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2006/04/21(金)05:53

崖っぷちの小児医療 (3)患者増えても減らない赤字 点滴に3、4人がかり…見合わぬ報酬

病気・医療関連(1945)

いつもありがとうございます。 抗加齢実践家てるです。 医師不足が加速、赤字、継続できないの悪循環が断てるのか。 小児医療は知れば知るほど本当に深刻です。 *********************************************************************** 小児科の勤務医の過重労働で、若い医師の小児科離れが進み、勤務医から開業医への流出が進む。勤務医はますます不足し、勤務条件はさらに悪化する。小児科を抱える病院は減り、このままでは救急体制の維持もおぼつかない。こうした悪循環を生む背景には、自殺した中原利郎医師が命がけで訴えたように、小児医療の赤字体質がある。 神奈川県藤沢市の藤沢市民病院。この病院では平成十四年五月、三百六十五日・二十四時間の小児救急体制を整えた。それをきっかけに、平成十三年度に六千人だった患者は十四年度、倍近い一万一千八百人を数えた。その後も患者は毎年増え、平成十六年度は一万五千人を突破した。 増加の背景には、周辺住民に「いつ行っても、小児科医に診てもらえる」という安心感が浸透したことと、深夜に小児の急患に対応する病院が少ないため、患者が遠くから来ざるを得ない現実もある。 ところが、これだけ患者が増えても、小児科単独の収支は赤字だ。 救急体制を整えるため、常勤医を七人から十一人に増やし、看護師らのスタッフも増やしたためで、三千五百万円の公費補助を得ても、平成十五年度は八千五百万円の赤字。十六年度は患者数が前年度に比べ、千人近く増えたのに、赤字額は前年度比千五百万円増の一億円となった。 国はこの四月、医療費を抑制しようと、診療報酬の全体額を大きく引き下げた。小児科については危機的状況を認め、引き下げはなかったが、上げ幅はわずか。夜間診療の報酬が上乗せされた程度で、赤字体質を改善するにはいたっていない。 では、なぜ小児科は赤字体質なのか。内科と比べれば、原因は明らかだ。 小児救急で一番多いのは、零歳から二歳の乳幼児。六歳までで患者の七割を占める。埼玉医科大小児科の小田嶋安平教授は「この年ごろの子供は、自分の状態を自分で説明できない。注射や検査を泣き叫んで嫌がることも多い。赤ちゃん一人に点滴するのに、時には医師や看護師ら三、四人がかりで体を押さえなければならない」という。 人手は余計にかかるが、診療報酬は見合わない。小田嶋教授は「処置内容が同じなら、報酬は内科とほとんど変わらない。それどころか、薬の量が少ない分、診療報酬が減ることもある」と嘆く。 診療報酬が下がれば利幅も薄くなる。その結果が、小児科の慢性的な赤字体質だ。その結果、小児科医の数を増やせず、過酷な勤務が常態化する。小児科はしばしば、他の診療科から「赤字の科」とレッテルを張られ、「働きが悪い」と陰口をたたかれることもあるという。 重篤な疾患や、救急に対応する病院の小児医療が限界に来ていることは、データからも推測できる。小児科医の数は平成十四年に一万四千五百人で、平成六年より約千百人増。近年減ってはいるが、それほど変化はない。ところが、小児科をもつ病院は激減している。平成五年に四千を超えた病院の小児科は平成十四年に三千三百五十九。約十年間に二割近い減少だ。逆に、この間に小児科を掲げる診療所は四百余りも増えた。 「勤務医はしんどいばかりで報われる所が少ない」(小児科勤務医)という不満がくっきりと現れている。診療所の医師が救急に対応するケースは少ない。その結果、さらに勤務医の労働は過酷になる。 東京都内では、東京都職員共済組合が経営する青山病院(東京都渋谷区)が平成十四年、小児科を廃止。都の外郭団体が経営する多摩南部地域病院(多摩市)は平成十七年一月、入院患者や急患の受け入れを停止。東京医療生協が運営する中野総合病院(東京都中野区)も四月、入院と二十四時間救急対応を休止した。西東京市の佐々総合病院もこの四月から、小児救急体制を縮小させた。 それでも、東京都にはまだ、都内を十三分割した範囲内に最低一つは、三百六十五日二十四時間対応する小児救急病院が確保されている。だが、こうした態勢を全国に敷くには、新たに小児科の勤務医千五百人が必要とされる。 国立保健医療科学院の田中哲郎生涯保健部長は「開業医に比べて、勤務医は激務なのに、収入は少ないから、開業医志向に歯止めがかからない。小児医療はしっかりやればやるほど赤字になりかねない構造があるため、小児医療を担うのは公的病院ばかりになってきている。これまでの小児医療のあり方は限界だから、政策医療と位置づけて金銭面でも体制面でも、大胆な支援が必要だ」と話している。 (出典:産経新聞)

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