大蔵省）は、海外投資家に対して、日本の企業が企業買収されないように、海外企業の出資比率に規制をかけて、保護をしていました。今は規制緩和で　海外投資家の出資比率は緩和されていますが、安全保障に関わる製品を作っているところや、日本のメディア（フジテレビが　株式の海外出資比率オーバーで大問題になりましたけど）は　まだ出資比率規制があります。ただし、日本の有名企業や大企業は、海外のファンド、投資グループ、海外の年金基金団体、海外の証券会社、投資信託などに　株式を保有され「モノを言う株主」として恐れられました。世界進出をする日本の企業は、日本の証券市場だけではなく、ニューヨーク証券市場にも上場し、海外の株式市場からも資金調達を行い　海外の投資家の信用を得るために　国際会計基準などを導入したり、配当金を多く配当したり、海外株主からの会社経営に対する質問にも丁寧に対応を見せていたわけである。今回、東芝は海外の原子力事業の大失敗で　会社が倒産寸前まで行きました。そして、瀕死の東芝を助けたのが、フィッシモ（シンガポールの投資ファンド）や3D（投資ファンド）などの海外ファンド　海外の機関投資家だったのである。彼らは大株主として東芝の経営に関し、取締役を送り込んだり　経営改善策を提案したりしていました。彼らはビジネスですから、東芝が経済改善し株価が上がれば、それを売却して「利益」を得るわけです。要するに「再生屋」ともいっていいでしょう。倒産を救ってくれた　海外の「モノを言う株主たち」が、よほど東芝経営陣は邪魔みたいだったので、経産省への働きかけ、官房長官時代の菅首相にも働きかけ、彼らを外為法の安全保障枠で退場を迫る、もしくは　最悪、日本の機関投資家を大株主にして、彼らを排除しようと画策したりもしていました。今回の東芝は彼らに対して「恩を仇で返した」わけです。さて、日本で株主総会のイメージはどうであろうか？日本の上場企業の株主総会は昭和時代から異例なものだった1　各上場企業は6月の同じ日に一斉に株主総会を行うこと2　シャンシャン総会と言われるほど、短い時間で議案が全部賛成で決定され終了すること　 結論ありきの進行を前もって大株主に根回しを行い、質問されたくない小口株主の発言権を少なくする3　総会屋がヤジや企業側の議事進行を邪魔をしたり逆に賛成したりして取り仕切っていることもある。まず、１と２に関しては、企業は総会屋を恐れていたからです。総会屋とは、『総会屋とバブル』文春新書など詳しいですが、現在でも200名ぐらいはいるみたいです。今では総会屋の凄まじい情報収集能力の凄さを知らない人が多いですが、企業経営者の恥部を探すのが非常にうまい。大学生時代に正木龍樹さんの論談同友会（那須与一がTOPの画面にした）ウェブページがあったときは、「へぇ～、企業経営者って、こんなアホなことばかりしているんだ」とばかりに、経営者のスキャンダル情報がこれでもかというぐらい　UPされていました。この本でも「日本の会社では社長は、まるで神様のような存在で社内外から批判されることはない。ところが年に１回だけそのような神様が『ボロクソ』にやっつけられる日が株主総会なのである。・・・・社長や重役たちは従業員や公衆の門前で面目を失うことを大変危惧するが故に　昔からカネを支払い続けてきたのである。」『株主総会』岩波新書　P175-176総会屋とは、こういう企業経営者のスキャンダルを掴み、脅してくる、もしくは、企業の不正行為や脱税、企業内トラブルに入ってきて、「公にさらすので　いいですか？」と企業の総務部に持ちかけてくるわけです。そこで、カネをせびったり、拒否すれば、株主総会で爆弾質問をして吊るし上げる。企業経営者は年１回の株主総会だけは　早く乗り切りたいがため、会社の総務部は、この株主総会を乗り切るためにあるような部署といってもいいぐらいです。海外には総会屋というものがありません。なぜなら、奥村先生もこの本で書いていますが「海外では、脅されても　そんな相手にカネを渡さないから」です。外資系の大手企業では　コンプライアンスが厳しいですし　利益供与　贈答品も限度額があり　限度額を超えた贈答品は受け取らない　接待を受ける際にも上限金額があります。そして、法務部へ４四半期ごとに　報告する義務がありますし、コンプライアンス対策や教育もしっかりしています。今回の、この東芝の株主総会の否決は、​ドラッガーの『見えざる革命』​　もしくはマイケル　ユーシムの『機関投資家資本主義（インベスター　キャピタリズム）で、指摘されていたことが、ようやく日本の株主総会でも起こるようになったともいえます。ただし、東芝側は、まだ昭和時代の株主総会の体質が変わっていないことが　よくわかります。明らかに　株主をなめているし、いまだに、株主のチェック機能　株主提案に対して、真摯に受け止めず株主に圧力をかけ、政府にまで働きかけて、株主の権利をぶち潰すことを工作する経営陣がいるかぎり、東芝に上場の資格はないと私は思っています。株式会社の基本的なルールも守れない株式会社など上場廃止に東証はするべきです。株主を何様だと思っているのでしょうか？　この東芝の経営陣は。株式総会に関して、書籍は株主総会のすすめ方、ハンドブック　質疑応答集しか、出版されていないように思います。株式会社とは？　株主総会とは？　基礎的なところから解説する書籍が最近、全くなくなりました。人間が大量の株式を所有してしまうと相続税の支払いなどで売却する必要があるが、事業会社や金融機関など法人が持てば、倒産しない限り、法人が死ぬことはない。しかし、人間ではなく法人が大株主になることで、いろいろな問題が出てきたのである。例えば、法人が大株主になったとき、誰が株式の権利を行使するのか？大株主である法人株主は、どうやって保有する会社の監査　チェック機能を行うのか？法人である大株主は、代表取締役や取締役などの選任など　どうやって行使するのか？法人が株主責任をどのように負うのか？法人が刑法犯として裁けるのか？大量に法人が保有する株式所有の問題　コーポレイトガバナンスの問題　企業経営の問題を「法人資本主義」として、世に説いていたのが、私の師匠である奥村宏先生だったわけです。この法人の株式所有問題は、ハイエクも指摘しています。彼は、法人所有の株式保有に関し、法人の議決権の放棄をせよと主張している。"The corporation in democracy society" 1976 このことの詳細は、​小樽商科大学　江頭進先生の論文​が参考になる。奥村先生の『株主総会』岩波新書は、私が大学卒業時のときに1998年に出版されていますが、この本に続く本がないというのも悲しいものです。​

  2021.06.27

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  『魔女狩り』　森島恒雄（著） 岩波新書

  岩波新書で最高傑作とは？私が岩波新書で最高傑作と思っているのは　森島先生の『魔女狩り』である。『パンセ』パスカル（著）の有名な一節「人は、宗教的信念によって行うときほど喜び勇んで、徹底的に悪を行うことはない」魔女狩りといえば、ジャンヌ・ダルクも「魔女」として扱われ　異端尋問によって火刑になった。ヨーロッパでは、カトリック　プロテスタントを問わず、「魔女狩り」で多くの罪なき人々が殺され、ヨーロッパ以外の地域　アメリカでも「セイラム魔女裁判」で罪なき人々が残酷に殺されたわけである。「魔女」の起源で思い当たるのは旧約聖書の一節である。高校時代は私立のプロテスタント高校だったので　朝礼　授業で聖書購読が必須だったが、かなりヤバいところは飛ばして読まされていました。しかし、私は天の邪鬼なので　聖書を全部読んでみようと旧約　新約を全部読んでいました。その時、聖書に書かれている　神の言葉の「ヤバさ」も読んでいたので、キリスト教って　かなりヤバい宗教であると思ったものである。特に　旧約聖書の神の言葉は強烈である。出エジプト記22:18女呪術師を生かしておいてはならない。レビ記20:27男であれ、女であれ、口寄せや魔術師は死刑にしなければならない。そうした者は石で打ち殺さなければならない。彼らの行為は死罪にあたる。申命記18:10-12あなたのあいだに、自分の息子や娘に火渡りをさせる者、占い師、卜者[ぼくしゃ]、易者、呪術師、呪文を唱える者、霊に伺いをたてる者、死者にお告げを求める者がいてはならない。こうしたことを行う者はみな、主が忌み嫌われるからである。これら厭うべき行いのゆえに、あなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるであろう。近世の時代においても、聖書は絶対的な教えである。そして、旧約聖書はキリスト教以外にも　ユダヤ教　イスラム教での聖典の１つである。旧約聖書で神の言ったことは「絶対」である。この意味を日本人は　どれほど理解しているのだろうか？と。要するに　仏教以外の主要な宗教は、「魔女」の考え方に同意しているのである。なぜなら、「神」の言葉だからだ。そうなると、良からぬ者が　冗談半分でも　また政治の道具　気に食わないヤツをコミュニティーから「追いやる」「差別する」「仲間はずれ」をする方法＝「魔女狩り」は成り立ってしまうのである。もっとひどいときには　「魔女狩り」を隠れ蓑にし　財産没収や拷問　死刑における諸費経費を魔女の名指しされたものに請求する銭ゲバぶりだ。一般人が、いかに魔女扱いにされ、異端審問による暗黒裁判を行われ、財産を奪う錬金術として、多くの人が犠牲となり、神への反逆、悪魔との契約のために拷問や死刑にされた人々がかなりいたということを、森島先生は文献によって丹念に浮き彫りにしている。私が一番衝撃だったのは、次のくだりの部分である。「近代的なルネサンス運動と宗教改革運動とは、その開始から消滅にいたるまで、中世的な魔女裁判とその時期を同じくした。旧教に対する新教を頑固な保守に対する進歩的な革新という素朴な印象を受けている私たちが、「旧い教会」への「抗議者」として立ち上がった新教徒は、その古い教会が開始した魔女裁判に強く抵抗したであろうと期待しても、不自然ではあるまい。しかし、この期待は、ルネサンスの巨星たちへの私たちの期待と同様に、完全に裏切られる。新教徒は旧教徒と同じく、いや旧教徒以上に頑冥な迷信家であり、熱心な魔女裁判官であった。」『魔女狩り』P172すべては、神のお言葉という大義名分がある限り、「魔女狩り」は　キリスト教　ユダヤ教　イスラム教の信徒の心の片隅に刷り込まれているわけだなのである。現在　科学教育　現代法によって　デュー プロセス＝民事訴訟法　刑事訴訟法の手続き法があるので、また　推定無罪　罪刑法定主義により「魔女狩り」など時代遅れの産物のように思われるだろう。ただし　魔女狩りを彷彿させるものが　アメリカで現在でも　くすぶっている。トランプ前大統領による共和党保守層の切り崩しと、キリスト原理主義者　テレビ伝道師に率いられたキリスト右翼の存在だ。彼らに一番効果的なアオリこそ「魔女」だ。バイデン政権で　女性閣僚が多く抜擢されている。もし、バイデン大統領が失政を犯し　トランプから「アメリカは『魔女』に操られているのだ」と扇動されたら、おそらくそのダメージは計り知れない。魔女狩りをしていた人々の狂気の歴史について　この本で学べることがたくさんあるので、オススメいたします。

  2021.06.26

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  『つきあい方の科学　バクテリアから国際関係まで』　ロバート・M．アクセルロッド（著）　ミネルヴァ書房

  前回　アクセルロッドの​『対立と協調の科学』​を紹介したが、実社会や生活をする上で人間関係　お付き合いは切っても切れないものである。どのように人と付き合っていけばいいのか？それを科学的に解明したのが『つきあい方の科学』である。私の人つきあいも、この理論に沿って、つきあっています。この本のベースはノイマンの2人以上のプレイヤーの行動や意思決定を分析するゲーム理論です。アクセルロットはゲーム理論の「囚人のジレンマ」をコンピュータープログラムを作成しました。14名が参加総当たり戦200回繰り返しプレー優勝したのは「前回に相手が協力したなら協力し、協力しなかったならば協力しない」アクセルロッドのこの本では「しっぺ返し」戦略。一般には「オウム返し戦略」と呼ばれるものが有効であることを実証しました。「囚人のジレンマ」の理論を知っていれば、一緒に「自白する」「黙秘する」を共に行動するほうが得ということがわかります。（どちかかが裏切ったら　一方は得をし　一方は損をする最悪の結果にもなります。）この囚人のジレンマを理論経済学で考えてみると、「情報の非対称性」問題が出てきます。囚人2名は別々の取調室で尋問を受けており　どちらも「自白」「黙秘」をどちらを選択するかはわからない。そして、逮捕される前に打ち合わせもしていない状況なら協調行動がとることができない。アクセルロッドのコンピュータープログラムは、その相手の特性「ずる賢い」のか「優しい」のか全くわからない状態で200回繰り返したら「しっぺ返し＝オウム返し」戦略が優勝したわけだ。ただし、もし、人間の付き合いで、最初に出会う時や初めて取引をするとき　前もって　相手が思いやりのある優しい人なのか　ずる賢い人なのか？をわかっていればどうなのか？そうなると、自分が最初に「協力」するか「裏切る」のか？の選択をしやすくなり　最適解を前もって得られる確率が高くなるわけだ。アクセルロッドのこの本でも「自分の方から先に裏切らないこと」の重要性をP119で解説している。よく、偉人や有名人が「見返りを求めないことが大事」と、ふれまわっているが、それは最適解の人付き合いではない。また、ビジネス本『GIVE and TAKE』アダムグランが　P309で　「寛大なしっぺ返し」の有効性「三回に二回は張り合うが　三回に一回は協力的な態度で応じる。」を説いている。これは　ハーバード大　数理生物学者　マーティン・ノバックの論文からの引用である。Evolutionary games and spatial chaos ”nature 359” 1992Evolution of indirect reciprocity by image scroring , ”Nature 393”これは　非常に有益なアドバイスです。というのも、もし、相手が間違って裏切る　もしくは　相手側は「裏切られた」と勘違い誤解をしたらどうなのか？。おそらく報復合戦になってしまう危険性を回避するための方法が示されています。私の人付き合いは　ほぼ　アクセルロッドの「しっぺ返し」「オウム返し」の方法しか取っていません。なぜなら、相手が間違える　勘違いする前に　コミュニケーションを用いて確認しているからです。「困ったチャン」に対しては、ほぼほぼ　しっぺ返し戦略のほうが有効です。（私が　よくブログで困ったチャンとの付き合い方は　なるべく関わらないほうがよいというのも、結局　アクセルロッドのこの理論が有益だと考えているためです。）アクセルロッドの理論で注意すべきは　ベースであるノイマンのゲーム理論の前提は「二人以上の意思決定」の理論です。囚人のジレンマは二名のみです。もし、多人数の場合の最適解の意思決定はどうすればいいのか？は、世界でも研究されており　まだ最適解の論文は出ていません。グループワークで、しっぺ返し　オウム返し戦略と取られると、結構　まとめる側は大変であり　最適解であるかどうかは未知数です。少人数の心が許せるグループが徒党を組み、その徒党が相容れないものに対して　または、許せないものに対しては、「寛大なしっぺ返し」で、グループの輪の関係と　つなぎとめるほうが良いのはないか？とは思っています。お隣の　すぐに、すり寄ってくる国との関係ですね。私は　国交断絶までして良いと思っていますが。アメリカの中華人民共和国に対する封じ込め戦略も　アクセルロッドの付き合い方の最適解をベースに動いているようにも思えます。付き合い方の方法まで科学で最適解を合理的に研究し　実際の国際関係の戦略に活かす。こういうベースとなる研究を知っている知らないが大きな差になります。

  2021.06.25

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  『立花隆のすべて』　1996年　文藝春秋　11月臨時増刊号

  2021年4月30日に立花隆さんがお亡くなりになった。読書とは「文学」や「古典」、「教科書」的なもの、フィクションを読むものだと思っていましたが、立花隆さんの出会いで、「ノンフィクション」というジャンルへ導いてくれました。「実際に　現実にあったこと」、そして、「ジャーナリズム」の面白さについてまた、「調べて書く」ことの大切さを立花さんの著作群で勉強させて頂いたと思います。今でも　「調べて書く　伝える」ことは　仕事をする上で大切なスキルになっていますし、自分のインテリジェンス能力　情報収集能力　分析能力で、いろいろなヘッドハンターからも声をかけられています。もともと、中央大学は実学の精神の大学であり「知識や技能をもとに知性を磨き、その知性を社会のために発揮する力を養うこと」が建学の精神でもあります。なので、「自分や社会に役に立つ学問なのか？」ということで「実証主義」「帰納法」の考え方が強い分野として商学部を選んだことが　正解だったように思います。新入生として　何もすることがなく　立花隆の新刊　分厚い『巨悪と言論』を入学式前に買い込み、入学式まで下宿先で読んでいたことは今でも思い出されます。教養（リベラル・アーツ）は、立花本で学んだと言っても過言ではありません。自分が大学で学びたかったことは下記であるが、興味をもった分野と立花隆の著作群が　結構合致していました。税務会計簿記経営比較証券市場アメリカ政治史株式会社論アメリカ恐慌史資本主義論マーケティング論論理学社会心理学社会学戦史アメリカ　ジャーナリズム（アメリカのTVジャーナリズム　新聞　雑誌）商法（会社法）　民法などの法律学戦前　戦中　戦後の日本の財閥史日本の戦前　戦中　戦後の政治経済史　裏面史理論経済学（実証経済学　行動経済学　制度派　ケインズ経済学）複雑ネットワーク論カオス理論ビジネス統計学（SPAAやRなどを使った統計ソフトの利用と統計学のモデリング　ベイス推計）インターネット戦略論ゲーム理論宇宙論天文学　『巨悪と言論』『知のソフトウェア』『青春漂流』『アメリカジャーナリズム報告』『立花隆のすべて』『アメリカ性革命報告』『文明の逆説』『宇宙からの帰還』『農協』『日本共産党の研究』『中核VS革マル』『電脳進化論』『サル学の現在』『精神と物質』『脳死』『サイエンス　ナウ』『田中角栄金脈　全記録』『田中角栄新金脈研究』立花本の中古本の価格の値上がりがひどいですね。古本屋にとってはビジネスなので　ビジネスチャンスなのでしょう。立花隆の著作群の道標になったのが、1996年の11月文藝春秋増刊号　『立花隆のすべて』でした。大学の生協の本屋さんで雑誌売場に１冊だけポツンとあり、発見してすぐさま購入しました。立花本の全ての作品の紹介があり、その当時は　大学近くのBOOKS　いとうや　卒業してからも　神田の古本屋街　早稲田や西荻窪　下北沢の古本屋　BOOK OFFなど文庫本を格安で購入し、ほぼ全冊もっています。当時は「いまさら　田中角栄＿？」でしたけど、ウォーターゲート事件からロッキード事件で「ジャーナリズム」が第四の権力として機能していた時代。「何が書かれていたのか？」　「なぜ、田中角栄は権力を握っていたのか？」を知りたくて、丹念に全部読みました。おそらく、講談社文庫と朝日文庫の『角栄研究』を全巻読んだ人はあまりいないと思います。これらの本の最大のテーマは「田中角栄の力の源である　カネの作り方」です。だから、これらの本を読んだことがないアホどもは「CIAが立花に情報をリークした」とか、「田中角栄を失脚させたいアメリカが立花隆を利用した」と、フェイクニュースを流してますけど　「おまえら　本当に　立花隆の金脈研究　全部読んだのか？」と、バカなフェイクニュースを吹聴する奴らを　胸倉掴んで　大衆の前でさらけ出し　魔女狩り裁判のように　泣かせて土下座させるまで追い込みたい気持ちがあります。大体　こういうアホどもは、本など読んでないですからね。CIAの手先は　自民党と児玉誉士夫だったことも知らないのか？と。『秘密資金の戦後政党史』　名越健郎　新潮選書『秘密のファイル』　春名幹男　新潮社あとロッキード事件で田中を失脚させた陰謀論は　丹念にアメリカ公文書館で機密解除の公文書を調査した春名幹男さんの新刊が出て　話題をかっさらっている。『ロッキード疑獄　角栄を葬リ　巨悪を逃ス』　春名幹男　KADOKAWA「金脈研究」も、もともと　立花隆が一人で情報を集めたのではなく文藝春秋が月刊誌『文型春秋』の政治ネタで売りたいがために、立花隆が中心となって、フリーのジャーナリスト数人とチームを組んで書かれた作品です。当時、文藝春秋は100万円（この当時の大卒初任給は9万円です）を取材費で立花隆のチームに出していたと、『立花隆のすべて』の「角栄研究」のインタビューにあります。そして、角栄の地元の幽霊会社やペーパーカンパニー　室町産業なども　しんぶん赤旗など相当突っ込んだ取材をしていて、角栄のカネの作り方の材料資料が相当あったので、立花隆が　文春の新入りやフリーの信頼できるジャーナリストと協力をし　自らも取材をして　まとめ役として書いていったというわけです。このときの月刊誌　文藝春秋の政治ネタが　表は児玉隆也さんの『寂しき越山会の女王』裏が立花隆の『金脈研究』です。そりゃ～すぐ完売しますよ。今でもこの２つの作品は　戦後の日本ジャーナリズムの殿堂入りをする金字塔の著作ですし。立花隆の文庫本になって出版されているのは、オススメである。新書もまぁまぁ。ただ、単行本で文庫化されていないのは　あまりおもしろくないのは確かだ。東大生に突っ込まれたり、無知であると京大の先生のつっかけられ、最後はホリエモンのライブドアでも、自らの著書である『知のソフトウェアー』（講談社現代新書）で「裏取り」の大切さを説いてきたのに、その裏とりもせずに、裁判で敗訴したりと。晩年の立花隆さんは、なかなかメディアには出てきませんでした。「最近　立花隆さんは　どうしたのか？」と思っていた矢先　この訃報を聞きました。本人は　自分の知りたいことに対して知的好奇心を持ち続け　悔いのない人生だったように思います。ガンに患いながら　ともにガンと戦ったノーベル賞受賞候補の東大の戸塚先生が若くして亡くなり　自分は80歳まで生きられたのですから。追悼番組として、BSテレ東の『青春漂流　その後』の再放送を望みます。

