ハブラシ、フロス…歯科衛生士によるお口の専門店 whitia

2005/08/11(木)00:25

置手紙

こんちば☆ バイトを始めてから、めっきり一日が長くなりやがりまして、何てゆーんですか充実感♪<かつてのDA P○MP風味 D● PUMPっていやあ、デビュー直後でまだブレイクの片鱗すら感じられなかったあの(いつ?)時期、私の母校の学園祭に来てましたねぇ。私は行きませんでしたが。 というわけで、置手紙。<強引 ちょっと前の話になりますが、先日、日記にも書いた背筋250のバ■アグラン、キリン(仮名)さんが、先日、うちの病院を出て、他の病院に移られました。 総合病院というのは、どこでも大抵最長入院期間というものが決まっていて、キリンさんはその期間がギリギリで、ずっと転院先が決まるのを待っている状態でした。まあ、うちの病院でももっとも症状の重い「難病棟」に入院されていた方なので、それだけ受け入れ先も絞られてしまったのだと思います。ずいぶん、待たされていたみたいでした。 けれど、当の本人はどうやら転院を嫌がっていたようです。 前の日記でも書きましたが、彼は、夜中に突然、歯が痛いと訴えながら、悶えまくり暴れまくり騒ぎまくり、自らとっても近所迷惑な存在へと坂道を転げ落ちるようにフォーリンダウンという奇妙奇天烈な行動をのべつまくなしにとっていたのですが、後になって看護士さんがしてくれた話によると、どうも、それは一種、転院したくないという彼なりの意思表示だったらしいのです。 それを聞いた時、それまでの彼と接してきた時間というのが、急にリアルなものとして思い出され、ものすごくさびしーーーーーーーい気持ちになりました。深く意識はしていなかったのですが、よく思い出してみると、歯科室の中だけでなく、病院で過ごす時間の中で何気なく、けれどなぜか頻繁に彼とはお話していた気がします。彼のいる難病棟は、私が主に口腔ケアを担当している場所でもあるので、頻繁に出入りしているのですが、特に用事がなくても、彼のいる病室は覗いていました。そして、お話していました。彼は、歯科室に行くのが楽しみだと言ってくれました。冗談は言うけど、絶対に人を悪く言うことはありませんでした。すごくエキセントリックな感性をしていたけれど、もともととても知的レベルの高い人だったのでしょう、豊富なボキャブラリーや知識があり、とても思いやりの深い人だったので、どれだけ長い時間おしゃべりをしていても、常に新鮮さがあって疲れることなどありませんでした。重い病気を背負うということは、ものすごく大切なものを失うということです。でも、その喪失が霞んで見えてしまうほどの、かけがえの無い魂の輝きを放っている。そんな気がしました。ずっと、ここの歯科にかかれたらいい、そう言ってもらえたことが、本当に嬉しかった。 うちの病院は、退院する場合、大抵が10時までに出て行くことになっています。けれど、歯科室が開くのはちょうど10時。退院する方々に、お見送りのあいさつをすることはできないのです。彼は、頭がいいからそのことは重々承知のことだったのだと思います。でも、退院するその日の朝、彼はそれでも車椅子を一生懸命転がして、歯科室まで足を運んでくれたのでしょう。 朝、歯科室のドアを開けた時、床に一枚のメモ用紙が落ちていました。薄暗がりの中に、そっと置かれた一枚の紙、そこに書かれている字には、彼の精一杯の気持ちが溢れていました。病魔によって自由を奪われたその指で、一文字一文字丁寧にお別れの言葉が綴られていました。お礼の言葉と、転院先と、そして最後にもう一度お礼の言葉と…。 読み終わったとたん、不意に意図することなく涙が出ました。 いろいろなことが思い出されて、そして、病魔と闘いながらも、必死で前を向き楽しく、楽しく人生を生きていこうとする彼の強さを、今更ながらに強く感じて。 ここの病院には、感動があります。 本当に、ここに勤めてよかったと思います。

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