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ピンクスパイダーインタビュー

痛快なサウンドとポジティブなメッセージを持ったシングル「ROCKET DIVE」が好評を得たhide…いや、hide with スプレッド・ビーバー。そんな彼らの次なるシングルがリリースされる。それも2枚だ! 独特のグルーブを持つ「ピンク スパイダー」とドライブ感たっぷりの「ever free」。そして、どちらの歌詞も再び深いメッセージ性をはらんでいて、ある意味これは「ROCKET DIVE」でのメッセージの続編だともいえるだろう。そんな2枚のシングルについての話を聞くべく、L.A.で3rdアルバムのレコーディングに取り組んでいるhideに電話インタビューを敢行。もちろんファンには気掛かりな3rdアルバムの方向性も少し語ってもらった。


●「ピンク スパイダー」と「ever free」という2枚のシングルが相次いでリリースされますが、そのいきさつを教えて下さい。

hide:いきさつというか、「できてしまったから」というのが一番なんですけどね(笑)。今、3rdアルバムのレコーディングが進行中なんですけど、その中から先行シングル的に切っていきたいという意向があったんで(切る:シングルを出す)、先にできてきた「ピンク スパイダー」と「ever free」の2曲…最初、この2曲で1枚のシングルだったんですよ。ちょっとの差で「ピンク スパイダー」が先にできたんで、それを日本でプレゼン(プレゼンテーション:提案)をかけたら、「『ピンク スパイダー』を出そう」となったんですね。で、後から「ever free」も日本に送りつけたら「こっちもいい」ということになって、バラバラにされたんです。だから、基本的には僕の意向というよりも、会社の意向。

●じゃあ、この2曲は特にシングル用に作ったわけではないんですね。

hide:アルバム用に作った曲ですね。1月に山中湖でプリプロ(プリプロダクション:レコーディングを円滑に行うための前準備)や曲作りの合宿をしてたんですよ。そのときに20~30曲作ったんですけど、その中の2曲です。

●今回のシングルでもhideさんがベースをプレイしていますが、ますますベースにハマっているという状態ですか。

hide:いや、…「ピンク スパイダー」のプロモーションビデオの撮影のためにスプレッド・ビーバーのみなさんがこちら(L.A.)にいらしたんで、ベースのCHIROLYNを捕獲しまして、アルバムに入っている他の楽曲のベースプレイをやらせていたんですよ。「やっぱりベースはベーシストに弾かせるもんだな」と改めて思いました(笑)。「ピンク スパイダー」を作っているときは僕もノリノリで弾いてたんですよ。「やっぱ、俺、いいベーシストじゃん」って(笑)。でも、最近は「ベースはベーシストだな」とちょっと思っているんですけどね。

●でも、「ピンク スパイダー」のベースのグルーブなんて、プレイしていて気持ち良かったんじゃないですか。

hide:気持ちいいッスよ。その辺のベースを弾かせたら日本一かもしれない…いや、神奈川県一かな(笑)。

●じゃあ、ライブで”ベーシストhide“が観れたりするんですかね。

hide:ライブでも弾きますよ。スプレッド・ビーバーの人達が歌うときは、僕がベースを弾きます。CHIROLYNが歌うときとかね。

●まず先にリリースされる「ピンク スパイダー」ですが、うさんくささを持った70年代や80年代ロックがソフィスティケートされて、90年代世紀末的ロックンロールになったような印象を受けたんですけど、hideさん自身はどんなサウンドを目指したのですか。

hide:サウンド的には僕の中では一番肩の力が抜ける感じですね。作り方としては”サイボーグロック“という言葉を最近よく使うんですけど…聴いた感じが生ドラムとマシーンという印象を受けると思うんですよ。

●ええ、そういう印象があります。

hide:でもね、これはスプレッド・ビーバーのJoe(宮脇知史)とゼペット・ストアの柳田(英輝)という2人のドラマーに普通のドラムをたたいてもらって、それを合体させて一つにまとめてあるんですね。それでまずドラムを作って、その後に16ビートのシャッフルをマシーンで刻んで、その2つが合わさって初めてこのグルーブが生まれるという”サイボーグビート“なんです。

●生と機械が合わさって生まれていると。

hide:そうですね。シャッフルとかのハネは機械でなかなか作れないんで、おもしろいんですよ。だから、人間臭いところと機械の正確なところの真ん中ぐらいのところでやろうということで”サイボーグロック“だと。

●hideさんが今ハマっている音が、その”サイボーグロック“ということになるのですか。

hide:でも、もともとソロを始めたときからメンバーがいないから相手がドラムマシーンだったり、機械だったりすることが多かったんで、この辺の作業は結構クセになっていますね。

●でも、ソロを始めたときと比べると、今の方が生々しさが出てきていると思うんですけど。

hide:そうですね。でも、基本的には、やっぱりバンドありきなんですけど、「コンピューターは欠かせない!」というところでやってますね。だから普通の素人の人が言う“コンピューター音楽”とは違う。例えば映画とかに出てくるサイボーグというのは、人間の形をしているから人目には人間なのか、サイボーグなのか分かんないじゃないですか。そのマシーンだということが分かんないところを目指しているんで、“サイボーグロック”って僕は呼んでいるんですけどね。