  2021.06.24

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  『泥まみれの死　沢田教一　ベトナム写真集』　沢田サタ（著）　講談社文庫

  ​​​​​​沢田教一。彼の名前を知る人は　日本に今どれぐらいいるのだろう？世界の報道写真界のレジェンドであり、「サムライ　フォトグラファー」としての、超が何個もあっても足りないぐらいの日本が誇る報道写真家である。「真実は現場しかない」という名言は、いろいろなドラマやアニメでパクられているが　その元祖は沢田教一である。もし　海外の人たちで「サワダの写真はスゴイよね」と聞かれて、何も反応できなかったら日本人失格である。「おまえは　あのサワダを知らないのか？」と、何度も問い詰められると思います。​​​​表紙の写真である　ベトナム戦争時の報道社員​『安全への逃避』(Flee to Safety) で　日本人２人目のピュリッツァー賞（写真部門）が世界的に有名である。（ちなみに　ピューリッツァー賞（写真部門）では　日本人は3名受賞している。）本来、文庫版で報道写真集が出ることは稀で、文庫版の写真集といえば　乗り物関係かタレント　アイドル　そして、ヌード写真ばかり。それも講談社文庫で写真印刷でネガ取りから丁寧に写真を起こしたのだから、貴重な写真集である。沢田教一といえば　ライカとトライX。この写真集の写真はライカとトライXだと思います。ニコンが沢田教一が愛用していたと宣伝していましたが　沢田教一を取材した『ライカでグッドバイ』では　NIKON Fを使えないカメラだと沢田は断言しています。シャッターチャンスで不具合を起こしたNIKON Fを地面に叩きつけているぐらいですから。トリビアとして従軍戦場カメラマンは　カメラなど全部黒色にして　フラッシュ機材は一切持ちません。なぜなら、もしカメラの銀色の部分、フラッシュを炊いて　光源を戦場で出したらどうなるか？従軍兵士たちは　そのカメラマンをリンチにし　ボコボコにします。なぜなら、敵に自分たちの居場所を教えているようなものだからです。敵は光源のあるところに自動操縦やマシンガンで一斉掃射　弾幕を張り　ロケット弾や大砲など重火器まで使用してきたら　自分たちの命はない。スクープ写真　有名になりたいがために素人戦場カメラマンも　ベトナム戦争では相当いたらしいです。そもそも、沢田教一が　なぜベトナム戦争へ行ったのか？それは、「ベトナム戦争で何が起こっているのか？」を知りたかったに違いない。このとき、アメリカ　日本の最大手の新聞はベトナム戦争時　特派員を派遣している。『ニューヨーク・タイムズ』はデビット　ハルバースタム　シーモア　ハッシュ『エスクァイア』　マイケル・ハー　『朝日新聞』　開高健　このとき、沢田が所属したUPは、有名な国際報道の雄として通信社である。通信社とは新聞やTVの報道機関とは違い、「速報」を短文で世界中に流す報道会社である。だから、スクープ報道は通信社のほうが多く取り扱う確率が高い。アメリカ　UP通信社（現在　UPI。統一教会系に買収される）アメリカ　AP通信イギリス　ロイター　（ロイターは経済速報と金融情報へシフト）フランス　AFP中華人民共和国　新華社通信日本　共同通信　時事通信世界の大国は　国際報道をになう自前の通信社をかかえている。日本では共同通信　時事通信だが、大体は海外で提携している通信社のおこぼれを日本の新聞　TVへ「共同　AP」「時事　AP」など冠を入れて配信しているのみで、彼らが自前で足で取材をし　報道することなど滅多に無い。しかし、このとき、ベトナム戦争へ向かった日本人の特派員や報道写真家は、死と隣り合わせの中で　自分が見たことを写真でとらえ、海外の通信社から世界へ　そして、その写真が持つインパクトは解説記事などいらないほど　世界中の読者に伝わったのである。この『泥まみれの死』の写真を見ればわかるだが　一言でいえば「壮絶」。生きるか死ぬかの緊張感をもつものばかりで、これぞ　報道写真といえるものばかりだ。そして　沢田サタさんが、写真集のタイトルを　沢田教一の代表作品である『安全への逃避』ではなく『泥まみれの死』を選んだことに、強烈なメッセージを込めていることはすぐにわかりました。『安全への逃避』以外に　沢田教一は「泥まみれの死』というタイトルの写真を撮影し　これも賞を獲得している。その写真とは「アメリカ軍の装甲兵員輸送車M113で　ベトコンの死体を引きずっている」写真である。この本の中にも　その写真が掲載されている。​沢田サタさんも、相当な覚悟で　このタイトルにしたと思います。おそらく、泥まみれになっている沢田教一を想像されたように。​この文庫の巻末に「平和なベトナムを訪ねて』の沢田サタさんのあとがきは、この本が沢田教一　沢田サタ合作なのだと気付かされます。​​最後に、沢田教一氏が凶弾に倒れ、50年。この​ようなイベントがあったんですね。​弘前経済新聞　2020年10月21日​​​​報道カメラマン・沢田教一さんの没後50年イベント　​​​​​​安田純平氏も来ていたらしく　何をしに来たんでしょうね？　新型コロナの最中に。自分勝手な目立ちたがり屋がサタさんを追い回すのは　やめてほしいですね。​​​​​​​​​​​

  2021.06.23

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  『新装版　洗脳体験』二澤雅喜／島田裕巳（著）　宝島SUGOI文庫

  最近、また自己啓発セミナーが流行しているらしい。「日本人は　そんなに変身願望が強いのか？」と　思ってしまう今日のこのごろ。私もある時期、会社を退職し　プー太郎をしていたとき　ブラック企業へアルバイトして「これがブラック企業のやることなのか？」と　いろいろ体験したことがある。その中の１つの会社は、社長が自己啓発セミナーにハマって、社員を自腹でそのセミナーに受けさせて　会社の兵隊　わかりやすくいえば「逆らわない　いい子」ちゃんにさせて、会社を成長させようと本気で考えていました。ま、その会社は全然伸びず　ライバル企業にドンドン先を越されて現状維持がやっとの会社で　なんとか生き残っていますが。自己啓発セミナーについては、オウム真理教や幸福の科学など　いろいろなカルト宗教まがいで、実際　どんな組織なのか？ということで、私も入門セミナーにいったことがあります。参加して　一言でいえば「気持ちが悪い」。もともと、苫米地先生の『洗脳護身術』や　ハッサンの『マインドコントロールからの救出』　西田公昭先生の書籍を読んでいましたので「こういうことには　気をつけないといけない」ことはわかっていましたし　もともと　天の邪鬼で批評家体質の性格なので　セミナーで教祖様がお言葉に対しては　内心「ウソつけ」「デマかせ　いってやがるな」と見てしまうわけです。200名ぐらい入門セミナーで参加して　周囲の人とお話しましょうといっても　「仕切り係」「愛想のよい　おしゃべりなお兄ちゃん」がファシリテーターになって、いきなり初対面の人たちが　おしゃべりの場ができて盛り上がることなど「おまえ　サクラで　上から言われているんだろう？」と思ったものです。コロナ不況や、誰かに助けを求めたい、一人で状況を打開したいなど　不安に怯える人に対して、カモを狙っているのが自己啓発セミナーの目的なんだと思っています。丸山ゴンザレスさんのYOU TUBEでも、自己啓発セミナーに潜入された方の体験談を話していましたけど、本コースだと　もっと異様なんだろうなぁと思ってしまうわけです。丸山ゴンザレス　裏社会ジャーニー​【50万円の高額自己啓発セミナーに潜入】身バレ回避で真剣受講したら人格に驚きの変化が！？」​自己啓発セミナーの潜入取材って、かなり書籍があると思ったんですが、AMAZONで調べてもなかなか出てきません。自己啓発セミナーの運営の奴らが、自分たちの困った情報流通に対して　買い占めをしたりしていたのではないか？と思えるほどです。自己啓発セミナーの詳細ルポは　宝島社の『洗脳体験』か　ゴンザレスさんの番組に出演した村田らむさんぐらいしかないのではないか？と思います。らむさんが「新興宗教潜入より　自己啓発セミナーのほうがキツイ」という言葉が印象に残りました。要するに　中国共産党が行った「思想改造」の方法論に近い感じがします。ただし　この自己啓発セミナーの原型である方法は　ヴェトナム戦争で破壊された人間性の回復や人種差別を回復する処方箋として使われていたというのも　国家規模でおこなれていた洗脳教育が企業研修にも使われるようになったこともこの本では指摘されている。『洗脳体験』P172また、自己啓発セミナーの元トレーナーの証言として「このセミナーが利益優先のあまり　内容的にずさんな点が多く　十分な成果が期待できない」と思われたため」だそうだ。『洗脳体験』P172要するに、自己啓発セミナーを運営している奴らは、金儲けしか考えていないこと。そして　セミナー参加者のことなど、彼らの不安を取り除くのではなく、金づるにしか思っていないこと強調しておきます。最後に　自己啓発セミナーにハマる人で　恐ろしい状況が　この本で元トレーナーが指摘している。「セミナーは非日常的なエネルギーを注入することで　現実生活の中での選択能力や一種の自家発電能力を高めることをも目的としているわけです。ところが　自分で自分の人生の目的を見いだせないまま　セミナーの非日常的エネルギーが忘れられない。という人の中には、『セミナー中毒』のようになってしまう人もいます。薄味の日常生活に飽き足りなくなってより強い刺激を求める宗教に走る人やマルチ商法も脚を突っ込む人もいます。セミナーの集団の中での親密さは世間に比べ物になりません。そのためセミナーの参加者同士の人間関係だげが本物の人間関係のように思えてきたという人もいます」P180自己啓発セミナーなどビジネスに何の役にもたたない。もし、自己啓発セミナーを奨励する社長は、上記にも書いたが、『選民」思考（大体　自己セミナーやカルトはここを強調する）、「孤独」であること　社会生活で本物の人間関係を構築できないから、自己啓発セミナーの人間関係の輪の中に　自社の社員を入れて、コントロールしたいだけなんだろうとしか思えませんでした。そういう社長は会社を経営する資格はありません。自分のチカラで経営マネージメントする能力を放棄し　自己啓発セミナーに頼ってしか「人を動かす」ことができないなど　言語道断です。自分でコミュニケーションを図りながら、人間同士の信頼関係を築くこと、そして、人を動かすことを他人に任せず　いろいろな組織の人間の協力　協業によって　組織をマネージメントしていくことが求められているのが管理職であり　経営マネージメントを担う責任のある地位の方がすることであることを。「変身願望など捨て去ればいい。絶え間なき日常を生きろ！」と。今求められるのは、マックス　ウェバーの指摘する「資本主義の精神」が　今の会社組織に必要だと思います。自己啓発セミナーなど「クソ　喰らえ」と思ったほうがいいです。

  2021.06.22

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  『大国政治の悲劇』　ジョン・J・ミアシャイマー（著）　五月書房

  2007年にミアシャイマーの『大国政治の悲劇』の日本語翻訳版が出版されて、もう15年目になる。あいかわらず、日本の国際政治の知識のなさというか、国際政治のオピニオンリーダーに関して　何も追跡やWATCHをしていない。日本の国際政治学というか国際政治論が、あまりにお粗末すぎて、笑うに笑えない状況である。１　国際政治の専門用語を理解していない２　国際政治の政治思想を理解していない３　大国を動かすオピニオンリーダーを知らない国際政治　国際関係というのは、おしゃべりをして海外と国際交流　文化交流をし　仲良くすることではない。暴力を使わない戦争＝外交＝権力争いであり　軍事　政治　経済の地域間　全世界での覇権争いなのである。これを知らないから　政治家は国民の税金をばら撒くことが国際協力　同盟国への援助と思っているのは「バカ」「アホ」を超えた　国際政治の無知　＝「恥」といっていいだろう。「日本の大学は　一体　生徒に何を教えているのだろうか？」と思えるほど　日本国内の国際政治の議論の稚拙さは目に余るものである。さて、アメリカの国際政治学者の重鎮　ミアシャイマーが　面白い考察を自身のWEB PAGEで発表している。​”Liberalism and Nationalism in Contemporary America”​ミアシャイマーのこの考察の結論は「人権や権利を振りかざす個人の考えを許容している自由主義は国内を脅かす存在である。また、相反する国民の民族意識を鼓舞するナショナリズムも厄介な存在でトランプ時代に旋風を引き起こした。アメリカは　これらの２つの主義は対立関係として考えられてきたが、『アメリカニズム』の歴史から振り返ると　アメリカの自由主義とナショナリズムは　相反するものではなく、綱引きのように　どちらにも一方的な暴走を許さないブレーキの役割を保ち、うまくバランスを保つ存在としてアメリカでは機能しているのである。」今の日本は　左翼の皆さん、フェミニストやLGBTさん、アニマルライト主義の皆さんなど眉をひそめるような　バカな論調　　外国人の権利の拡大の主張　そして　わがままの言いたい放題。それがマスゴミで大量拡散。こんな奴らをのさばらしているほうが異常のように思います。「大丈夫か？日本」と。ミアシャイマーが主張する　アメリカのように「ナショナリズム」で　こんな人たちの暴走　無茶な主義主張　暴走を止めるべき　日本の保守勢力がいないのも悲しいものである。貧しい日本の政治は　森嶋通夫先生の主張する『没落』の予言どおりに　ますます貧相なものになっていくでしょう。さて、ミアシャイマーのこの考察は　最低2冊の本が引用されている。フランシス・フクヤマ　『歴史の終わり』　三笠書房L.ハーツ　『アメリカ自由主義の伝統』　講談社学術文庫『歴史の終わり』は　上智大の渡部昇一先生が翻訳をしているが　訳がお粗末で原書を読んだほうがよい。L ハーツの『アメリカ自由主義の伝統』は、講談社学術文庫で　よくこんなマニアックな本が学術文庫で講談社は出すなぁと思った1冊で　東大の有賀先生が翻訳だが、すぐ絶版に。しっくりした翻訳ではないので、これを読んで理解できるのは難しい。最低でもアメリカ政治の創世記やヨーロッパからアメリカへ移民史などのの古典を読まないと　はっきりいって何を書いているのかさえ理解できない代物である。アメリカの国際政治のオピニオンリーダーの考察や最新の論考や論文を読んで理解するには、アメリカ政治に関する重要論文や著作を読んでおかないと、理解さえできないのである。よく　アメリカの国際政治かぶれの人がいると　知らないフリをして　下記の質問をする。１　国際政治の「パワー」って何？２　地政学における軍事力のキーワード　ランドパワー　シーパワー　エアパワー以外に何がある？３　ジョセフ・ナイの封じ込め政策とは？４　覇権国であるアメリカの共和党と民主党の国際政治のもともとの考えの違いは何？５　ジョー・バイデン大統領の国際政治の現在の大戦略は何？６　超限戦へのカウンターとは何か？こういう質問をすれば、大体　その人の国際政治の教養レベルがだいたい分かる。『大国政治の悲劇』を読めば、上記の基礎知識が得ることができる。特に第一章の「イントロダクション」は、国際政治学の基礎中の基礎を非常に丁寧に書いてあります。リベラリズム　VS　リアリストパワーバランスアメリカの国際政治史の基礎と学派第二章から第九章までは　第二次世界大戦の大国の国際政治の歴史をまとめたものです。そして　第十章　21世紀の大国政治では、ミアシャイマーの自論を未来に当てたときの予測　考察である。この中で　彼は「米中は必ず衝突する」と予言している。増補版で「中国は平和的に台頭できるか？」が補充されているが、結論は、米中は衝突するである。トランプ政権であれ　バイデン政権であれ、ミアシャイマーの理論に沿って、「中国包囲網」の大戦略をアメリカが仕掛けている。要するに　戦前の大日本帝国がABCD包囲網をされたように、アメリカ合衆国は　中国共産党に対して、EU　ASEAN　インド　そして、ロシアへの接近を行い　ジョセフ・ナイの旧ソ連に行った封じ込め理論を本格化しているわけだ。中華人民共和国　ウイグル自治区の綿の取り扱いに関する経済制裁スペースパワー　サイバーパワーの競争新型コロナウィルスワクチンの外交政策アメリカの台湾に対する国際協力ファーウェイなど中国企業の締め出し日本の親中政治家の大局観の無さ　外務省や経済産業省、財務省の国際政治の情報収集　分析能力の低下は本当に致命的で　吉田茂　岸信介以来の強化された日米安保体制で　どうにかなると思っているほうが、アタマがおかしい。まさに、戦前の第二次近衛内閣以後の外交迷走をまた行い、日本を危機　亡国への道を突き進む原因として指摘しておきます。最後は「バカは死ななきゃ　治らない」状態になれば、日本は単にアメリカのATMとして使い倒され、カネがなくなれば、属国以下の扱いになることへ明白でしょう。そして　次回以降の中華人民共和国による『目に見えぬ戦略』によって、日本はオーストラリアのように相当　侵食されている。チャルマーズ・ジョンソンが指摘する　リアリズムの冷酷な法則である　ブローバック（報復）が　ついに日本へもやってきていることを知っておいたほうがいいでしょう。日本の経団連や大企業　中小企業の皆さんが支那へ投資するおカネ。全部、支那が吸い取って、それが　中国人民解放軍の軍備拡張に使われているということを。その軍備拡張は日本への脅威へブローバック（報復）されているわけです。だから、支那への投資を抑えることをしないと、中国人民解放軍の軍備拡張は止まらない　＝日本への脅威がますます、増えていくわけです。なぜ、このことに日本の産業界　経済界が気づかないとのか？と　ため息が出ますね。

