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北朝鮮はレアメタルの宝庫 とはいえ、相手は企業が自由に貿易できる国ではない。先の政府関係者は言う。 「北朝鮮は独裁国家なので、日本との経済交流では、朝鮮労働党や軍の幹部が元締めとなり、日本企業との窓口となる。当然、日本企業もツテを求めて、北朝鮮側の窓口とコネのある政治家やブローカーを頼るようになるでしょう。それが利権の温床となるのです」 政治家がゼネコンの水先案内人を勤めた例は過去にもある。金丸訪朝の翌91年10月、野中元幹事長は、大手ゼネコン数社を引き連れて平壌入り。ダムや港湾、道路事情などの視察を行っている。 近年では小泉再訪朝後の04年10月、大手ゼネコン10社が訪朝団を組み、現地視察を行う予定だったが、事前に計画が漏れ、右翼の抗議で中止に追い込まれた例がある。この時にも、政治家の口利きがあったと言われた。関係者の話。 「小泉首相は任期中の国交回復を公言していたので、ゼネコン各社が政治家に陳情合戦を繰り広げていた。このとき、北朝鮮側エージェントの吉田氏と朝鮮総連国際統一局の幹部が、水面下でゼネコン訪朝団の実現を働きかけていた」 さらに注目されているのが、北朝鮮に眠る「レアメタル」の採掘事業である。 北朝鮮事情に詳しいジャーナリストの野村旗守氏は語る。 「まず挙げらるのは、ジュラルミンの原料となるマグネシウム。ジュラルミンはとても軽いため、低公害の自動車から携帯電話、ICレコーダーなどの電子機器にも使われています。そして何と、このマグネシウムの世界最大級の鉱山が北朝鮮にあるのです。さらに半導体などに使われるタングステンやモリブデン。これらは金剛山に埋まっているとされる。こうしたレアメタル類は北朝鮮に豊富に眠っていますが、今の北の技術力では掘り出すことができない。現在、ほとんどが中国内で採掘されており寡占状態になっていますが、国交正常化し、この地下資源が開発できれば莫大な利権になるのは間違いありません」 経済規模こそ小さいが、制裁措置で途絶えていたカニなどの魚介類やマツタケなども日本に入ってくる。 事情通は言う。 「北朝鮮のカニは、主に鳥取県の境港に水揚げされ、貿易商の吉田氏が窓口になっていた。かの"大連会談"の直前、平沢代議士は、制裁措置を党内で検討していた際に、"境港のカニはどうなるんだ"と、まんまと朝鮮総連の工作に乗せられたような発言をしたことがある。国交回復されれば、カニ利権も復活するでしょう」 確かに、国交正常化されれば日朝ともに巨額の経済的メリットを享受できるが、同時に利権をめぐり魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈することになる。前出の北朝鮮問題専門家はこう見る。 「金丸信、野中広務以降、北朝鮮に絶大な影響力を持つ実力者はいなくなった。仮にいま北朝鮮との国交が正常化されても、日本側の窓口となる絶対的な政治家は不在。だから、山崎拓が議連を立ち上げた背景には、自身の影響力を確立したいという思惑があるのではないか」 それで拉致問題を二の次にすることなど、断じて許されない。 万景峰号は制裁のシンボル だが、福田首相の推し進める北朝鮮外交には一抹の不安がある。 6月13日、日朝公式協議の結果、北朝鮮による拉致問題の再調査と引き換えに、政府は人道支援物資の輸送に限り北朝鮮船籍の入港を認めるなど、制裁措置の一部を解除すると発表した。従来の政府方針はなし崩しになるのか。 「北朝鮮は米国を巻き込んで、日本から大幅な譲歩を引き出すことに成功した。日本政府の対応は敗北だったと思います」 と、民主党拉致問題対策本部副本部長の松原仁代議士は言う。 「国会でも質問をしたのですが、これまで政府は北へ出向くことは好ましくないという見解を示していたのに、一転して解除に動いたのです。やはり山崎拓氏らが働きかけて解除に動いたのではないかという疑念は拭いきれません。北側の工作が功を奏したということでしょう。