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割り箸

◆口に入れるのは食べ物だけじゃない 危ない中国製「割り箸」

普段、何の疑問もなく使っている割り箸の安全性に疑問がでています。
私はエコロジーと安全性からマイ箸を愛用していますので割り箸は使いませんが心配な問題です。

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奈良県五條市に事務局を置く「日本割箸輸入協会」が公表している「割箸輸入統計表」によれば、日本の2006年度の割り箸輸入量は489万3976カートン(1カートン=5000膳)で、その実数は244億6988万膳である。(註: 膳=箸2本を1対として数える)。一方、国産割り箸の生産量を示す統計数字はないが、林野庁が2005年度の生産量を4億5000万膳と推定しているので、これを準用すると、輸入品と国産品の総量は約250億膳となる。

▼日本人は2日に一回以上は割り箸を使っている
日本の2007年1月1日時点における推計総人口は約1億2777万人だが、ここから箸の使えない0~4歳の人口約549万人を差し引くと約1億2228万人となり、1人当たりの割り箸消費量は年間で約204膳という計算になる。これは5歳以上の国民が1人当たり2日に1回以上の頻度で割り箸を使用していることを意味しているわけで、驚異的な数字と言える。

ところで、2006年度に輸入された割り箸244億6988万膳はどこから輸入されたのか?99.1%を占める485万405カートン(=242億5202万5000膳)が中国から輸入されている。中国以外ではベトナム(0.5%)、チリ(0.1%)、ロシア(0.1%)などからも輸入されてはいるが、微々たる数字に過ぎない。

割り箸には木製と竹製の2種類がある。中国から輸入された割り箸に占める木製と竹製の比率を示す統計はないようだが、2002年時点で竹製は70万膳と言われており、木製が主流を占めていることは間違いない。(なお、木製は中国東北部の黒龍江省や吉林省などでアスペン(=白ポプラ)・シラカバなどを原料に生産されているし、竹製は南部の湖南省や江西チワン族自治区などで生産されている。)

▼「なぜ割り箸に品質保証期限がないのか」
その中国の割り箸に関する記事が、中国遼寧省大連市の新聞「半島晨報」に2007年8月7日付で掲載された。その主題は「使い捨ての割り箸にはどうして品質保証期限が表示されていないのか」であり、これを解明すべく同紙の記者が調査を行った結果を報じたものであった。

同記事の概要は次の通りである:
中国の竹製・木製の使い捨て箸には明確な規格が存在する。即ち、「国家品質監督検験検疫総局」(以下「国家品質総局」)と「中国国家標準化管理委員会」が2005年6月28日に連名で公布した「中華人民共和国国家標準」と2003年12月に実施した「中華人民共和国林業業界標準」である。前者は“使い捨て箸を梱包した箱には、製造者名、出荷時期、品質保証期限などの表示”を義務づけている。また、国家品質総局が2006年に公布した「食品用包装容器工具などの実施細則」でも“使い捨て用品の最小包装単位には製品の品質保証期限を表示せねばならない”と規定している。

しかしながら、大連市政府の関係部門は次のような見解を示した:
使い捨て箸に品質保証期限はあるが、保証期限の決定は生産者に委ねられているのが実態である。従い、万一にも箸に木材本来のものでない斑点が出現したり、使用前に湿気や変形、明らかな酸味が感じられたら、汚染されている証しであり、使用すべきでない。肉眼で使い捨て箸の衛生状態を確定することは不可能であり、箸に病原菌や化学物質が付着していても判別することはできない。それが分かるのは、人体に有害物質が蓄積されて一定量に達して何らかの症状が現れた時である。

▼衛生状態はどうなのか?現地での実態調査の結果
こうした事前情報を得たうえで記者が割り箸の実態調査を行った結果は以下の通り:
[1] 飲食業の大部分は、箸の洗浄、消毒などによる労力、経費を節約すべく使い捨ての割り箸に依存している。割り箸はシラカバやアスペンを材料とする木製がほとんどであった。割り箸の包装にはプラスチックと紙の2種類があり、さらに密封しているものと、そうでないものの2種類に分かれるが、どれも品質保証期限を明記したものは無かった。

[2] 割り箸の卸商によれば、材質がアスペンの割り箸の価格は、包装なし100膳で2.5元(約37.5円)、包装付きはその倍になる。包装なしなら、材質の良いシラカバ製は50膳で2.5元、竹製は70膳で5元(約75円)である。一般に売れるのは廉価なアスペン製割り箸で、包装が必要なら3元で400枚の紙の箸袋を購入して自分で差し込めば安上がりだという。アスペン製割り箸は売れ行きが非常に良く、入荷から販売までに最長でも1カ月程度なので、品質保証期限を過ぎる可能性は極めて少ない由。