  2021.06.21

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  『新型コロナとワクチン　知らないと不都合な真実』　峰宗太郎・山中浩之（著）　日経プレミアシリーズ

  新型コロナウィルスが注目され出したのは　2020年1月。リスクマネージメントの管理職として　藤田紘一郎先生の著作も読んでいたので　「ついに　映画のダスティー　ホフマンの『アウトブレイク』か　パンデミックがくるかもしれない」と対策室を設けました。外資系の会社ですから　本部からも指示があり、１日１日が修羅場の状況になっていました。１　新型コロナウィルスの予防ガイドラインの作成２　BCP（Business Contiuity Plan)の作成３　PPE（Personal Protevtive Equipument)の調達４　新型コロナの危険度　フェーズ表の作成５　在宅勤務の振り分けと現場のシフトの対応６　感染者が出た場合のフローチャートと行動指針の作成７　消毒作業と命令系統の確認日本で出版されているBCPに関する本は　ほとんど使えない内容で、特に感染症に関するBCPに関しては書籍の値段だけ高く　結局　政府官庁やWHO　米CDCの教科書レベルのものしか書かれていません。実践的で現場で役に立つような本は一切なく　結局　自分たちのチームと　本部のBCPの最低限のミニマムスタンダードとチャート化を早急に作成しました。そして　これらの作成時に一番役に立ったのは　WEBで公になっている日本の製薬メーカーや外資系IT企業で作成されていたBCPや予防ガイドラインでした。幸い　現場やオフィスとの連携　マネージメント・チームや取締役会の迅速な意思決定のおかげで　新型コロナウィルスの予防対応　対策が早くでき、準備もスピードアップして　各拠点に注意喚起と情報共有　体調が悪いスタッフは職場に出ず　在宅勤務の徹底を指示し　真面目にスタッフ全員が守ってくれたおかげで　現在まで　陽性者は１名も出ていない成果をあげています。リスクマネージメントの世界は、絶えず　最悪のシナリオを考えて　準備し　何を行動するのかを　先手先手で考えないといけません。そして、リスクマネージメントの仕事の特権ですが　平社員でも　取締役会へ上奏　アドバイスを直接できる権限があります。何が将来的に会社経営で問題になってくるのか？スタッフの生命　安全をどのようにサポートできるのか？顧客に対する説明責任はどうするのか？非常事態時　会社内のルールは誰が策定し　スタッフ全員に守らせるのか？陽性者が出たとき　会社はどうするのか？そして、情報収集も日本のメディアや世界のメディアの情報よりも、首相官邸（新型コロナ対策委員会）　厚生労働省　WHO　CDCなどの専門機関　世界の拠点からの新型コロナの状況　医療現場からの学術論文　　産業医からの生の声を聞いて　情報を精査してから　慎重に作り上げなければいけません。世界の医学論文をAIで重要論文をピックアップした、NHKの『新型コロナ　全論文解読　～AIで迫る　いま知りたいこと～』や『サイエンスZERO』、NHKBSスペシャルなどは、民放よりも高品質な情報源にもなりました。（最終的に　取り上げられた論文についても　WEBでさがし　原論文を読み込んだりもしていました。そして、自前の費用で、新型コロナ関連の書籍を買い込んで、徹底的に読み込みをしていました。リスクマネージメントは　ある意味　インテリジェンスに近いことを行い　前もって予測し　予防することも必要です。新型コロナ関係で　まず、生物学の常識というか　高校（高等学校）で学ぶ知識が最低条件を知っておかないと　産業医との予防対策や感染時の対応なども、まともに話もできません。また、統計学で相関と因果関係の違いなどの　新型コロナに関する医学統計で何を意味しているのか？ということも　産業医とも話題にして対策を練る必要があります。１　DNAとは２　ウィルスと病原菌の違い３　抗体と免疫４　ワクチンとは５　感染予防対策と衛生管理６　統計学（フィッシャー　と　ベイス　両方の知識は必須）要するに　いろいろな教養レベルで知っておかないと、新型コロナの企業の対策　予防はできません。書籍の中で　出版社はここぞとばかりに　新型コロナウィルス関連書籍を出してますが、一番まともな新型コロナウィルスに関する本は　この本です。まさか　免疫学の最高の入門書である​『免疫ペディア』​を推薦しているとはと思いませんでした。この本を入門書で推薦する本は間違いなく信頼できます。他の免疫関係の入門書は　トンデモ系が本当に多いですから。この本の中で　第７章　第８章　第９章は　よく読むべきだと思います。１　PCR検査（今では抗原検査のほうが早い）を３回やって「陰性」「陽性」「陰性」。　　　さて、検査結果はあなたはどれを信じますか？　２　根拠の薄い話に惑わされない思考法　　同じデータを見て　なぜ結論が違うのか？３　誰を信じるのか？　信じていいのか？　「信じていい情報」を見抜く術はあるのか？　（要するに　ネットで飛び交うトンデモ理論　俺スゴイ理論を見抜く方法）いつも　読書日記に書いていることですが　「教養（リベラル・アーツ）」がないと、情報の正誤ができず　自分の意思決定もできず　他人任せになってしまうんですよ。最悪、間違った情報を信じて　自分や家族が死なせてしまうことにもなりかねないわけです。しょうもないゴミ情報ばかり撒き散らすTVや日本のメディア　日本政府よりは　まず、自分で情報リテラシーをもって　対応しなければいけないと、いつでも最悪の状態が待ち構えているわけです。私も自分の会社にいる数千人ものスタッフの生命を預かる立場の職＝リスクマネージメントの管理職にいます。だから、自分の教養と知識だけでなく　多くの専門家の方々の協力や　会社内のスタッフとのコミュニケーションを通じて　いかに新型コロナを予防し　スタッフの生命を守りつつ　企業経営を存続させるため　日々　毎日戦っています。みなさんも、メディアの情報やデマ　フェイクニュースや情報に流されないように　いろいろな新型コロナに関する良書を読んでいただければと思います。

  2021.06.20

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  『平常心を鍛える』　下園壮太 （著）　講談社+α新書

  ストレスについて、以前『​マインドフルネス　ストレス軽減法』ジョン・カバットジン（著）​を紹介しました。しかし、ストレス軽減法の対処法よりも　そもそも、「どうして　ストレスが生まれるのか？」「ストレス軽減について　マインドフルネスよりも他に軽減方法はあるのか？」について、なかなか良い書籍がありませんでした。今まで　いろいろな本を読んできましたが　一番実践的に対応　対処できる方法を記しているのが下園壮太氏の著作群である。自衛隊＝軍隊は　一番ストレスが発生する現場　職場である。憲法第9条主義者や軍隊が大嫌いな人が感想で「自衛隊にも精神疾患や逮捕されている隊員が多いではないか！」「自衛隊など　一般人よりも役に立たない」と　声高に主張しているが、そういう人たちは軍隊の規律や行動統制の厳しさについて何も知らないのであろう。自衛隊の体験入隊などすれば、そのような甘々の考え方を持つことはできないように思います。軍隊行動は　特に上官のちょっとした意思判断の誤りが部下の命　そして　自分まで巻き込まれることになるシビアな世界だ。軍隊や警察に　なぜ階級制度があるのか？というと　組織の行動統制をとるためには　組織の上か下まで意思決定を迅速化に情報共有化　作戦行動の迅速化を可能にするからだ。組織で誰の命令に従わないといけないのか？　その意思決定がバラバラで　誰の意見が最上位なのか？　そして　その意思決定が下まで伝えられ　作戦行動を動かすために情報共有化できず、ただ待機　命令待ちなら長時間経過してしまう　もしくは先に敵に逃げられるか　先手の主導権をとられ　最悪　足元を救われて自分たちが殺られてしまいます。また、この本でも書かれていますが　災害救助や大事故の救援支援作戦などで、悲惨な光景や頭から消し去ることができない悲劇を現場で直面すれば、その人達が相当なストレスを持つことは当然である。そのストレスをもった人々に　どのように対処し　どのように回復させ　前線　現場に復帰させるのか？という専門知識は　私達にも有益であるように私は思っています。エセ心理学者や大した実績もない精神科医が　メディアに流しているゴミ情報より、下園氏の実践や経験に基づいた心のケアの方法を学ぶことが非常に大事だと思います。人の「心」の壊れ方について、非常に具体的に書かれています。このように解説をする精神科医や心理学者は今までいませんでした。１　大きな出来事や惨事２　ファーストショック３　セカンドショック4　 セカンドショックと疲労5　 PTSDただし、心の鍛え方の具体例に関しては　同じ著者の別の本で示されている。特に　PTSDは被害者の方が多いと言われるが　救援者の人々もPTSDに相当苦しんでいる人が多いという記述には納得させられる。国や救援者を派遣する組織は　救援者のPTSDやヘルスケアをもっと行う必要があるように思いました。自衛隊では、救援を行った隊員に関して　「解除ミーティング」の実践を行っていることが書かれており　これは企業でも十分に活用できるアイデアとして　私はこのミーティングの方法を安全衛生委員会の運営に役立てて利用をしています。ストレスで苦しんでいる方には　下園氏の著作群は参考になると思いますので　一度立ち読みなどで確認されたほうがいいでしょう。

  2021.06.19

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  『覇者の驕り　自動車・男たちの産業史』　デイビット・ハルバースタム（著）　日本放送出版協会

  1990年に新潮文庫からも出ていますが　新刊単行本は1987年　NHK出版から出版。この本を読まずして　自動車産業を語ることなかれ。フォードと日産に焦点にあてた　日米自動車産業史の金字塔ともいってもよい作品である。著者であるデイビット・ハルバースタムを知らない新聞記者やジャーナリストがいると聞く、まして「ニュー　ジャーナリズム」という言葉さえ知らない世代が多い。私がハルバースタムを初めて知ったのは　立花隆の『アメリカ　ジャーナリズム報告』（文春文庫）からです。ハルバースタムの作品は　アメリカ政治史　ベトナム戦争史もあるが、スポーツ分野　オリンピック、NBAバスケットやMLB　野球のスポーツジャーナリズム作品もある。彼の作品は　ほぼ全部もっています。ハルバースタムといえば　やはり　ベトナム戦記である。そして、ベトナム従軍記者からアメリカ連邦政府＝大統領府のベトナム政策をあぶり出した『ベスト＆ブライテスト』。アメリカの主要新聞紙の歴史と権力との攻防を記した『メディアの権力』。オリンピックに焦点を当てた『勝負の分かれ目』『栄光と狂気』大リーグベースボールを扱っSummer of '49, 1989, October Nineteen Sixty-Four, 1994, The Teammates, 2003。（The Teammatesは原書で読むほうがよい　翻訳が悪訳で野球も知らない翻訳者のため）その中での異色作が　『覇者の驕り』　”The RECKONING”　である。この作品で　ハルバースタムは　約8ヶ月間　日本に滞在し取材　調査を行ったというのである。私の印象では「たった8ヶ月間の日本滞在で　この本に書かれている材料を本当に集めたのか？」と感じます。また、この作品に当たっての　彼の下準備が凄い。参考文献資料に関して　下巻の巻末を見ると　戦後の日本経済史を知る上での基礎資料群を徹底的に読み込んでいるし、『覇者の驕り』の中で、随所にその参考文献の一部が要所に書かれていること、そして、関係者へのインタビューから得た情報が随所に散りばめられている。この本では、企業経営で行うが上、重要なことが歴史事実として書かれている。それは　ロバート　マクナマラの数字による経営は、会社を繁栄させることはないということだ。経営学といえば　すぐにドラッガーの「数字」による経営が常識のように取り上げられている。外資系では「KPI（重要業績評価指標」を作成し　目標設定などにも利用されている。しかしである。その経営法を究極まで推し進めた　フォード社長のマクナマラの経営がどうなったのか？　ハルバースタムは　事細かに　その実情を余すことなく　マクナマラと一緒に働いた数々の人々から聞き出し、その結果を書いている。そして、一番重要な記述は、天谷直弘の存在だ。私が知る経済紙の新聞記者の方々でさえ「小憎たらしいけど　天谷の人柄は大嫌いだが　彼の産業政策は文句のつけようがない先見性と見事な産業政策だった」と　1995年当時から聞いていました。天谷の何がすごいのか？それを知りたければ　最近復刊もしている　チャルマーズ　ジョンソンの『通産省と日本の奇跡　産業施策の発展　1925-1975』を読めばいい。最近　「産業政策」という言葉が完全に死語になりつつある。それは自民党の政治主導　内閣人事局の設置により　アホしかいない政治家たちが日本の将来や未来を予見した産業政策を打ち出せるわけがないからである。だから、産業政策を提案できる立場の通産省から経済産業省になっても、財務省から予算も取れず　人事権も政治家に握られ　完全に衰退の一途をたどっているわけだ。資源が限られた日本で、何を集中的に資金や人材を集中し、国際競争に勝てる産業を育成しないこと　そして　そのグランド・デザインが打ち立てられない人材不足。私はそれが原因で　失われた20年　30年になり、日本の経済成長が全然できないと考えています。ハルバースタムは　通産省　天谷直弘について　かなり突っ込んだ取材をしており、この『覇者の驕り』でも相当なページ数をさいている。天谷が主導した日本の産業政策は、日本の高度経済成長に重要な役割を果たしているとの分析をし　その主要産業こそ　日本の自動車産業であることをハルバースタムは当時から完全に見抜いていたわけなのである。ハルバースタムがアメリカの自動車産業の衰退と没落を見事に描ききっているが　まさに、その衰退と没落は　日本の産業界でも同様に　今　起こっているわけである。歴史の教訓を知らないものは　結局　滅び去るか没落する運命なのだろうなと思います。

  2021.06.18

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  『バブルの物語』　ジョン・K・ガルブレイス（著）　ダイヤモンド社

  そろそろ、ガルブレイスの著作が再注目されることになりそうな時代へとなってきていると私は思います。経済学者の中で、ガルブレイスは　私が一番尊敬する経済学者です。英文のエレガントさと、ウィットに富んだ文章。そして、新古典派論者をバサバサと現実の経済社会から「そんな理屈　通らんよ」と切りまくり、経済システムの本質　人間行動の本質を捕らえる視点が非常に好きで、時代の先を見据える著作が非常に多いと思っています。ある宗教団体と著作を出したのが「おいおい」と突っ込みたかったですけどね。ガルブレイスといえば、有名な著作は"The great CRASH"。　日経BPクラッシックスから新訳版で出ているが、もう絶版になっているだろう。『不確実性の時代』『満足の文化』など多数あるが、その中で、私は『バブルの物語』が一番好きな著作です。非常に薄い本なのに、中身が濃厚。ほとんどの1929年の大恐慌の扱う作品では、この著作のあらすじと、ほとんど変わらないものである。タイトルの「暴落の前に天才がいる」という歴史的事実は、ガルブレイスの鋭い評論の中で、一番の名言である。株式市場になれば、わけのわからん成功者列伝。私から見れば「何、あおっとんねん」と言いたいぐらいです。子供の雑誌にまで、「金儲け」の話があり、おじいちゃんがネットで株式の回転売買。100万円からはじめて億万長者へなど　まぁ～うさんくさい話ばかり。宝くじがあたる確率も東京都の全人口分の１の確率しか当たりませんと言われて　イメージができないのと同じぐらい無茶な確率が　たまたま当たって成功体験になっていることを宣伝しているわけだ。そして、証券会社の高額ボーナス。本当に、バブル再来のように思える。さらには、持株会社によって、その危険性はもっとヒドイことになることを後日、あとで説明しようと思いますが、全くといっていいほど、今の日本の経済状況と似ているのが怖いぐらいだ。あえて、引用させてもらう。「金融に関する記憶は極度に短いということである。その結果、金融上の大失態があっても、それは素早く忘れられてしまう。・・・新しい世代の人というものは、おおむね若い人たちであり、常に極度の自信に充ちた人たちである。人間の仕事の諸分野のうちでも金融の世界くらい。歴史というものがひどく無視されるものはほとんどない。・・・・・個人が所有もしくは関する所得とか資産とかいう形での金が多ければ多いほど、彼の経済・社会観は深くしっかりしており、彼の頭脳の働きは機敏で鋭いと考える強い傾向がある。金こそ資本主義的成功の尺度である。金が多ければ多いほど、功の度合も大であり、その成功の土台となった知性も優れているというわけだ。のみならず、多くの人にとって金の獲得がむずかしく、金を僅かしかかせげないような世界においては、金をたくさん持っていることは奇蹟であると見なされる。したがって、金をもっていることは何か特別な天才のせいに違いないと見なされる。こうした見方は金持ちにありがちな自己肯定的で自信たっぷりのそぶりによっていっそう強められる。しかし、本当のところは、金持ちに対するこうした敬意というものは記憶の短さ、歴史の無知、したがって、また、先に述べた個人的・大衆的な錯覚に陥る能力、を示唆している。」『同書』ｐ３１～３３よく、株式で回転売買や値上がり益で、儲けることができるなんて、私には「ほどほどにしなさいよ」といいたいです。ネットトレーダーの方、さらには経済を知りたい人がこのページを多く訪れると思っていますが、あえて、「歴史を勉強しなさい」といいたいです。また　自分の方法論で勝ち逃げできるなら、やれるものはやってみなと。谷岡一郎先生のこの本を読めば　すぐわかることなのですが　なかなか読みこなすというか　理解することはできないでしょうね。この本を読めば　「株でも必勝法なんてない！」ことは明らかです。​『確率・統計であばくギャンブルのからくり　「絶対儲かる必勝法」のウソ』講談社ブルーバックス​かなり挑発的なことを書きますが、バブルの呪縛から逃れることができないのが現実なのです。アメリカの大恐慌時代に関しては、私も在野で研究している身ですので　大恐慌の分析資料や歴史資料でも相当数の蔵書があります。具体的には有名どころは全てあります。キンドルバーガー　FLアレン、Gトマス　モーガン　秋元英一小林真之ロバートソベルロバート・シラーアミティー　シレーズライハカット　アハメドエドワード　チャンセラー株式市場に関しては　このブログの中で​Cボーグルの『インデックスファンドの時代』​を参照に。

