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統合医療2

◆西洋医学と伝統医学、相補・代替医療(CAM)の長所を統合した統合医療は最先端医学

◆統合医療プロジェクトチーム、第2回会合を開催

“「玉石」分ける療法の実態調査”実施へ

統合医療推進に向け、2010年2月に発足した厚生労働省の「統合医療に関するプロジェクトチーム(PT)」は4月26日、第2回会合を開いた。

会合では厚生労働省、文部科学省、環境省などで行われた省内外調査の結果報告や、有識者を招いた統合医療の現状と課題についてのヒアリングが行われた。

PTでは今年度中に統合医療の利用実態調査を行うことを決め、現状、「玉石混交」といわれる統合医療について、利用者に役立つ情報を提供するための検討作業をスタートさせる計画も示された。

健康食品を活用した療法がどう位置づけられるのかが注目される。

(出典:健康産業新聞)





◆統合医療は最先端の医学 渥美和彦・日本統合医療学会理事長に聞く

「西洋医学と伝統医学、相補・代替医療(CAM)の長所を統合した新分野」

民主党政権が推進する医療政策の一つが、統合医療。厚生労働省では2010年2月に、「統合医療に関するプロジェクトチーム」を設置、関係者へのヒアリングなどを進めている。4月26日の第2回会議に出席したのが、日本統合医療学会理事長で、東京大学名誉教授の渥美和彦氏だ。渥美氏は「臨床ゲノム医療研究会」の理事長も務め、5月23日には第1回臨床学術会議を開催する。

渥美氏に、統合医療とは何か、また現状の医療の問題やその問題解決に統合医療がどのように寄与するのかなどについてお聞きした(2010年5月11日にインタビュー)。

渥美和彦氏 1954年東京大学医学部卒。心臓外科を専攻。医療情報システム、人工心臓など先端医学を研究。1965年東大医用電子研究施設教授。定年退職後、1998年日本代替・相補・伝統医療連合会議を設立、2000年に日本統合医療学会を設立し、理事長に就任。
 
――4月26日での厚労省のヒアリングの際、統合医療の定義、範囲などについて聞かれたそうですが。

近代西洋医学は、科学に基盤を置き、体系が整っており、客観性、再現性、普遍性などの特徴を持つために、米国でも日本でも同じ治療、手術が可能です。一般的に理解されやすいために進歩・普及し、これまで、そしてこれからも医療に大きく貢献することは確かです。しかし、進歩してあるレベルに達したために、いろいろな問題が出てきたわけです。

どちらかと言えば、近代西洋医学は、目に見える、モノに触れる、実際に感じることができるといった「物質中心」で来たわけですが、それでは満たされないものがあることを、患者自身も、あるいは医師も気づいてきた。これが統合医療の原点なのです。簡単に言えば、科学では証明されないようないろいろな治療法があるのではないか。

――「近代西洋医学に問題が出てきた」のは、いつ頃のことでしょうか。

一番のきっかけは、ベトナム戦争です。ベトナム戦争で米国は大きな心の傷を負った。兵士も、国民もそうです。そんな時に、ちょうどカリフォルニア州を中心に、「ニュー・サイエンス」の運動が起こった。「ニュー・サイエンス」は、様々な形で展開されましたが、その一つが公害問題。科学技術の進歩は必ずしも幸福だけをもたらすとは限らず、環境破壊につながることもある。科学中心でやってきたことに対して、これでいいのかという疑問が呈せられた。

近代西洋医学についても同様で、その限界が見えてきたと同時に、これに代わるものがいったい何であるかが注目され始めた。その代表が、伝統医学、民間療法です。

伝統医学は、中国、インド、イスラムで、中国医学、アーユルベーダ、ユナニ医学という形で、4000~5000年前から行われています。アジアは、三大伝統医学の発祥の地です。科学やエビデンスという概念がない時代から行われているわけで、より良いものが残り、悪いものは途中で淘汰されてきた。つまり、「経験の医学」と言うこともできます。その特徴は、個人を中心に置いた個別化医療を言えるでしょう。

そのほか、鍼灸、マッサージ、カイロプラクティックなど、ヨーロッパでは、ホメオパシー、スピリチュアル・ヒーリング、ルルドの泉など、科学のない時代から伝えられ、今でも生き残っている療法があります。科学に根ざした近代西洋医学を相補する、英語で「complementary」、代替医療は「alternative medicine」。つまり、これらの療法は、「complementary and alternative medicine」、「CAM」と称されるようになった。

しかし、実際にやってみると、一部は近代西洋医学に代わるものの、完全に代替するものでもない。そこで近代西洋医学と伝統医学、相補・代替医療のそれぞれの長所を生かし、新しい医学・医療を目指す概念として、統合医療が出てきたわけです。

皆さん、よく「統合医療が分からない」と言いますが、定義は簡単です。

――伝統医学やCAMは、西洋医学的なエビデンスの概念にはなじまず、「より良いものが生き残ってきた」とのことですが、その中でも良否があるかと思います。その選別については、どうお考えですか。

