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テーマ:戦争反対(1187)
カテゴリ:徴兵制
ハイテク化した兵器は徴兵された兵では扱えないというのがデマということは説明しました。 で、この話をすると、次に返ってくるのが「整備を無視して兵器を語るな」といったヒステリックな反応。 ま、どちらかと言えば「整備」というものを無視しているのは、こういうことを言う人の方なんですけどね。 おそらく、こういう人は、現実に機械の「整備」というものをしたことはないのでしょうね。 ユーザーサイドでの整備の負担って言うのは、機械がハイテクだろうがローテクだろうがほとんど変わらないんですよね。 逆に言えば、そのユーザーの整備に過剰な負担をかけるような機械は、いくら高性能でも使い物にはならなず、ユーザーは導入しません。 確かに技術が進歩すると、機械の性能はアップし、中身は複雑化します。でも、同時にその機械が簡単に整備できるような機能も付加させるのです。例えばそれはどこが悪いかユーザーに一目でわかるように知らせる自己診断機能を持たせたり、部品をモジュール化してそれを取り替えれば良いようにしたり。 そうやって整備の負担を減らすのも立派な高機能化。 それによって整備にかかる時間を減らして、例えば稼働率を1割アップさせられれば、それはその機械の処理能力を1割アップさせたのと同じなのですから。 その設計時の技術の粋を集めた民生用機械の代表と言って良いと思われるジェット旅客機も、ハイテク化が進むことによって航空機関士という人間がやっていた作業を、機械にやらせるようになった。 我々が普段使うPCにしたってそう。その性能がアップすればするほど、我々はメンテナンスに時間を取られるようになったかと言えば否。むしろ、昔のPCならとてもセットアップできなかったであろうってタイプの人まで、普通にPCを使うようになった。 ハイテク機器のメンテナンスとはそういうものです。 兵器とて同じ。 特に兵器は使われる条件が厳しいので、簡単に壊れないことと整備が簡単なことは、その機能を示す重要な指標です。 同じ射程、同じ命中率のミサイルが2種類あるとしたら、操作が簡単で、壊れにくく、整備しやすいミサイルの方が「高性能」。「ハイテク」と言い換えてもかまわないでしょう。 そして、堅牢性については重量増に繋がる可能性がありますけど、仮にもハイテクと呼ぶような兵器なら、整備のしやすさがその他の兵器としての性能アップの妨げになるなんてことはまずあり得ない。 ある兵器があって、この兵器を整備しにくい状態にすれば、例えば射程が伸びるとか、命中率がアップするとか、そういうことは普通は起こりません。 よって整備しにくい兵器というものがあるとしたら、それは設計に問題があるか、開発コストをケチったか、いずれにしても兵器としては低機能なもの、即ち「『エセ』ハイテク兵器」を軍が導入してしまったというだけのことです。 もし、自衛隊がそんな「『エセ』ハイテク兵器」を導入しているとしたら、日本は兵器の劣悪な性能を兵士の練度で補おうという一種の精神主義に陥っているってことであり、その点、70年前から何も進歩をしていないのだなってことです。 ================================== なお、整備にはもう一つメーカーサイドでの整備というものがあります。 こちらは、確かにハイテクになるほど難しくなるという可能性はあるかと思います。 でも、それは兵士の質を云々する上では関係ではない話です。 俗に「ハイテク」と呼ばれるような兵器を開発したメーカーのエンジニアが知恵を絞って作り上げたものを、たかだか数年勉強したくらいで、自衛官がその中身の根幹に触るような整備が出来るはずもありません。 そのレベルの問題が起きたら、その兵器は迷わずメーカーに送り返す。 それだけのことです。 もし、そこまで自分で出来るハイレベルな整備担当者が部隊に居たとしたら? おそらく、その人は兵士としては自分で自分の身を守ることすら難しい能力しか持っていないでしょうね。それだけのことが出来るようになるためには、小銃の撃ち方や格闘技を身につけている暇などないはずです。 そんな人物が前線に居たら、彼らを守るための兵を配置しなければならなず、それでも不幸にしてその人が死傷したら、もうそのハイテク兵器は整備できないという事態に陥ることになる。 ですから、軍の中にそういう人が居たとしても、それは後方の基地にでも配置しておくしかない。 それなら、整備にあたってどうせ後方に送らなければならないのですから、基地に送るのもメーカーに送るのも同じ。 つまり、そんなハイレベルな整備担当者を養成する意味などないってことです。 ================================== ということで、整備の面から考えてもハイテク兵器だから使いこなすのに時間がかかるなんて言うのは全くの俗説。 逆に自衛隊関係者がそういうことを言っているとしたら、日本の自衛隊は相変わらず兵器の劣悪な性能を兵士の練度で補おうとしているということであり、そういう組織に日本の防衛を任せるのは危ないってことですね。 明日は徴兵制についての根本的な誤認について。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年01月13日 01時18分38秒
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