  2021.06.17

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  『アメリカ金融資本成立史』 呉天降（著） 有斐閣

  専門すぎる本を紹介することにします。 「誰が読むねん」という本ですが、かなり貴重な本を紹介してみようと思います。 アメリカ経済史　金融史　産業史の論文や著作では、ウォールストリートの金融界を単独で描く、もしくは製造業を中心に描いた経済史が、ほとんどである。 しかし、アメリカの金融界と産業界がどのように連係・結合して発展していったか？　どのような条件でそれらが成り立ったのか？　さらに、アメリカの産業集中と金融資本の集中の相互関係を考察する著作は、この『アメリカ金融資本成立史』が出版されるまで、非常に少なかったんです。 呉天候先生の『アメリカ金融資本成立史』が、その研究の最先端をその当時いってたんですね。 これらのアメリカの産業発展と金融資本がどのように関連し、成立したのか？ということを、かなり深く取り下げて書かれた画期的な研究書であり　金字塔の論文がこの本です。出版社が法律書ではおなじみの有斐閣ですから　経済史が有斐閣から出版されることが凄いです。 日本のアメリカ金融史や産業史を研究する上で、この本を引用しない本はないというぐらい、学会の中では、かなり有名な本です。風の噂で　中田安彦氏や経済評論家の上念司氏がこの本を推薦していたらしいですが。時代の変化というんでしょうか。今、この呉天候先生の著作　参考文献として引用している著作　私　新刊で見たことがありません。 この『アメリカ金融資本成立史』についての価値は　大学時代から知っていました。中央大学の中央図書館では　呉先生の本ということで読んでいましたし。出版が古いので、なかなか古本屋さんにも出てこない専門書です。2000年頃　神田神保町の南海堂書店さんに　思わず、ぶらっと見て、この本を発見したとき、「うわ～！！」と叫んでしまいました。（笑）価格も１万円。 内心、「さすが、神保町の古本屋だなぁ。」と感心しながら、すぐに購入し　ルンルン気分で自宅へ戻り　再読しました。呉天降先生は、中央大学時代は　よく奥村宏先生と学食や教員食堂で御飯をご一緒しました。呉先生　奥村先生　ともに日本証券経済研究所出身ということで、非常に仲が良く、学会の裏話や最近の論文評価など　よく聞いていました。（呉先生は東大出身　奥村先生は岡山大　大阪市大博士　課程）よく「アメリカ金融史や産業史など　東大でやろうが　どこでやろうが　同じです。研究に対する『志』が必要なんだよ」とアドバイスを頂いていました。 呉先生から　ある教授の「海外の論文のパクリ」により、出版社が訴えられた話など、私はただただ「へぇ～」の連発。呉先生が　にこにこしながら　新書で絶版になっている本って、「〇〇さんの新書の本とか　あれひどくてね～　パクリ論文なんだよ」と。例えば、アメリカの恐慌史関係（赤色の○○新書の「大恐慌」関係の本を書いた人）や、紫の○○新書の高橋是清氏ネタです。 なぜ、アンコール復刊ができないか？ということは、実は復刊できない事情があるわけなんですね。（笑） そして、呉先生のお弟子さんは　同じく中央大学商学部で貿易論やアメリカ経済論を担当されていた斉藤叫先生です。（斎藤先生も　素晴らしい先生でしたが　2016年にお亡くなられてしまいました。）アメリカ恐慌史やRFC研究では第一人者です。20世紀の世紀末　日本の銀行の不良債権処理問題　住専問題で、公的資金＝税金で銀行が救われた時に、アメリカ金融史の専門家として　唯一、その論文が『週刊　エコノミスト』で書かれていました。その当時、大和総研　野村総研　三菱総研など銀行系　証券系シンクタンクや　日本の各大学の金融論の教授は、斉藤先生にお電話での問い合わせが殺到していました。なぜなら、どのように公的資金（税金）を投入し　金融混乱を沈静化させるか？というスキームの詳しい話を聞くためでした。この『週刊エコノミスト』の論文は　私もコピーをもっていて、大切にファイルをしています。また、単行本になり　その論文は加筆され出版されてもいます。 さて、話を呉先生の本書　『アメリカ金融資本成立史』を紹介してみましょう。 第一章に「資本の集積・集中の展開」。特に、鉄道と鉄鋼業、そして、金融機関の歴史的発展を解説。『株式会社支配の展開』でスウィジーの「独占資本」が今後、面白い方向性を与えると書いていたのだが、実は、呉先生はスウィジーの誤解を、この本でものの見事に指摘しています。 「アメリカ金融資本の研究におけるスウィジーのこのような功績は不幸にして『投資銀行家』に関する彼の事実認識の誤りによって、相殺される結果となった。スウィージーが１８８０年以降の企業統合と独占形成に関して『投資銀行家』の役割を強調したとき、彼の念頭にあるのは、『個人金融業者』のことだけであった。 しかし、事実はそうでなかったのである。この時期には（１８９０年代以降）、個人金融業者だけでなく、国法銀行のうちニューヨークの一部の大銀行および大生命保険会社も主要個人金融業者と共同で新規証券の引受・発行に積極的に参加し、かつ、主要産業部門の大企業との間に密接な人的・資本的関係を結んだのである。しかも、議会の調査報告が明らかにしたように、金融集中がすすむにつれて企業金融に占めるこれらの近代的な金融機関の比重がますます増大したのである。スウィジーは一報では産業構造の内容を正確に捉えながら、他方において企業金融におけるこれら近代的な金融機関の登場を完全に見落としてしまった。 彼が１９３０年代の後半における証券引受業者の地位交替などを見て金融資本概念の修正を主張したのも、実はこうした『投資銀行家』にたいする彼の誤った事実認識に結びついたのである。」 参考 『アメリカ金融資本成立史』P4 そして、第二章　「金融機関と産業癒着の発生」第三章　「金融機関と産業の癒着の発展」第四章　「金融資本の確立」第五章　「金融資本の勢力再編成」 特に、第二章と第三章がアメリカ経済史の中で、呉先生の大業績であることは間違いないし、日本のアメリカの経済史でも、この考察は非常に稀有なのである。 政治学史の福田先生の欄にも書いたが、「民主主義とは何か？」を考える上で根本までさかのぼって、福田先生独自の考察されていたが、アメリカ経済史においても呉先生の「アメリカ経済とは何か？」ということも、福田先生と同様に　アメリカの金融史と産業史をさかのぼって、考察しなければならないのではないか？と私は考えています。 私の場合には「株式会社とは何か？」を考察する上で、アメリカ経済成立史の中から考察することも非常に大事であると思っているわけです。 呉先生の「近代的機関の登場」、つまり、これが、奥村先生のおっしゃる法人の株式所有構造の問題、さらには、ウォートン・スクールのマイケル　ユーシム教授の「機関投資家資本主義」まで考察が及ぶ必要があることを意味していると考えています。 呉先生や奥村先生のように、輸入学問ではない、オリジナルの学説をもつこと、これがいかに大事であるか？と思っていますし、私はこのご両人の大先生のようになりたいと思って、サラリーマンをしながら考察していっています。 私の研究など、奥村先生もおっしゃっていましたが、「３０年はかかる」研究です。（笑）研究はカネがかかるので、私は学術の世界には行かず　実業界で自分の生活費を稼ぐために就職しました。もし　学術の世界に行っていたら　食べていけずに　オーバードクターになっていたかもしれません。日々考え、新しいアイデアと、現実経済を観察することにしながら、少しずつアイデアを論文の形にしていくことが非常に大事な作業で、もうかれこれ2０年がたちました。会社で　定年まで働きながら、社会人の大学院へ進学し　今までの論文が発表できればと考えています。

  2021.06.16

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  『セックスと恋愛の経済学』　マリナ・アドシェイド（著）　東洋経済新報社

  東洋経済新報社も「エロ」と「経済学」を結びつけて　売上UPを狙う　この本を出してきて「卑怯だよな」と思った１冊。カナダのブリッティシュ　コロンビア大学（宇多田ヒカルが行っていたNYのコロンビア大学とは別）の人気授業　テキストが元になっている。目次　（本書の目次が変な翻訳なので　こちらで意訳してみました）・セックスのリスクと費用対効果・大学での男女の仲・出会い系サイトと外見とカネ・特殊環境での男女の出会い方・結婚制度・結婚した後の生計・草食系の男女・性癖と風俗・高齢者の恋愛目次で長々と書いていますが　端的にまとめると・セックスのリスクと費用対効果貧乏子たくさんは必然　学歴が低いと結局下層階級から抜けることができないアメリカでは「結婚し良い家庭を築くことは人生で最も重要と考えている」のは30％。高学歴ほど避妊も含め妊娠する将来的なコストを計算し　低学歴ほど妊娠のコストは考えない・大学での男女の仲アルコールと勢いで　大学生は簡単にセックスする。大学生は　行きずりのセックスが多い。つまり　特定の恋人とはセックスをあまりしてない。・出会い系サイトと外見とカネ出会い系で　男が女に見られるのは外見　顔。　カネではない。出会い系にカネを投資した金額と出会った人とのデートの時間は相関関係男女ともブサイクは情報を盛りすぎる。高学歴の男と女は都市部に多い。自然と都市部の高学歴と高年収を狙うことになり競争が田舎よりも都市部に集まる傾向である。結局　同じような学歴と年収の男女がくっつきやすい。・結婚制度ビル・ゲイツを使って　豪邸で一夫一妻制と一夫多妻制の検討（結局　現実ではビル・ゲイツは離婚し　奥さんよりも魅力のある女性へ移ったという噂で筆者がビル・ゲイツ＝保守的な人の仮定が崩壊している）ただし、著者は一夫一妻制は変な制度だと考えている。・結婚した後の生計結婚は妥協高学歴ほど離婚率は低い。・性癖と風俗性行動が減ると性病が増える・高齢者の恋愛年の差　特に　男が若い女性を求めても　結局同世代と一緒になる確率が高い男女で高学歴の高齢者なら　若い男女を求めても　うまくいく可能性はある。なんというか、タイトルはセンセーショナルなんですが　この本の対象者は大学生の新入生や低学年層なので　あまり専門的な統計データを示したりせず　セックスとお金に関する研究成果を小出しに出して、経済に興味をもってもらおうとする内容です。ただ、カナダやアメリカのデータで書かれたものですが　日本でも十分に当てはまっているように思いました。・性癖と風俗性行動が減ると性病が増える　→　大阪など梅毒やエイズが全国の中で相当蔓延していることを　どれぐらいの人が知っているのか？と。＜参考＞　大阪市　「梅毒が増加しています！」​https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000312118.html​週刊現代　「驚嘆！　実は大阪で「AIDS」が大爆発していた」​https://gendai.ismedia.jp/articles/-/46960​あと　出会い系に関するデータだ。最近　動画サイトで　やたらと婚活やマッチングアプリのCMがコロナ禍で宣伝しまくっているが、よっぽど儲かっているのだろう。「出会いを求める」男女によって。でも　出会い系を使用している人にとって、この著書は過酷な現実をつきつけているし、実証されている研究なので　「出会い系や婚活サイトなど使用しても　お金と時間の無駄だ」と思いますよと。そうそう　統計学の本で　一番　結婚しやすいカップルが生まれる確率が高い方法　（転職できる方法の高確率も同じらしい）は何か？それは友人の紹介です。カップル相手でも転職で職が決まるのも　大体　友達の紹介が一番高確率でGETできるらしいです。だから、友達を多くもったり　会社外でも　いろいろな人と付き合いよくしていたほうがいいわけですね。出会い系や婚活サイトにいる方々は　コミュニケーションは。。。。。。あと　結婚は妥協と断言されていることに読んでいて笑ってしまいました。一緒にアカの他人同士が同居するわけですからね。妥協がないと　一緒に生活はできませんよね。日本では旦那さんが奥さんには逆らわず「はいはい　私がわるーございます」と　しているほうが長続きしているように思います。逆に　亭主関白や　自分の主張　わがままを押し通すと、離婚か別居、もしくは　熟年離婚へと進むように思いました。この本は2015年に新刊でしたが、あまりパッとしないので、古本屋さん行きにしようと考えています。

  2021.06.15

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  『人材は「不良社員」からさがせ』　天外伺朗 （著）　講談社+α文庫

  私は「不良社員」です。不良社員といっても、実績や成績などあげてますし　評価は　ある程度はもらえています。 尊敬できる先輩なら、「こいつも、一緒に協力してやってきたので、評価してあげてくださいよ」となるのだが、不況であえぐ日本経済にあっては、自分たちの保身のために部下の成果を独り占めする傾向が、かなり多いではないか？。 オープンな社風なら、別に人事考課を行わなくても「こいつは、それなりの実績を作っているな」とわかるものなのだが、硬直化した組織だと直下の上司が人事評価するので、結局、実績に関係なく、好き・嫌いで昇給など決められるから、たまったものではない。 つまり、人事や役員レベルまで、個人の実績や貢献が見えないから、結局、人事評価は直属の上司になってくる。それが、バカ上司になればなるほど、部下はヤル気が失せるようになり、負け戦になってしまうわけだ。 また、その負け戦を耐える環境だと、社員のモチベーションは明らかに落ちるし、会社の成長は止まり、没落の一途をたどる。 そのような企業は、改革やイノベーション、新しいプロジェクトへと走るのだが、ほとんど企業がV字回復どころか、それらの経営改革が失敗し、赤字を垂れ流し、最後は、TOPの自己保身が蔓延し、ブラック企業へと進んでいくわけである。 大学教授が書いた経営改革の本なら、クソ役にもたたない。 今回、ご紹介する天外さんの『人材は「不良社員」から探せ』である。 今の企業は、「良い子」ちゃんばかりで、なおかつ、「上を向いて仕事」をしている社員が、ほとんどだ。 不良社員は、正直、「こんな経営をしていたら、『ヤバイ』」ということがわかっているので、上司や部下をドンドン批判し、会社の組織から浮いた状態になってしまうわけだ。 会社組織の人事評価でも、１００点満点からの減点主義で行うからこそ、結局、平均で、ソコソコの人材しか評価されない。突出した才能や技能を活かすようなマネージメントなど　今の日本できる組織は少ないように思います。 東大を頂点とする日本の大学組織　いや　初等教育や義務教育から　日本人は　先生の考えや通説に沿った教科書の内容で　それを試験で忠実に先生の言ったことを正しく回答し　高得点を取ることができる＝今のエリートなのである。景気がよく　平和な時代　何も大きな問題が起きなければ　前例主義　通説に沿ったことを　ただ機械的にやっていけばよかった時代は　これで良かったのである。しかし、その会社や行政官庁など官僚組織で生き抜く方法としての前例主義　お役所仕事で　天変地異が起きて　突然の問題対処を行ったり　前例のない社会問題や事件があった場合、何も対処できない　対応力などないことは　皆さんはよくご存知でしょう。突然の事件や天変地異など危機管理は　前もって用意して準備を行うことはたしかに重要です。世界を動かし　世界をリードする発明や技術　思想　政治　外交などは　イノベーションや経営・政治革新、新しい政策やビジネスアイデアは、平均以上ではなく、突っ切った才能と、常識を覆す創造的な考え方をもつ人材からしか生まれません。 つまり、普通の平均の人では、もう今の時代にあわないのである。大量生産・大量消費の時代こそ、QCのように、平均以上の高品質の良品を求める時代には適用していたのだが、現在は、多様種小ロットの屋台方式が主流である。 もう、１００点満点から減点が少ない人よりも、加点方式で、その人材の「才能」をプラスの面を評価し、突き抜けた才能　つまり　100点を超える110点　120点を生み出す人材が必要となる時代になっているのである。 未だに、日本の大企業では、この大量生産・大量消費の時代のなごりが経営にも引き継がれ、現状維持を目指す経営に専念しているから、何も新しいものが生み出されない経営になっているし、今、その経営手法によって、危機的な状況へと陥る企業も多いのである。 また、日本企業の大企業から魅力的な商品が生み出されず、ニッチ分野で中小企業の革新的な商品や外資系の先進的なデザインによる商品が席巻している事実を私達は知っている。 私自身、財閥解体の研究や戦後日本の大企業の研究をしているので、気がつくことがある。 それは、経営する人材が「若かった」という歴史的事実だ。 財閥解体が行われた結果、皮肉なことだが、経済集中による寡占経済が崩壊し、多くの会社に分割されたことで、多くの若手社員が経営に参与するチャンスが多かったのである。 これは三井財閥の大番頭をつとめた江戸英雄さんの『三井と歩んだ７０年』でも指摘されていることだが、財閥解体により若手の人材が小さな会社でやりくりをしなければいけない状況のほうが、実は良かったと回想しているところが重要なポイントである。奥村宏先生も大企業をそのまま続けていけば、必ず組織の硬直化　陳腐化　なぁなぁの経営の判断ミスで大問題になるから「大企業を解体せよ」と真面目に主張していました。今の大企業では、大きくなりすぎ、年功序列などがあり、やすやすと若手社員が経営に口をだしたり経営革新を任せるプロジェクトの責任者になることは、まずないだろう。 しかし、戦後間もない、ホンダやソニーは社長・平社員関係なく、どんどん議論をし、会社を発展させたわけだが、そのエッセンスこそ、この本で書かれている内容なのである。 読めば読むほど、「そうそう」と納得してしまうところが多く、この本を読んで実践したとしても、優秀な人材（不良社員）を集めて、行わないと駄目だし、そのTOPが「できる人」でないと、この経営手法は相当な劇薬であるということを忘れてはいけない。時代を先取りし　世界を相手にする会社や組織　国家は、こういう「不良社員」が必ずいるし、彼らが時代を動かすわけである。ただし、彼らを束ね　マネージメントができる人材がいないと　さらに駄目なのである。松鶴家千とせ師匠の名文句が結びとなる。「わっかるかなぁ？わっかんねぇだろうなぁ」。

