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国の財政「財政破綻した夕張より悪い」 財政制度等審議会 ◆わが国の財政が危機的な状況にあることは、政府・経済団体・マスコミなどがことあるごとに喧伝してきましたが、国民一人ひとりの実感は極めて乏しいのではないでしょうか。国民の間で危機感を共有していないことが、財政再建が進まない最大の原因だとして、国民による危機感の共有化を訴えたのは、経済同友会がこのほど発表した「活力ある経済社会に向けた財政健全化の道筋」と題した提 言です。 ◆わが国は、現在、80兆円の税収に対して35兆円もの財政赤字を計上し、長期債務、つまり借金は740兆円を超えています。このような著しい財政の悪化を実感できないのは、数字が現実離れしていることが一因です。そこで、提言は、冒頭において、危機感をより実感してもらうために、国の財政の現状を平均的な世帯の生活状況に引き直し、年収630万円で年間280万円の赤字を出していることに相当すると指摘します。 ◆こうした不健全な家計運営を続けてきた結果―現実の一般世帯であればとっくに破綻しているでしょうが、借金の総額は年収の9倍を超える5830万円にものぼります。それでも生活を切り詰める努力を怠り、毎年毎年、新たに借金を重ねています。健全な家計を維持するには、住宅ローンの場合では年収の5倍程度がほぼ限界。年収の9倍を超える借金を抱えていては、借金の返済負担を子どもにまで回さざるを得ないでしょう。 ◆しかも、せっかく購入した住宅の価値が下落していたら大変です。仮に、住宅や車などの資産を売却し、預貯金もすべて借金の返済に充てようとしても、これでは生活の場や蓄えを失い、生活が成り立たちません。健全な生活を取り戻すためには、借金を一定レベルまで減らす必要があります。それには、まず生活費を年収以下に切り詰め、さらに借金の利払いを含めて年収の範囲内に抑えれば、借金の拡大は防げます。 ◆しかし、より一層の努力をしなければ借金は減らせません。もちろん、生活を切り詰めるだけでなく、家計収入を増やすことも考えられます。どの程度の生活レベルを望み、そのためにどの程度がんばるかは、各家庭が選択すべきことです。 結局、「家族全員が危機的状況を真正面から受け止め、将来の生活設計を立てたうえで、支出削減と収入増への約束事をきちんと定めて、家計を健全化していく以外に道はない」というのが本提言の論旨です。