はい、その当たりが問題になってきます。その背景には、今、東の文明と西の文明が衝突して、融合しようという歴史的な転換期にあるという事情があります。さらにキリスト教を中心とした西洋の宗教がある一方で、イスラム教、仏教との相克もある。こうした様々な背景の中で、いろいろな問題が生じているのです。

統合医療の実現には、恐らく100年ぐらいかかると思います。皆さんは、科学で解明できれば、問題が解決するとお考えですが、近代西洋医学と統合医療は異なる体系で発展したわけで、考えが根本的に違うために難しい。

なぜ難しいか。例えば、胃の病気ですが、近代西洋医学は、どちらかと言えば局所、「胃を診よう」となる。胃という臓器、実態そのものを診ようとするわけですから、内視鏡やX線で検査し、胃の炎症、潰瘍の有無などを見る。それで、「これは胃潰瘍だ」と診断し、胃を治療する。これが科学的な診断と治療を行う西洋医学。

しかし、東洋医学では、そうではなく体全体のバランスを見ます。中医学では陰陽のバランスが壊れるとか、アーユルベーダでは「ヴァータ、ピッタ、カッパ」という三つのエネルギーが壊れるとか。つまり体を守る、あるいはそれを貫く一つの原則が壊れ、その壊れた部分がたまたま胃に出た時に「胃の病気」になるわけですから、胃の症状があっても、体全体を見ながらやる。「胃が痛い」という症状に対し、近代西洋医学と統合医学ではアプローチの仕方が違う。両者の統合は難しいわけです。つまり近代西洋医学から診た胃の病気と、統合医療で見た胃の病気が一緒であるかどうかが分からないわけです。これが非常に大きなポイントで、皆さん、なかなかそれに気が付かない。

二番目のポイントは、統合医療は患者中心、個別の医療である点。つまり「その人にしか、当てはまらない」ことがあるわけです。ですから、アンドリュー・ワイルという、統合医療の第一人者が米国のアリゾナ大学の教授がいますが、彼は「患者に対する治療法はすべて違うため、その人の治療法は一つしかなく、他の人に当てはめることはできない」と言います。

近代西洋医学では、ある人に起きたことは次の人に同じように起こる。同じように普遍的に通じるという考え方で来た。しかし、その考え方では患者の治療は必ずしもうまくいかないというのが統合医療。お分かりですか。いえ、よく分からないでしょう。

つまり、完全な発想の転換が必要。統合医療の実践は、「革命」に近く、今までの考え方、制度、社会の考え方、場合によっては法律も大きく変える必要がある。ここが一番、難しいわけです。したがって、今までのような考え方で、統合医療を理解できるかどうかという問題が次に出てくるわけです。

――全く違う概念ということですが、近代西洋医学と統合医療は、代替する部分もあれば、補完する部分もあることになりますか。

そうです。ケースバイケースですべて違います。ですから、考え方として、非常に進歩した医学になるわけです。伝統医学、鍼灸、マッサージ、ヨガ、カイロプラクティックなどは非科学的、「レベルの低い医療」であると誤解されている。しかし、それらを使って統合して、アッセンブリーして一つの体系にするのはクリエーティブなこと。全く違う新しい医学になる。ですから最先端の医学になるわけです。

(出典:m3.com)





◆玉石混交の統合医療の検証は必要 渥美和彦・日本統合医療学会理事長に聞く

新しい評価手法の確立が課題、ゲノム診断が有力候補

――今、統合医療を系統立てて教育・研究している国あるいは大学などはあるのでしょうか。

そこで問題になるのが、科学的エビデンス。科学的エビデンスは、確かに一つの考え方ですが、例えば、キリストもやっていたと言われる「手かざし療法」。これで病気が治ることもあり得る。気功をやったことがありますか。気功では、手からどんなエネルギーが出ているのか。今まで随分研究されましたが、赤外線なのか、磁気なのか、何なのか分からない。それでなぜ治るのか。不思議でしょう。

科学者は漢方薬の個々の成分を抽出し、有効性を調べればいいと言いますが、漢方薬は複合的な要因が絡み合って効く。さらに言えば、同じ生薬でも、黄河あるいは揚子江の流域など、地域によって、季節によっても含まれる成分が微妙に異なる。こうしたことは、今の科学では十分に解明されない。だから、そのための新しい方法が必要ではないかと。ですから非常に最先端の分野なのです。このことをまず理解してもらうことが大切です。

さらに、難しいのは、「個別」ということで、今までのような評価方法が通じないのではないか、と皆さんが言い始めた。統合医療における各患者の反応をいかに評価するか、その方法が世界にないわけです。近代西洋医学におけるRCT(ランダム化比較試験)は、二群に分けて平均を見るわけですから、個別的な評価が必要な統合医療には当てはまらない。

――その辺りは世界各国で、今模索されているということですか。

我々もこの3年間、様々な文部科学省のプロジェクトで研究し、各国の研究所に行って討論などもしましたが、誰も答えられなかった。なかなか解決しない問題です。

様々なCAMがありますが、ある人に有効だった方法が、次の人に当てはまらない。それを実証する方法がないわけです。そこで皆さんが言う、「共通のエビデンスはないじゃないか」と。「共通」とは、今までの科学的の考え方。これからは、それを超えた新しい「科学」が必要だと考えています。

