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カテゴリ:Horse!
(前編からの続き。こちらは後編です。読む気のある方は前編からお読み下さい)
映画「シービスケット」で騎手が走りながら喋るシーンがあるらしい。映画は見ていないが、騎手が走りながら喋るのは本当だ。目の前を高速で通過するからはっきり聞こえないけど、向こう正面走ってる時なんかに「先行け! 先行け!」って声かけたりして、ええんかいなと思います。邪魔してるのは見たことがないな。返し馬やってる騎手が走路脇の芝に寝そべって待機している私を見下ろしてニヤニヤ笑いながら「天気いいから気持ちいいだろ!」と言った時はちょっと恐縮した。 ちなみに発走前に発馬機の後ろで白い帯のようなもので通せんぼしてる人達がテレビに映るが、あれも放馬止めの学生です。発馬機そのものは当時は日本発馬機株式会社という会社が担当していた。「この会社ってこれだけで生きてんのかな?」と思った。 パドックは私が好きな職場だ。配属は2人。1日12レースを2人で分けるから1日6回、馬が出て行った後のパドックをトボトボ歩きながらボロ掃除。待機場所はパドック脇の騎手の控え室で発走前になると騎手が三々五々集まってきて、炭火の囲炉裏(なんで囲炉裏だったんだろ?)で暖を取りながら「止まれ」がかかるのを待っている。騎乗直前の騎手の様子が分かるけど、別になんてことは無かったです。競馬学校出たての見習い騎手は表情が硬いかなと思ったけど、おっちゃん達は他愛無いお喋りしたり、煙草吸ったり、ニヤニヤ笑ってたりという感じだった。 喋りの人、寡黙な人、いろいろ居たけれど、その頃の騎手達は今は殆ど「先生」になってるようですね。罪人になってる人もいます。田原成貴は騎手仲間から嫌われてた気がする。誰かに「お前、エッチな名前してんな!」とか、どうしようもないことでケチつけられてた。障碍騎手は大人しいと言うか、暗めの人が多かった。今は外人の騎手は珍しくないみたいだけど、シューメーカー(もう死んじゃってるのね)が阪神に来た時はあまりの小ささに驚いた。 時間になって赤い上ランの誘導馬乗り(競馬会の職員)が「とま~れ~」と一声叫ぶと、引かれてた馬が止まり騎手が乗る。ある時、控え室に「とま~れ~」という声が聞こえ「えらい早いなぁ」と言いながら騎手達が出て行ったのに、すぐブツブツ言いながら戻ってきた。パドックの周りのお客さんがふざけて叫んだらしい。ええぞ~! ゼッケンは学生の仕事の中でも比較的大事なお仕事だ。前検量にやってきた騎手と出馬表を見比べながらハカリの横でゼッケンを渡す。違うゼッケンを渡しても大抵の騎手は気付かないので十分気を付ける。また騎手の顔と名前が一致していないと仕事にならない。 この仕事には、学生にとっても重要な点がある。それはご祝儀。気前のいい騎手は勝つとご祝儀をくれる。パドックのボロ取り程度には何もくれないが、ゼッケン係には、こそっと渡してくれる。競輪好きの南井さんはいい人だとか、ムッツリスケベの河内はダメだとか、花屋の市ちゃん(若い頃花屋で働いていたという噂の岩元市三さん)は苦労人で出来た人だとか、学生の騎手に対する評価もそれで決まる。 レースが終わり騎手たちが検量所に戻ってくると奥の部屋から威張ったおっさんが出てくる。かばん持ちみたいな職員が「はい! 並んで~!」と、たむろしている騎手に声をかけ、威張ったおっさんが整列した騎手に向かって「かってぃ!(確定)」と叫ぶと騎手が一礼し、はい、結果確定。軍隊調のえらく時代がかったことをやってたな。 私が経験した職場はそんなところかな? 競馬そのものには無関心だったから思い出に残る馬はそんなにいないけど、ニシノライデンはちょっと応援した。出るたびに斜行してた気がする。好きだった馬は断然、クラウンエクシード。葦毛のセン馬で暴れ馬。馬番に関わらずいつもポツンと離れて最後に二人引きで入場し、引き手を離すとブヒブヒ言いながらかっとんで行った。その様子が小粋で好きだっただけで、強いのか弱いのか知りません。 (完) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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