白砂青松のブログ

2008/02/07(木)02:19

メガチューズデイ終わる

海外の話(52)

アメリカ大統領選挙の民主共和両党候補者による予備選は、その山場と言われたメガチューズデイが終わりました。 まれに見る接戦となった民主党はクリントン氏が8州、オバマ氏が13州を制したようですが、代議員数が100人を超える6州のうち4州を10ポイントを超える差でクリントン氏が取ったこともあり、獲得した代議員数ではほぼ互角となったようです(全州が州単位での比例配分方式と仮定して)。 かつては両党の予備選における代議員も、本選同様に勝者総取りが多かったと思うのですが。民主党はシステムを変えたようですね。勝者総取りの場合には、予め自分が圧倒的有利、圧倒的不利とわかっている州ではあまり選挙運動をする必要はなく、接戦州だけに重点を置けばよかったわけですが、比例配分なら、大差がついていることがわかっている州でも獲得代議員数の上積みを狙えるわけで、候補者としては手抜きができずに大変だろうなと思います。 まあ、勝者総取りというのは接戦州以外は関心をもたれないという意味でおかしな制度ではありますが、比例配分の方はどうしても最初から大きな州の意向が反映されやすいということで、州の独自性を尊重する立場からはこれまた問題ありとも言えるのでしょう。 比例配分という方式を取っている以上、そして今回のように有力候補が2人に絞られている以上、民主党の候補者レースは夏の党大会までもつれこむことが決まったと言えます。 どちらの候補も予備選での獲得代議員だけで過半数を制するには、あと1000名ほどの上積みが必要であるわけですが、これは残りの予備選、党員集会でほぼ100対0の完勝が必要とされるハードルですのでまず不可能。残る、予備選や党員集会とは関係なく党大会に参加できる約800人のスーパー代議員の持つ票の行方が候補者選出を左右するということになったと言えるでしょう。 これは民主党にとっては、有権者を候補者選出レースに長くひきつけることができ、その分マスコミへの露出も増えるというメリットがありますが、両候補がお互いにネガティブキャンペーンによって足を引っ張り合う確率も増したということで、そして、最終的な決定は「密室」で決められたというイメージがついてまわるデメリットもある。 あんまり有難くない状況かもしれませんね。 ============================== 一方、共和党はマケイン氏がこれで一気に優勢となりました。 共和党は勝者総取り州が多く、ところが今後は比例配分州が多いということで、ここでリードを奪えば簡単には逆転されない状態に持ち込めます。 取った州の数ではマケイン氏9州、ロムニー氏7州、ハッカビー氏5州と3つどもえ状態でしたけど、カリフォルニア、ニューヨーク、イリノイという大州を制したマケイン氏が獲得代議員数では圧倒したようです。 結局マケイン氏が勝てたのは、このメガチューズデイ前にジュリアーニ氏が撤退したのが最大の要因と言ってよいと思います。序盤では本命と見られていたロムニー氏は、ハッカビー氏が撤退してくれなかったものだから、保守票の分散を招き、一本化されていれば勝てたかもしれない、カリフォルニア、ジョージア、ミズーリ、オクラホマといった州を落とすことになりました。 それにしても奇妙な結果が出ているのがウェストバージニア州。マケイン氏1%、ロムニー氏47%、ハッカビー氏52%って何なんでしょ。ハッカビー氏は保守層の代表として遅れて立候補を表明しましたけど、現状ではどうもロムニー氏に対するマケイン氏からの「刺客」になっているように見えるんですけどね。 おそらくこのままマケイン氏が共和党の候補となるのでしょうけど、そうなると、今後はマケイン氏の政策そのものがよりクローズアップされることになるでしょう。特にマケイン氏を浮上させたというイラクへの増派姿勢が、ブッシュ政権が残す巨額の財政赤字とどう整合性を取るのか、同じ共和党ですから、尻拭いは責任をもってやらないといけないのが辛いところ。 で、これで予備選決着となりますと、本選までどうマケイン氏の露出を維持するかが、共和党の悩みとなるんでしょうね。

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