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白砂青松のブログ

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海外の話

2007年02月17日
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テーマ:戦争反対(1066)
カテゴリ:海外の話
某所で、どうやらまた他人のブログに便乗したエントリを作られたらしいです。
ま、ご当人はリンクするつもりはないと言っているので、自意識過剰的な反応はするつもりもなかったのですが、それをネタに一昨日のアップにトラックバックを打ってきた方がいる。

ということで、エントリを書いたご本人には不本意かもしれませんが、一応、そこに書かれた内容は、私の一昨日のエントリを意識してのものだってこととさせていただいて、そのお間抜けっぷりを指摘させていただきましょうか。

もし、「自分はそんなつもりはなかった」とおっしゃっりたいとしても、それはトラックバックを打った人に文句を言って下さいね。

まず、この人は奇妙なことを書いている。

--
徴兵制推進派の主張
「オーストラリアはイラク派遣によって人員増を余儀なくされたし、志願者は減っている。だから将来的には徴兵制を導入しなければ、軍を維持できないのではないか」
--

少なくとも私はそんなことは一言も言ってない。
このままで行くとオーストラリア軍はデモシカ兵士ばかりなるかもしれないとは言いましたけど、「将来的に徴兵制を導入しなければ」なんてこれっぽっちも言ってないんですけどね。
オーストラリア国民が「デモシカ兵士」ばかりでも十分と思うなら、そういう選択肢もありなんですから。

ということで、出だしから自作自演がなされたこのエントリは、結論にいたるまでシャドーボクシングを繰り返しているだけってことです。

で、オーストラリアが2000年に発表した国防方針を引いてきて、

--
 つまり、オーストラリアの兵員増強計画は2003年のイラク派遣はおろか、その元凶となった2001年の同時多発テロ事件が起きる以前から既に決定済みの路線だったのであり、兵員の増加はイラクとは無関係のものなのです。
--

なんて言ってるんですけど、私がそれを読んでいないと思い込んでいるのがまた不思議。

ご当人が引いて来ているように、その方針の中で、国防軍の主要任務としては、

--
○国防軍の主要任務
・他国の戦力に頼ることなく、どのような攻撃からもオーストラリアを防衛できること。
・オーストラリア近隣諸国の安全保障に大きく貢献できる防衛力をもつこと。
・オーストラリアの国益が直接関係する近隣以外では、危機に対処する国際合同軍に効果的に貢献すること。
・広範な国益を支える様々な任務を遂行すること。
--

こういったものが挙げられている。
で、その中に「オーストラリアの国益が直接関係する近隣以外では、危機に対処する国際合同軍に効果的に貢献すること」がちゃんと入っているのです。

私の知る限り、これ以前のオーストラリア軍はそういったものに積極的に関与してきたとは言い難い。
ところが、この方針を定めたことにより、現実にオーストラリア軍は増員し、アフガニスタン、イラクへの派遣を行った。

無関係も何も、まさにこの方針通りのことがなされたってことです。

で、このオーストラリアの「Defense 2000」は、日本になぞらえるなら、自民党案による改憲に該当するってこと。

国としてそのような方針を立て、増員してその準備をし、実際に事が起きたらそれに則って人員を派遣した。

まさに、海外派遣をすることが増員に繋がったという私が申しているままなんですよね。

一体全体、こんな当たり前のソースを提示して、私の言ってることの何が否定できたと思っているんでしょう。

==============================

ただ、一つ私が知らなかったのは、

--
 この方針転換を元に、2004年に発表された「国防能力計画2004-2014」では、新型戦車導入を柱とする陸軍のハイテク化、海軍では大型水陸両用戦闘艦や新型防空駆逐艦の導入、空軍では大型輸送機の導入といった、海外派遣能力の向上が盛り込まれ、同時に軍の減員が決定しました。
--

この軍の減員が決定したという下り。

2000年の白書では兵員数を54,000名にするとなっており、2003年、2005年のアップデートでもそのフレームワークは守るとあったので、減員が決められたとは、私は知りませんでしたね。
そのような情報は見たことないし、「国防能力計画2006-2016」を見ても、要員数についての記載はなさそう。

でも、これが本当なら、現在の減員はその計画に沿ってのものということで、私の考えを修正する必要はあるでしょう。

ただ、それだと2000年の白書のフレームワークを守るという方針とは齟齬が出てくるんですけど。

そして、個人のブログのアーカイブにしか残っていないニュースですけど、以下のような情報とも合わない。

--
2006年08月30日
【国際】兵士不足を補うため採用基準を「太りすぎ・ぜんそく持ち歓迎」に変更 オーストラリア


 オーストラリアでは、地域和平に貢献する兵士の不足を補うため、軍隊に肥満ぎみの人や 軽度のぜんそく患者を受け入れることができるよう採用基準を緩める見込みだ。
ジョン・ハワード首相は先週、軍の人員が減っているにもかかわらず、新たに2つの部隊 もしくは2600人の兵士を増加するという100億オーストラリアドル(約8884億円)の費用が かかる計画を発表した。オーストラリア軍のピーター・リーヒー長官は、それが健康と 体重に関する基準を緩めることを意味していようとも、今後、年間500人の新兵を 集めてみせると語った。  「中には少しばかり太りすぎの人もいるかもしれませんが、私たちは運動で体重を 落とさせるのが得意です」と、彼はオーストラリア放送のテレビで語った。「子ども時代に ぜんそくだった人や、症状が軽い人ならば可能です。これも許容範囲ですし、 彼らが健康であることは保証します」  報道によれば、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は、オーストラリアは防衛軍を 構築するのに5年で5億オーストラリアドル(約444億2000万円)を費やしているが、 兵士の数は減少し続けていると発表している。過去2年間の防衛人員は目標に1000人 及ばず、軍を離れる人の数は増え続けている。離職率は陸軍でほとんど13%、 海軍でわずかに12%を越える高い数字を記録した。また調査によれば、軍人の30%が 離職を検討しているそうだ。  ハワード首相は、軍備の増強は今年に入ってからのソロモン諸島と東ティモールにおける 急激な治安悪化、またパプアニューギニア、フィジー、バヌアツなど太平洋の国々の政情 不安定によってうながされたものだと述べている。  オーストラリアのクリス・エリソン法務大臣は27日、国際紛争の地に派遣する警官を さらに400人増加させると発表した2日後、神経質な隣人たちを安心させようと試みた。 「私たちは単に他国に押し入って自分たちの存在をアピールするだけではありません。 私たちは物事のやりかたを教えます。彼らの招待があったときだけ、そこに行きます」と、 彼はネットワーク・テレビジョンに語った。 http://www.excite.co.jp/News/odd/00081156800302.html

