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カテゴリ:葬式こぼれ話
最後のお別れ
なんだかんだといっても、本当の本当のお別れは 火葬場です。 火葬場で生きていた姿とお別れするわけです。 私たちの住むF市はその昔、棺おけを焼く高炉への扉を閉じるのは 喪主の役目でした。 母が他界したとき、父(喪主)にそんなスイッチが押せるのか… と思いきや、業者さんがとっととスイッチを押してくれました。 余韻にひたったり、感情的になる暇がなかったっけ。 そして、今回。 喪主の姉がスイッチを押すのか… 姉は感情的になることがない人なので、 とっととスイッチを押せるだろうな~ 私は泣くだろうか… あれこれ考えながら、迷子になりつつ火葬場へ。 霊柩車に乗った姉は、あれこれ打ち合わせを済ませてました。 さて、火葬場にて、 業者「これが最後のお別れです」 「しっかりお別れしてください」 なんていうけど、最後に扉のところまで行くじゃないの… そう思っていた私や夫。 夫は火葬場に着くや否や、長女の「トイレコール」に奔走。 一足先に「最後のお別れ」をした私は、トイレを済ませた娘と夫に 「最後のお別れ」を促しました。 夫はばたばた走り回って、よれよれしながら 「最後のお別れ?」と不思議に思いながらお別れしてました。 寂しいけれど、まだ最後じゃないから、 棺おけの中の父の顔を軽くのぞきました。 子供たちにも「最後だよ~」とは言いましたが、 最後のカマの扉の話をしたら酷だろうと思って、黙ってました。 業者「親族の方はお部屋を出てください」 ああ、いよいよ、父を見送るんだ… しんみりしていたら、業者さんにエレベーターで 案内されました。 ん? 母が他界したときと、火葬場は建て変わったのか? なぜエレベーターで移動するのか? そういえば、棺おけ(父)はいずこ? んん? 伯母「今から控え室だもんね」 姉「火力があがったから、焼けあがるのは早いらしいよ」 ん??? 棺おけ(父)との別れに行くような雰囲気ではないのです。 なぜ??? 伯母「あそこで『最後のお別れ』と言ったじゃない」 姉「高炉には私たちは行かないで、業者さんがしてくれるんだよ」 ええええ~!? 私はてっきり高炉の前まで付き合って、最後のお別れをするものと… 姉が済ませた打ち合わせとは、そういうことだったのですか。 姉は火葬場に着いたら、父を焼く高炉に案内されて 番号札をもらったらしく、 高炉には親族は行かないことを知っていたそうです。 エレベーターの中で、そうとは知らずに動揺する私たち。 軽く顔をのぞいたあの時が「最後のお別れ~?」 姉、伯母「だから『最後のお別れ』と言っていてじゃない」 涙、涙のお別れをするだろうと想像していた私たちは、 泣く暇もなく、一滴の涙も流すことなく 父と『お別れ』したのでした… つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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