健康オンチ日本人ほど健康オンチはいない
現在、健康ブームと言われている。しかし栄養学士としての意見を言えば、「日本人ほど健康オンチはいない」。 本当の健康を理解していないうえ、より健康になろうという意識が欠落しているように感じる。その原因のひとつに、国民健康保険の制度がある。 日本は世界でもまれに見るほど制度が整った国である為、国民の健康に対する意識を阻害するという弊害が生じている。つまり、健康になるよりも、「病気になったら病院で治してもらう方が安上がり」と言う考えを持つ人が圧倒的に多い。 検査や入院に高額の費用がかかる米国では、自分の健康は自分で守るという意識が高い。 日本でも健康保険の負担は増えているが、それでも米国よりは恵まれている。この現状が自身の健康に対して鈍感になっている要因だろう。 医療関係者の話を聞くと、来院する患者のうち、治療を要する病気である患者は全体の20%程度だという。 往々にして健康食品業界はその20%を対象に、「万病に効く」「がんに効く」「コレステロール値を下げる」などと「病気」を相手に商売をする。病気は医薬品業界に任せておけばよく、病気ではない健康な80%に目を向けるべきだろう。 健康食品業界が抱える問題は、薬として健康食品を扱っていると言うだけではない。薬を突き詰めると「他人任せの健康」と言う甘えの精神に行き着く。つまり、「医者が治してくれる」や「薬が治してくれる」と言う考えだ。 健康食品を摂取する日本人は薬感覚の人が多く、これを飲めば効くという他人任せの考えを持っている。その結果「効かないではないか」となる。消費者は「だまされた」「高価なものを売りつけられた」と言う気持ちになってしまう。 自分の責任において、自分の健康を維持すると言う観念が欠如している。こういう状況が続いては、国民の健康は改善されない。 我々は病気と健康を分けるのではなく、健康をレベルで考えるべきだ。つまり、健康レベルの低下が病気につながると言う考え方だ。 現代は、添加物や紫外線、ダイオキシンなどさまざまな不安材料であふれている。健康に対して何も対策を取らなければ、健康レベルは低下する一方。もっと身体に必要な物質を整えて健康レベルに応じた商品を提供していくことが本来のあるべき姿ではないかと思う。 もちろん業界だけが問題なのではなく、消費者の知識や認識が他国に比べて低いとう事も大きい。消費者の認識の低さは、日本の栄養学に問題があると考えている。 米国では小学生のころからサプリメントを学んでいるといわれている。(栄養補助食品健康教育法、1994年施行) 日本の栄養学は世界と比較して25年遅れており、また、日本のサプリメントの摂取レベルは、米国でサプリメントを摂取し始めた1975年の状況に似ているともいわれている。しかし、米国との大きな違いは、日本の栄養学が食品化学をベースにしている点だ。 健康食品の展示会の場合、日本では一般食品の成分をベースにした「ヘルスフード」が多いのに対し、米国ではビタミンやミネラル、アミノ酸をベースにした商品が圧倒的に多く「ヘルスフード」はごく一部でしかない。つまり、健康レベルを維持する為に必要な栄養素をいかに補っていくかという教育が、幼少のころからなされているためだろう。 一方、日本の栄養学は食品化学が基本であるため、食品に含まれている成分やカロリーがどうなのかということが論点になっている。これはテレビの健康番組を見ていても明らかで、「この食品にはこういう栄養素が含まれているから体にいいはずだ」と番組内で伝えている。 本来ならば「ビタミンやミネラルが食品からでは摂取できないからサプリメントで補おう」、というべきなのに。 さらに、健康食品業界もテレビで取り上げた食品の成分で商品開発し、目先の利益を追求する傾向がある。テレビで流れている情報の中には、間違った情報やスポンサーの関係上真実を隠したものだってある。また、摂取する人によって個人差がある。 間違った情報に振り回されている消費者に正しい知識を伝えて、個人の健康レベルに適した商品を提供することが健康食品業者には必要ではないだろうか。そのためには、消費者の上をいく正しい知識を自分で集めることが重要だ。 人間の体は生命体であり、生命を維持する為に生きている。生命を維持する為には、何が必要かという本質を考えれば、自ずと何を摂取すべきかが見えてくる。その摂取すべき多くの商品と消費者教育を組み合わせて、消費者に提供していくべきだろう。 このやり方は、企業としてすぐに結果が出る手法ではない。しかし、長い目で見れば一番利益か上がる方法であり、また、消費者にとっても有益な道であるはずだ。 ナターシャ・スタルヒン:ホリスティック栄養学 修士
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