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2006/10/31(火)01:52

“スタンバイ・デューティー”

業務報告(8)

皆さんは、じっと待つことには忍耐強い方ですか? 客室乗務員というと、フライトで世界各地を飛び回っている面だけクローズアップされがちですが、定期的に地上で訓練・試験を受けたり、会社の広告塔としてイベントに出演したり、フライトしながらたまに新人訓練のインストラクターとして授業を持っているクルーもいたりと、さまざまな顔を持っています。 この他に、飛行機の安全運航に欠かせないのが“スタンバイ・デューティー”です。飛行機には、各機種によって最低限必要な乗務員数がコックピット・客室ともに定められており、それに満たないと保安上罰せられるため飛ぶことが出来ません。 しかし、クルーも人間。時には急な病気や怪我で飛べなくなることもあります。そんな時は一刻も早く会社に連絡し、代わりのクルーを手配してもらわなくてはなりません。この手配が意外と大変なのです。時には機種変更や長引くディレイで一便のクルー全員が入れ代わることもあります。その飛行機の機種資格を持っていること、路線の言語の規定、前後のフライトとの空き時間、この3つは必須条件で、それを満たすスタンバイ・クルーを選んで会社が自宅に電話をかけてきます。携帯電話は不可、自宅待機が原則です。 このスタンバイ、およそ半年おきに2週間ずつ回ってきていました。なぜこんなに長いかというと、ロングフライトの後の最低必要な公休までまかなうためです。したがってスタンバイの後半はショートフライトにしか呼ばれません。不測の事態に備えて、多数のスタンバイ・クルーが今もいつ鳴るか分からない電話を待っているのです。 自宅で自由に待てますが、食事を作り始めたばかりなのに「一時間後にテイクオフ!」なんてかかって来るとたまりません。また、このような緊急呼び出しでの行き先が夏の国なのか冬の国なのか、あるいは自分が一体いつ帰って来れるのかすら分からないため、あらゆることを想定して荷物も準備しておかなくてはなりません。 数時間後に自分は世界のどこに居るのでしょうか??? 私が知る限り、この“スタンバイ・デューティー”を好むクルーはいませんでした。スタンバイの最後の日が終わる瞬間は、美味しいワインとチーズで自分に乾杯していました。格別です

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