http://blog.livedoor.jp/newsscrap/archives/50826510.html
--

過去2年間の要員は1000人及ばずと言っているんですよね。
減員しているなら、そんなはずはないはずなのに。

==============================

で、結論として、

--
 さて、この辺りで結論に入りましょう。オーストラリア軍の現状とは、2000~03年にかけての東南アジア・オセアニアの緊張状態に備えた軍拡から、04年以降は地域の緊張緩和に伴う「平和の配当」を受け取り、人員を減らすとともに、各国で主流となっている高機動性を備えたハイテク化軍隊への転換をより強めている、と言うことになり、冷戦後のトレンドそのままです。特に06年は東ティモールへ再度派兵を行っていますが、人員増という話は見られません。
 
 すなわち、オーストラリア軍の兵員数の推移だけで

「海外派遣する国は人員増を迫られる」

 などという結論を導き出す人間は、
情報を精査しないただのアフォ
か、または
悪質なデマゴーギスト
である、と言う事でファイナルアンサーです。
--

こんなことをおっしゃっているのですが、それこそ情報を精査していないのはこの人の方の可能性大。

確かに、昨年5月からオーストラリアは東チモールに人員を派遣してますけど、上に紹介したように8月に、

「新たに2つの部隊 もしくは2600人の兵士を増加するという100億オーストラリアドル(約8884億円)の費用が かかる計画を発表した。」

という報道があったのも事実。

「特に06年は東ティモールへ再度派兵を行っていますが、人員増という話は見られません。」と言いきっているところを見ると、この方はこの情報は知らなかったと見受けられます。
でも、現実は違ったようです。

ま、この程度の見落としで「悪質なデマゴーギスト(?)」なんてことは私も言いませんけど、「減員が決定しました」というソースがもし無く、あの「国防能力計画2004-2014」部分の防衛白書からの抽出と思われる文に、こっそり紛れ込ませたとしたら、「悪質なデマゴーグ」と呼んでも差し支えないかなと、私は思います。

そして、オーストラリア軍の現状が冷戦後のトレンドのままというのは明らかにおかしい。
一昨日のエントリにも書いたように、オーストラリア軍は1998年からの3年間では、約5千人もの要員を減らしているのです。
現状多少実員が減っているとはいえ、2000年の白書発表以前のトレンド、即ち「冷戦後のトレンド」と異なっているのは明白です。

オーストラリア政府は2000年の白書で、域外への派遣も軍の任務と位置づけ、増員を発表した。
その結果として現実に軍人の数は増やされ、イラクやアフガニスタンにも派遣された。

日本が自民党案のように改憲し、海外での武力行使も自衛軍の任務とするなら、オーストラリアのように増員を計画するのが当然。
そして実際に海外に派遣され、おそらくはその結果としての志願者減を引き起こすと、徴兵制の前にまず採用基準を「太りすぎ・ぜんそく持ち歓迎」といったような変更をせざるを得なくなる可能性は、オーストラリアを見れば十分にあると考えるべきでしょう。

しかしまあ、こちらのエントリの中身をほとんど支持する情報を載せて、結論だけは「デマゴーギスト(デマゴーグのこと?)」というのも、よくわからん話です。

==============================

で、当該エントリを書いた方は、「俺はあんたなんか相手にしていない」とおっしゃるかもしれませんが、それは最初に書いたように、そのようなトラックバックを打たれた方におっしゃってくださいな。










最終更新日  2007年02月18日 05時16分59秒
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2007年02月15日
テーマ:戦争反対(1066)
カテゴリ:海外の話

先進国の軍隊は縮小している、志願制に移行しているとはよく言われることではありますが、それは欧州諸国が冷戦の終結という平和の配当を受けているから。

全ての国が仕事の有無に関らず軍隊を縮小していると思ったら大間違い

日本が同盟国の侵攻作戦に加担することができないのは、現時点では憲法の制約故。
ところが何を勘違いしたか、自民党案のように改憲されてもできないなどと言う人が、ウヨウヨと現れた。

また、海外派遣を積極的に行っても増員は必須ではないという人も、ウヨウヨと現れた。

そんなことは全くないのであって、現実に今回のイラク戦争に加担したオーストラリアという例があります。
オーストラリアは日本に比べれば人口規模は6分の1、軍人の数は5分の1、国防費は3分の1という国ですが、その国がイラク侵攻には2千人の要員を送っていました。

もちろん、これまでオーストラリアは積極的に侵攻作戦などを行ったこともなく、大型輸送機もない状態でしたが、それでもイラク侵攻に加担できたということは、日本も憲法の制約さえなければ、そういうことをすることは十分に可能と、容易に導けます。

そして、オーストラリア軍は海外派遣が増えれば増員するという典型例でもあります。
まず同国軍の海外に駐留する要員数(各年6月末)の推移は以下の通り。

1999  232
2000  352
2001  359
2002  840
2003 2384
2004  854
2005  817
2006  870

オーストラリア軍も2000年までは、東チモールやブーゲンビルといった周辺地域の紛争には関与することはあっても、軍は縮小傾向にありました。したがってその頃の海外駐留要員数は300人台で推移していました。
しかしながら、9.11を受けて、オーストラリアはANZUS条約で定められた集団的自衛権を発動し、アメリカのアフガニスタン攻撃を受けてその数は800人台に上昇、2003年はイラク侵攻でさらにアップし、その後も800人台の推移が続いています。

これに対して常備軍への採用者数は以下の通り。

1998 3157
1999 3087
2000 4043
2001 5131
2002 5836
2003 4322
2004 5592
2005 4887
2006 5367

