医療の現実日本の医療の現実米国リポート 「医療の質・安全の改善状況~日本への教訓」
いろいろな新聞、雑誌、本などで日本の医療レベルの遅れが指摘されていますが、高カロリー輸液の第一人者、臨床の最前線でメスを奮った外科医、小野寺先生ならではの医療選択への提言書の要約です。 今までも富裕層は欧米諸国で高度医療を受けていましたが、最近では東南アジア諸国に患者が流出しているという日経新聞(04/7/15)の記事がうなづけます。 私達がさらに賢くなって、自己責任で病院、医師を厳選していくことで、よい医療を受け、医療レベルが上がるように努めたいと思います。 私は怖くて医者にはかかれませんので、今まで以上に徹底して病気予防、若返りに励みます。 健康、長寿にご興味のある方は、ご一読されることをおすすめいたします。 ************************************************************************** 『新治る医療、殺される医療―医者からの警告』 (著者 小野寺時夫氏 中央公論新社) まえがき、良い医療を受けるためには ◆日本の医療の特徴 ◎日本全体でみると、医療技術レベルは欧米よりもかなり低く、病院や医師による格差が著しい。 慎重に選んでよい医者に当たれば、世界一流の診療を少ない個人負担で受けられる。 病院や医者に大差ないだろうと安易に受診すると、近代医療とはいえない低レベルの診療を受けることが少なくない。 ◎病院と診療所の機能分担がはっきりしていない。 欧米なら大病院の専門医に送るような患者を専門医がいなくても見様見真似、パート医が診断していることが多い。 ◎病院や医者の良否がわからない。 日本の名医、病院ランキング、専門医紹介等の本は信頼できない記述も多く、役に立つとは思えない。 ◆人間の本性を誤解した健康保険制度 ◎公定価格による出来高払いの健康保険制度は、自由主義社会の理念に反し、人間の本性を誤解して作られている。 技能、設備が優れた高レベル医療と、相反する低レベル医療の価格が同じ公定価格制。 順調に治らない方が儲かる不合理な制度が、医療の質の改善を阻み、医療を歪めている。 質より量のバブル医療が続き、薬漬け、検査漬けの必要をはるかに超えた過剰医療が通例。 架空請求をして国民医療費や税金を盗む医者が少なくないことは健康保険審査員がよく知っている。 ◎医者と患者が対等ではなく、患者の人格が十分尊重されていない。 ◎診療過誤はアメリカに比べてはるかに多いが、訴訟事件数はアメリカの約40分の1と、氷山の一角。 ◆日本の新薬は欧米では認可されず ◎薬漬け、検査漬け医療は日本中で行われている傾向が強く、世界に類を見ない。 CT、MRIのような高額医療機器を世界の3分の1も持ち、個人当たり世界一薬を消費しているのに、全体の医療レベルは高くない。 日本の新薬の約70%は、欧米では薬として認可されず、効果が確かでない。 ◎営利目的の診療が多い ◎救急医療体制は、全国的に不備。 ◎医者や病院の能力では診療が無理な患者でも、専門医のいる設備の整った病院に転院させないことが多く、死亡している例が少なくない。 ◎病室は狭くて居住性が悪く、医者や看護師などの病院職員数が欧米の数分の1と少なく、患者管理体制が比較にならないほど劣悪。 日本の第1級病院の造りがアメリカの貧民対象の慈善病院よりも劣る。 ◆平均入院日数はアメリカの5倍 ◎大病院は待ち時間が長く、診療時間は短く、混雑している。 ◎平均入院日数がアメリカ約7日、欧州諸国は10数日が多いが、日本は30日余りと著しく長い。 ◎日本の開業医は世界的にみても金持ちが多く、勤務医の3倍。 ◎日本医師会は自己の利益保全のための圧力団体で日本の医療改革を阻んでいる。 ◎金さえあれば誰でも入れる低レベルの私立大学を多数認可し、医学教育も卒後研修制度もすべて時代遅れ、欧米とは比較できないほど劣り、良い医者が養成されにくい。 ◆政・官・業・医の癒着、馴れ合いが続いている ◎病気の時は最良の治療を受ける人生の基本的重要事なのに、病院選び、医者選びに熱心ではない。 ダメ医者を増長させ、医療の改善を阻んでいる大きな原因 ◎日本の医療の基本を牛耳っている厚生官僚は、医療の本質や歪んだ日本の医療の現実を正しく理解できていない上に自信過剰。 