  2021.06.14

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  『日本共産党』　筆坂秀世（著）　新潮新書

  日本共産党について、ほとんどの人がイメージ先行、ステレオタイプでしか知らない政党のように思われている。 実際、客観的に日本共産党について書かれた書物はあまり知られていない。 日本共産党の著作なら、立花隆の『日本共産党の研究』（講談社文庫）と、新潮選書の筆坂さんの『日本共産党』ぐらいであろう。マニアックなら『日本共産党の戦後秘史』兵本達吉（著）ぐらいは参考文献として使えます。大学時　中央大学では民主青年同盟＝民青が結構いて　いろいろなセクトを先輩から教えてもらってました。明大や法大　早大　立教など他大学の友人もいて、他大学のセクトの活動なども知っていまし、日本共産党や新左翼に関しても　立花隆の『中核VS革マル』（講談社文庫）など読んでいましたので　普通の大学生よりは知っていました。内ゲバは　チョコチョコっとありましたね。明大の革労協の立て看板とか　早稲田の革マル派の立て看、法政の中核派の立て看など　1994年当時は　まだありましたし。中央大学の商学部は　珍しくマルクス経済学と近代経済学をバランスよく学ぶことができる稀有な大学でした。第一線の新旧の理論経済学が学べたなぁ～と思うぐらい、早慶や東大　一橋よりも　幅広く学べましたね。マルクス『資本論』　鶴田満彦ケインズの『一般理論』　浅野栄一ミンスキーの金融論　浅田統一郎制度派のヴィブレン　宇沢弘文理論経済学以外でも　この時代の中央大学は黄金期でした。若手からレジェンドまで　よく他学部へモグリの授業を受けてました。1日中　大学に居てましたね。サークルと勉強が楽しくて。中沢新一　宗教論　木田元　反哲学史丸山圭三郎　ソシュール須田朗　ソフィーの世界　哲学山野目章夫　民法下村康政　刑法　（オウムの麻原を逮捕した時に共謀共同正犯　共同意思主体説の刑法学者の泰斗）宇沢弘文　ヴィブレンを中心とした制度派　理論経済学奥村宏　法人資本主義論浅野栄一　ケインズ経済学　さて、産経新聞、週刊新潮、週刊文春の日本共産党の活動におけるチェック機能はある程度機能している。 そして、あまり知られていないことだが、日本の公安警察は日本共産党をしっかりマークしていることだ。 日本共産党も警察庁や官庁にスパイ組織を育成している。 例えば、国会での予算委員会で爆弾質問が出てくるのも、彼らの情報提供があるからだ。 最近では日本共産党から陸上自衛隊内での安保法案による議事録についての追求や、大企業の新人に自衛隊への研修に行かせることにより助成金や交付金、補助金をつけることなどが新聞沙汰になっている。 行政官庁（当然、警察や自衛隊、国税庁）や大企業内でも日本共産党員がしっかり内部で監視している。 日本共産党のスパイ網が、コミンテルン時代から日本の公安警察とのイタチごっこで何度も再生されたり潰されたりしている。このことは立花隆の『日本共産党の研究』に詳細が出ているのでご参考に。 私も労働組合活動などで日本共産党にかなり近い場所＝全労連などで付き合いがありました。筆坂さんが指摘している日本共産党の地方幹部の経済的な困窮は、今だに続いている。給料の遅配や欠配なども、日本共産党の中で現実にあり、一般企業から見ても、かなりのブラック企業のような状態でもあるわけだ。 この本の中でも日本共産党は政党助成金をもらうべきだという主張は、実は多くの日本共産党の地方幹部も同じ意見をもっているのは確かだ。 しかし、不破前委員長が政党助成金は受け取らないという方針を掲げて、ずーとそれを守り続けていることが、地方幹部に相当な負担を敷いていることも確かなのである。 一方、日本共産党は代々木に新しいビルを建設したり、幹部専用の別荘を作ったり。 さらに、幹部連中の服装は住居は、大衆路線を掲げているにもかかわらず、豪華絢爛だ。東大を頂点としたヒエラルキーのある組織でもある。何が市民平等だと思うこともある。 そのような状態では、ますます、日本共産党員の中から不満や離党をする人も多くなってきているように思えます。 今では自腹を切って参加したり、自身のカネが底をついたら、カンパなどでカネを無理やり集める。 大阪では都構想の住民投票カンパや動員、大阪府知事・市長選挙のW選挙の活動資金のためのカンパや動員、さらに、戦争法案反対の集会の参加動員などである。労働組合から組合費でまかなえるならまだしも、組合の財政が厳しいところでは、すべて自費参加であることも少なくない。 日本共産党のいいところも悪いところも、NO4だった立場から積極的に筆坂氏が余すことなく書いていることは非常に好感がもてるし、今だに自己保身の塊の日本共産党の幹部連中の批判も強烈だ。 このような優秀な人材を平気で左翼お得意の内ゲバや内部抗争で排除していく組織なら、まだまだ、党の拡大は非常に難しいように思われる。 言っていることは正論。ただし、組織はボロボロ。 今の日本の大企業や自民党の内部抗争と全く同じことが　日本共産党内でも、今だに続いているとなると、日本の政治は変わることは、まだまだありえないということを予感しかしません。日本共産党に政権を取らせたら　旧ソ連や北朝鮮などのように一党独裁　資本家　知識人を粛清しまくって　秘密警察を使って政治犯にし強制収容所を行うのが歴史が証明している危ない政党であることも知っています。しかし、日本共産党は自民党の最大の批判政党では最高の存在でもあるし　劇薬でもある。今の新型コロナで混乱の時代こそ　日本共産党が一番デマゴーグや宣伝活動などで支持を得やすい環境なのに支持が得られないのも、日和見主義　現状維持で満足しているからなのであろうと考えています。もっと下記の政策　真剣に国民に訴える本気さを出し　他の野党をぶっちぎることをしてほしいものだと思っています。消費税減税国会議員削減大企業への法人税増税累進課税強化公共投資増強中小企業援助子供への福祉政策の増大上記を本気になって実行するやる気を見せてほしいものです。

  2021.06.13

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  『フィリピン―急成長する若き「大国」』　井出穣治 (著) 中公新書

  最近、新書の類は全く興味がない新刊ばかりで全く購入もしなかったが、ようやく中公新書が『応仁の乱』などマニアックだけども面白い切り口を押し出して新刊を出してきている。『保守主義とは何か』など非常にマニアックだけど、鋭いアカデミックな新書分野は中公新書が一番のように思います。 ミャンマーやインド、ベトナム、カンボジアではなく、あえてフィリピンに焦点をあてた新書を刊行したのは、非常に面白いと思いました。 アジアの中でフィリピンが一番おもしろいと思っています。10年前　フィリピンに半年住んでいたこともあり、多くの友人がフィリピンにいます。 彼らの行動パターンや社会状況については、普通の人よりも相当知っているつもりです。 「フィリピンが、なぜ経済成長をしているのか？」ということを観察してみると、アメリカ型の消費経済が中心となっていることを、この本でも指摘されています。 フィリピン人の消費の凄まじさを物語る例としてあげるなら、「貯蓄をしないで、欲しいものは、すぐ飛びついて買ってしまう」こと。貯金なんて、ほとんどの人はしていません。給料が出たら、めいいっぱい使う。欲しいものを無理しても買う。そして、友人や仲間に見せびらかして優越にひたることが大好き。 だから、フィリピンのGNPの6割強が国内消費＝内需経済のようなものなのです。 そして、学歴の差が顕著に出ていて、ある種、階級社会になっている点。その階級社会を打破するための最終手段が、フィリピンから出て海外で生活をすること。 そのための一番てっとり早い方法は看護師の資格を取得してフィリピンからアメリカや先進国の病院で働くことなのです。大卒では看護師がフィリピンでは非常に人気があるのも出稼ぎをしやすい、英語が使えるので、フィリピンから出て英語圏で職を見つけやすいということなのです。逆に階級が低い人は「お手伝いさん」「家政婦」で海外に出稼ぎに行く人が多いです。 フィリピンの友人も、中東やアメリカなどで働いていて、たまに家族に会うために帰国することが多い。 彼らの海外で出稼ぎで稼いだ収入が仕送りになって、残っている家族の生活を支えるという一種の大家族主義がまだ残っている社会環境でもあるわけです。 さらに、自分で学歴がないなら、海外の恋人を作ったり退役軍人のおじいちゃんを捕まえて、フィリピンで優雅に生活する、海外へ脱出する、自分では働かない、家族の大盤振る舞いをし見栄を貼る　自慢するということも日常茶飯事です。最近では観光ビザで入国し　不法滞在をするフィリピン人も非常に多いです。 フィリピンは人口ボーナスとサービス業で成り立っている社会であり、プライドが非常に高い人種だと思っています。そのプライドの根源は何なのかは　未だによくわかりません。しかし　人懐っこくホスピタリティーがあり　付き合いやすいように思われますが、マックス　ウェーバーの「資本主義の精神」をもつ国民性は無きに等しいです。 我慢することは、あまりできない人種です。 カトリックが国教のようなものですから、プロテスタントのように禁欲を進んで受け入れることができず、自分たちの環境が経済的に禁欲の状況＝経済的貧困状態になればなるほど、どんなことをしてでも、そこから這い上がりたいという、ある種、逆説的な前期資本主義のハングリーさをもつ最高のサンプルがフィリピンなのかもしれません。 金持ちへのあこがれは、本当に強いのだけど、宝くじにあたるとか、不動産や貸家をして楽して家賃収入を稼ぐとか、玉の輿　逆玉の輿、金持ちと出会って結婚できちゃうかもなど、日本人の低俗なビジネス思考そのままに考えている人が多いのも事実です。　 楽して儲けることができると信じている人がヤケに多いのも、それだけ教養がない＝教育レベルが低い＝本当のビジネスの怖さをお気楽さでできると本気で信じているのがフィリピン人らしいです。 だから、フィリピンでは付き合う人をよく見極めないと、本当にトラブルに巻き込まれることが多いです。特に、おネイちゃん関係は注意しないと、大変なことになります。フィリピンパブの社会学なんていう新書が出ていますけど、夜のフィリピンやタイなどの海外風俗系のブログを読んでいれば、その本にかかれていることなど、当たり前すぎて、「そんなことも知らないのか？」と思ってしまうほどです。 いくら高学歴でも、人を喜ばそうとして、かなり「空気読めよ」と思うネタを振られることがあります。 昼食をフィリピン　マニラへ出張時に　会社の同僚とダウンタウンやホテルで昼食を一緒に食べていて、女性の同僚と一緒に食べているのに「日本は『HENTAI」とか「小澤マリア」が有名だよね」と。 これこそ、「This is a フィリピーノ」だよなぁと。 この空気を読めないのは南国の若者の特権なんでしょうけど。 男は遊び呆けて、女性の方が真面目で一生懸命働く、南国のイメージ　そのままです。今　日本の婚活世代や　売れ残り世代も、フィリピンの下層階級と同様の考え方が多い気がします。若さでは　東南アジア系の人には勝てないと思いますし、売れ残り　婚活の人々より、若い東南アジアの人と結婚するほうを選ぶのが　今の時流のように思います。日本人の混血化は、経済成長ができなければできないほど　デフレになればなるほど　増えていくと私は予想しています。 フィリピンでも混血化が多く　混血によって美人や美男子が多い。フィリピンの芸能界も　若いスターは混血の人が多いように思います。経験上、フィリピンの上流階級、特に　大卒で教養のある人たちと付き合ったほうが楽しいですよ。 なかなか、そういう人たちと出会う機会って、なかなか難しいですが。 私の場合、会社の支店があったり、英語学校で留学していた先生たちとも今でもお付き合いがあるので、毎年彼らに会うために遊びに行きます。いろいろアカデミックな話　車の話　文化の話など　話題が豊富で話しているだけで　すぐに時間が経ってしまいます。 この本では、非常に真面目にフィリピンをマクロ経済として見ている本ですし、調査もしっかりしています。 さらに、製造業を起こせないジレンマやフィリピンを牛耳る華僑系やスペイン系の財閥の政治力　経済力が膨大すぎて、フィリピンの経済成長の足かせとなっている指摘は同意します。また、いまではSMのように華僑系がフィリピン経済に大きな勢力となっています。 フィリピンでは政治が変わらないと、多くの人が国内政治に絶望し経済的豊かさを海外に求める傾向が一層増えることになるでしょう。そうなったとき、経済成長は個人消費だけに頼る経済は崩壊してしまう。 特に、教育関係を充実させ、製造業を育成できなければ、ただの人足寄場の集まりみたいな国になってしまう。 そうなると、フィリピンの経済成長は長期的には成功せず幻に終わるかもしれません。新しい大統領が、どこまでフィリピンの常識や政治、社会を破壊的創造をしていくかで、この国の方向性が決まってくるといっても過言ではないでしょう。高学歴のフィリピン人は　この大統領の熱烈な支持者が多いです。 ある意味、期待を裏切る国がフィリピンなので、楽しみに私は傍観しています。

  2021.06.12

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  『レトリックと詭弁 禁断の議論術講座』　香西秀信 (著) 　ちくま文庫

  香西先生の著作は　ほぼ全部もっています。『議論の技を学ぶ論法集』　明治図書だけはもっていませんでした。2000年初頭当時は、古本でも数万円する超プレミア価格だったので。2016年に『議論入門』と改題して　ちくま文庫から再刊されました。この本と　『レトリックと詭弁』（『「論理戦に勝つ技術』）が　ちくま文庫から再刊されたのは本当にうれしかったです。筑摩書房は　ライバル会社である出版社の通好みの作品をよく研究しているなぁと思います。単行本ではなく文庫で読んでみたいと思ったものが　再刊される確率が高いのは　ちくま文庫です。2013年に香西先生がお亡くなり　3面記事のニュースになっていました。もう続編が読めなくなるのかと残念に思いました。香西先生の著作のほとんど内容は　ズバリ『困ったチャンに対処する方法」といってもいいです。困ったチャンとは　上司　部下　話が通じないナルシスト　パーソナリティー障害　発達障害の人など　簡単にいってしまえば「話が通じない人」に対応する方法です。まだ、話が通じる人なら　論理や修辞を使ってわかりやすくコミュニケーションをとり　理解しあえばいいのですが。コミュニケーションができない　勝手な自分勝手な解釈をする　自分の都合のよい解釈で押し通す、もしくは　話が論理を使っても通じない、演繹法や帰納法などもわからない人は、無視するか　相手を遠ざけるほうが自分を守る最善の方法です。それでも　すり寄ってくるのであれば　いかに自分の弱点や相手に有利な材料を与えないようにし　相手をコテンパンに叩きのめすか　相手を屈服させてている間に勝利宣言して逃げるか　論破し黙らせて近寄ってくるなというしかありません。逆に　お人好しでそのまま対応していると　ストレスで鬱になるか　カサンドラ症候群か　体調不良になり　自分がおかしくなってきます。相手は共依存を狙っていますから。大体　コミュニケーションができない人は組織から完全に浮くか嫌われています。その浮いている人や話が通じない人に手を差し伸べたり　協力することはやめておいたほうがいい、もしくは　関わらないほうが身のためだと思います。さて、この『レトリックと詭弁』ですが、大学入試の現代文の問題を解くように　慎重に読んでいかないと　ここに出てくる登場人物のレトリックや論理で　完全に言いくるめられ　コロッとヤラれます。自分を守る方法として自分のプライバシーや趣味を聞かれる時A　「〇〇さんって　将棋が好きなんだってね？」B　「はい　将棋は好きですね。　〇〇さんは何が好きですか？」（自分の話から相手の趣味への話題転換）A「〇〇さん　私　☓☓さんのこと　苦手。あまり好きではないわ。」（同調を求める）B「☓☓さんね。私はあまりどってことないけど　☓☓さんのどこが苦手？」（自分は好きか嫌いか　など同調圧力をかわして　相手に☓☓さんの嫌いなことを説明させる）要するに「疑問」で返されたら「答える」のではなく「疑問で返す」。この論法　結構使えます。特に　自分のことをあまり言いたくないときや同調圧力で仲間を集めされる時などです。わざと　「二分法」を使って、相手に　YES　NOにどちらかを必ず選択させて　追い込むって技もあります。実際　私　この論法　よく使います。なぜなら　自分の時間を作りたいからです。「早く仕事が終わりたい」「長々　相手の話を聞いている時間など　もったいない」「しょうもない話を切って　自分の仕事や趣味など　話の通じる友達としゃべりたい」「早く帰って寝たい」だから　香西先生のレトリックや反論の技術は　本当にお世話になっています。反論　レトリック　話題のすり替え　同調圧力を逆に利用する二分法で主導権を握るよく　取締役から「〇〇くんは　先読みをして　話してくるから　疲れちゃうんだよね　＝　私が主導権を握れないんだよねの裏返し」と言われるときがあります。だって、そうしないと、相手の術中にハマって　自分が相手の思惑のドツボにハマるのを避けることができない。相手に主導権を握られ、言いなりになってしまうからです。そうなると　その状況から逃れるには馬鹿なフリをする、用事が他にもあるからと話を切る、相槌をうち　賛成や否定もせず聞き役に徹するなど　無駄なことをする羽目になります。今でもこの本は　ちくま文庫で新刊でお買い得な値段で販売されているので　是非　コレクションとしてもっておくとよいと思います。ただし、大学入試の現代文のように　しっかり読んで理解することが必要です。読んで理解できないなら、大阪弁でいう「知らんがな」の一言で終わりです。逆に理解して　使いこなせるようになると、英語での議論でも十分活用できますし　相手を説得したり　相手を簡単に論破することもできます。外国人の論理や論法など　香西先生の本で出てくるようなツワモノではなく　お子ちゃまレベルです。英語って　論理構造が単純なので、論理の穴は簡単に見抜けることができるもんなんですよ。まぁ　大体　支離滅裂か　論理めちゃくちゃ　前提条件が主観的。反論も根拠のない主張ばかりですからね。インド人とか早口の外人って　本当　中身のない話が多いです。「おまえの言っていること　一言でこうだろ？」で　大体秒殺にし、「もう少し　簡単にまとめてシンプルに話せよ！」と説教たれることが多いです。