2001年以降、明らかにそれまでに比べて採用を増やしています
で、常備軍の実員数は、

1998 55174
1999 52029
2000 50755
2001 50355
2002 51365
2003 51791
2004 52245
2005 51209
2006 50901

2000年までは顕著に減員していたのに、2001年から2004年にかけては明らかに増員をしています。
2005年と2006年は減員しているように見えますが、イラク侵攻が一段落したとはいえ、これは意図的な減員というよりも、志願者不足によるものと考えた方がよさそう。

というのも志願者の数が、

1998 18542
1999 16192
2000 20336
2001 23552
2002 23412
2003 17642
2004 15957
2005 12899
2006 12669

と、2005、2006年は2001年の約半分にまで急減しているからです。

1998年当時5.9倍だった志願倍率は、2006年には2.4倍になってしまっています。

おそらくは、9.11以降のテロとの戦いという大義名分に引かれてドッと若者が集まったまでは良かったのに、イラク戦争の実相が見えてきた2005、2006年にはすっかり幻滅されてしまったってところでしょうか。

ということで、これがオーストラリア軍の要員数の推移。

欧州諸国と違って冷戦終結がほとんど自国にとって必要な防衛力の変化をもたらさなかったオーストラリアでは、仕事が増えれば増員するという、ごくごく当たり前のことがなされているのがよくわかります。

それにしても注目に値するのは志願者数の急減。
これ以上減ると、本当に「デモシカ兵士」ばかりとなる可能性があります。











最終更新日  2007年02月16日 02時19分57秒
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2006年12月31日
カテゴリ:海外の話

フセイン元大統領の死刑判決でしたが、あっさり執行されました。

11月8日付けの日記には「ヤケクソ」と書きましたが、シーア派政権としては、コントロールがまだ効くであろうシーア派殺害の責任で死刑にし、責任の所在を認定することでどういう反応があるかわからないクルド人殺害の方はうやむやにしたかったということもあるのでしょう。

いずれにしろ、これでスンニ派はシーア派に敵対する旗印を得たわけで、これでイラクの分裂にますます拍車がかかることでしょう。
アメリカがいくら支えようと、分裂を抑えるためにはまずかつてのバース党独裁のような強権的な手法で国というものをまとめない限り無理でしょう。
でも、中東の民主化なんてお題目を唱えたアメリカにその選択肢は取れない。
よって、アメリカにはかつての南ベトナムやイランのように敗北を受け入れて撤退する道しか残されていないでしょう。

その後のイラクはソマリアのように無政府状態となるでしょう。
それはもう致し方なしでしょうけど、せいぜいその周辺国への波及を最小限にしなければなりませんし、その日本への影響も最小限にしなければなりません。

そのためにも、アメリカに中東で余計なことはさせないこと、それが無理なら、かつてのように日本はアメリカと中東では一線を画すと明確に示すことが肝要となるでしょう。

さて、2007年の中東はどうなることでしょう。









最終更新日  2006年12月31日 22時29分07秒
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2006年11月29日
カテゴリ:海外の話

昨日の日記で週刊新潮の「トンデモ」記事を紹介しましたが、その中で花岡信昭という人が、

「日本には共和党の方がくみしやすい。」

なんて言ってます。
これまでにもそういう意見は日本国内で良く聞きましたし、前回の大統領選挙の際にもブッシュに勝って欲しいなんて内政干渉まがいの発言をしていた自民党の政治家がいました。

でも歴史を見てみると、戦後日本の対米関係において、日本が政治的、経済的なダメージを受けた事柄ってほとんど共和党政権の時に起きていると思うんですけどね。

例えば、

1960 60年安保
1970 70年安保
1971 ドルショック
1972 頭越しのニクソン訪中
1976 ロッキード事件発覚
1981 自動車対米輸出自主規制
1986 プラザ合意
1987 半導体問題で対日報復措置
1987 東芝ココム違反事件
1987 FSX国産開発断念
1989 トロンのスーパー301条対象指定
1990 日米構造問題協議(公共投資630兆円計画)
1991 湾岸戦争戦費負担
2001 京都議定書離脱
2002 対テロ戦争支援
2003 イラク自衛隊派遣

これに匹敵するような重要事件って、民主党政権の時にあるんでしょうか。
まあ強いて上げればコメ開放が決まったウルグアイラウンドってところでしょうか。でも牛肉、オレンジ自由化は共和党(1991)だし。

実際には、首脳同士の(表向きの)個人的な関係を盾に、アメリカは無理難題を吹っかけて、日本はその関係を壊したくなくて何でも飲んでしまうというのが、共和党時代の日米「蜜月」関係の実態なのではないでしょうか。相手の要求をどんどん飲んでいけばそりゃ「蜜月」となりますわね。
ですから、レーガン、ブッシュ親子といった大統領がいかに日本の首相と親密かとアピールしたところで、それは自分達の要求を通すための方便としてそういう態度を取っている可能性も十分にある、腹の底では舌を出しているのではないかと、私は思ってます。

逆に民主党政権時代の日米関係の方が、お互いの国益を冷静に追求しながらの、本来あるべき二国間関係であったのではないかと思う次第です。

なんで「共和党の方がくみしやすい」なんてデマがまかり通るのか、本当に不思議です。

=============================

で、よくよく見たら、この花岡という人も産経新聞の出身なんですね。
なるほど納得の産経クオリティってところですか。








最終更新日  2006年11月29日 23時18分50秒
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2006年11月28日
カテゴリ:海外の話

このところ、産経がらみの「ネタ」を書いておりますが、奇妙な主張を展開するのは何も産経グループだけとは限らない。週刊新潮の11月23日号でも、アメリカの中間選挙に絡んだ意味不明な記事が載せられていました。

--
週刊新潮11月23日号
[ワイド]A・NO・YO この世

【2年後「ヒラリー大統領」誕生は「日本の悪夢」】

 アメリカの中間選挙で民主党の勝利を高らかに宣言したヒラリー・クリントン上院議員(59)。2年後の大統領選の最有力候補と言われているが、ちょっと待て。日本嫌いの彼女が大統領になったら、我々は悪夢を見るのではないか。