――先生方は、4月26日の厚労省でのヒアリングの際、「医療特区を設け、統合医療のパイロット・スタディを行う」と提案されています。

米国では、1990年にNIH(米国立衛生研究所)にNCCAM(National Center for Complementary and Alternative Medicine)を作り、基礎的・臨床的評価手法の開発などを進めています。最近では年間約400億円もの予算を計上して、大学とも協力しながら研究を進めています。

――4月26日の資料には、「九州大学別府先進医療センターや東北大学病院などでパイロット・スタディを行う」とありますが、話はどの程度、進んでいるのでしょうか。

話は着々と進んでおり、後は政府の予算措置を含む、より具体的な施策を待つばかりであると認識しています。

――これらの大学に統合医療関連の講座があるのでしょうか。

講座という形に至らなくても、数多くの伝統医学や代替医療があるわけですが、その中から主なものを取り上げて、“がん”なら“がん”に焦点を絞り、限定的なところからスタートしようという考えです。

――疾患自体は、がんに絞って研究を進めるということですか。

様々な形を考えていますが、例えば、がんの末期は、近代西洋医学では「ギブアップした状態」と言えますから、医師も「どうぞ、患者さんの好きなようにしてください」というのが今の見解だと私たちは考えています。患者さんたちは、「あれをやっていけない」「これをやっていけない」と言われることもない。手術も、放射線治療や化学療法も、もはやできない。

しかし、近代西洋医学ではまだ認められていない方法を使って何とか助けられる方法がないかと統合医療は考えるわけです。科学的エビデンスはないものの、実践例が多く、「これは効く」という実証性が高いものから始めて、可能な限り患者のQOLを高めていきたいと考えています。

その一つに、ビタミンCの高濃度点滴療法があります。米国では、カンサズ大学やNIHの科学者らが論文を書いており、各種のがんにおいて今、普及しつつありますが、日本ではこれからです。近代西洋医学の枠組みに入らないからでしょうが、こうしたものから取り組んでいくのが我々の考え方。その有用性は、大腸がんをはじめ、幾つかのがんでかなり分かってきており、遺伝子レベルでの解析も始まっています。

――統合医療の評価は難しいとのことですが、ゲノム診断が一つの評価指標になるというお考えですか。

そう考えています。まだ十分なデータはなく、スタートしたばかりの分野です。どんな遺伝子が、どのがんに関係しているのかを調べる。一つの遺伝子ではなく、多くの遺伝子が関与していると言われていますが、臨床的なデータを取りながら調べていこうということです。

――ゲノム診断以外の評価手法はあるのでしょうか。

ゲノム診断のほか、環境についての評価も必要でしょう。環境については、今まで言い伝えられているものをもう少し基礎的に研究しなくてはいけない。ゲノムと環境要因のインターラクションを研究することが大切ですが、その人の体質、性向、趣味、いろいろなものが関係するので、大変な研究です。米国では、ハーバード大学の研究者らが中心となって、1970年代から「Nurse’Health Study」が行われ、生活習慣と病気との関係を調査しています。

――では、日本統合医療学会としては、評価指標を研究することが当面の課題になりますか。

例えば、健康食品がたくさんでいますが、果たして効くのかどうか証拠が少ないわけです。テレビで「これで元気になった」と言っていますが、なぜ元気になったのか。十分にその理由が明らかにされていないままの状況で販売されているのは不思議な話です。

――効果が分かるものと分からないものは峻別すると。

はい。特に安全性が不明瞭な健康食品による健康被害もあり、これらの評価、あるいは規制も、統合医療において非常に大きな問題です。さらに言えば、不適切なものはできるだけ排除していく。ただその際の評価は、先ほどからお話しているように、個別性が重要。最初は有害性、つまり害があるかどうかを調べる。有効性の問題は、その次のステップになると思います。

――日本統合医療学会では、健康食品評価認定機構を運営しています。

まず安全性試験、時には毒性試験をやっているかが基本で、そのほか原材料や加工のプロセスの安全性、有効性などを審査していますが、現時点ではゲノム診断まではやっていません。

――統合医療については、今後、様々な研究・評価などが必要ですが、「ヒト、モノ、カネ」はどのように調達されるのでしょうか。

その通りです。皆さんから、同様の質問を受けますが、「こうしたらいいのでは」という具体的な提案は聞きませんね。

――厚労省はその辺りに予算をつける動きがないのですか。

ぜひ、マスコミの方などから言っていただきたい。2008年度厚生労働科学研究の「統合医療による国民医療費への影響の実態把握研究」を見ると、伝統医学やCAMがかなり普及している実態が浮き彫りになっています。ただし、玉石混交であるのも事実で、今後の統合医療の推進には、その安全性・有効性の検証、それに加えて、患者・国民に対する“正しい情報”の発信が必要であり、これにはマスコミの応援が必要、かつ重要であると考えています。

(出典:m3.com)


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