白砂青松のブログ

2008/10/13(月)02:01

アメリカから台湾への武器売却

海外の話(52)

ブッシュ政権が台湾への武器売却を決定し、議会に通告したとのこと。 報道ではブッシュ政権が決定と言いますが、これ自体はアメリカ側では2001年に既に決まっていた事項であり、どちらかと言えば台湾側の与野党対立で予算化できずに店晒しになっていたものが、国民党政権になったことでようやく買えるようになっただけのこと。でもこれまで議会で購入予算に難癖をつけていたのは国民党の方であったはずで、ということは国民党にしてみれば、アメリカからの武器購入による防衛力整備というのは、政局よりも優先順位が低いと言える訳で、台湾の特に国民党を支持した人々から見れば、中国の軍事力の脅威というのはその程度の認識とも言えるかと思います。 今回、アメリカが今の時期に新たな武器売却を決めたわけじゃありません。ただし、アメリカの軍需産業が少しでも潤うことは、アメリカ経済にとってはプラス要因であり、今のように株価が底抜けしたかのような経済情勢においては、与党共和党にとっては少しでも選挙の劣勢を跳ね返す力になればということで、台湾の尻をせっついたということはあったかと思います。 マケイン候補は、それではまだ足りないと、押し売りをすることで自分の方が有能なセールスマンでありアメリカ経済を好転させられるとアピールするつもりのようです。 そういうことで、今回の決定は外交的に何か目新しい動きかと言えばノーといってかまわないかと思います。 台湾がアメリカの武器を欲しているのは間違いのない話ですけど、7年間もたなざらしでもかまわないと考えるほど、中国の軍事力の脅威に対しての切迫感は無いってこと。アメリカもそれは同様で、とにかく商売になることが大事。一方、中国が武器売却を不愉快に感じ、アメリカとの軍事交流を見直すと発言しているのも事実ですけれど、こんなものは言わば出来レース。そうやってお互いに牽制しながら、今後も現在の曖昧な状況を維持しようというのが、米中台の本音でしょう。 上述のように、今回の決定はもっぱらアメリカ共和党政権が選挙情勢の好転を目論んでの決定と見るべきでしょう。 台湾相手の商機を確保し続ける、それがアメリカの台湾関係法の趣旨でもありますから。 =================================== で、この台湾関係法について妄想を炸裂させていたチキン君が、自分のブログになんか書いています。 http://t6ips2002.blog54.fc2.com/blog-entry-207.html ま、別に内容はほとんど当たり障りのないことなんですけど、最後にまた妄想炸裂。 -- ちなみに、今回の武器売却の根拠として米国政府は台湾関係法を法的根拠としています。 アプトン報道官は、台湾への兵器輸出は、「米国が台湾の防衛力維持に必要な兵器を提供することを取り決めた台湾関係法を忠実に履行したものだ」と強調し、中国側の措置を「(米中軍事交流の)機会を失うことになり、残念だ」と批判した。 って、アレ?台湾関係法は米国の台湾支援の根拠にならないんじゃでしたっけ?白松氏? -- 今回の決定が、アメリカが台湾が攻撃された時に直接軍事支援に乗り出す根拠になるとでも思っているんでしょうか、この人? まあ、これまでの脳内妄想の傾向からしてその可能性が高いようですね。 でも、現実はそれとは全く違う。 台湾関係法とは、アメリカが台湾を他の国家とほぼ同等に扱うために、いろいろなことを定めてはいますが、それで完結している単なる国内法。そこで定められたことを履行することをアメリカは台湾と約束している訳でも何でもなく、国内的にOKならいくらでも反故にできる話です。 ましてや軍事面では、台湾関係法においてアメリカは何のコミットもしていない。わざわざ台湾関係法に武器の提供についてあんなことを述べているのは、そうしないとアメリカ政府が台湾という正規の政府ではない者に対して武器を売却することが難しいから。 台湾関係法が無い状態で台湾に武器を売却するということは、世の中のテロ組織をアメリカ政府が支援することもアリと世界に示すことになる。 だから、台湾だけは特別に武器を売却しても正規の国家に武器を供与するのと同じという建前を通す、すなわち「キレイな武器商売」をするための根拠法。それが軍事面での台湾関係法の意義です。 従って、報道官も「米国が台湾の防衛力維持に必要な兵器を提供することを取り決めた台湾関係法」と言っているのであり、「米国が台湾の防衛に必要な軍事支援を行うことを取り決めた台湾関係法」なんて言ってはいないってこと。 台湾が中国に飲み込まれたりしたら、アメリカとしては重要な武器の売却先を失うわけで、それは望むところじゃない。 でも、だからと言ってそのために大勢のアメリカ人の命が失われることを正当化させるほどのものではない。だから支援をコミットなどしていないと解釈されているような法しか作らなかったのです、アメリカは。 その違いがわからないというか、自分の精神安定のために見ないフリをしているのかは知りませんが、 『って、アレ?台湾関係法は米国の台湾支援の根拠にならないんじゃでしたっけ?白松氏?』 なんて頓珍漢なことを書いているのが、このチキン君です。 今回の決定のどこが「支援」なんでしょう。 ただの「商売」ですよ。 というか、『とはいえ、これで彼の件については一端終了とします』とか、『彼の場合は自意識過剰なので、こうして自分のことが話題に登ると、またやって来るのかもしれません』とか書いておいて、また自分からこちらの名前を持ち出すってのはどういう神経なんでしょうね。 これで私がこうやって何か書いたら「自意識過剰だ~~」とはしゃぐつもりなんでしょうけど、そんなものは自作自演以外の何ものでもないってことですね。

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