 もっとも、まだ、ご本人が大統領選出馬を云々したわけではないのだか、
「中間選挙後、次期大統領にヒラリーを支持する声は、いっそう強くなりました」
 と、さる米紙の記者。選挙前までは、勢いづく民主党の中でも、バラック・オバマ上院議員の方が俄然、人気があったというのに、
「ラスムッセン・レポートの世論調査では、08年の民主党大統領候補にふさわしいのは、ヒラリーと答えた人が29%、オバマは22%でした。ここの調査は前回の大統領選でも正確でした。しかもヒラリーには中間選挙で余った選挙資金が1000万ドル以上もあり、資金面でもリードしています」
 ヒラリー強し-。それは彼女の写真が1面に躍った日本の新聞各紙を見ても、十分に伝わってくるが、
「そうやって大騒ぎをしていいのか。日本のメディアには、ヒラリー登場が国益になるのか、と聞きたい」
 と、政治評論家の花岡信昭氏は苦言を呈する。
「クリントン政権には中国通の専門家が何人もいたけど、日本通は一人もいなかった。それがブッシュ政権になって、アーミテージ元国務副長官のような日本通が出てきたわけで、日本には共和党の方がくみしやすい。北朝鮮問題も、クリントン政権だった93年の核問題など最悪でした。日本の頭越しにカーター元大統領が訪朝してKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)の枠組みを決め、日本も従いましたが、先般の核実験を見れば、そんな取り決めは何にもならなかったのです」

平気で核を使う

 単に民主党だから、という問題ではなく、
「クリントン夫妻は、極端な日本嫌いなのです」
 と憂えるのは、京都大学の中西輝政教授である。
「一方で中国との関係は深く、彼女が弁護士時代から中国の情報機関と通じていたのは、米議会の議事録などからも明らかです。そもそも、冷戦時代の条約など現代に合わないという考え方ですから、日米安保も中国に有利に変えかねない。人気取りのために、貿易赤字の原因として日本叩きに走るのも明らかでしょう」
 前出の米紙記者によれば、
「ヒラリーは上院議員になってからIT関連法案を150も提出し、IT業界との蜜月は異常なほど」
 資金源にしたいのだとうが、結局、業界が市場として注目する中国にますます色目を使う・・・・・・。
 日本を見殺しにする米女性大統領を描いた近未来フィクション『人民解放軍が沖縄を攻める日』の著者、柘植久慶氏も言う。
「クリントン政権当時のモンデール駐日大使は、”尖閣諸島は日米安保の対象外”と公言しました。同じ考えが適用されれば、私の著書にあるのように、中国が沖縄の領有権を主張した場合、本当に奪われかねません」
 それどころか、
「日本を攻めてもアメリカが動かないと判断した北朝鮮が、平気で核を使うこともあり得る」(花岡氏)
 まさに悪夢である。
--

この記事に実名で登場する花岡信昭氏とか、中西輝政氏は、何を考えてこんなことを言っているのでしょう。

「そうやって大騒ぎをしていいのか。日本のメディアには、ヒラリー登場が国益になるのか、と聞きたい」

だから何?

ヒラリー・クリントンを大統領に選ぶかもしれないのはアメリカ国民ですよ。
日本のメディアがヒラリーが有力と報じているのは、アメリカ国民がアメリカの国益を考えてそういう選択をしそうだというだけのことでしょ。

ヒラリー登場が日本の国益になるかどうかなんて、日本のメディアが何かを言ったところで本当の「有権者」にどんな影響があるというのです。
それともこの人は、アメリカに内政干渉してヒラリー選出を阻止するキャンペーンをやれと日本のメディアに求めているのでしょうか?
そうなったら、日本のメディアは人民日報か労働新聞かというレベルに成り下がることになると思うんですけど。

「クリントン夫妻は、極端な日本嫌いなのです」

だから何?

クリントン夫妻は極端な日本嫌いだから、これから貢ぎ物をしましょうとでも言うのでしょうか(苦笑)?

アメリカの政権担当者にそういう人が就く可能性があるなんて、当たり前の話でしょ。
だって他所の国の話なんですから。

そんなものは十分予測し得る範囲の話なんであって、そういう人が就任しても、国同士の関係への悪影響を最小限に抑えられるように、きちんと手を打っておくのが日本の政権担当者の仕事でしょ。
これまでそういう努力をせず、ブッシュだとかレーガンだとかの個人的な感情部分に訴えることで、日米関係を良好な状態に保とうとした自民党政権やその「蜜月」をはやしたてた一部マスコミの責任なのであって、何を今更ってところです。
だいたい、民主主義国家なら政権交替は当然有るという前提のスタンスでいなければいけないのに、外交関係を特定の政治家との個人的な繋がりに依拠していたりすれば、その政治家の政敵がその地位に就いたら、完全に裏目に出るリスクがあるのがわかっていないのでしょうか。
日本だって地方自治体の首長選挙の度に、どちらの陣営に付くかで選挙後の仕事の回り方が違ってくるとして、激烈な争いが行われるではありませんか。

特定の政治家にくっ付けば、それが裏目に出た時にその分しっぺ返しがくる。
その当然の起こり得る事象をこれまで無視して、ブッシュ・小泉の「蜜月」なんてものを無批判に肯定していたツケをこれから払わされそうになっているだけのことです。


そんなにヒラリー大統領誕生が嫌なら、それをアメリカの有権者に伝えるべきでしょう。

曰く、「そうやって大騒ぎをしていいのか。アメリカの有権者には、ヒラリー登場が日本の国益になるのか、と聞きたい」と。

で、アメリカの有権者は答えるでしょう
「日本の国益なんて知ったことか、俺達が考えるのはアメリカの国益だ」
と。


結局、ヒラリー大統領が誕生するかもしれないという現実を受け入れられない人々とマスコミが、本来アメリカ国民に言うべき台詞を、自分達より冷静な目で日米関係を見ている日本のマスコミや国民に八つ当たりしているだけってことでしょうね。

でも、そんなことをしても何の意味もないと思うんですけどね。その「悪夢」とやらが来ないように、もしくは影響を最小限に抑えるために何をすべきなのかを言わない、こういう記事を書き散らす人々にはそれこそ

「この記事が日本の国益になるのか、と聞きたい」

です。








最終更新日  2006年11月28日 23時49分39秒
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2006年11月26日
カテゴリ:海外の話

