白砂青松のブログ

2012/05/10(木)20:54

欠陥改憲案を作る欠陥政党

憲法(30)

既にネタと化しているようですが、産経がGW中に連載していた【欠陥憲法】シリーズ。 いやはや、これほど馬鹿げた記事を載せられるとは、真面目に保守派を自認している人々も「何て事をしてくれるんだ」と頭を抱えているのではないでしょうか。 だいたい(1)のウィンカー話というのは、他国の戦車にも付いているとか、公道を単独走行することもあるとか、既に多くの人々に指摘されており、まともな取材をせずに、自分の観念だけ、あるいは自分にとって心地よいことを言ってくれる者の言葉を鵜呑みにして、記事をでっち上げているのが一目瞭然です。 -- 【欠陥憲法】(1)戦車にウインカー 「軍隊否定」の象徴 2012.4.28 22:48 (1/3ページ)[憲法改正] (略)  戦車にウインカー。珍しい組み合わせのように見えるが、戦場で味方に合図を送るための装置ではない。乗用車など一般車両と同じく、道路運送車両法第41条に則して装着しているのだ。視界の悪い戦車が平時に公道を移動する際は、前後に自衛隊の車両や隊員がつく。ウインカーは必要ないと思われるのだが…。  実は、自衛隊法第114条と昭和45年の防衛庁(当時)の訓令によって、戦車は平時でもウインカーを免除されている。それでもあえて、陸自の全戦車が装着しているのだ。  除外規定があっても自主的に取り付ける行動の背景には、憲法で明確に規定されていない自衛隊が戦後社会で「認知」されてこなかった厳しい歴史がある。それが一般対象の法令への過度の配慮につながる。 (略) http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120428/plc12042822520013-n1.htm -- そして、この「過度の配慮」云々という言い草が、こういった観念的保守派のヘタレっぷりを如実に現している部分と言えましょう。 もし、本当にそれが必要ないなら、そういう運用をすれば良い。何か文句を言われても、法に則った運用だと胸を張れば良い。 それをやらないのは、ひとえに自分たちの都合であるのに、全てを憲法に責任転嫁して、自分たちでは決断しようとしない。 そういう連中が、やたら自立だの自主制定だのに拘るというのは、何の冗談ですかと言いたくなります。 そもそも、憲法とは権力を縛るためのもの。 民主主義国家では、将来どのような権力者が生まれるかは誰にもわからない。そういう時のことも考えて、権力者が国民を不当に弾圧したりできないように、憲法には国民の権利を明記し、権力者に対する制約を明記し、かつ簡単には変えられないようにしておくべき。 今、改憲を唱えている連中は、逆に国民を縛り、権力者が好き勝手できるようなことばかり憲法に盛り込もうとし、また憲法を変え易くしようとしている。 そんな憲法なら、憲法の存在する意味が無いんですけどね。 だって、もともと権力を持つものは議会の多数を握っているんですから、それで自分のやりたいことを実現するための法律を制定することができます。でも、憲法がその「やりたいこと」の枠組みを決めているから勝手な事ができない。そこに憲法の価値があるのです。 権力を縛ることを放棄し、国民の権利を明示しない憲法など、そして、簡単に権力者に都合良く変えられる憲法など、ただのお題目に過ぎず、何の価値も無い。 自民党も、みんなの党も、たちあがれ日本も、ああいった改憲案を提示した時点で、民主主義国家の政党として「欠陥政党」と言ってよろしかろうと思います。

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