将来の天下り先を含めた自己の利益保全を第一と考えている人が少なくない。 ◎政治家、官僚、医学界のボス的な人も信頼できないことがたいへん多い。 自分の身体は自分で守る心構えが必要。 患者が日本の医療事情を理解して、良い医者良い病院選びをすることが自分のためと、日本の医療を改善する確実な方法。 第1章 ゆがんだ医療の実態 1.過半が不適正治療を受けていた(口コミ依頼患者の診療シリーズ) ◎膵臓がんの手術が私大病院では謝礼含め約800万円の見積、転院した都立駒込病院で10万円。謝礼が超高額。 ◎超音波、CT、MRI、血管造影などの画像診断法が著しく進歩したが、検査機械のレベル、不慣れ、経験不足医者が画像診断すると誤診が時々ある。 ◎大病院の診療が正しいとは限らない ◎益がなく害が多い抗がん剤治療 ◎クモ膜下出血患者は、緊急手術で90%救命できる。 2.盛業の民間療法や代替医療 ◎注意を要する民間療法 ◎効果を学会で発表すべき代替医療 3.安易に行われたやるべきでない手術 ◎今も全くないとはいえない不必要な手術 ◎医の倫理欠如の歴史 4.救急車の行き先で運命が変わる ◎生死が決まる救命医療センターには、各科の専門医が常時待機している体制が必須。 ◎地区救急病院として名が通っていても、レベルが低く、救急体制不備なところは少なくない。 ◎交通事故は儲かるので、でたらめな救急指定病院 ◎救急隊員と救急病院の馴れ合いは全国的 ◎ヘリポートのある病院は20以下と文明国とは思えない ◎県立病院や市町病院でも、レベルの低い所はそちこちにある ◎ある私的救急病院の稼ぎ頭の医者は、首にしたかったダメ外科医 5.世界に類を見ない過剰診療国 ◎投薬も検査も必要最少が医療の基本なのに、薬漬け、検査漬け医療に医者も患者も麻痺 ◎本当に必要な医療には人的物的資源が十分投入されていない ◎薬漬け、検査漬け医療は収益のためと、検査、薬の多いことが良い医療と錯覚している ◎51年に国民皆保険制度が実施され、出来高払いの制度が過剰医療を招いた ◎多くの患者が医者任せ、医療を理解、評価せずに過剰診療を促進し、ダメ医者を増長、日本の医療の改善を阻む大きな原因 ◎医者の養成制度に欠陥が多く、レベルの低い医者が多い ◎数多く新設された私大病院は、経営が最重点 6.薬漬け医療 ◎ずば抜けた世界一の薬大消費国で、総医療費に占める薬代:30%、欧米:11~18% ◎健康保険認可薬の種類は欧米の数十倍、欧米では薬と認められていないものが驚異的に多い。 ◎健康保険認可薬は18,000種類、欧米の基本薬は約500種類 ◎厚生省が効果の確かでない怪しげな薬を健康保険適応と膨大数認可 ◎いいかげんな新薬認可の審査 ◎漢方薬の問題は、まともな臨床試験なしに認可され、漢方医学に無知な医者が軽率に乱用 ◎薬の正しい使い方をよく知らない医師がたいへん多く、患者も薬に無知で不注意に飲んでいる ◎正しく処方された医薬品による副作用による死者はアメリカで年間106000人と死因の4位 7.検査漬け医療 ◎CT、MRIのような大型医療機器を世界の3分の1も保有。欧米では大型医療機器は地域ごとに設置台数が決められていて、大病院にしかない。 ◎血液、細菌、組織などの民間検査所が乱立、検査精度に問題 8.抗生物質濫用の恐怖のツケ ◎抗生物質の威力はすばらしく、感染症を制圧できたと過信した ◎日本の抗生物質消費量はずば抜けて世界一 ◎アメリカの抗生物質使用に関する臨床教育、使用基準は日本とは比較にならないほどしっかりしている。細菌の種類、効果的な抗生物質を調べて処方するのが普通。 ◎MRSAなどの耐性菌が出現、さらにどんな抗生物質も効かない耐性菌が猛威を振るい始めている。抗生物質の乱用が人為的にMRSAを増産、世界的に恥ずべきで、人道上も許せない 8.国際的に非難され続けている血漿製剤使用量 ◎日本は血漿製剤の世界総生産の30%弱を使い続け、その60%を輸入に頼り30年以上国際的に非難され続けている ◎血漿製剤の投与が高額医療の大きな原因で、ほとんどが大学病院などの大病院で使用。世界に恥ずべき低レベル医療の根元は大学病院。
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