昨日の日記で触れた古森義久氏のブログの11月12日のエントリですが、どうも書いている内容が胡散臭いんですよね。

自分でもアメリカの中間選挙についてはそれなりに注目していましたから、どうもこの古森氏の認識には首を捻らざるを得ません。

--
【米国中間選挙結果への日本の過剰反応】

フジテレビ「報道2001」に出演して、アメリカの中間選挙結果について論じました。所用で一時帰国しての行動です。
討論の相手は町村信孝元外相や鳩山由紀夫民主党幹事長などでした。
ここで私が強調したかったのは、アメリカの中間選挙でブッシュ政権の対外政策ががらりと変わり、日本への影響も大、しかもマイナスだろうとする日本のマスコミの大方の見方は正確ではないという点でした。
以下、その根拠などを列記します。「報道2001」で発言したことに、さらに発言したかったことを追加しています。

▽アメリカの民主党が連邦議会の上下両院の多数派を12年ぶりに占めたからといって、ブッシュ政権自体の敗北とか、「死に体」を必ずしも意味しない。アメリカの大統領は与党と密着した総代表ではなく、あくまで独自の選挙で国民から直接に選ばれる元首である。日本では国会議員のなかから政府の長が選ばれるので、アメリカでも議会の議席の消長はそのまま行政府の長の力の減増につながるように思われるが、アメリカ大統領の独自の権限は議会の勢力構成にかかわらず、強大である。

▽大統領はとくに外交、軍事、安全保障などの対外政策履行の絶対権限を持っている。一方、議会は正面からそれらを動かす権限はない。議会は法案を審議し、法律を作ることが任務で、大統領への圧力もその法案審議を通してしかかけられない。

▽議会は「共和党敗北」といってもなお下院では435議席のうち200議席ほどを有する。上院は拮抗、無所属のリーバーマン議員は民主党寄りとされるが、イラク民主化ではブッシュ支持を打ち出した。もともとアメリカの連邦議員は投票に関しては党の拘束がなく、共和党のブッシュ大統領の支持する法案に民主党議員が賛成することは多々ある。
だから大統領が野党多数派議会に機能を封鎖されることはない。しかも大統領には拒否権があり、気に入らない法案が可決されてきても、突っ返す権限がある。

▽ラムズフェルド国防長官は「更迭された」というのは正確ではない。「辞任を認められた」のだ。ラムズフェルド氏は過去に二度も辞意を表明して、大統領から止められた経緯がある。今回はその辞意が認められてということだ。

▽民主党はブッシュ大統領のイラク政策を叩くばかりで、対案となる統一されたイラク政策がない。ヒラリー・クリントン上院議員らは93年の上院の審議ではフセイン政権下のイラクに軍事行動をとることに賛成した。民主党でもイラクからの即時撤兵を主張する人超少数派に過ぎない。

▽イラクは内部での抗争やテロはあっても外部に対する脅威ではない。もしフセイン政権を倒さなかった場合、イラクは地域的な脅威となった。あるいは大量破壊兵器の備蓄はなくても、開発の意図は十二分にあった。だからもしフセイン政権を打倒しなければ、同政権は核兵器などを開発しただろう。

▽議会が民主党多数となっても、こんごブッシュ大統領の対外政策はイラクも含めて、それほどは変わらない。大統領の権限は強く、ブッシュ氏の意思も強い。日本の反ブッシュ勢力も議会選挙の結果だけで、ぬかよろこびするな。

ざっとこんなところです。
番組では私の「日本では過剰反応です」という発言に、意外にも鳩山幹事長が同意してくれました。

http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/71815/
--

まあ、産経の「正論」みたいに、民主主義国の政治姿勢の変化に過剰反応してもしょうがないのはその通り。
でも、ここに書かれているアメリカの政治に対する理解や中間選挙結果の分析はかなりおかしい。

まず、

『アメリカの民主党が連邦議会の上下両院の多数派を12年ぶりに占めたからといって、ブッシュ政権自体の敗北とか、「死に体」を必ずしも意味しない』

だそうです。
アメリカの大統領と与党の関係が、日本のような議院内閣制の首相と与党の関係と異なるのはその通り。
でも、ブッシュはやはり共和党の大統領。2年後に共和党候補を勝たせるという意識を持たない訳にはいかない。その意味で、次回選挙では共和党を勝たせるような修正を行わざるを得ないでしょう。

特に自分の弟を将来大統領にしようと思えば

======

続いて、

『大統領はとくに外交、軍事、安全保障などの対外政策履行の絶対権限を持っている。一方、議会は正面からそれらを動かす権限はない。議会は法案を審議し、法律を作ることが任務で、大統領への圧力もその法案審議を通してしかかけられない。』

『大統領には拒否権があり、気に入らない法案が可決されてきても、突っ返す権限がある。』

とも書いてます。

これもその通りですけど、逆もまた同じなんですよね。
つまり、大統領が対外政策履行の絶対権限を持っていたって、その履行のための法案は議会が作るってこと。

大統領は望まない法が議決された場合の拒否権は持っていても、望んだ法を議会に通させる権限はない。

そして、閣僚などの指名に対しては議会の承認も得なければなりません。

古森氏の書きぶりでは、まるで大統領が議会の干渉を何も受けないかのように読み手をミスリードしそうです。

======

そして、

『議会は「共和党敗北」といってもなお下院では435議席のうち200議席ほどを有する。上院は拮抗、』

これが全く見当違いであることは、前に11月5日、11日の日記でも書いた通り。

下院は両党とも180程度の指定席を持っているから、共和党も200程度の議席数になったのであって、通常1桁の現職の落選が、今回の共和党は約20人、一方の民主党は現職全員当選なのですから、共和党大敗は明らか。
また上院は拮抗と言うが、それは3分の2は改選されていないからなのであって、改選33議席のうちの9議席しか取れなけれはやはり大敗でしょう。

ちなみに、古森氏はコメント欄で

>議会での共和党の後退(大敗とか惨敗という規模ではありません)

