いっちばん / 畠中恵
【送料無料】いっちばん兄の松之助が長崎屋を出て所帯を持ち、親友の栄吉は菓子作りの修業へ。普段から病弱な若だんなは、さらに寂しそう。妖たちは若だんなを慰めようと、競って贈り物探しに出かけるが。長崎屋と商売がたきの品比べに、お雛をめぐる恋の鞘当て、果ては若だんなと大天狗の知恵比べ―さて勝負の行方はいかに?シリーズ第七弾は、一太郎の成長が微笑ましく、妖たちの暴走も痛快な全五編。☆☆☆しゃばけシリーズ。通常こういう一人の主人公を据えたシリーズものって、登場人物は変化しないことが多いんですが、このシリーズは登場人物たちがどんどん入れ替わったり、変化していきます。もちろん若旦那は相変わらず病弱なんですけどw周りのお兄さんとか、幼馴染の栄吉とか。以前出てきた登場人物(白粉やのヒナちゃんや、以前若旦那が三途の川を渡りかけた時にあった人物が現れたり。しかも成長していたり、話が進んでいたり、時系列が進んでいるのが特徴的ですね。しゃばけっていえば あやかし・もののけの話で、もちろん本作でも天狗が出てきたりするんですが、「餡子は甘いか」や、「ひなのちよがみ」は、もののけの物語というよりは、そうした若旦那の幼馴染の成長物語な感じがあり、妖怪たちもちょっとしか出てこなかったりします。そういう意味で、他の妖怪の話とは違うなぁと思いますが、一太郎も、成長しようとしていて、その成長物語なんですよね。全体として、がつがつしてなくて、真摯なんだけど、ほんわかした空気があってとても好きです。この文庫版には巻末に畠中さんと、高橋留美子さんの対談が収録されていて面白かったです♪