男の引きぎわ
昨日の夜、ドラマの「HERO」を観てる時だったな テロップで流れた『中田英寿引退』のニュース それを読んだ時は、さすがに少しビックリしたけど・・・ ブラジル戦の後のあの姿を思い出した時、「あぁ、やっぱり こういうことだったんだ」って気づいたどう考えても、少し早すぎる引退 あの時、彼の頭の中にはどんな思いが渦巻いていたのかな?自分の全てを出しきってやり遂げたとか、精一杯やり遂げての満足感とは、少し違っていた様な気がする いや・・・ 彼自身は、今現在、彼の持っている全ての力を出し尽くしたんだと思う その意味では、ある種の満足感はあったんだろうな でも、全て自分の思い描いていたとおりに。。 いや、たとえ結果が思い描いていたとおりじゃなくても、全てを出し尽くして、精一杯生き切った時に感じる充実感のようなものは、感じることはできなかった様な気がするたぶんそれは、彼自身がひとりのプレーヤーとして得られる、選手一個人の充実感だけでは満足しきれなくなっていたからなのかもしれない 中田英寿がサッカープレーヤーとして最も充実し、彼の中でのイメージとして最高のプレーができたのは、きっと前回の日韓ワールドカップの時期だったんだと思う でもあの時、彼はひとりのプレーヤーとしての充実感ではなく、もっと違う、もっと大きなものを掴み取りたかった彼はこう思った 「代表チームとして、もう少し上に行くことができた。もっと先に進むことができたのに・・・それができなかった」 が故に、次の4年間 つまり、この4年間に、その掴みきれなかったものを手に入れるために、全てを賭けてきたんだと思うでも、その夢は叶わなかった いや、前回、彼が到達できたと感じていたところにさえも辿り着くことができなかった 周りが違った 彼の思いと、彼の周囲にいる仲間たちとは、あまりにもその思いの違いにギャップがありすぎた ワールドカップという舞台にかける意識のレベルの違いにギャップがありすぎた 彼は、世界に自分のプレーヤーとしての力を示すために、自分を売り込むために、自分に厳しく、そして周りにも厳しくしていたんじゃない 彼は示したかった 自分が生まれ育った、日本という国でやってきたサッカーが、世界に充分通用することを! そして、そうした同じ誇りをもった、世界のそれぞれの国のプレーヤーたちと、そこでしか味わうことのできない真剣な戦い中で完全燃焼をしたかった 彼は、他の代表の誰よりも、代表チームを愛していたし、誇りを持っていた でも、彼の思い描いていたことは幻想に終ってしまった 技術やスピードは、世界で充分通用しても、その意識のレベルの差に違いがありすぎた 世界で戦いきるには、あまりにも幼稚でレベルの低いものだった まだ日本は、サッカーの世界においては世界の競合に比べると、高校生レベルに毛が生えたものでしかなかった そのことを、思い知らされたが故に、彼にはこの先の4年を考えることができなかった 4年で、その差が埋められるとは考えられなかった 技術はある程度追いつけても、意識のレベルの違いや、戦うことに対する執念とか、ワールドカップという世界最高の舞台に立つことができるプレーヤーとして の誇りや喜びというようなものは、今の日本のプレーヤーにとっては、それを熟成させるには、まだまだ時間のかかるものなのかもしれない 今、日本代表は、我々にとって、代表に最も必要とされるものを持ち合わせている、唯一の貴重なプレーヤーを失った 4年後・・・我々は、どんな気持ちで次の大会を見ているんだろう そして、彼はどんな気持ちで、その大会と代表チームを見るんだろう