と自ら書いてますけど、アメリカの選挙でこれを大敗、惨敗と呼ばずして、何をそう呼ぶのでしょう

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『民主党はブッシュ大統領のイラク政策を叩くばかりで、対案となる統一されたイラク政策がない。ヒラリー・クリントン上院議員らは93年の上院の審議ではフセイン政権下のイラクに軍事行動をとることに賛成した。』

民主党に統一されたイラク政策がないかどうかは関係ありませんね。
ブッシュ政権が現在のやり方でイラクで損害を増やし続ければ、民主党に対案がなくとも「アメリカ兵の死傷者数」という客観情報が、ブッシュ大統領自らが政策転換しなければならないように圧力をかけるのです。
このままではブッシュ大統領の任期切れまでにアメリカ兵の死者は5千人に達するでしょう。これを減らすことはブッシュ大統領に課せられた義務なのですから。

しかしヒラリー・クリントンが「93年」の上院の審議なんてものに出てるはずないんですけどね(苦笑)。


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更に、

『イラクは内部での抗争やテロはあっても外部に対する脅威ではない。もしフセイン政権を倒さなかった場合、イラクは地域的な脅威となった。あるいは大量破壊兵器の備蓄はなくても、開発の意図は十二分にあった。』

これもおかしな話。

「開発の意図」を理由に攻撃したなら、それによって「開発の意図」を排除できなければおかしいですよね。

じゃあ「意図」ってものはどうやって排除するの?

保有だとか計画だとかなら、実際に備蓄されているものや実験施設や図面といったものを廃棄することで排除することは可能でしょう。でも「意図」を排除するとなったら、その「意図」を持っている人を皆殺しでもしようって言うのでしょうか?
そもそもその「意図」を誰が持っているのか、どうやってわかるというのでしょうか?

なんだか「フセイン政権」という何者かが「意図」を持っていて、「政権」が崩壊したことでその「意図」も消えたと古森氏は主張しているようなんですが。

実際には「意図」というのはあくまでも個々人の頭の中にあるものなのだから、たとえ政権が崩壊したって、「開発の意図」を本当に持ってた人が生き残ったなら、未だに「開発の意図」は十二分に存在しているはずなんですけどね

その上、一番おかしな点は『このイラクは内部での抗争やテロはあっても外部に対する脅威ではない』の一文。
イラクについて、今アメリカが考えなければいけないのは「外部に対する脅威」であるかないかではなく、「内部での抗争やテロ」の方でしょうに。
問題は、この3年半の間、アメリカ人をイラクの「内部」に派遣し続けていることにより、既に数千人もの死者が出ているってことでしょう。

ブッシュ政権が、イラクの「外部に対する脅威」だけに注視すれば良いという状態を作り出す気なら、それはイラクからアメリカ人が全て引き上げるってことなんですけどね。古森氏はそれがわかっていないのではないでしょうか?

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どうも、古森氏はブッシュ大統領を日本の番犬という視点からしか見ていないようで、ブッシュ大統領であれ誰であれ、アメリカの政治家はまずアメリカ国民の安全確保が最優先という事実を忘れているとしか思えません。

それはこの最後の一項にもよく現れていると思います。

『議会が民主党多数となっても、こんごブッシュ大統領の対外政策はイラクも含めて、それほどは変わらない。大統領の権限は強く、ブッシュ氏の意思も強い。日本の反ブッシュ勢力も議会選挙の結果だけで、ぬかよろこびするな。』

選挙で共和党にノーを突きつけたのはアメリカ国民であって、そのアメリカ国民に向かって「ブッシュ氏の意思も強い」「ぬかよろこびするな」を言うならまだわかりますけど、「日本の反ブッシュ勢力」なんてものにこんなこと言っても何の意味もないと思うんですけど。
完全に視点がずれてますよね。

そもそも、共和党が大敗し、イラクでアメリカ人の死傷者数がどんどん増えている現状においても、ブッシュ大統領が単なる「意思」で対外政策を変えずに推し進めるというのは、ブッシュ大統領がアメリカ国民の「意思」など無視すると言っているようなもの。
そういう人物がいかに危険かを人々に警告するのもジャーナリストの役目ではないんでしょうかね。

ブッシュ大統領個人はともかくとして、ブッシュ政権は、日本の思惑よりもアメリカの民意、アメリカ国民の安全を最優先にした対外政策を取ると、私は思ってます。

ですから、アメリカの対外政策はまず間違いなく変わります。
でも、それは民主主義国なんですから当たり前のこと。

それに対して両極端の意味での過剰反応しているのが産経新聞と古森記者と言えるようです。








最終更新日  2006年11月26日 23時08分53秒
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2006年11月25日
カテゴリ:海外の話
今日もまた正論ネタ。

ネタにしたくなるくらい珍妙な論をこうたびたび提供して下さる産経新聞さんには「楽しませてくれてありがとう」と感謝した方がよろしいのでしょうか。

でも、これが新聞に載っている「正論」であって、どうもそれを何の疑いもなく肯定してしまっている人が結構いるようですから、やはり困ったものですと言うべきなんでしょう。


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■【正論】慶応大学名誉教授・神谷不二 アメリカの対北外交に落胆

 ■「封じ込め」を毅然として行え

 ≪侵略者には譲歩するな≫

 少々古い話になるが、1959年の夏、引退後郷里ミズーリ州インディペンデンスで悠々自適中のトルーマン米元大統領を訪ねる機会に恵まれた。朝鮮戦争に深い関心を持っていた私が、北朝鮮の侵略に対して米軍参戦の重大決定を下した当事者から、直接話を聞く得がたい時を与えられたのである。

 戦争終結後6年と、日もまだ浅く、大統領の記憶も鮮明だった。1938年のミュンヘン会談で、チェンバレン英首相がヒトラーに対して取った「融和」政策が失敗に終わった歴史を肝に銘じつつ、侵略者に譲歩は禁物であり、「封じ込め」は毅然として行わねばならぬと語った彼の熱弁は、今も忘れられない。

 さて、北朝鮮の核実験強行から1カ月半、この間における彼我対立の焦点は、結局のところ、アメリカが北に6カ国協議(6者)への無条件復帰を要求したのに対して、北はアメリカが一定の譲歩、たとえば米朝直接交渉とか金融制裁解除などに応じるならば6者復帰を承諾する、とした点にあった。

