DVDのレビューが中途半端なまま終わってしまっている。良かったものから順に再開。

Willie Nelsonの"Live at Billy Bob's Texas"。"Billy Bob's Texas"の名を冠したCD、DVDは結構目にする。DVDは"Live　at　Billy Bob's Texas"でカントリー中心にシリーズ化されていて、いろんなArtistがline upされている。一緒に買ったDavid Allan Coeも同じシリーズ。そもそも"Billy Bob's Texas"とは何か、はっきり知らなかったが、カントリー界で名の知れたライブハウスかと思っていた。よく分かっていないまま、この名を冠したCD、DVDなら内容に間違いなかろうと思うようになっていた。

今回買ったDVDにはここの宣伝らしき映像が入っている。"World Largest Honky Tonk!"と誇らしげに謳っている。テキサス人は何でも全米一、世界一が好きらしいけど、本当にデカイらしい。コンサートホールだけじゃなく、ロデオ場（ロデオやる所って何て言うの？）もある。面白そうなところだと思ってネットで検索してみたら立派なHPが見つかりました。ライブの予定も載せてあり、チケットの値段を見て安さに驚いた。大概U$10台で一番高いWillieでもU$20台。そもそも日本には来ない人達だから日本だったら幾らと言えないけど、感覚的にものすごく安い気がする。6,000人収容とあるがDVD見てる限りではそんなにデカイ気がせず、みんな小ぢんまり楽しんでいるように見える。ホールの作り方や照明が上手いのかも知れない。

WillieのDVDの感想。買って早々に好きな曲だけ抜き出して見たが、アレンジが「ん？」というところがあって、ちょっと感想は留保という感じだった。でもこの人の場合は聞けば聞くほど、見れば見るほど沁み込んでくる筈なので落胆しない。先週の土曜日に子猿が昼寝している間に通しで見た。

涙・・・。実際に泣きはしないけど、泣きそうになった場面が数知れず。鳥肌が立つ場面、総毛が逆立つ場面が数知れず。総毛が逆立つと言うのは本当にあるんだなと思った。

Willieがいいのはもちろんだが、バンドの連中がいい。客もいい。曲、歌、演奏も素晴らしいが、Willieもバンドも聴いてる客も、ここに居るのが楽しくて誇らしくてたまらないという雰囲気で、人が楽しそうにしている光景というのはそれ自体で感動を呼ぶものなのだということを感じた。

動いているWillieの顔を初めてじっくり見た。演奏中は目を細めて鋭い感じだが、時々洩らす微笑が素晴らしい。年相応（70歳）の味と若々しさが同居している。ピアノは二つ違いの妹のBobbieが弾いている。初めて見たがCowboy Hatを目深に被って、ずっと下向いて演奏しているが、すごく品のあるお婆さんだ。

ハーモニカの兄ちゃんが泣かせる。ハーモニカってすごくカッコいい楽器なんだと思う。Willieの横でギター弾いてる職人風の爺さん、バックで淡々とSnare Drumはたいてるおっさんも渋いし、BassやPercussionのおっさん達なんて殆ど姿が見えないが、十分存在感があるのが不思議だ。

驚いたのはWillieの抱えるギターだ。ボロボロで穴が開いている。どう見ても穴が開いている。慌てて20年くらい前に出されたCDのジャケットの写真を見直すと穴が開いている。同じギターだ。これほどのスーパースターがずっと同じ穴の開いたボロボロのギターで・・・。もう、この爺さんが好きで好きでたまらなくなった。

客層はと言うと、渋めのおっさん、Cowboy Hatのいかにもテキサス人ですというおっさんがいるかと思えば、Teen-agerも少なくないみたいだし、カッコいいお姉さんもチラチラ写る。70の爺さんの歌を聴きにこれだけの老若男女が集うというのが驚きだ。映像もうまいし、これは傑作です。

Willie NelsonはTexas州のAbbotという小さな町で生まれた。私の好きなエピソードがある。何年か前、Willie Nelsonは警察に捕まった。高速道の路肩に車を止めて居眠りをしていたらしい。捕まえた警官はWillieと知って驚いたが、麻薬の使用が疑われたので警察署に連行された。すぐに疑いは晴れ、釈放されたWillieは、どうしてあんな場所で眠っていたのか答えなかった。Willieが眠っていたところからは、故郷の小さな町Abbotが一望に見渡せた・・・。

涙・・・。