|
テーマ:日々自然観察(9870)
カテゴリ:昆虫(ハチ)
さてこのハチ、一体何者か? 素早く飛ぶこと、脚に棘の多いこと、葉上に止まってからの動きが敏捷なこと等から、始めは狩人バチの類であろうと思った。ところが、データをコムピュータに移して詳しく見てみると、触角が太くて短く7節しかない。どうも狩りをするハチではない様だ。 科が分からなければどうしようもないので、図鑑の検索表を頭から辿ることにした。 写真を撮っているときは、羽を閉じていたので気が付かなかったが、写真を見ると、明らかに胸部と胴部の間が括れていない。広腰亜目である。 支脈は残念ながら羽を畳んでいるので良く見えないが、前脛節の端刺は2本、触角は糸状で7節。簡単にハバチ科に落ちた。私の余り得意にしていない連中である。
手元の図鑑では写真が小さ過ぎるし、解説も簡単で大した手がかりにもならない。そこで、Internetの昆虫図鑑でハバチの項を探してみた。色々なサイトを参照した結果、クロムネハバチに酷似していることが判明した。 しかし、写真のハバチは翅の先端が明らかに暗色で触角も全体が黒いのに対し、クロムネハバチの翅にはこの様な斑は無いし、触角の先端は必ず黄色である。どうやら、別種らしい。 また、図鑑にはツマグロハバチとかオオツマグロハバチという翅端が濃色の種類があるが、小盾板の色や触角の長さが異なる。 結局、何と言うハチかは分からなかった。そこで此処では、「クロムネハバチの近縁種」としておいた。 ハエやハチの同定は、一部を除いて詳細な図鑑その他の文献が無い(種類が多過ぎる)ので専門家以外には不可能である(専門家は研究施設に保管されている種の記載をした膨大な学術論文や総説のコピーを利用出来る)。
Internetを検索していて驚いたのは、ハバチの成虫には捕食性のものがかなり多いらしいと言うことであった。Wikipediaのハバチの項には「成虫は基本的に肉食であるが・・・」と書かれているし、クロムネハバチと酷似するハバチがバッタの幼虫を補食している写真を掲載しているサイトもあった。 この写真のハバチに感じた狩人バチ的な行動も、擬態ではなく捕食性ハバチ類本来の性質なのかも知れない。 しかし、ハバチと言えばバラに付くチュウレンジ類や、ツツジを食害するルリチュウレンジの様なナヨナヨブヨブヨしたハバチしか見たことのない者にとって、ハバチの成虫が基本的には肉食とは全く意外であった。またまた、自分の無知を思い知らされた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.04.27 09:59:22
コメント(0) | コメントを書く
[昆虫(ハチ)] カテゴリの最新記事
|