2006/09/14(木)02:42
巷説百物語
最近、いろんなことが心地よい。
すこしずつだけど、いろんなことが良い方向に進んでいるからだろな。
さて、巷説百物語を読みました。
僕の大好きな京極夏彦です。
京極道シリーズの方がキャラが立っていて面白いと思ったけれど、これもなかなかよかった。
特に、最後の「帷子辻」の話が気に入った。
というか、この話がなかったら(もっと言ってしまうと最後の一文がなかったら)、ちょっと退屈だった。
僕は主人公である「又市」の最後のセリフにハッとした。
このハッとする感じが、なんとも心地よい。
たぶん、話の中で出てきた「男漁りの女」は又市の母親なんだろうね。
年老いて「醜い化け物」になっても、又市にとっては大切な母親であって、
その母親を自ら死に追いやってしまった過去があるのでしょう。
そういう背景を勝手に想像して読み返したら、
同じストーリーでも深みが増して、違う側面が見えてきて、
二重三重に楽しんでいるうちに、どんどんこの話がいいなぁと思えるようになった。
きっと「好き」という感情が起こるのは、そういうプロセスなのだろうと思う。