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テーマ:日々自然観察(9835)
カテゴリ:昆虫(アブラムシ)
以前アブラバチの所で、その宿主をヤノイスフシアブラムシとした。しかし、これは誤りであった。アブラバチが産卵していたのは、「日本原色アブラムシ図鑑」に拠れば、カシワトゲマダラアブラムシ(Tuberculatus yokoyamai)の近縁種で和名のないTuberculatus sp.(「Tuberculatusに属すが、種名は未定、或いは、不明」の意)の様である。何分にも産卵していたのは若齢幼虫なので、その他のアブラムシの可能性もあるが、コナラの葉裏に見られアブラバチの繭(マミー)はこのアブラムシの特徴を示している。
成虫はカシワトゲマダラアブラムシと同様、体には斑紋が無く薄緑色、しかし、角状管(通常腹部第5節の側方後縁にあるアブラムシに特有の管状の構造、ワックスや警戒フェロモンなどを放出する)の先端に顕著な黒斑があり、また触角には横紋がある点が異なる。特に、角状管先端の黒斑は他のコナラに付く近縁種に見られない特徴である。 このアブラムシは、名前の通り、胸部と腹部1~3節の背中側に指状突起を持つのだが、上の写真では真横から撮っていないので有るのか無いのか良く分からない。ほぼ真横から撮っても、葉っぱの上に居るのでは、背景の色に紛れてしまう。そこで、黒いシートの上にはたき落として撮ってみた。
チャンと背側の突起が見える。Tuberculatus sp.として良いであろう。
このアブラムシはアブラムシ科、マダラアブラムシ亜科に属す。生活環は良く分からないが、「アブラムシの生物学」に拠ると、この亜科のアブラムシは寄生転換を行わない、とあるので、1年中コナラの葉裏にいるらしい。 無翅の成虫(上の写真)と若齢幼虫(下)と思われるものの写真も示しておく。倍率は何れも同じである。
アブラムシと言うのは、多型性で厄介な相手である。しかも小さいから、この程度のマクロ撮影では不充分、種の正確な判別には顕微鏡が必須である。余り相手にしたくない連中だが、新顔の虫が居なくなったら、アブラムシでも掲載するほか手がなくなるかも知れない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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