●なるほど。新しい名称ですね。

hide:“デジロック”という言葉が嫌いなんですよ(笑)。

●そして、そんな個性的なサウンドの中でもメロディーがキャッチーな部分を失っていないのですが、やはりそれは歌モノということを意識しているからなのですか。

hide:「ピンク スパイダー」に関しては自分のメロディーというか、勝手に出てきちゃうメロディーなんですよ。この曲が一番良くできていると思うところというか、チャートにたたき込むときの音楽というか、そういうのをにらんだ音楽というのと、日本人として生まれて歌謡曲を聴いて育ったロックの人というところの融合ができていて、時代と照らし合わせてもそんなにズレていないという。

●その歌謡曲という部分でも、やっぱり80年代の歌謡曲やニューミュージックのいい意味でのいやらしさを持ったメロディーがうまくロックに吸収されている印象も受けました。

hide:だからね、この曲を英語で歌うとすげえおもしろいんですよ。日本語のかつぜつって全部にアクセントがくるんですけど、それが英語だと頭にくるんですよね。その違いがおもしろくて、これを聴いて邦楽っぽいと思うか、洋楽っぽく思うかというのがあるんですけど、僕はそのどちらでもないものを作りたかったんですよ。歌謡曲を聴いてきたロックの人が作った、時代からずれていないロックンロールを作りたかったんです。

●そういう部分が出ているんですね。で、今度は「ever free」について聞きたいのですが、ボーカルスタイルに特徴がある曲ですよね。やっぱり曲を作ったときに「この曲はこんな歌い方で~」と考えるのですか。

hide:メロディーだけはずいぶん前からあったんですけど、アレンジが二転、三転…七転ぐらいして全然ハマんなかったんですよ。最初はバラードだったりして、今のエセGS(GS:グループサウンズ)になったのはレコーディングの直前だった。で、その直前にできたアレンジでパッと歌ったらこんな歌い方だったというのが正直なところ。

●自然にそうなった?

hide:そうですね。

●今言われたようにアレンジが何転もしたせいか、終盤でのホーンが入ったりする突飛な展開がおもしろいのですが、ある意味これはhideさんの持つ屈折したポップ感覚が出ているところなのでしょうかね。

hide:う~ん、そう考えてみると「最近、ギターソロがねぇな」と思いますね(笑)。今はギターソロよりも、いいメロディーを出したいというか、メロディーのあるギターソロを弾きたい。

●それは、当たり前のようにギターソロがある定番の展開はしたくないということで?

hide:というよりは、それを今自分の体が求めている。ギターソロを弾きたくなったら作ると思うけど、自分が聴くときになるとギターソロって邪魔なんですよ。

●邪魔?

hide:ええ、今ね。昔のギターソロがある曲に対しては何とも思わないんですけど、今自分が作ろうとしている新しい音楽に対してはギターソロを要求しないんですよ。ギターソロを入れるんだったら、ヘビーなリフとか、いいリフをずっと入れておきたい。そういうふうに体が動くんですよ。

●今回のシングルは、どちらの曲もすごく歌詞を聴いてしまうんですよ。で、まず「ピンク スパイダー」の歌詞が、現在の感情がゆがみ始めた少年少女達へのメッセージのように思えたのですが。

hide:えっとね、1月に出した「ROCKT DIVE」というシングルが「ポジティブに進め!」みたいな珍しく対外的に少年少女に当てている部分が多かったんですけど、それに対して「やりっぱなしじゃいかん。そんな都合のいい話はねぇだろう」という気持ちがすごくあったんですね。「人生、飛び込めばいいというもんでもねぇだろう」と(笑)。「ROCKT DIVE」は「虎穴に入らずんば虎子を得ず」みたいなことがテーマだったりしたんで、その先のことを書かなければいけないと思って「ピンク スパイダー」を書いたんですよ。「ピンク スパイダー」の“ピンク”というのは“妄想”を指す言葉で、“スパイダー”というのは蜘蛛というよりも蜘蛛が吐き出す糸ということで、“WEB(ウエブ:蜘蛛の巣)”なんですよ。情報とか自分で手を広げる世界…僕も夢中になっているんですけど、インターネットとかの手を広げればどこまでも広げていけるような気がするものということでね。それを題材にして、主人公の蜘蛛が自分のウエブを広げたんですけど、それは意外と小さい世界だと。それで蜘蛛は、口には出さないんだけど「空を飛んでみたいと」と思っていたら、「ROCKT DIVE」みたいな人に「空はおもしろいから、飛んでみろ!」と言われて、飛んでみたの。で、このシングルではそんな「自分の力で飛んでみよう!」というところで終わっているんですけど、アルバムではその続きの歌詞が残っているんですよ。蜘蛛は飛んであこがれていた雲になったんだけど、そんな雲もまた空というでかいものの一つにすぎなかったというお話なんです。

