健康増進 病気予防 抗加齢(アンチエイジング) 長寿 統合医療 ダイエット 競技力 豊かさ 幸せ探求

2006/04/20(木)00:06

崖っぷちの小児医療 (2)労基法かいくぐる当直勤務 医師の良心に“おんぶ”が実情

病気・医療関連(1945)

いつもありがとうございます。 抗加齢実践家てるです。 崖っぷちの小児医療の2回目です。 「労働基準法を厳格に適用したら、救急病院はすべて、つぶれてしまいます」 ということが残念な現実です。 なりふりかまわず医療費を下げることだけに真剣な政府。 先進国で一番医療費をかけていないのに、この先、 日本の医療はどうなってしまうのか。 ********************************************************************* 自殺した小児科医、中原利郎さん(44)=当時=の遺族は今、労働災害の認定を求めて争っている。認定が難航しているのは、「当直」が労働基準法上、通常は勤務に認められないからだ。しかし、急患に対応する小児科の「当直」は未明に少し休める程度。当直を含めた三十二時間連続勤務があたりまえという過酷な労働条件が、小児救急をかろうじて成り立たせているのが現状だ。 「労働基準法を厳格に適用したら、救急病院はすべて、つぶれてしまいます」 今年三月、東京・永田町の衆院議員会館。厚生労働省の担当者は、民主党の衆院議員に病院で働く医師の過酷な勤務を緩和するよう求められ、脅しとも悲鳴ともつかぬ言葉を発した。 だが、それは脅しではなく、現実だ。 中原医師の自殺の労災認定は一昨年、棄却された。勤務は過酷だったが、同僚が同じ小児科で「若干少ないものの、同様の当直回数をこなしていた」ため、過酷な勤務が招いた自殺ではないとされたのだ。原因は「日本の社会に警鐘を鳴らし、小児科医療の環境が改善されることを望んだもの」とされた。 確かに、中原医師以上に当直をこなすケースはある。小児の急患を扱う病院では、通常勤務の後に当直に入り、翌日は再び午後五時まで勤務する「三十二時間連続勤務」が当たり前だ。実態は明らかに労働基準法違反だが、小児科の勤務医はこれを当然視している。 四月上旬の午後五時過ぎ、都市部の救急に対応するある病院。 昼まで外来の診察、午後は健康診断にあたった女性医師、佐藤清美さん(42)=仮名=は医局で入院患者への対応を引き継いでいた。午後六時半に店屋物の夕食。近隣の診療所から吐血患者の受け入れ要請があったのは、運良く、食事を終わらせた直後だった。 午後七時には夜間救急の臨戦態勢に入り、三十分後には吐血した二歳児を診察。胸のレントゲン写真を撮るなどして、内科の異常がないことから、耳鼻科の当直医に対応を依頼した。 この病院が午後十時まで併設している夜間診察室には、発熱や嘔吐などを訴える子供が次々に親に連れられてくる。その中で、佐藤医師は比較的重い子供に対応する。下痢で脱水症状を起こしている兄と妹には、研修医らの手も借りて点滴を行った。 小児科の点滴は修羅場になることも珍しくない。針を刺そうとすると、子供は泣いて全力で抵抗する。赤ちゃんになると、脂肪が多いために、細い血管も脈もなかなか見つからない。 結局、この夜十時までに夜間診察室を訪れた患者は十人。佐藤医師はそのうち四人と、吐血で運び込まれた子供、昼間の外来から様子を診ていた一人の計六人を診察した。 救急室で作業をしていると、午後十一時前には血便のあった子供が運ばれてきた。幸い、大したことはなかったが、入院した患者二人の対応などで佐藤医師は結局、午前一時まで休む暇がなかった。 午前一時以降の急患はなかったが、佐藤医師は「普段は午前二時とか、四時とかにも患者さんは来ます。日が変わって新たな患者さんが来ない今日のような当直は、年に二、三度あるかないかです」という。 ほとんど眠れず、神経を張り詰める当直勤務。それでも当直あけの翌日も午後七時までは通常の外来診察をこなす。小児科の勤務医には「よくある」(佐藤医師)連続三十四時間勤務だ。 この病院の小児科には常勤医が部長も含めて八人。勤務医の数は多い。それでも、佐藤医師の宿直は月三回程度、一番若い医師で六回だ。これより激しい勤務を強いられる勤務医も珍しくない。 しかし、当直は勤務時間にはカウントされない。勤務医ももはや、それを望もうともしない。勤務時間に入れると、「労働基準法上、残りの週の半分は働けなくなってしまうから」(別の病院の勤務医)だ。小児科の救急は、まさに医師の善意と良心に“おんぶにだっこ”が実態なのだ。 だが、それで救急が維持されるのも限界に来ている。新人医師が入らなくなっているからだ。二年前に研修が義務化され、研修医は一つの診療科を長く経験するのではなく、期間内に多くの診療科を経験するようになった。その結果、「子供たちが退院して帰っていく喜びを経験する機会がなくなり、大変さだけをみてしまう」(小児科勤務医)ようになったからだ。 今春、新しい研修制度の下、義務研修を終えた一年生が初めて、一人前の医師として歩み始めた。小児科医を選んだ研修医は、国立大学病院などで三年前に比べて40%も減ったという。 (出典:産経新聞)

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る