 対立は尖鋭で、両者の妥協は容易でないと思われていた。だが、アメリカは意外に早く10月末に突如軟化し、北に譲歩の姿勢を示した。国連安保理事会がせっかくまとめた対北制裁措置は長期に続けてこそ真価を発揮するものであるにもかかわらず、数週間でアメリカは解除の可能性を示唆したのである。

 ≪「北」に音をあげさせる≫

 ライス国務長官はじめアメリカ当局者は「この指とまれ」から「いち抜けた」への変節を否認し、北への譲歩ではないと言い張っている。しかし「千丈の堤も蟻の一穴から」。重大な譲歩はしばしば、あるかなきかの妥協から始まるのではなかろうか。

 6者再開の線は米中朝3国間で合意されたが、それに先立ち米朝間で、ヒル国務次官補、金桂寛外務次官の2者会談が持たれ、席上アメリカは、6者再開後「金融制裁問題に関する作業部会を設ける用意がある」むねを北に約した。これが譲歩でなくて何であろうか。

 得たりやおう、と北の外務報道官は「朝米間で制裁問題を論議解決するとの前提の下に、われわれは6者に出席することにした」と述べた。

 麻生外相はしばしば、やや唐突ながらこれぞ正論といった発言をする。6者再開合意の報に接したときテレビで彼は、それは結構なことではあるけれど、何も「よかった、よかったと赤飯を炊くような話ではない」と語った。言い得て妙と聞いたのは私だけではなかろう。

 6者の無条件再開にかたくなに固執して北に音を上げさせることこそ、核実験強行への対応の第一歩でなければならないのに、アメリカは早々と一歩後退の意中をさらけ出してしまった。

 ≪緊密な米日同盟関係こそ≫

 イラク、イラン、パレスチナなど大変な重荷を負っている以上、かりに中間選挙で勝っていたとしても、ブッシュ政権に対北軍事行動の選択肢はない。ならばアメリカの北に対する切り札は経済制裁の強化継続しかないはずだ。

 ブッシュ大統領は加えて、先日ハノイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際、中国の胡錦濤国家主席に対して、北が核を放棄すれば見返りとして、朝鮮戦争の平和協定締結に応じると語った。これは北がかねて繰り返し要求している問題であり、大きな譲歩案といわねばならぬ。

 このような弱腰のアメリカに、多くの日本人は落胆を禁じ得ないのである。アメリカがもっとも重視する核問題についてさえこのありさまでは、6者の中で日本だけがほとんど孤立して主張している拉致問題に、アメリカから実のある協力を期待することは、とてもできないだろう。

 平壌の独善をときにもてあましてはいるものの、北京政府は金正日体制の崩壊を決して望んではいない。北の6者復帰についてアメリカと協力しながらも、中国は6者再開に向けて関係諸国が「柔軟に対応」すべきことを再三訴え、エネルギーや食糧の対北支援もむろん継続する。米中の北に対する基本政策には、依然としてはっきりと格差があるのだ。同様に韓国も、金大中政権以来の「太陽政策」の基軸を変更するつもりはまったくない。

 つまり、率直にいえば日米両国は基本的に、6カ国中の多数派ではなくて少数派である。であるならば、かりそめにも少数派2国間にすきま風が吹くようなことは厳に戒めなければなるまい。緊密な同盟関係が日米両国にとって、今ほど必要なときはないのである。(かみや ふじ)

http://www.sankei.co.jp/news/061123/sir000.htm
--

どうもこの神谷先生は、アメリカが北朝鮮に対して譲歩しそうだということに不安と苛立ちを感じているようです。

それ自体は別にどうという話でもないし、個人がそういう感想を持つのはその人の勝手。問題は、

『じゃあ何をしたいの?』

ってことが何も書かれていないってこと。

おそらく、この神谷先生の現状認識はかなり当たっているのではないかなと私も思います。
でも、「かりそめにも少数派2国間にすきま風が吹くようなことは厳に戒めなければなるまい。」と言ったって、そのすきま風が吹くようなことをしているのは日本ではなくアメリカなんでしょ。
だったらそれを戒めるべきなのはアメリカなのであって、日本の新聞にそんなことを書いて、どれだけの意味があるって言うんでしょ。

アメリカがその姿勢を変更しそうだ。
すきま風を吹かせてはならない。
じゃあ、日本もアメリカにならって北朝鮮に譲歩の姿勢をちらつかせるべきなんですか?
神谷先生のロジックからすればそういう結論が導かれてしまうんですけど。

でも、それじゃあこの「正論」の冒頭を飾っているような『「封じ込め」を毅然として行え』とは正反対の主張をしていることになる。
そんなことはありませんよね。

===========================

要は、この「正論」はアメリカにもっと強硬姿勢を取ってもらいたいという、神谷先生のただの願望が書かれているだけってことです。
そんなもの、アメリカの有権者に訴えるべきことであって、日本人に読ませたって無意味です。
そんなことも、この人や、これを載せた産経新聞はわからなかったのでしょうか?

そして、アメリカの外交姿勢が変わることが何だというのでしょう。
アメリカは民主主義国なんですから、民意がこれまでと別方向に振れればその外交姿勢だって変化して当たり前じゃありませんか。
民主主義国と付き合うっていうのはそういうこと。イラク戦争の開戦時にブッシュ大統領がどんなにスペインのアスナール首相を持ち上げて緊密さを誇示しようが、アスナール政権が選挙で敗れた結果として、スペインはイラクから撤退したのです。

アメリカ国民の多くが、北朝鮮の核と言ったって実験は失敗みたいだし、まだアメリカ本土までは届かせられないし、譲歩したっていいんじゃない? と思えば、政権はそのような舵取りをするんです。