●深いですね。実はそんなアルバムバージョンが存在するということですね。

hide:「ピンク スパイダー」と同名になるのか、対になるのか、違う曲になるのかはまだ分からないんですけどね。

●今度は「ever free」なんですけど、この歌詞はhideさんの少年期を現在の少年少女達に投影したもののように思うんですよ。

hide:そうですね。でも、「ピンク スパイダー」とテーマは全く一緒なんですよ。「ピンク スパイダー」はストーリー形式になっているだけ。「ever free」は「ピンク スパイダー」よりも分かりやすく言ってみたんですけど、サビが2つあって“夢”と“自由”という言葉が両方に出てくるんですね。片方は“夢”を語って“自由”を引き合いに出して、もう片方は“自由”を語って“夢”を引き合いに出しているような作り方をしているんですけど、“夢”を得るために“自由”を切り売りにするのか、“自由”を得るために”夢“を切り売りにするのかというところを歌っているんですよ。“ever free”というのは“普遍的な自由”という意味で、そこで「“普遍的な自由”とか“FREEDOME(フリーダム:自由)”なんてものがどこにあるんだ! どこにもない!」と思うのか、それとも“夢”と“自由”という似ているようで全然違うものの中を行ったり来たりしていることが“自由”なんじゃないのか? と思うのかというところを歌っております。

●こちらも深い…。

hide:「ROCKET DIVE」は人に宛てているようで、自分に書いていた部分も大きいんですよ。ただ、それを受け取った少年達というか、お客さん達に「ああ、頑張らなきゃ」と思わせてしまったから、それだけでは済まされないという責任みたいなものがあって、今回の歌詞を書かされたというのがすごくあります。言い放しだとhideとしてのアイデンティティーが崩れてしまうような気がしたんで、絶対に書いとかないといけないというかね。ただ、いつもそんなことを書いているわけじゃなくて、酒飲んでおもしろかったことも書きますから、それをずっとやっていこうとは思わないですけど、今は自分が書かなければいけないと思ったから、こんな詞を書いたというわけです。基本的にはやっぱり自分を中心に書いていますからね。だから、他人には全く分からないような詞を書くときもありますよ(笑)。逆に自分と全然かけ離れた詞というのは書けないですね。

●それを書いてしまうとウソになりますもんね。

hide:うん。ウソもウソとして書きたい。

●じゃあ、hideさんはそんな歌詞をどういうものだと思っていますか。

hide:やっぱり日々の生ゴミなんじゃないですか。

●生ゴミ?

hide:日々生活していて、どんどん捨てていかなくちゃいけないものというか、確認するものですね。

●歌詞を書き終わって「あっ、俺はこんなことを思っているのか!?」と。

hide:時間がたつとそう思いますね。逆に書いているときは自動書記に近い感じがします。

●意識することなく、自然に言葉が出てくる?

hide:もちろん自分で作っちゃうときもあるんですけど、そういうのは自分の中に残らない。

●現在進行中の3rdアルバムのレコーディングは順調に進んでいますか。

hide:順調とは言いがたいですけど、進んではいます(笑)。

●スタジオ漬けの日々(笑)?

hide:はい。

●でも、そうなってくると感覚が鋭くなって、さらにいろいろなアイデアが出てくるんじゃないですか。

hide:いや~、もういいですね。もう止めたいです(笑)。やっぱり温存期間というか、熟成期間が欲しい。まあ、そうも言ってられないんですけど。

●アルバムにはスプレッド・ビーバーの面々も参加するんですよね。

hide:それぞれ何曲かに参加してもらう予定です。今のところドラムのJoeはずっと押さえています。

●個性豊かなメンバーがレコーディングに加わると、曲がどんどん変わったりするんじゃないですか。

hide:やっぱり生になるとね。ただ、セッションという形は絶対に取らないんで、スクリプト(台本という意味。この場合では原型)が崩れたりすることはないです。

●hideさんがイニシアティブを握っていると?

hide:そうですね。だからアレンジが変わったりすることはないです。

●では、今回のアルバムですが、希望的観測も含めてどんな作品になりそうですか。

hide:前の『PSYENCE』というアルバムはそれぞれの曲がそれぞれに干渉しないというか、邪魔をしているアルバムを作りたかったんですよ(笑)。前の曲の印象を次の曲が台無しにするような曲の並べ方をしたんで、それぞれの曲の印象がはっきりして16曲最後まで聴けるというDJのような作り方をしたんですね。今回もその辺は多分変わんないですけど、立脚している曲の強さというのが前よりも強くなっているんじゃないかな? まだ編集に入ってないんでちょっと分からないんですけど、1曲1曲をバラバラに並べて見ているとそんな気がしますね。

●じゃあ、より強力なアルバムが期待できそうですね。

hide:そうですね。自分的にはディープ・パープルの『MACHINE HEAD』とか、レッド・ツェッペリンの『LED ZEPPELIN II』みたいな、1曲1曲が持つ個性が印象的なアルバムを作ろうとは思っています。


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