  2021.06.11

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  『適応の条件』　中根千枝（著）　講談社現代新書

  私が勝手に名付けているもので「中根　三部作」というものがある。 本書　『適応の条件』　『タテ社会の人間関係』　『タテ社会の力学』である。 中根先生に関しては、小室直樹博士が彼女から社会学を学んでいたことを知って、初めて中根先生の著作も読んでいました。 中根先生の本も古本屋で　当時100円で新書で売っているんですからね。当時は本当に本の値段の価値というか　中根先生がどんな先生か知らずに　ただ古い新書というだけで　100円均一の新書によく並んでいました。今では　再刊されたり　100円均一の新書の本棚にはめったに見ることができなくなりましたが。確かに、タテ社会シリーズは大ベストセラーになったんですが、果たして、本当に、この本を読者が理解していたのか？と思うと、甚だ疑問です。 日本の社会学は、高田保馬先生など泰斗がいますが、「中根社会学」も相当凄いと思っています。 が、しかし。 その後が続かないのである。 中根先生以後、日本で世界に通用するような社会学の学者がいないという事実である。（中央大学の山田先生　都立大には宮台　東工大には橋爪大三郎などいましたが） 科学離れ、理系離れと言われているが、社会科学に関しても同様のことが起こっているのではないか？と。 それだけ、新しいアイデアや発想で、勝負できるような日本の社会科学がない。竹中　中抜き　平蔵のように海外の経済学を輸入をしてきて、紹介するような輩が慶応大などが　もてはやされてもと。しかし　『渋滞学』などオリジナルの新しい着点をもった研究者が、もっと評価されていいと思えます。 （『渋滞学』の西成先生が東大教授にまでなっているのは、評価すべきことだと思います。） さて、今回の『適応の条件』　出版が昭和47年なんですけど、社会学で使われる共通のツール＝「システム」で捉えているので、今でも十分に示唆を与えてくれる書だと思います。 この「システム」というツールは、社会学の中では非常に重要なツールであり、これを使って論証していけば、また実証を加味すれば、強力な社会科学の武器となりえるものです。 だから、時間が過ぎても、このシステムの根本が変わらないかぎり、その論証・問題点は変わらないということがいえる。 問題は、この本を読む読者のレベルが問われるのである。 この本のタイトルである『適応の条件』の結論が知りたければ、最後の結びだけ読めばいい。 実は、結びに至るまでの説明・論証が、この本の大部分を占めていることを目次を読めばわかるはずだから。 だから、手っ取り早く、日本人が海外生活や国際社会で適応するには「結び」を、まず読んでから、その結びで理解できなかった論証部分をさかのぼって読むほうが効率的だ。 私が沖縄駐在の時に、まず、参考にしたのがこの本でした。この本を読んでいなければ、沖縄駐在は失敗していたかもしれません。沖縄は琉球王国でしたから、文化や習慣は本土とは全く違いますし。 また、海外の人たちの「日本人への疑問」も、この本の論証通り『英語』で説明できれば、相当理解されるはずです。 なぜなら、中根先生が指摘されている「システム」が、現代の日本人　外国人でも十分すぎるぐらい　当てはまっているからである。 この本での感想で「結局、『郷に入れば郷に従え』なんだろ」と書いている人がいましたけど、誤読しまくってます。（笑）　こういう中途半端な読者がいるから、せっかくの中根先生が研究成果が台無しになってしまうんですよね。 少しだけ抜粋すると、国際社会で通用する日本人とは ①　相手に対して抵抗や疑惑を産まないパーソナリティーのある人。 ②　異文化に接した場合、観察力と洞察力のある人 ③　おしゃべりな人よりも「よい聞き手」であること。その「よい聞き手」とは、相手を気持ちよくさせる能力、つまり、寛大さと相手に対する理解力がある人。そして、謙虚さである。 （参考）　同書　P84 あと、日本企業が海外駐在社員に求めるものを得ようとするなら、韓国企業が行なっていることを参考にしなければいけない。 それは、現地で仕事をさせず、駐在員を１年以上滞在し、その社会のシステムや慣習・文化を吸収し、それを仕事で活かせるようになるまで熟成させることにある。 中根先生もP173で「日本人が現地の人々と真剣に取り組んだ場合、その理解度が相当な水準に達し、仕事がスムーズになるまでには、現地経験通算五年はかかるものと思わなければいけない」と、しっかり指摘されている。だから　海外駐在員で「即戦力」など　日本企業が期待するほうが　「アホ」といってもいいだろう。逆に　海外でプータローや　バックパッカーなどで放浪している若者のほうが　中根理論から　戦力になると思えます。 「海外への工場移転」や、国際社会で通用する日本人、さらには、会社内の共通言語を英語にするとか、フラット社会・世界競争の荒波の中で、勝負しなければいけない日本企業。 ボーダレスの時代、国際競争の時代において、中根先生の研究が全く生かされていないのも、この本がいかに誤読され、理解されていなかったか？　如実にわかるものだと思えます。 日本企業の人事や人間関係に関しても、中根先生の研究成果がもっと反映されるようになっていれば、今の危機的な日本企業の状況にはなりえなかったでしょうね。 だから、中根先生の本が、100円という価値になっている古本市場＝日本人の教養のなさと素晴らしい研究成果を、わかりやすい新書で情報提供され、その知恵が何も生かされていないという現実をもっと知るべきであろうと。 2000年初頭のバブル崩壊による　日本のリベラルアーツ（教養）の崩壊の具体例でもあると思いますが。

  2021.06.10

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  『成功する男の服装戦略』　スーザン　ビクスラー（著）　朝日選書

  サラリーマンの自分にとって、勝負服というのは1着　2着もっている。特に　転職時の面接の時などがそうである。私は身長が185センチことと、お腹も少し出ているので　スーツは　アメリカンスタイルを好みます。なぜなら、服装に　ゆとりがあり、着心地がいいから。また、アメリカ贔屓なものなので、英国よりは米国。米国でゆったりとしたスーツといえば　ブルックス・ブラザーズしか購入しません。他のブランドもあるんですが、体に合わない　自分のサイズがないわけです。そして、ネクタイは「元気」をイメージする　黄色のネクタイ。革靴はコールハーンと。初めての海外旅行がNYだったので、NYのセントラルステーションの近くにあるブルックス・ブラザーズのお店とコールハーンのお店で　コーディネートをしてもらい、思い切って2着の背広と革靴2足、当時1ドル＝79円の時代だったことが　良い思い出です。流行でバーバリーも買いましたけど、自分にはコートしかあわなかったです。さて、今まで服装など無頓着だった私が　なぜ　服装に興味をもったのか？それは　「人はたった30秒で相手を判断する」という社会心理学の教科書にも書いてあることを意識しないと、人にモテナイと悟ったからです。「人にもてる」とは、人間関係を築く上で非常に大事なことです。人間関係から人脈へと広がっていき、それが自分の財産になる。その意味で、フォーマルであれ　カジュアルであれ　キチッとした服装をしておかないと　他人に「見た目」で評価されてしまうので　絶えず　気を使わないといけません。・スタイル・色・素材・ディテール・デザイン一番ラクなカジュアルな服装は　白色のTシャツかシャツに　EDWINのジーパンです。そして　カジュアルからフォーマルにも　白色のシャツがあれば、まぁ　清潔感のある服装ができます。カラーシャツは　正式な催しやフォーマルなビジネスでは　あまり着ないようにしています。また　小物をう装うときも　下記にも気をつけないといけません。・靴・ソックス・ベルト・サスペンダー・ハンカチ・タイピン・時計・メガネ・かばん・ブリーフケース・財布・コートよく高級ブランドで揃えている人が多いですが、似合わない人が　全部ブランド物を装着してもただの成金のおっさん　おばさんにしか見えず、全然格好よくありません。自分にあったものが何か？という　コーディネートをしてもらうえるようなプロフェッショナルのアドバイスを聞いて　いろいろ試行錯誤したほうが自分らしさが出て良いように思います。コーディネートを自分で考えてみようと思った時に参考になったのが、この本です。邪魔くさいと感じたら、お店の店員さんに　いろいろアドバイスを受け　自分が「いい」と思った店員さんを見つけたほうがいいんですが　まぁ　なかなか　自分が「これはいいな」と思えるような店員さんに　なかなか出会えることもできないのも事実。こればかりは「理屈」よりも　「センス」がモノをいうので、センスを磨きたい人には。この本で試してから試行錯誤するほうがいいかもしれません。

  2021.06.09

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  『洗脳護身術　日常からの覚醒、二十一世紀のサトリ修行と自己解放』　苫米地英人（著）　三才ブックス

  たまたま、NHKの『逆転人生』を見ていると　「宗教2世　親に束縛された人生からの脱出」が放送されていた。おそらく　エ○バか、統○教会関係だろうなと思っていたら　ずばりの内容だった。主人公の方が子供時代から相当な苦労をされていて、それでも　自分の人生を切り開いていく過程は　TVを見ていても想像を絶するものだった。宗教との関わりは本当に難しい。代ゼミ時代は　大本教の直系だった出口汪先生から出口王仁三郎の逸話を現代文講義の時間に話してくれたことがあった。日本史でも　教派新道の成り立ち　天理教　金光教　黒住教などの宗教史は教科書レベルの教養でもある。教派神道の中で　総本山ともいえるのが大本教であり、戦前では大勢力として　日本国家が弾圧まで行ったぐらいの大宗教組織だった。だから、その直系である出口汪先生から出口王仁三郎の逸話、具体的には　彼は客人の財布の所持金を言い当てることができた話など　直系血筋しか知ることができない話は非常に面白かったです。現代文の講義中　出口先生から「宗教は　あまり若い頃に熱心にすることはオススメしません。ある程度　年を取り　熟した所で宗教を信じるか信じないかを考えたほうがよいように思います」という感想を今でも覚えています。この意味については　なかなか理解できなかったのですが、スーザン・フォワードの『毒になる親』　講談社α文庫や、オウム真理教事件が大学在学中に発生し、宗教の危険性について　身近に感じたものです。さて　苫米地さんの代表作を一冊あげよと質問されたら、私なら真っ先に、この『洗脳護身術』をあげます。この本を読んだからといって、「洗脳」を身に着けることはできません。 また、「洗脳」と「マインドコントロール」は、全く別物であるということも知っておかなければいけません。 この本で苫米地博士の一番の主張は「人にだまされない」方法、特に、他人の洗脳技術における防御策を中心に書かれており、それで『護身術』というタイトルになっているわけです。 また、アンカーとトリガー、変成意識について、一番具体的かつ、わかりやすく解説されているところが共感をもてます。気功の章は読み飛ばしてもいいでしょう。 素人が安易にカウンセラーのようなことをしたり、脱洗脳などをやると、大変なことになりますから注意が必要です。 また、オカルトや詐欺まがいのスピリチャル、前世を装った占い、そして、カルト宗教など、私達が気をつけなければいけない思想や考え方、さらに、それを利用して金儲けをしたり、人をダマすような人たちには細心の注意をもって、関わらないようににしなければいけません。 そのためにも、この本で書かれていることは、参考にすべき記述がちりばめられていると思います。社会心理　宗教に関わる組織に関わる心理状況については、S・ハッサンの本や、西田先生の関係書、そして、名著『プロパガンダ』、『群集心理』、『影響力の武器』を読んで、さらなる護身術に磨きをかけたほうがいいと思います。 ほとんどの自己啓発本と呼ばれるものは、これらの本のパクリといっても過言ではありません。 自己啓発本を買っている方は、宣伝によるプロパガンダによって、ダマされている、もしくは洗脳、さらにはマインドコントロールされている。または「自己啓発」というデマゴーグに影響されているわけです。 また、苫米地博士は、「サブリミナルって、結構、効くんだもん」って、YOU　TUBEの水道橋博士の番組で爆弾発言もしてますからね。この人、脳科学研究の資金作りのために、「魂を売るぜ」って、言っているんですから。 商売で金儲けしないとダメなんでしょうね。また、KEY HOLE　TVも、資金的に困難みたいで、ついに寄付金募集もされていますし。 苫米地博士も自己啓発本や、誰でもとっつきやすい話題を柔らかく噛み砕いたソフトタッチのような本を出版して、儲けないとダメなんでしょう。 彼の最近の本は、ちょっとレベルが低すぎてダメですが、苫米地博士の初期の頃の著作は　非常に学術的で　専門家レベルの話を具体的に示しています。この本が彼のエッセンスを一番凝縮していている本だと思います。中身も実践主義的でベターです。『洗脳原論』は専門書のような感じです。 この最初の二冊の本の巻末には、しっかり参考文献を記載しているし、非常に丁寧な仕事をされていますので、興味のある人は、まず本屋さんで立ち読みしましょう。 この本でも、私は、「オカルト」的なことも書かれているし、脳科学からの視点や洗脳技術についても書かれているし、自ら本の情報を取捨選択をしなければいけませんので、注意して読まないといけない本ではあると思います。 この本が、トンでも本という人はいるかもしれないですが、結構、「こんなこと書いていいのかな？」と、注意して読まないといけない部分もあるので、それは読者の知的レベルを博士が試しているようにしか思えません。

  2021.06.08

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  『宮大工と歩く奈良の古寺』　小川三夫（著）　文春新書

  小川三夫・師匠の西岡さんの著書は、今の日本人に欠けている思想や考え方を古代建築を通して、それらを丁寧に解説した名著が多いように思います。 小川さんの弟子への教育論である『不揃いの木を組む』、同じく西岡棟梁の下で修行をした菊池さんの『宮大工の人育て』は、日本の教育論や企業の人材育成について参考にしなければならない本でしょう。 人材育成・登用について、単一的な人材よりも多様性のある人材を、どのように生かすのか？古代建築の木材の使い方では　木が育っていた方角と同じ方向にあわせて　木材を組んでいくなど　先人たちの知恵が伝承されており、宮大工は脈々とその教えを守っていることは重要です。 また、飛鳥・天平の時代に建てられた建築物では、現代ある工具などもなく、限られた簡単な工具と建築資材、特に木材は叩き割った木材で、最適な組み合わせを行い、1000年以上　その建築物が現存していることは、驚異的ですらあります。 しかし、それを見越して、古代の人がしっかり考え、将来を予想し、さらに様式美にもこだわり、それらの建築物を作ったことも、すごいことだと思うのです。 彼らは、その建築物を構成するために様々なクセのある木材を排他的にするのではなく組み合わせる能力＝木組みがしっかりなされ、木の特性を生かした配置を考えられていることも参考になります。 それを実際に本を読んでも全くわかりません。 このようなことを知るには、飛鳥・天平の古代建築がある奈良の法隆寺・薬師寺・唐招提寺へ行き、古代建築に触る・触れる・感じる・目で見るということをしないと理解しづらいように思います。確かに　京都のほうが名刹や観光スポットがまとまっていて　奈良は　名刹や観光場所が飛び地のように離れているので　奈良は東大寺　興福寺　春日大社や奈良公園へ行き　鹿と一緒に遊べば　観光終了というのはもったいないように思います。 奈良へ行くときは、多くのガイドブックあります。観光ガイドよりも、その寺の資料館に行った方が理解しやすいでしょう。 例えば、法隆寺など法隆寺の資料館がありますから、そちらに足を運んでから、その建物を実際に見たり触ったり観察したりすることができます。1000年も前の人が建てた建造物をそのまま触れることができる　手でなでたりすると、面白いと思います。（文化財を直接触ることができる建築物など　世界中でもあまりないです。このことに気が付かない日本人が多いです。） 映像の解説なら、『鬼に訊け -宮大工 西岡常一の遺言』 そして、NKKで放送されていた『たけしのアート☆ビート』の第１０回　小川三夫さんの動画が参考になる。 この動画は文春新書の『宮大工と歩く奈良の古寺』の映像版といってよい。薬師寺東塔の解体修理を行う前の東棟内の内部映像、心柱の構造、古代建築の尺は、代々、天皇家の肘から手までの長さが基準になっており、建物自体で尺の長さが違うことなど映像で理解できるもので、貴重な映像作品である。 もし、奈良方面のガイド本なら 地理・位置関係なら『奈良の寺社　150を歩く』　PHP新書　 仏像関係なら『ほとけの履歴書』　NHK生活新書 建築関係なら『宮大工と歩く奈良の古寺』　文春新書 ちょっと、勉強して、奥義を極めたいなら和辻哲郎の『古寺巡礼』でしょう。 和辻の『古寺巡礼』は、大学受験の現代文の問題でもよく出てきている本でもありますが、いきなり、この本を読んで奈良・京都へ行っても理解しづらいと思います。というのも、和辻の解説が玄人向けの解説になっているからです。基礎的な知識がないと読みこなせない本でもあるからです。 なので、以上の参考文献をしっかり読みこなして、３冊の新書を携えて、奈良へ行くとも面白い発見があると思います。 何か考え事があれば、奈良・京都の古寺巡礼や庭園。建築物を見たり触ったり、感じたりすると、元気が回復したり、ひらめき　新しいアイデアを思いついたりもします。京都よりも奈良のほうが重厚な南都六宗の寺が多く、また　建築物が京都よりも古いものが多いです。是非、アフターコロナ時　時間があれば奈良へ本物の建築物を体験して頂ければとおもいます。

  2021.06.07

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  『インデックス・ファンドの時代―アメリカにおける資産運用の新潮流 』ジョン・C. ボーグル (著)　東洋経済新報社

