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WILDハンター(仮)

WILDハンター(仮)

序章「無駄に命は奪わない」

            序章
        「無駄に命は奪わない」

 ドンドルマ地方テロス密林、木々がうっそうと茂るこの地は狩猟の場である。繁殖期の今、全ての命がそれぞれの営みを全うしようと競いあう中で、今、正に、命のやりとりが行われている。

――ドドォォォン……ギャォォオオオ…――

 密林エリア7。ここは滝の裏のひらけた洞穴で、ランポス達の巣やリオレイアの寝床になっていることが多い…のだが、そこにいたモノは赤銅色の鱗を持ったリオ種のオス。一般にリオレウスと呼ばれる個体だった。しかし腹部からはおびただしい量の鮮血が滴っている。その原因を作ったと思われるのが、彼が睨みつけている銀色の銃を構えたハンターU装備の男。互いに睨みあうこと数分…不意に男が銃をおろしてリオレウスに話しかけた。

「なぁ…俺の言葉って分かるか?」

 いきなり目の前で相対していたモノが自分に向けていた嫌なものをおろし、さらに話しかけてきたことにリオレウスは面食らったようだが唸り声をあげて威嚇した。その様子を見て男は話を続けた。

「お前は分かるのかな?だったらその傷を治して巣を別の場所に移してくれれば、これ以上手荒なことはしないんだが」

 レウスは男の言葉をじっと聞いている。お互い目線を合わせたまま、相手の出方をうかがっている。不意にレウスが吼えて飛び上がると、男は銃を納めて笑顔で叫んだ。

「話の分かる奴で助かった!奥さん大事にしろよ!」

――グォォォォォンッ――

 男の言葉に答えるようにレウスは吼えると、エリア8の方向に飛び去っていった。男はそれを見届けると、レウスのいたところにいき、拡散弾の爆発で飛び散った火竜の鱗を拾いポーチにしまった。

「さてとこの血だまりと鱗でなんとかごまかせるかな、しかし久しぶりだな、話の分かるのに会えたのは」

 そうつぶやくと男はベースキャンプへ向かった。これが後に「銀の焔(しろがねのほむら)」と呼ばれる彼らの出会いである。


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