ラクシュミーさんの伝説【ラクシュミーさん(吉祥天様)にまつわる伝説-1】 今は昔、聖武天皇の御代に貴族の間で順番に宴会を開く習わしがありました。 貧乏で宴会を開けない、未亡人の貴族の女がおり、 奈良の左京にあるお堂の吉祥天像に 「宴会の食膳をととのえる資材もありません。 どうぞ、私を哀れんで資材をお恵みください。」 と祈りました。 すると、何日かして以前、女を養育した乳母がたくさんの宴会用の食物、食器など 38人の使いの者に担がせて持ってきたのです。 女は大変喜び貴族を招待して宴会を開いたのですが、 今まで以上に立派な宴会だったので、 皆喜び、ある者は着ている衣裳を女に与え、 ある者は銭、絹、布など贈ったのです。 女は「これも乳母のおかげ」と思い、 もらった衣裳を乳母に与えると、 乳母はこの衣裳を着て帰って行きました。 その後、女は「天女像にお礼参り」と思い参詣すると、 乳母に与えた衣裳が天女像に着せてあったのです。 不思議に思い、帰ってから乳母に尋ねたのですが、 乳母は飲食を贈った覚えはないと答えたのです。 これを聞いて女は涙ながらに 「さては天女様が私をお助けくださったに違いない」 と思い、いっそう吉祥天像を信仰するようになったのです。 これ以後、女は大変富裕になり、これを聞いた人は 「まことに不思議なことだ」 と天女さまを尊んだといいます。 【ラクシュミーさん(吉祥天様)にまつわる伝説-2】 昔、越前の国に生江世経(いくえのよつね)という貧乏役人がいました。 生江世経は薄給で、若い頃、食べる物にも事欠く有様でした。 妻は、吉祥天像に 「天女さま、懸命に働く主人を、どうかお助けください」 と祈願していました。 しばらくして美しい女性が尋ねてきて、「米三斗」と書いてある文書を持ってきたのです。 美しい女性の言葉に従い、世経と妻は、北の高い峰に昇り、 角が一本生えた恐ろしい鬼から、取れども尽きぬ米袋をもらいました。 この米袋は一斗を取って使うと、また米が出てきて尽きることがなかったので、 生涯、食べ物に不自由することがなかったそうです。 真心込めて吉祥天にお仕えする人はこのとおりである、 と語り伝わっています。 ジャンル別一覧
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