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希望の国へ舵を切れ
12月4日、私は麻生総理との政労会見に臨んだ。その場で私は、非正規雇用労働者の解雇や新卒者らの採用内定取り消しが相次ぐという深刻な現状を踏まえ、緊急的な雇用対策を早急に打ち出すよう求めた。さらに中低所得者に対する生活支援の強化や、雇用保険の非正規雇用労働者への適用拡大などについても措置を講じるよう訴えた。 これに対し麻生総理は、現状に対する危機感は持っていたようだが、「いい知恵があったら提起してくれ」といった返答もあり、具体的にどんな方針でいるのか見えてこなかった。 もっとも、政府に抜本的改革を求めるだけでは、責任逃れの誹りを受けよう。労働組合自身も、自らの問題点を見つめ、変わらなければならない。 わが国の労働組合の大宗は企業別組合である。成熟した労使関係の下、企業の発展と労鋤者の雇用、労働諸条件の維持・向上のため、様々な課題を労使交渉によって解決してきた。使用者側も組合側も健全な労使関係を構築するために努力を重ねてきた。 しかし、バブル経済の崩壊以降、グローバリゼーションの到来、株主至上主義など企業経営を取り巻く環境は激変し、企業は生き残りをかけた競争環境に置かれることになった。労働組合は組合員の雇用を守るため、企業のリストラ策に一定の追随を余儀なくされた。個別企業内で見れば競争に生き残るための苦渋の選択であったが、日本全体で見れば非正規雇用労働者の増大や若者の失業、フリーターなどの不安定雇用といった社会的問題を引き起こしてしまった。労働組合は内向きになっており、窓を開けて外を見ることができなかった。職場に急増する非正規雇用労働者が視野に入っていなかった。私がこうした企業の不当性の高い 雇用契約に関して「経営が主犯であるとするならば、労働組合は従犯」と指摘している意味はここにある。反省なくして前進はない。 企業別組合の良い面を維持しつつ、その限界をどう克服するかが大きな課題である。言い換えれば組合員である労働者と組合員でない労働者の間の「壁」や「違い」をどう取り除いていくかということだ。労働組合がやらねばならないことは2つある。第1に、職場に組合をつくり、その組合に正規、非正規に関わらず多くの労働者が加入することで、労使交渉のテーブルに参加できる労働者を増やさなければならない。労働組合という雇用・労働条件を守るための仕組みを労傷者が自分のものにできるように、誰もが労働組合という「傘」に入れるように、連合としても積極的に働きかけていきたいと思う。 それでも、企業内での取り組みには限界がある。その限界の領域に、産業別労働組合や全国組織である連合がどうチャレンジしていくかが第2の課題である。特に、連合は正規や非正規という雇用形態の違いを乗り越え、組合に入っていない人たちも含めた社会全体、労働者全体の利益を追求しなければならない。不公正で不条理な状況におかれている非正規雇用労働者に、これまで以上に焦点を当てた運動が必要である, 連合に対しては、公務員など雇用の安定している労働者や、大企業で働く男性正社員の利益のみを代弁しているのではないかという批判がある。私は、こうした批判に謙虚に耳を傾け、女性や若者、パートや派遣などの非正規雇用の問題に連合としての運動の力を注いできたつもりである。弱い者に視点を当てて運動する。これが労働組合の社会的責任であると思っている。だからこそ、連合は2007年10月の定期大会で、非正社員への支援に最優先で取り組む運動方針を決めたのだ。 連合は同年十月に「非正規労働センター」を設置するなど、運動の強化をはかっているが、まだまだ試行錯誤、道半ばである。運動を進めていくにあたり、既存の労働組合との摩擦も正直ある,しかし、その摩擦を克服し、企業別組合、産業別組織、そして連合がそれぞれの役割を理解した上で、労働運動全体として全ての雇用労働者の利益を追求していく態勢をつくり上げなければならない。誰かの犠牲の上に幸せが成り立つ運動であっては決してならない。先に述べた「連帯」や「公正」、そして[包容」といった発想はそのまま労働運動にも当てはまる。 2009年10月、連合は結成20周年を迎える。人で言えば「成人式」だ。これまで乗り越えることのできなかった課題を克服するための絶好の機会と受け止めている。 繰り返す。これからの日本には、安定した雇用システムや安心できる社会保障の仕組みの再構築、内需主導型の経済システム、経済・財政運営への転換が不可欠だ。もう一度厚い中間層を取り戻し、安全と安心、そして信頼の日本、希望の国日本を実現するためパラダイムの転換に向け、大きく舵を切らなければならない。 [別表] G20金融サミットに向けた労働組合声明 ▽中央銀行に、投機的な金融バブルの把握と防止に必要な権限をもたせる。 ▽銀行と大規模金融コングロマリットを積極的に監督し、景気循環の影響を受けない資産についての適切な要件および会計ルールを確立する。 ▽あらゆる形態のオフバランス取引を禁止する。 ▽国際的に承認されたガバナンスと透明性基準を遵守し、海外投資と資本移動を国内規制機関に届け出ることとする。 ▽国際的取引への課税制度を確立し、その税収を年金基金などを担う金融機関への支援に活用する。 ▽格付手法の公開を義務付け、格付機関の透明性と統治要件を強める。 ▽ヘッジファンドやプライベートエクイティなど非公開株投資会社を規制する。 ▽エネルギー市場などでの投機的取引を制限するための規制を設ける。 ▽企業の短期主義を抑制するため、ガパナンスおよび経営者報酬への課税ルールを強化し、取締役の資任、リスクマネジメント、企業利益の配分を厳格にする。 (正論 平成21年2月号) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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