不妊症 2簡易な方法で75%妊娠
「順調ですね」。超音波でC子さんのおなかの赤ちゃんを診る院長の三宅馨さん(岡山市の三宅医院で) 岡山市の主婦C子さん(29)は現在、妊娠7か月。不妊治療に1年近く通い、待望の第1子をみごもった。 結婚1年を過ぎたころから、避妊しないのに子どもができないことに気づき、一昨年、会社員の夫(34)と共に検査を受けた。 顕微鏡で調べた夫の精子は、正常な人の3分の1程度と少なく、動きのある精子の割合(運動率)も低かった。このままでは自然な妊娠は難しい。 こうした場合、顕微授精を勧める不妊治療施設は少なくない。顕微鏡で見ながら、卵子に針で穴を開け、精子を注入する方法で、体外受精の一つだ。 だが、C子さんが受診した岡山市の三宅医院では、すぐにそうした高度な治療は勧めなかった。 不妊治療は一般に「タイミング法」から始まる。体温を毎朝測って排卵日を特定し、それに合わせて性生活をする。 同医院では、初めの5回はタイミング法を指導し、次に軽い排卵誘発剤を使って再びこの方法を5回程度行う。それで妊娠しなければ、精子を採取して子宮に注入する人工授精に進む。これも5回程度行う。 C子さん夫婦も、まずタイミング法を指導された。 「精子の数や状態には、ストレスも関係している」と言われた夫は、禁煙し、週4回、水泳も始めた。その効果かどうかわからないが、精子は平均的なレベルに増え、5度目のタイミング法で妊娠した。 「初めて不妊治療を受ける人で35歳未満の方には、体外受精などの高度治療に進むまでに、1年半ほどかけてタイミング法や人工授精といった簡便な方法を行うことが多い」と、三宅医院生殖医療センター長の国方建児さんは言う。 同医院では年間約400人が不妊治療で妊娠しているが、約60%はタイミング法で成功している。人工授精を合わせると、75%は簡易な方法だ。自ら体外受精を希望する人もいるが、国方さんは「本当に体外受精が必要な人は1割程度だと思う」と話す。 だが、不妊専門施設では、簡易な方法はほとんど行わずに体外受精を始めることが珍しくない。背景には、高額な体外受精に比べ、簡易法は手間をかけても収益につながらないことなどが指摘される。 患者にとっても、自然な妊娠に近い方が身体的に楽で、経済的負担も少ない。体外受精では1回数十万円かかるが、C子さんが妊娠までにかかった費用は計6万円程度だった。 国内では年間約7万組が体外受精など高度な不妊治療を受けているが、そのすべてが必要な治療かどうか疑問もある。「自然な形で産みたい」という希望にも応える施設を選びたい。 体外受精の費用 読売新聞が全国の不妊治療施設に実施したアンケートでは、標準的な体外受精1回当たりの費用は、30万円台が53%と最も多かった。10万円台から60万円までバラツキがあり、妊娠件数の多い都市部の施設で高い傾向があった。 (出典:読売新聞)
●HOME 「健康増進、病気予防、抗加齢(若返り)、長寿、豊かさ、幸せを探求する研究所」に戻る ⇒ |