[3] 1週間を費やしてアンケート調査を行ったが、使い捨ての割り箸に品質保証期限があることを知る人は皆無であった。調査では、95%の人が割り箸は衛生面で理想的な状況にはないとしながらも、約75%の人が割り箸は消毒して何回も使う箸に比べれば他人の口に入っていないだけ衛生的であると考えていた。

環境分野の専門家によれば、中国では毎年450億膳もの木製割り箸が生産され、500万立方メートルの木材資源が消費されているが、樹齢20年の大木1本から製造できる割り箸は3000~4000膳に過ぎないという。中国でも森林伐採が問題視されていることから、割り箸にもロシアからの輸入材が使用されており、既に3割ほどに達している。これに対し竹は2~3年の成長周期で原料として使用可能であり、使い捨ての割り箸原料としては最適だが、木製に比べ手間がかかることから原価が高いという難点がある。

▼割り箸を衛生的に保つのは難しい
一方、木製割り箸の生産工程は大別して3つに分かれるが、割り箸を衛生的に保つことは難しいのが現状であるという。

その問題点は以下の通りである:
[1] 漂白:薬剤を加えた水で洗浄した後に硫黄で薫蒸するが、化学薬品の残留量を一定限度内に抑えることがポイント。防カビ効果期間を延長させるべく、一部の生産者は防カビ剤として大量の農薬を使うケースがある。

[2] 乾燥:滑石粉(タルク・パウダー)を加えて水気を除去して乾燥させるが、滑石粉は胆のう結石を誘発しやすいだけでなく、滑石粉に含まれる重金属が人体の血液や神経系統を損傷する可能性がある。<使用前に洗浄すれば、表面に付着している滑石粉を減らすことが可能である由>

[3] 艶出し:一部の生産者はガンの誘発物質である「多環芳香炭化水素」の工業用パラフィンを使用している。 

なお、竹製割り箸の場合、生産工程は木製とほぼ同一だが、一番重要なのは乾燥であり、十分乾燥させて含水率を10%以下にすることができるかがポイント。乾燥工程で手抜きをして、十分に乾燥させないまま防カビ剤を投入してごまかす不埒な生産者の存在は否定できない。

さて、中国の専門家が指摘しているこれらの問題点について日本ではどうなっているのか。

前出の「日本割箸輸入協会」では、財団法人日本食品分析センターによる残留化学物質(6種類)の検査済みを示す「割箸安全認証マーク」制度をスタートしており、70~80%の割り箸がマークを取得しているとしている。ただし、これは抜き取り検査をベースとしているものであろうし、上記問題点と6種類の検査項目との関連性はどうなっているのだろうか。

日本ではどうなっているのか?
 さらに、「半島晨報」が提起した問題である“割り箸の品質保証期限”は、日本ではどうなっているのだろうか。スーパーやコンビニでもらう無料の割り箸や飲食店の割り箸の品質保証期限という問題はついぞ考えたことが無かったが、原産国の中国でこの問題が提起されたことを考えると、我々もまじめに“割り箸の品質保証期限”という問題に取り組む必要があるのではなかろうか。無料でもらった割り箸、特にプラスチックで包装された割り箸からは酸っぱい臭いが漂う気がするのは筆者だけであろうか。

▼「使い捨て割り箸の使用中止」も
2003年3月に設立された「中国食品土畜産輸出入商会衛生箸分会」(China Chopsticks Trade Association)は中国の割り箸の輸出窓口である。同分会は2006年12月6日開催の理事会で、2007年1月から木製割り箸を20%値上げすることを決定した。同分会は2005年末に50%の値上げを決定して30%の値上げを既に実施していたが、残り20%の値上げを2007年1月から実施することを正式に決定したもの。日本側の窓口である日本割箸輸入協会は「値上げをのまなければ、輸出数量を制限する」という中国側の圧力に屈して、これを受諾したものだが、割り箸価格を巡る日中の攻防は今後も続いていくことになろう。

2007年8月10日付の中国の英字紙「チャイナ・デイリー」(China Daily)は、中国食品協会(China Cuisine Association)の“「緑の五輪」(Green Olympic)キャンペーンの一環として「使い捨て割り箸の使用中止を」という提言を掲載した。

同協会は毎年450億膳の割り箸が使用され、その製造のために2500万本の木が消費されていると訴えている。この訴えがオリンピック期間中の割り箸の使用中止や日本向けの割り箸輸出の停止につながることはないだろうが、環境保護とも相まって割り箸は重要な役割を担いつつあるように思われる。

(出典:日経ビジネス オンライン)


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