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テーマ:政治について(19769)
カテゴリ:エネルギー問題
東電が福島原発から全員撤退しようとしていたのは明らかという点については、ここで繰り返し述べさせていただいたことです。 ところが国会事故調は、明白な事実も見ないふりをして「東電が全面撤退を決定した形跡は見受けられない」などと言っておりますが、その事故調で東電の前社長はこんな見苦しいことを言っていました。 -- 東電の清水前社長「全面撤退の意図なし」 国会事故調 2012.6.8 23:42 東京電力福島原発事故調査委員会(国会事故調)に参考人として出席、冒頭発言する東京電力の清水正孝前社長=8日午後、参院議員会館(酒巻俊介撮影) 東京電力福島第1原発事故を検証する国会の事故調査委員会(黒川清委員長)が8日開かれ、東電の清水正孝前社長が参考人として出席、昨年3月14日に「最悪のシナリオの対応策を報告して」と社内で指示していたことを明らかにした。また、政府側への全面撤退発言については改めて否定した。 国会事故調によると、昨年3月14日午後5時ごろ、清水氏は「最悪のシナリオを描いた上で、対応策をしっかり把握して報告してください」と社内のテレビ会議で指示。テレビ会議の映像には、その後、東電幹部が原発からの退避基準の検討を指示する様子や「全員のサイト(原発)からの退避は何時ごろになるんですか」などの発言も記録されていた。 清水氏はこの幹部の発言について「勘違いしている」とした上で、最悪シナリオは「水位が下がり、燃料が露出することで、技術的な対応策を把握したかった」と全面撤退の趣旨ではないと強調した。 ただ、退避計画を政府側に説明する際に、原発に残す人数については清水氏は「知らなかった」と証言。枝野幸男官房長官(当時)との電話について「記憶にない」とした。 また、菅直人首相(当時)が東電本店で「撤退すれば東電は百パーセント潰れる。60歳を超えた幹部は現地へいって死んでもいい」と発言したことについて、「発電所で死力を尽くしている社員が打ちのめされた印象だ」と語った。 http://sankei.jp.msn.com/science/news/120608/scn12060823450008-n1.htm -- イヤハヤ、この発言をどう聴けば「東電が全面撤退を決定した形跡は見受けられない」なんて結論がでて来るのでしょうね。 まず、前社長は身内すら「勘違いしている」と貶めている。自分を守るために部下を犠牲にするような人物の発言が、果たして信用できるものなのでしょうか? だいたい「勘違い」と言いますけど、それは即ち、自分が身内にすら「勘違い」させるような指示を出したということ。だったら、同じ様な話を聞かされた官邸が「勘違い」するのも当然でしょう。 つまり、百歩譲って東電にその意思がなかったとしても、官邸を「勘違い」させたのは、東電社長の伝え方が悪かったということ。その客観的証拠があるのに、官邸に非があるかのようなことを言う国会事故調は、最初から菅前首相をスケープゴードに仕立て上げる意図をもって「調査」もどきをやっていると言わざるを得ません。 そして、『最悪シナリオは「水位が下がり、燃料が露出することで、技術的な対応策を把握したかった」と全面撤退の趣旨ではないと強調した』と言ってますけど、だったら、その「最悪シナリオ」に陥っても、東電の首脳陣は所員を全員退避させるつもりは無かったってことになりますね。 「最悪シナリオ」状態になったら、一刻も早く所員を退避させるのは、危険なものを扱っているプラントなら常識でしょう。 おそらく東電も同じことを考えていたはず。 でも、今になってそれを誤魔化そうとするから、東電は所員の命を見捨てるつもりだった、所員の命が失われることは東電にとっての「最悪シナリオ」ではない、ということになってしまっています。 また、「全面撤退の趣旨ではない」などと言いながら、原発に残す人数については「知らなかった」などと言うのですから支離滅裂。「知らなかった」人がどうして「全面撤退」では無かったと断言出来るんです? しかも、社長は「知らなかった」はずなのに、会長はかつて、「直接、発電所の運転に関わらない半数の作業員は退去を考えた」と言い、その趣旨で政府に申し入れたと言っている。 東電の社長と会長の間で、言っていることに整合性がとれていないではありませんか。 そして、『菅直人首相(当時)が東電本店で「撤退すれば東電は百パーセント潰れる。60歳を超えた幹部は現地へいって死んでもいい」と発言したことについて、「発電所で死力を尽くしている社員が打ちのめされた印象だ」と語った。』などと言ってますけど、この発言も酷いもの。 だって菅前首相がそういうことを言ったのは「東電本店」に居た幹部に対してでしょ。それなのに何故、「発電所で死力を尽くしている社員が打ちのめされた印象」なんてことが起こり得るんです? 言われたのは本店の幹部であって発電所の所員じゃありませんよ? こういうことを前社長が言うということは、東電首脳から見た「発電所の社員」は、封建時代の殿様に忠誠を誓った家来みたいに、あるいはトップが批判されると怒り狂う北朝鮮の国民みたいに、自分達(幹部)が他人から批判されたら「打ちのめされる」ようなメンタリティの持ち主ってことになりますね。 どこまで時代錯誤の頭の持ち主なのでしょうか。 実際には、彼は前首相が自分たちを批判したことへの「報復」として、批判されにくい発電所の所員を出汁にしただけのこと。どこまでも卑劣な人です。 清水前社長の言い訳に対して、こうやって一つ一つちゃんと突っ込めば、彼の言っていることが信用ならないというのは直ぐにわかることでしょう。 その当たり前のことをやらずにあんな結論を言い張る事故調など、「茶番」に過ぎないと言わざるを得ません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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