むろん、その工作に沿って動いたのが山崎氏だという確証はありませんが、山崎氏らの議連の動きが北への人的往来解除へ向けた圧力になった可能性はあると思います。北朝鮮の思惑を汲んで動く政治家がいれば、国交正常化実現の際には、北側としてはそうした政治家にはそれなりの遇し方を考えるのではないでしょうか」 「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」の飯塚繁雄代表も言う。 「北朝鮮側が話し合いのテーブルに着くと言っただけで、これまで私共や世論が頑張ってきた経済制裁をこうも簡単に解除してしまうことには全く納得がいきません。ことに万景峰号の入港禁止は対北制裁のいわばシンボルでもあり、それが解除されるということは、日本政府が北へ大幅に譲歩した結果だと取られかねません。ただ口約束だけでは何ら意味がない。我々が要求する再調査とは、先の死亡や事故報告書などを白紙に戻した上で一から再調査を実施することなのです」 とはいえ、北朝鮮に本気で再調査する意思があるのか。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」の西岡力・常任副会長はこう見る。 「日朝交渉について一番心配なのは、次に北朝鮮がどういうカードを切ってくるかということ。彼らは日本国内で、拉致被害者が既に死んでいるとの情報に納得した勢力がかなりいると踏んで、再調査に応じた可能性がある。山崎さんらの動きと連動しながら、横田めぐみさんたちは亡くなっているという方向の証拠を新たに出してくるかもしれない」 そのときに、山崎元副総裁率いる議連は、どう立ち回るつもりなのか。野中広務、山崎拓両氏は利権との関わりを一切否定するのだが、日朝国交正常化を急ぐ政治家たちは、莫大な利権に目が眩んでいると言われても仕方あるまい。 (週刊新潮 '08.7.3) 山崎拓氏は、安倍晋三前首相が山崎氏の対北朝鮮融和路線を「百害あって利権あり」と批判したことに対し、「私の政治生命にかかわる発言だ。私は利権政治家ではない。誹謗(ひぼう)中傷する政治家の人格を疑う」「名誉棄損に相当する。安倍氏に取り消しと謝罪を求める」と述べ安倍氏に内容証明郵便を出した。 対北強硬政策は拉致問題のためのもの。米のテロ支援国家指定解除については与野党、自民党内でも意見が対立している。 6月26日、米政府は北朝鮮へのテロ支援国家指定の解除を議会に通告し、対敵国通商法の適用とりやめを決めた。 対北政策について、自民党内は大きく揺れている。拉致問題の解決に今後も「圧力」が必要だと考える中川昭一元政調会長ら対北強硬派が深い憂慮を表明する一方、対北融和派からは「日朝関係改善の弾みになる」と歓迎の声が上がる。(6月28日 産経新聞) 日本はアメリカに頼りすぎという指摘もあります。 その1 米政府が「拉致置き去り」のまま指定解除に踏み切る動きは、何カ月も前からあった。その間に何もできなかったのかという思いはある。だがもっと問題と思えるのは、家族らを米政府や大統領の「善意」に頼らせた日本政府や政治家の無為無策といっていい。(6月28日 産経新聞産経抄) その2 民主党の前原誠司副代表は27日、京都市内で講演し、米国が北朝鮮の核申告の提出を受け、テロ支援国指定解除に着手したことについて、「6か国協議は(北朝鮮の)核問題の解決のための枠組みで、日本の拉致問題のために作られたのではない。アメリカが国益にかなうと判断すれば、テロ支援国指定を解除するのは当たり前だ」と述べた。そのうえで、経済協力やエネルギー支援に参加すべきだとの考えを示した。 北朝鮮による拉致問題については「日本と北朝鮮の国交正常化の前提で、日朝国交正常化の中で厳しく追求していくべきだ。(6か国協議の枠組みで)拉致問題の進展まで期待している日本政府は、アメリカに甘え過ぎている」と指摘した。(6月28日 読売新聞) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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