石川遼くんのお父さんの言葉
一昨日、日本生命の炎の営業マン(日生のトップ営業マン)の方に招待していただき、ゴルフのあの石川遼選手のお父さんの講演に行ってきました。石川遼選手ならいざしらず、そのお父さんがどんな話をするのだろう。皆さんもきっとそう思われるのではないでしょうか。お父さんも、聴衆のそういった感覚を見抜かれていたのだと思います。「私は、遼の父親ですが、私は教育の専門家でもありませんし、3人の子どもしか育てていませんので、経験も多いわけではありません。ただ、自分の育てた子どもが特別な存在になった、その遼はどのようにして育てたかをお話しするだけです。」そのような切り出しで話された、父勝美氏の子育て。ありきたりのものや、それは例外だろうというものも多かったですが、数百人の子どもたちを客観的に見てきた僕自身の感覚と一致する部分を列挙してみました。自分のメモとしてももちろん、誰かの参考になるかもしれません。どうぞお読みください。・失敗を他人のせいにしたり、他の何かのせいにする人間に先はない。それは厳しく言ってきた。失敗はすべて自分のせい、そこから学べと。だから、遼は昔から、人のせいにしたり、環境のせいにしたり、道具のせいにすることはないです。ゴルフクラブも参考書も、職場も塾も、世の中にあるってことは、それを活かせている人がいるということなのだから、自分を変えようともせずに人にせいにしてコロコロ変える人に未来などない。・目標はマスターズ優勝なのであれば、そこに向かって進む。それまでのこと、たとえば勝敗や結果などは二の次。そのすべてが目標へ向かうまでの糧になる。だから、彼は賞金王獲得競争の時も、遼はいい意味でどうでもいいと思っていた。マスターズで勝つためには、ここは狙わなければならないと思うから、安全に刻んでいけば間違いなく逃げ切れる戦いも挑んだ(試した)。年間賞金王になったのは、その賭けがたまたまうまくいったケースが多かっただけ。あの子にとってはプロになる前から国内の大会は通過点ですから。・信用金庫の支店長を務めてきて、強く言えることは、「自分だけうまく行けば…」という考えはいけない。それはありえない。みんながうまくいくようにと考えないと、一時的ならまだしも、長期的には自分もうまくいかなくなる。だから、どんな状況でもファンを考えて話しなさい。マスコミの方々がいるから、ファンの方々がいるから遼はプロでいられるんだ。ファンがいなくなれば、スポンサーもつかなくなって、結果的に遼はゴルフで食っていけなくなる。大好きなゴルフの人気が落ちてしまう。遼はプロなのだから、自分のことは二の次、ファンの方々に喜ばれることを最優先にしなさい。・夢を実現させる力はどうつけたのか、その答えは分かりませんが、父親として息子の夢の実現を、本気で手助けしたことが関係あるのかもしれません。たとえば、遼が二歳くらいのときに、ふとトラックの運転手になりたいと言ったんです。だから、僕は信金の支店長というコネを使って、運送会社の社長にお願いして、息子をトラックに乗せてもいました。それからも、遼がケーキ屋さんになりたいと言われれば、お願いして職場を見学させてもらいましたし、他にも税理士とか・・・とにかくいろいろ、遼が「○○になりたい」と言おうものなら喜んで連れて行きました。それが何になったか、それはわかりませんが、少なくとも、父が懸命に愛してくれている、自分を信じて応援してくれているということは、伝わったのではないでしょうか。・本気、とにかく本気、懸命にやる。その時の全力でやらなければ本当の喜び、本当の悲しみは得られない。仮に失敗してもいいんです。人生は長いんですから。死ぬわけじゃない。そこに向かって全力を尽くした、精一杯やった。でもダメだった、じゃないと本気で泣けないものです。だから、遼はメチャクチャ練習しますね。親が引くくらいやります。練習が終わって、家に帰ってきて食事を済ませたら、休む間もなく毎日1時間は走りに行きます。とにかく毎日、必死に努力しています。・とにかく本は読ませました。いろいろな人の生き様を本を通して伝えました。また、本は登場人物や情景を思い描けなければ読めません。これは漫画やテレビでは育たないんです。遼の特徴に、感情が豊かであることがあると思います。とにかく親の私が「なんでこんなことに」と思うような当たり前のことでも、感動しますし、喜びますし、悲しみますし、怒るんです。そういった豊かな感性は間違いなく本、しかも小説ではぐくまれたと思います。また、遼は大人の話をよく聞きます。本と同じように、他の人の話、経験がどれだけ貴重なものなのかを知っているのだと思います。・お金を与えるんではなく、お金の得る方法を教える。やってあげたものは感謝しないですし、減る一方でしょう。増やし方を教えてあげないと子どもは絶対に幸せだと感じないですよ。・夢は言わなくなるまでは応援する。プロになるとか、マスターズとか、そんなの信じてなかったですよ。でも、いつか本人が気づくまでは応援してあげようというのは妻と決めてました。・生き方の指導はしてるが、技術面は口出ししない。ゴルフの専門家、コーチがいるんですから口出しはしません。親として、一人の人間として、生き方は伝えますが、それ以外のことは一切口出ししません。・遼がゴルフにのめり込んでいったきっかけは、自分が接待のために始めたゴルフ、その打ちっぱなしに遼を連れていったとき、遼が自分にもやらせてというものですから、やらせてみたら、たまたま一回目がきれいに当たった、これがきっかけ。何がきっかけになるかわからない。でも、やらせてみないとみつからない。・夫婦互いの信頼があってこそ。どんなことも、見方、言い方で変わってしまう。たとえば、私が仕事の接待で夜遅くにお酒飲んで帰宅する日が続いたときに、「お父さんは、帰ってきたいのに、みんなのために遅くまで仕事でお酒を飲んでいるの」と妻が言ってくれれば、子どもは父を大切に思う。夫婦互いに信頼し合っていることが子どもの成長に大きな影響を与える。