それを

『かりそめにも少数派2国間にすきま風が吹くようなことは厳に戒めなければなるまい。緊密な同盟関係が日米両国にとって、今ほど必要なときはないのである。』

なんて、お情けにすがるかのような泣き言を言っても虚しいだけなんですけどね。

この神谷先生は、アメリカが、日本の属国かブッシュという専制君主を戴く国と勘違いしているのではないかと、思った次第。


* なお、神谷先生がトルーマンに会ったのは戦争終結後6年ではなく、
  退任後6年でしょうね。
  戦争終結後6年ではまだトルーマンは現職大統領です。

****************************

ちなみに、同じ産経新聞のいろんな意味で「高名」な古森義久氏は、自身の11月12日付けのブログで、

【米国中間選挙結果への日本の過剰反応】
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/71815/

というエントリを書き、その中で、

『ここで私が強調したかったのは、アメリカの中間選挙でブッシュ政権の対外政策ががらりと変わり、日本への影響も大、しかもマイナスだろうとする日本のマスコミの大方の見方は正確ではないという点でした。』

こう書いています。
どうやら、その「日本のマスコミ」の中にご自身が属する「産経新聞」も含まれているようですね(この「正論」の元ネタは中間選挙前の話ですけど)。

こんな大騒ぎをしているのですから。








最終更新日  2006年11月25日 23時32分18秒
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2006年11月12日
カテゴリ:海外の話

中間選挙結果を受けて、アメリカの政策転換が進みそうですが、とりあえず日本に最初の影響が出そうなのはボルトン国連大使の承認問題でしょうか。
昨年、上院でなかなか承認を得られなったボルトン氏は、議会の休会中任命という技を使って、とりあえず国連大使となりましたが、その任期も今年末まで。
ブッシュ大統領は議会の多数派が民主党に移る前の駆け込み承認を狙ったのか、ボルトン大使の正式承認を議会に要請したようですが、今回の選挙で落選した共和党のチェイフィー議員が賛成しない意向を曲げていないため、承認は難しそうな情勢です。

この夏から秋にかけて、国連での一連の北朝鮮問題に対する日本の強硬姿勢に対して、アメリカは支持の姿勢を崩しませんでしたが、ボルトン氏が国連大使でなくなると、その姿勢にも変化が現れる可能性があります。

国連でもアメリカは常に支持してくれると思い込んで、梯子を外されないように気をつけた方がよさそうです。







最終更新日  2006年11月13日 01時07分49秒
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2006年11月11日
カテゴリ:海外の話

アメリカの中間選挙は民主党が大勝に終わりました。
ABCのサイトで見たところでは共和党が200、民主党が231、未確定4といったところでしょうか。

最終結果以上に民主党大勝が印象付けられるのが、民主党の現職191人が全員当選したのに対し、共和党は19人が既に落選。現在未確定の4議席はいずれも共和党が現職ですから、それが更に増える可能性があるというところです。
先日の日記に書いたように、アメリカの下院選挙で現職がこれだけ落選するのは本当に珍しいことです。

ちなみに民主党が候補者を立てなかった空白区は前回の34から7に激減、一方共和党の空白区は27から43に大幅増。最初から、攻勢の民主党に対して防戦一方の共和党だったということでしょう。
(ちなみに、これらの数字が私がABCのサイトで数えたものですので、多少の間違いはあるかもしれません)

今回の結果は明らかにブッシュ政権の対イラク政策に有権者がノーを突きつけたということなんでしょうけど、これですんなり政策転換がなされるかというとそういう訳でもなさそうですね。
ご存知のようにアメリカは議院内閣制の日本などとは違って直接選挙で選ばれた大統領が行政権を握っている国ですから。それに、民主党だってこれといった妙案があるわけでもなく、あからさまな敗北を認めるような手段はたとえ大統領と党派は違ってもアメリカ国民として主張することができないでしょうし。
ただ、ブッシュが自分の政策を推し進めるのは難しくなったというのは間違いありません。

日本として肝心なことは、特に民主主義の国と付き合う場合において、あまりその時の政権に一方的な肩入れをしない方が良いということを認識するってことじゃないでしょうかね。そうしないと、他方が勝った時に日本が冷遇されるリスクを負うことになりかねないってこと。
前回の大統領選の時にも「ブッシュに勝って欲しい」なんてお間抜けなことを言っていた政治家がいましたけど、民主主義国家では民意によって政権は変わり得るということを、半世紀のほとんどにわたる自民党支配に慣らされた日本人は、どうも忘れているのではないでしょうかね。

ブッシュとの親密さに依存しすぎると、2年後の選挙でヒラリー・クリントン大統領が誕生した時に強烈な反動が来るかもしれない。その意味でこの中間選挙の結果は、日本の軸足をもう少しニュートラルな位置に戻す良いきっかけになるかもしれません。








最終更新日  2006年11月11日 23時23分47秒
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2006年11月08日
カテゴリ:海外の話

イラクのマリキ首相が、フセイン元大統領の死刑を年内に執行すると言ったとか。

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「フセイン被告の死刑執行、年内にも=イラク首相が見通し-BBC」

 【ロンドン7日時事】イラクのマリキ首相は7日、英BBCテレビとのインタビューで、死刑判決を受けたフセイン元大統領は年内に刑の執行が行われるだろうとの見通しを示した。
 同首相は、欧州などから死刑に対する反対意見が出ていることに関連して、「外国からの、あるいは国内のいかなる圧力にも屈しない」と強調、すべてはイラクの法律に従って進められると述べた。上訴審が死刑の判断を確認すれば、それを執行するのが政府の責任だと語った。 
(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061108-00000033-jij-int
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確かに刑が確定すればそれを執行するのは政府の責任ではありますが、まだ上訴審の判断が確定していないのに、行政の人間がこんなことを言っちゃっていいんでしょうかね。
これで上訴審が死刑を覆したらそれは「外国からの、あるいは国内からの圧力」に司法が屈したからだと、行政の長が言うと宣言しているようなもの。

まあ、長らくフセイン元大統領による独裁的な政治が行われていたイラクの人々に、三権分立がどうのなんて言っても始まらないのかもしれませんが、「民主主義」を目指す国の首相の言ってよい台詞ではないと思いますね。

そして、11月6日の日記にも書きましたけど、彼を死刑にすればまず間違いなくイラクは分裂に向かうことでしょう。マリキ首相はそれを防げる目算があって言っているのでしょうか?

私には、治安悪化がどうにもならなくなって、半ばヤケクソで言っているようにしか見えません。








最終更新日  2006年11月08日 23時53分44秒
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