  2002年頃、とある有名珈琲店で働いていたときのこと。隣に日興証券があり、たまに株式市場の話で雑談をしていたときがありました。証券市場については超専門で　まさか奥村宏ゼミの人間が　コーヒー屋の社員として働いていて、日興証券の多くの社員さんにも「この店員さん　なんで　そんなに証券市場に詳しいのか？」と思われていました。ある時　証券営業の方が「長期投資には何がいいのか？」と　尋ねられた時、私の切り返しは「日興証券さんで　自前で日興 S&P500ファンドあるじゃないですか？　それをお客にすすめればいいんですよ」と即答しました。なぜなら、「日本は金持ち。あなたは貧乏。なぜ?―普通の日本人が金持ちになるべきだ』タガートマーフィー（著）とC ボーグルの『インデックス　ファンドの時代』を読んでいたからです。その時は　これらの本の存在は彼らには教えないというか　証券会社の人間なんだから　それぐらい読んでいるだろうと思っていたわけです。（結局　彼らは　それらの本を読んでいないことがわかり　証券会社って　所詮　手数料収入取れればいいんだなと思いました。）この本では、ヴァンガードのインデックスファンドが、低コストで　どんな相場師や機関投資家がいたとしても　長期投資の場合　積立＋再投資＋複利で　彼らを打ち負かすことができ　かつ　（普通の人よりは）金持ちになることができることを実証　説明しています。まぁ、この本を真剣に読み込んだ人がいないというか　AMAZONなどの感想欄も大したこと書いていないので　理解できないか読んでいないんだなと思っていますが。当時は、中華人民共和国の経済成長が著しく　中国ファンド　ブラジルファンド　ロシアファンド　東欧ファンドなどがある中、あえて　米国のS&P500のインデックスファンドの長期成長力があるし、10年後　20年後だと、軽く1000万円は貯金ができると。今では　私が指摘したとおりに現実になっています。また、当時アドバイスをした日興証券の社員さんたちはどうしているのだろうと？と思っています。私のアドバイスどおりに動いていたら　間違いなく　全国NO1の資産運用成績になっているはずで　顧客からも大変感謝されている営業になっていると思うからです。2001年1月　USD1,500近辺（暴落でUSD1,000）　→　2021年　6月2日　USD4,202　（280％UP)私は　証券市場論の専門で　株式市場とは　どんなものか？と　株式投資をはじめました。2010年頃　シャープ株で数百万円損をして痛い目をあい、今は　日本郵船株とスシロー株をもつ長期ホルダーですが　なんやかんや　インデックスファンドのパフォーマンス以上の成績を上げています。私の戦略はバフェットと同じような株式投資です。私は　自己責任で株式市場で一発勝負しているほうが多いですが　なるべくお金が溜まったら　自分が愛用している商品やサービスを提供している企業か　同じ業界の優良企業を選択。その選んだ優良企業へ1000株単位で5年単位で長期保有という戦略を取っています。（株価は購入後　あまり見ません。一般人は毎日株価が気になるそうですが）そして　株式の購入を決めたら　短期売買より長期保有し、配当金　株価が上がっても売らず保有し続けること。（回転売買すれば儲かるのは株式売買手数料をとる証券会社と売却益で税金ををかける日本国だけ。）だから　今では　保有株の配当金と含み益は普通の人よりは多いと思いますし、悪い情報を掴んだ時は保有株を前もって売却して現金化して定期預金に入れる資産運用をしています。逆に　投資信託は、販売手数料＋報酬手数料＋売却手数料など、いろいろなコストがかかります。ただし　ボーグルのヴァンガードは低コスト　低手数料がウリのインデックス　ファンドです。いまでは　多くのアメリカの年金基金どころか　各国の年金資金はヴァンガードへ預けています。私もヴァンガードのインデックスファンドへ月1万円ぐらい投資しています。何も考えず　10年お金を預けるなら、ヴァンガードのインデックスファンドをオススメいたします。安全な資産運用がいいのなら、オリックス銀行の定期預金ですね。2000年初頭　日本の証券会社や銀行は　ヴァンガードのインデックスファンドをほとんど　取り扱っていませんでした。当時はフィデリティ投信やHSBCの高パフォーマンスの投信ばかりが人気で　インデックスファンドも　ボーグルの本の影響の下　日本の日経225やTOPIX連動などのファンドばかりでした。確かに　当時の海外ファンドは　基準価格も16000円～30000円ぐらいまであり　すぐに倍々ゲームで増えていく　BRICS　バブルの時代です。日本は逆に民主党政権で日経225が8000円台と悪夢の時代でした。さて、この本で書かれているボーグルの主張は　彼の投資理論を「これでもか！」というぐらいに打ち出している。彼の最大の敵は「短期売買を行う投機家」である。今でも日本の株式市場では　株価の上げ下げに狂喜乱舞し、20％上がったら売り　自分の予想を超えたら損切り。もしくはクロス取引にするか　上がったら信用取引で空売りをする。彼らの行動に「もう少し　長期的な投資行動をすればいいのに」と証券市場論の専門家としては思う。なぜなら、バフェット氏がこの本の中でその代弁し　説明してくれているからだ。有名なバフェット氏は　この本の中で　名言を残している。『インデックス・ファンドの時代』「それは現在のその企業の本質価値と比較して　どのような株価がついていようとも　それを無視して保有し続けることなのです。まさに　神が我々を分かつまで　我々は　今から10年　20年先に大きな富を確実に手に入れることができると考えれる運用先を求めているのです。」「特定の企業の財務状況は理解できないが　アメリカ産業の長期的なオーナーになりたいという投資家は定期的にインデックス　ファンドに投資をしなさい。そうすることによって　何も知らない一般投資家がほとんどの投資のプロをアウト　パフォームすることができ　逆説的だが　モノを言わないお金がその限界を受け入れた時にモノをいうお金になるのである。」「重要なことは　こうした（株式の）売買の執行を引き受ける証券会社には売買のたびに　何かしら手数料が落ちるわけで　投資家全体ではその分だけ確実に損をするゲームであることを意味している」。あとダメ押しで「モーニングスター社による最近の調査では　ポートフォリオの回転（売買）を通じて有意にリターンを向上させたファンドマネージャーは　ほとんどいなかった。しかも　高回転率を生んだリターンのわずかな増加でさえ　結局のところリスクの高い株式を購入した結果に過ぎなかった。投資業界の高い回転率を続けるやり方を支持する証拠は調査結果からひとつも見つからなかった」。短期売買で利ざやを稼ぐことにお熱の個人投資家　または機関投資家が大金を使って株価を操作する　もしくは仕手筋が株価を動かして　1回は勝てるかもしれないが、結局は回転売買をすれば　証券会社に回数分だけ手数料だけ取られて、売却益は税金で惹かれ　利ざやを稼ぐことはあまりできないということなのである。これは、ギャンブルでいう大数の法則に　はまっているわけだ。ギャンブルに勝つというのは　短期的に　大数の法則から逃れる一瞬をつかむことだ。長期的に丁半博打をやっていれば　どんなにお金をもっていようと　その掛け金をなくなれば胴元が最終的に勝つのである。株式市場でも同じことなのだ。だから、バフェットは、回転売買などをせず、アメリカで代表的な優良企業の株式を長期保有しておけ＝　S&P500のインデックスファンドに長期投資しろ！と言っているわけなのである。（いいかえれば　日本の代表的な優良企業の株式を長期保有ずるなら日経225やTOPIX連動型ファンドである。どの国が経済成長するかは　自分のお好みの国の株式指標のファンドを選べばよいのである。ただし　手数料をよく見たほうがよい。）これは前述したタガートマフィーの著書でも　長期保有したインデックスファンドの複利の重要性を強調している。ファンドが低コストで運用され投資手数料を少なくし複利のレバッジをいかに効かせて最大のパフォーマンスで　コストを抑えながら投資した人へ還元するシステムにおいて　ボーグルのヴァンガード社のSP500のインデックスファンドが　ある意味最強であり　世界のファンドでヴァンガードのファンドがTOPになるのも頷けるものだ。インデックスファンド批判をするおバカさんがいますが　コストや複利のファンド内の運用法など知らないのであろうし　実際　ボーグルのこの本を読んでいないのであろう。インデックスファンドを購入するときは「再投資」を選ぶ意味がわかっていないのも。バフェットの説明の補足だが、長期保有をしている株式は　株主に対して配当金がもらえる。それを再投資に回せば　複利がつき　結局は倍倍ゲームで　どんな優秀なファンドマネージャーの投資理論で株式売買　投資をしても　彼らよりもパフォーマンスを打ち負かし　少しずつ資産が増えていくのである。株式市場で勝負したいなら　短期　大金をかけて一発勝負して長期保有か　長期的にコツコツ積み立てるインデックス　ファンド投資のように思えます。株式投資について　このような方法を信じるか信じないかは　あなた次第です。​

  2021.06.06

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  『現代語訳 西国立志編 －　スマイルズ『自助論』』　サミュエル・スマイルズ (著), 中村正直 (編集, 翻訳), 金谷俊一郎 (翻訳)

  スマイルズの『自助論』こそ、自己啓発ブームの元祖といってよい。その翻訳は、三笠書房の知的生き方文庫で取り扱われており、現代語訳として知っている人は知っている。 ただし、三笠書房の『自助論』は完全翻訳本ではない。さらに、残念ながら、三笠文庫の『自助論』は、スマイルズの『自助論』ではありません。  そのことについて、見事に分析・指摘されたのが、意外や意外、『突破者』で有名な宮崎学さんの『「自己啓発病」社会』（祥伝社新書）である。 本来、『自助論』の完全翻訳版こそ、明治時代に翻訳された中村正直の『西国立志編』だ。さらに、これに続く啓蒙書こそ、福沢諭吉先生の『学問のすすめ』である。 この2冊は明治時代の大ベストセラーであり、日本の近代化　経済発展に、そして、日本人に途方も無い影響力を与えた書籍であったともいってよい。 それらの大ベストセラーが、なぜ、古典として日本では読まれなくなってしまったのか？ それは、この2冊が文語体の翻訳であり、現代の日本人では非常に読みにくいのである。今でも、この明治時代の啓蒙書である『学問のすすめ』と『西国立志編』は、文語体で忠実に読むことも可能だ。  『西国立志編』　中村正直（訳）　講談社学術文庫 『学問のすすめ』　福沢諭吉（著）　中公クラシックス なぜ、多くの出版社で、同じような本が出ているのに、この上記の２つを取り上げるのか？といいますと、勝手な翻訳家の解釈や作者の主張や使いまわしが　完全に削ぎ落とされ　入っていないからです。 つまり、現代語訳を行う時に、ついつい、現代語の通訳の思い込みや解釈が入ってしまうわけだ。それは、まさに抄訳といってよい。 中村正直や福沢諭吉が、伝えたい中身は、何もいじっていない本家の文語体の原書に限るのである。 それでも、文語体をより現代語訳で読みたいなら、その現代語訳の通訳者の実力の見極め、さらに、文語体の原書、さらにはスマイルズの英語の原書を読み比べながら読むほうが良いと思います。 最近、明治時代の啓蒙書、経済人のベストセラーで書かれた文語体から現代語訳を行うことが流行になりつつあり、多くの文庫や新書が刊行されています。 ちくま新書では渋沢栄一の　『論語と算盤』、福沢諭吉の『学問のすすめ』、新渡戸稲造の『武士道』などです。 たぶん、「『西国立志編』も出てくるだろうな？」と思ったら、やっぱり出て来ました。 この本は、講談社学術文庫の『西国立志編』の現代語訳として書かれたもので、全訳です。中身は、それほど悪くない現代語訳だと思います。 原著と講談社学術文庫の『西国立志編』と、読みくらべてみると、「そんな超訳してよいのか？」と思えるようなところもありますので、注意して読まないといけません。 翻訳書は、原書と読み比べてみると、なかなかおもしろいですし、青空文庫やGoogle　BOOKなどでは、『西国立志編』や『学問のすすめ』などは無料で文語体でも読めますので、是非、読み比べすると面白いですよ。 当然、スマイルズの『Self Help』の英語の原書も無料で読めます。 PHP新書は、よくぞ、新書サイズで、この『西国立志編』の全文現代語訳で出版した英断に拍手を送りたいと思います。 新書で、この分厚さのサイズは、中公新書の『金（ゴールド）が語る２０世紀』以来の圧倒的なボリューム感があり、新書版でも横綱級のボリューム感だと思います。 でも、かなり読みやすいので、スラスラ、あっという間に読めちゃいますので、心配ご無用。 しょうもない日本の作家の自己啓発本なんて読まずに、中村正直のこの本で十分ではないでしょうか？なぜなら、この　『西国立志編』こそ、日本の自己啓発本の大ベストセラーだったんですから。 スマイルズが、伝えたかった本当の『自助論』を学び取る上で、現代語訳の　この本は貴重な本になるように思います。 たぶん、それほど増刷しないのではでしょうか？なので、貴重本になる可能性があると私は見ています。

  2021.06.05

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  『近代民主主義とその展望』　福田 歓一（著）　岩波新書

  政治学史の中で、私が名著と思っているのが福田先生の『政治学史』と、この『近代民主主義とその展望』である。 政治に興味にある方や、政治思想史、さらには政治家になりたい方は　この本を読まずして政治家にはなるな！と言える書である。 近代民主主義の生まれた背景を非常に事細かに研究されている福田先生には敬意と尊敬でいっぱいである。 この研究成果を、近代株式会社研究において、私自身のオリジナルの考え方、特に、福田先生の近代民主主義の成り立ちや歴史、その思想が、近代株式会社制度にも相当な影響を与えていると考えています。 当然、ロック、ホップスなどの思想家の考え方が、株主総会や株主の権利などにも影響を受けているにもかかわらず、大塚久雄先生の『株式会社発生史論』より、福田先生の民主主義の成り立ちなどの政治思想史を理解しなければ、近代　現代株式会社制度の展望も見ることができないという、新たな見方を私は持っています。ここで、この本の画期的な発見や論考を紹介してみたいと思います。 まず「自由」とは何か？である。そして、多数決の原理。民主主義とは何か？ということを、非常に明快に解説されていることだ。今でも、この本でその解説を読んでいて、「なるほど」と思える説得力。 あと、読者の方が非常にびっくりされるかもしれないが、「憲法と議会は民主主義とは関係ない」と福田先生は長年の研究の成果として　湯川博士との対談で語っている。湯川先生とは　ノーベル物理学賞を獲得した　あの湯川先生だ。この話を湯川先生が聞いた時、びっくりたまげたんだから無理もない。 当たり前だと思っていたことが、見事に打ち砕かれた一説です。最初、「え、うそ」と思ったのですが、民主主義の原理や成り立ちを福田先生や佐々木毅先生の解説で、感心させられました。 さらに、「自由」の理念は２つあるという論考も、非常に新鮮でした。 凡人なら「自由」というのは、「好き勝手にやってもよいこと」のように思えるし、政治思想では、福田先生は、このように説明されている。 「しばしば共同体に参加するという積極的な自由、政治的な自由、公的な自由。それから、権力に侵されない領域を確保しようという、消極的な自由、民事的な自由、あるいは私的な自由との対立として表現されます。イギリスの政治哲学者であるアイザィアバーリンも、『自由の二つの概念』で説明されていることの1 つともいえる。」　『同書』P１１９ ちょっと、考えてしまいますが、小室直樹博士はこの福田先生の文章を引用しているにもかかわらず、引用文献をのっけてません。残念ですけど。小室節で書かれている「自由主義」の説明は以下のようになる。 「戦後の日本で『自由』は『何をやってもいい』ということだと誤解された。最近では『人を殺す自由（権利）』を主張する子供さえ現れています。　しかし、デモクラシーにおける『自由』とは、元来『権力の制限』を意味しました。日本において、『自由主義』という言葉は実にいい加減に使われていますが、これはもともと専制君主や絶対君主の権力を制限することから始まったものです。この自由主義を守るための砦が議会であった』『痛快　憲法学』　P265　小室直樹著 つまり、福田先生のおっしゃる『消極的な自由』がデモクラシーの真の自由ということなのである。 このように、本来、政治史がどれほど、重要であるのか？（その成り立ちを知らないで　「やれ自由だ！」「権利だ！」と　最近　馬鹿騒ぎしているアホが多いですね。そのようなアホどもに対して「福田先生の本ぐらい読めよ」と内心思っているわけです。 政治学に興味のある人は、福田先生の『政治学史』を読んでいる人は何人いるか？知りたいですね。 久しぶりに再読してみて「いい本だ」と思いました。 この本は　岩波新書の黄版の第1巻です。第１巻にふさわしい　素晴らしい名著だと思います。大学生時代　神保町の岩波ホールの下の本屋で　福田先生の著作を探していた時　店員さんから「福田先生の本　復刊してますよ」とアドバイスをいただき　まさか古本ではなく新刊で手に入れることができ、本当にうれしかったです。いまでは　絶版になっているのがもったいないですね。

  2021.06.04

• TOEICの解法を見て唖然に思ったお話　PART5

  ​とあるTOEICの問題集で「あれ？」と思ったお話を。この問題集　かなり最新の問題集です。The heating in my apartment has stopped working.(A) He works at a bank.(B) Didn't you just get it fixed?(C) Is it on the forth floor?大体　皆さんだとstopped working ⇔　fixed で（B)が正解でしょ？と考えた方。御明答です。しかし、この問題　（C)も　正解になりえるぞ？と私は思いました。（B)も（C)も　代名詞「It」は「The heating」＝暖房設備です。問題文の動詞はhas ですから　現在（完了）形です。つまり　現在形です。（C)も時制はIs ですから現在形です。問題文の話者と（B)で回答をした返事のやり取りは　友達や仲間の会話としても自然です。しかし、（C)は　仲間や友達の会話ではないですが　アパートの大家さんと　アパート内で動かなくなった暖房施設を修理に来た修理工さんだったら　どうでしょう？海外や日本でも　建物内をセントラルヒーティングで空調を管理するところがあります。”The heating”は文字通り暖房設備ですが、小さなエアコンのような暖房設備なのか　大きな建物内全体を温めるセントラルヒーティングの暖房設備なのか　どちらでも考えることができます。なので、（C）の場合　Is it on the forth floor?　「今　（アパート内で）止まってしまっている（大規模な）暖房設備はアパートの4階にありますよね？」大家さんが　アパートの大規模な暖房設備が止まってしまって　あたふたして　なじみの修理工を呼んできて、修理工が到着。やり取りは　こんな感じ。大家さん「今　アパート内の暖房設備が止まっているんだよ」修理工「（その止まっている暖房設備）は　（現在）4階にありますよね？」＜注＞　4階の大きな暖房設備は、問題文のhas stopped の主語＝The hearting =暖房設備は単数　＝その単数を受けた代名詞だから　（C)の代名詞も単数形＝　つまりは　フロアー全体を覆いつくす　大型暖房設備「一式」を指すことまで　想像できてしまうわけです。最初　ヒアリングで問題を聞いた時　上記ののイメージが先行し　こちらが正解だろうと思いました。このように英文法のルールから英文解釈ができるわけです。どうですか？　このやり取り　十分会話が成り立っていますね。時制も代名詞も同じですし。ということで、「この問題　悪問じゃない？」と　この問題集を出版された出版社にEメールで問い合わせをいたしました。出版社で働いている友人は多くいますが　直接　出版社に「この問題　おかしくありませんか？」と指摘したのは　生まれて初めてです。出版社の方からも　いろいろと検討して頂きネイティブの問題作成者や　この問題集の共著者である　超が何個もつく有名英語講師の先生も検討していただき　出版社を通して　ご返事を頂きました。回答は　「（C)も正解になります」とご返事を頂きました。​​​​​​​​​​​​​そして、「増刷時にはよりはっきりと不正解だとわかるように、(C) I’ve already eaten.」に変更いたしますと。この問題は　eaten と　heatingと似たような音をつかった　ひっかけ問題にするとのことでした。　（ヒアリングの問題なので　引っかかる人が多いかな？と）​​​​​​私が問題出題者だと（C)を　Are they on the forth floor?にしますね。なぜなら　問題文はHasで　The heartingの主語は三人称単数形。（C)は　複数の代名詞　they にして　単数形　≠　複数形だから　間違いにする問題にします。超有名な英語講師から出版社を通して　ご返事って　もらえるんですね。（この先生の英語講義も非常にわかりやすいので　勉強させて頂いてます。）​​​​​​​​

  2021.06.03

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  『対立と協調の科学―エージェント・ベース・モデルによる複雑系の解明』　ロバート　アクセルロッド（著）　ダイヤモンド社

  アクセルロッドといえば、シミレーション科学で行うゲーム理論の解析で有名だ。 特にエージェントベースモデルにおける複雑系の解明が副題となっており、前著の『つきあいの科学』の続編として、ゲーム理論のシミレーション科学が社会現象の問題を解明し、最先端の研究の成果が、この本で書かれている。 非常に学術的な内容だが、実学的な内容が多く盛り込まれています。 その適応範囲は広範囲で、ビジネスや外交交渉のススメ方、社会規範の形成、企業間の技術標準の形成の仕方、文化の伝播など。 日本が今後世界競争のまっただ中、アクセルロッドのシミレーション理論を参考にすれば、日本独自の先進技術・文化・外交など、大きな回天を行えるように思えます。 前回、紹介したカプランの環インド洋の国際外交においても『朝貢外交の復権』が指摘されていたが、これもアクセルロッドのこの本で十分シミレーションで予測されていることに私はびっくりしました。『インド洋圏が、世界を動かす: モンスーンが結ぶ躍進国家群はどこへ向かうのか』　　ロバート・D・カプラン (著), 著者であるアクセルロッド博士は、コンピュータ科学の学者ではなく政治学・公共政策が専門です。 彼のシミレーション科学から社会科学を考える新しい考え方は、社会科学に革命を起こしたともいってよい。 なぜなら、社会科学のあらゆる分野で「コンピューター・シミレーション」によって、実験が可能となったからである。  社会科学分野は社会実験を行うには莫大な費用とリスクが必要なので実験を行い、何度も原因と結果と再現性を確かめることは、非常に難しい分野だった。まさに、一発勝負、もしくは歴史からの教訓や帰納法での考え方が主流だった。だから、社会政策でこうすれば「多分　こうなるのだろう」と推測することや歴史資料で検証することが社会科学だったわけだ。政治でも政策を実行することで　その政策が機能しているかどうかは　実際に行わなければわからない分野でもある。理論経済学は数学を活用し発展できたことで、社会科学分野の中で大きな優越があったわけだ。今では理論経済学は数学を使うことよりも　はるか上のシミレーションや統計データなどを駆使した実験経済学　もしくは、経済人という発想を捨て人間の感情などを扱う行動経済学が主流になりつつある。経済学は数式ではなく　経済モデルの構築　静的から動的へ　将来の予測まで導きだせるようになってきた。1990年後半は　理論経済学全盛で　人間の感情によって経済行動が変化する行動経済学やパソコンでシミレーションを行い統計学を用いて　その政策の優越を判断するなど、経済学ではない！と　こき下ろされていた時代であった。たまたま　NYやDCで　大型書店へ行き　アメリカの最新の経済学の本棚へ行き　人間心理や感情を扱う経済学があると知って、カネーマンの 1999年　”Well-being: The foundations of hedonic psychology. を　原書を買いました。 現在では、行動科学・コンピューターの発展による計算能力の向上が、ビックデータの活用・統計学・ベイズなど数学的推論とあわさって、「なんとなくそうだろう」から「数字」でしっかり客観的に確率での政策の優越と有効性の是非を表現できるようになったわけです。 アクセルロッド博士の研究成果とその応用研究は、多くの研究者をとりこにし、ゲーム理論から複雑系を加味したコンピューターシミレーション。 そして、ゲーム理論用のプログラムやそれを応用したソフトウェアー・プログラムによって、予測がある程度の確率で記述や予測可能になり、それらを使ったシミレーションによって、何度も実験できることで、社会科学の根本である「人間とは何か？」を追求できるようになりました。私はRやPythonなども、この分野を知りたいがために独学で勉強し、時系列分析やAiによるシミレーションなど簡単なモデリングはできるようになっています。いまは、どんどんPythonでは機械学習ができるようになってきており　Rでも　新しいパッケージで時系列分析がモデリングで予測できるようにまでなってきています。 今まで社会科学が「なんとなく」からシミレーションや数学で実証できる時代へ。アクセルロッド教授の社会科学への貢献は計り知れないものであるということをお伝えしたいと思います。 この本も絶版になったのももったいないですね。値段は高いですけど、高いなり価値は十分あると思います。

  2021.06.03

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  『学習まんが少年少女 日本の歴史』　児玉幸多（監修）　あおむら純（まんが）　小学館

  まんが　『日本の歴史』の元祖は小学館である。初版が発売され　すでに40年の大ベストセラーだ。1981年に1冊ずつ新刊が隔月に発売されていくのだが、新刊が出るたびに　私は近くの商店街の本屋さんで1巻ずつ購入していった。その時　まだ私が小学校4年生の頃である。今でも　学校の図書館には　横山光輝の『三国志』と、小学館の「まんが日本の歴史』が常備されているところが多い。 『まんが日本の歴史』は　集英社　KADOKAWA　学研　講談社と続々と出版社から出てきているが　21世紀に入ってからだ。 通史でいえば、小学館版のほうが圧倒的にすぐれている。なぜなら、全巻22巻は　他のまんが日本史より内容量が多いこと。コマ割りも他のまんが　日本の歴史よりも細かいし　情報が小学館のほうが詰め込まれている。 監修は児玉幸多先生だ。昭和天皇　昭仁上皇に日本史を講義をされた日本史のスペシャリストである。 小学館版のまんが日本の歴史をしっかり読み　理解し学んでいれば　センター試験の日本史など余裕です。また　小学館版は　1990年代の早稲田の政経や法や立命館大の超難関日本史問題も合格点を取ることができるぐらいのマニアックな内容も含んでいる。 なにせ、まんがに書かれている内容が、全て日本史の重要文献資料　『日本書紀』などの六国史書など勅撰史書はもちろんのこと　出てくる主要登場人物　法然なら『一百四十五箇条問答』（念仏の一念　多念論争）や　道元　『普勧坐禅儀』（座禅をし続ける意味の問答）本居宣長『古事記伝』（賀茂真淵との交流など）　それらの登場人物の著作　それも超マイナーな文献だが　登場人物の本質に迫るエピソードがてんこもりの内容で全部からませてくる。 山川の日本史の教科書レベルなど　はるかに超えている内容であることを知らない人が多い。 だから、小学校から小学館のまんが日本史を読んでいれば　大学受験の日本史など余裕で偏差値65以上は確実にいけることになる。私の場合、英語と現代文と古文の勉強さえしていれば　難関大学は受かったものだと思っていました。 小学館は出版社の政治思想は右寄りである。ただし　まんが日本の歴史では　小学館の右寄りの考え方はあまり感じないし中立の立場だ。 小学館版の唯一の弱点は近現代史の少なさだ。他の出版社は　近現代史に注力しているためであるが、日本史というのが縄文時代から現代まで通史をしっかり学んでおいた方がよい。時代の流れ　平和な時代～戦乱～天下統一～平和な時代～崩壊～戦乱～統一～平和な時代～戦乱という流れがある。大まかな日本史の流れを見ていけば、どの巻が何時代で主要登場人物、事件は何か　が　何を意味するのかがわかってくる。  時代　歴史の流れといえば　『フォース・ターニング』が西洋では有名だが、ビジュアルで日本史の時代の流れ　歴史の流れが理解できるこの本は、いまでも傑作であり読んでいて損はないと思います。

  2021.06.02

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  『往年のペンタックスカメラ図鑑』　マニュアルカメラ編集部（著）　枻文庫

  ついに、PentaxのＫシリーズのデジタル一眼レフがK-3　MarkⅢが2021年4月に発売された。といっても、ペンタックス＝旭光学の名前を知っている人は、あまりいないのも寂しい。​「望遠だよ～ワイドだよ～」。「PENTAX PENTAX」の連呼CM。​日本の一眼レフのパイオニアは、旭光学＝アサヒペンタックス＝アサペンだったことを。過去の栄光ではない。35mm銀塩カメラはNIKON,CANONの時代だった。いや、PENTAXにとっては35mm銀塩カメラのスペックでは完成度をもったカメラがほぼなかったけど、中判カメラは圧倒的シェアーをもっていたことを、デジタル時代になっても知らない人も多い。アラーキーが使っている6×7。通称「バケペン」。「バケペン」が「お化けペンタックス」の略称であることを。さらに、645シリーズ。もともと、旭光学の開発陣で筋金入りのテッチャンがいたことで開発された645シリーズ。それが、中判カメラの中で風景写真としてスーパーフィールドカメラとして発展していったことも。その思想は645Dにも受け継がれている。6×7でも、645でも、レンズ性能はピカイチ。ラインアップも豊富。ただ中判カメラ用なのでレンズがデカイし重い。PENTAXは一眼レフカメラの品番に「King」の「K」の頭文字をつける会社だ。それがデジタル一眼になっても、その伝統を受け継ぐポリシーは、まだまだ廃れていない。昭和３０年代　世界の一眼レフの元祖は旭光学＝PENTAXだった。一眼レフの基幹部品であるクイックリターンミラー機構とペンタプリズムの量産化の成功。Nikonであれ　Canonであれ　Sony（コニカ　ミノルタ）であれ、富士フィルムであれ　クイックリターンミラーがなければ　一眼レフ機は作れない。旭光学＝Pentaxがその基幹構造の特許権ももっていたので　一眼レフ製造を独占できたのだが、通産省が輸出品として一眼レフの主力商品として注目し　その特許を他の日本のカメラメーカーに自由に使わせるように旭光学＝Pentaxに直談判した経緯がある。いわゆる国家の産業政策にPentaxに従わざるをえなかったわけである。それ以降、日本のカメラ産業は1980年代を頂点に　カメラは主要産業として一斉を風靡する。ただし、一眼レフの機構について、その後　AF（オートフォーカス）TTL測光方式　 デイデイト機構など　数多く発明を日本のカメラメーカーが行っているが、通産省は　これらの基礎機構についてはカメラメーカーに特許共有をさせなかったのは、はなはだ疑問だった。今でもPentaxのAF機構は　動きモノが取りにくい　AFが追いつかない　連射があまりできないと酷評を受けている始末である。Pentaxの中古レンズを探す時は、この本をもって探すことにしている。 デジタル一眼になっても、使える中古レンズがあるたくさんある。なぜなら　Pentaxのレンズは　Kマウントレンズの場合、最新のPentaxのデジタル一眼レフ機でも使用できるからだ。つまり　PentaxのAFも作動しないマニュアルフォーカスのみの古い中古のKマウントレンズでも　最新のPentaxのデジタル一眼機に装着でき　絞り環で露出値を操作せず　Aポジションがあれば露出も自動で使えてしまうのである。他のカメラメーカーでは真似できないユーザーフレンドリーなカメラメーカー＝Pentaxなのである。古い penaxの中古レンズでもsmc スーパーマルチコーティングをされているレンズなら　逆光には強いし　クリアな画像を生み出してくれる。また、Pentaxのデジタル一眼は　中判カメラが得意な風景写真　リバーサルフィルムの絵作りなので　緑色　青色は気持ちがいい記憶色の生み出す画像エンジンが特徴だ。ハイパーシステムの操作性は独特だが使いやすいし　直感的に操作できるし　AFがなく　マニュアルフォーカスでも　自動制御の露出システムがあるので　中古レンズでも味のある画像が得られる。銀塩カメラ　中古レンズのPENTAXの歴史　性能を知りたいなら、この本が一番読んでいて楽しいです。最後に　枻出版のお話。まずこの出版社を読むことができる方は何人いるのか？知っていたら相当な趣味人なはずです。エイ出版は　かなり渋いテーマで　カメラ　靴　文具　バイク　自転車　旅　家具などのムック本を出したり　文庫も出していました。昭和世代の趣味のカタログともいっていいラインナップ。2021年2月に民事再生法が申請され　規模縮小になってしまい　枻文庫も新刊は手に入れることができず中古価格で販売されています。

  2021.06.01

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  『隕石コレクター』　リチャード・ノートン（著）　築地書館

  あなたは　隕石を手頃な価格で購入できることを知っていますか？AMAZONなど隕石をペンダントにしたり　パワーストーン扱いで出品されているものもあるが「本物か？」と思えるものが多い。『なんでも鑑定団』の石鑑定大会でも　隕石は驚くほど高価な評価がされている。また　はやぶさ　はやぶさ2　　オサイリス　レックスなどは小惑星からサンプルリターンで地球に持ち帰る宇宙計画もある。隕石には興味があるが　どうやって隕石と判断するのか？　どうやって探すのか？　基礎的な本が　日本にはほとんどない。天体観測本では　かなり有名な藤井旭さんの隕石についてまとめた本が　まともなぐらいで、ベーシックな知識でしかない。天体観測も好きで　『星ナビ』も　たまに読むこともあり、その時書評で紹介されていたのが『隕石コレクター』。今　中古本を見ると値段が上がっていて貴重本となっているようだ。この本の凄いところは、隕石コレクター列伝、隕石の探し方から隕石の判別法など　隕石に関わる基礎データが全部示されている。特に　参考文献一覧　索引　専門用語の解説　専門分野へWWWのアクセス方法など　内容充実。昭和時代のしっかりした学術本並みのしっかりとした装丁と　ひもしおり（スピン）もあり完璧な本です。こういう単行本は　日本の出版社では　みすず書房など老舗の出版社でしかお目にかかれないものです。もし、老後　時間があるなら　私も「隕石ハンター」になりたいと思っています。南極大陸で隕石収集が一番の理想ですが、南極条約があるため、南極以外の海外で、隕石を探してみたいと思っています。隕石もゴールドやシルバー同様、貴重金属のようなものなので、ゴールドハンターのような一攫千金ビジネスとしても十分に成り立ちます。以前　ワシントンDCの国立自然史博物館で　隕石が展示されており　「隕石って　こんなにデカイのか！！」と　ずーと見ていた記憶があります。それも数が多く　1日いても飽きないぐらいです。しかし、隕石は　絶えず高価な状態であり続けるものもない。特に　隕石には寿命と病気もある。悲しいかな　隕石は風化や劣化などで　最後は細かく砕かれて　砂となり地球上の地上で散っていく。この本で書かれている隕石ハンターの足跡、隕石探しでの喜怒哀楽劇は、本当におもしろく　こんな人生もあるんだなと思えるほどです。隕石に魅了される人たちは　その隕石の成り立ちや宇宙見果てぬロマンに夢を抱いているのかもしれません。​​

  2021.05.31

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  『弱者の戦略』　稲垣栄洋（著）　新潮選書

  新潮選書は5年前から　非常に面白い話題について取り上げ　編集者のセンスの良さが目立つ。最近は、それほどでもないがポピュラーサイエンスや戦前史は非常にスマッシュヒットが多い。さて、今回紹介するのは『弱者の戦略』。生物や植物での「弱者が生き残る」ために　どんなことを行っているのか？　ダーウィンの進化論を覆すような観察や生態が　どんどん出てくる。戦国武将が強さを感じた植物と家紋の関係アリ最強説食われるものの食われない戦略カゲロウは　儚くないすべての生き物はオンリーワンではなくナンバーワンだから生き残っている弱者必勝の条件「負けるが勝ち」の負け犬戦略弱者が子孫を残す方法強者のチカラを利用する日本の政治家や官僚の皆さん。日本の高齢化と少子化　もう少し　生物学に裏打ちされた政策をとらないと　日本は滅亡してしまいますよ。これは冗談ではなく　この本を今の日本の人口問題と比較して考えると、恐ろしくなるほど　今の日本の少子化の戦略が絶滅へと進んでいることがよくわかるのである。ライオンとシマウマでも　長生きしたほうが最終的に勝つと思われるが　子孫が生まれないと　どちらも絶滅しかないでしょう。日本で結婚できない中年男女が多い。モテない独身男性は自分の子孫を残すために　子供を生んでくれる女性に出会えない　結婚できないと諦めている傾向だ。独身女性も高齢になれば売れ残りと言われる有様。人間以外の生物は　モテない　相手がいない状態でも　なんとか自分の種を残す数々の戦略をもち　実行している。自分の命を引き換えに自分の種を残すため相当リスクの高い行動もしている場合が多い。人間でも　倫理的にはアウト　犯罪まがいの性犯罪の増加は　自分の種を残すための足搔きではないか　弱者の最終行動ではないかと思うわけです。パパ活　援助交際　売春　ホスト狂　海外の買春ツアーなどが　それらの典型でしょう。はかない命と例えられるカゲロウ。カゲロウは短い命でも　子孫を残すことを第一優先に生きている。カゲロウの天寿は短い。成虫になり　ほんの数日で　子孫を残す行動をし　命のバトンタッチができれば　すぐに死んでもいいのである。この生存戦略をもつカゲロウは　なんと3億年の化石から今と全く変わらない状態で発掘され出てくるのだから、相当なものだ。今　生きている生物は海洋全蒸発や全球凍結など環境が激変しても、しぶとく生き続けて残っているわけで。この本を読んで　いろいろな具体的な事例を読めば読むほど　今の生物の生命力の凄さに　「へぇ～」が　何度も出てきます。一番印象に残ったのが「最悪な条件こそ（弱者には勝つ要素があり）　最高である」という点だ。これは戦争での戦いでも同じことで「最も有利な状況と最も不利な状況は同じ」＝ピンチはチャンスなりと同じだからだ。日本は平和ボケの国なので、戦争の戦術の基本さえ知らない人が多いです。大勢で戦う時は「中央突破」し　相手側の陣地を突き破れば勝ち。しかし、突き破れないと包囲されて負け。つまり、「最も有利な状況と最も不利な状況は同じ」であるということなのです。これは生物でもいえるわけで　今まで　たんぽぽが生い茂っていた公園の敷地に　台風や大雨　異常気象で　ぬかるみ　水浸しで池ができる状態もある。。そして　ぬかるみの最悪な状態が長期間続いたら　たんぽぽ以外の植物が侵入し　たんぽぽを駆逐できるチャンスがあるということです。しかし　そのたんぽぽが大雨や台風が作り出したその最悪な環境に耐える仕組みを整えて生き残ったら　たんぽぽの独占が進みます。学術会議の先生が「戦争に関わる学問はしない」と拒絶していますが、組織論や戦術を考える上で、「戦争に関わる学問」は有益です。学者は１人で考えればいいだけですが　軍隊や官僚　会社は組織で動くため　どのように組織を動かすのか？という戦略論や戦術論がなければ　その組織が崩壊するか敵に攻められて降伏　占領か倒産　組織崩壊しかありません。今の自公政権や官僚、そして、都道府県知事や地方自治体は、新型コロナに対する戦略も戦術もなく　精神論とお願いだけで何もできないのは、戦略学や戦術を知らないし　組織を率いたことがないからでしょう。所詮　村社会の「なぁなぁ」で　動物園のサル山で　キャッキャッ騒いでいるだけです。最後に、この本の著者である稲垣先生が西洋の諺で結びを締めている。「一番強い者は自分の弱さを忘れない者だ」。この諺を理解できるものが、アフターコロナでのし上がっていくように思われます。逆に　自分のアタマの弱さ　意思決定のなさ　思い込みばかりの正義論　身体障害をアピールして　世間に声高に叫んで　批判や愚痴しか言えない人たちに　この言葉を贈りたいと思います。

  2021.05.30

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  『服従の心理』　スタンリ・ミルグラム（著）　河出文庫

  今回、「人間はどうしたら服従するのか？」という大命題で背負った実験がこの本である。 ある種、マインドコントロールの手法ともいえるだろう。 権威によって、人間は良心を忘れて残虐な行動に走るという衝撃的な実験が書かれているわけだ。 権威といっても、命令する人とされる人との関係性、そして、命令された人が行う様々な言動。 実は、人間って考えないほうが無茶苦茶な行動をする。よくバカッターや　アホな動画配信者が「漢字はググればいい　計算は電卓を使えばいい」と主張しているのも　結局　Googleや電卓がなければ　何もできないことを意味する。それに正論だと賛成する人間は、その同類であり、かわいそうな人たちにしか見えない。もしくはGoogleと電卓を使って　何も考えることもできない「よゐこ」ちゃんになるのだろう。アホは所詮アホである。世間に注目され続けてカネを稼ぐのも　限りがあることも知らないのであろう。大体　忘れ去られた人気者は、悲惨な人生を送っているものである。矢沢永吉さんみたいに才能を信じて「成り上がり」もできないわけだ。 「思考停止」状態で機械的に行動しているほうがラクであることを人間は本能的に知っているように思われます。 「責任が私がとるから」の一言で、すべて他人へ責任転嫁できる自分自身が納得し「何をやってもかまわない」ようになっていく人間の怖さ。 良心の呵責というものは、結局、「批判精神」がないと駄目だし、なすがままにあやつられることが「素直」であり「よゐこちゃんであるように思い込まされているマインドコントロールのようなものだろう。 このような「よゐこちゃん」が集まれば、統治するほうはラクだ。 戦後、アメリカ占領統治から引き継いだ洗脳教育（WGIP）によって、アメリカが日本占領のためにおこなった統治方法をそのまま、日本のパワーエリート、特に吉田茂が生み出した保守本流という勢力がそのまま統治方法を引き継いだようなものだ。 このミルグラムの服従の実験は、要するに「人はどのように行動するのか？」を焦点にあてているように見えて、実は、「人間は、環境によって、行動が変化する」ということを証明した。『全体主義の起源』で　ハンナ・アーレントがアイヒマン裁判傍聴をしていて指摘していたことでもある。 内的要因ではなく外的要因によって、人間はカメレオンのように行動が変化するというものなのである。 それが結びで書かれている「人がどのように行動を決めるのかは、結局、その人がどのような状況におかれるか？」にかかっているということなのである。 ミルグラムの実験については、トーマスプラスの『服従実験とは何だったのか』誠信書房と一緒に読むほうが有益である。 行動科学について元祖は、ミルグラムといっていいだろうと思います。彼の業績はとてつもないもので、この服従実験以外に、複雑系やネットワーク理論など、「人間とはなにか？」を追求した社会心理学学者であり　様々な分野で今でも影響があります。ただ、ミルグラムの実験によって　服従の方法が開発され　悪い方向へ　権力者の都合の良い道具として使われてしまう危険性をもっと注意したほうがよいように思います。

  2021.05.29

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