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テーマ:日々自然観察(9832)
カテゴリ:昆虫(テントウムシ)
「ダンダラ」と言う言葉を調べてみると、本来は「段だら染め」から来ており、間隔が同じ横段の縞模様(段々模様)のことを言うのだそうである。一方、「段だら模様」と言うと、これは新撰組の着ていた羽織(半被?)の袖にある波形のギザギザで染め分けた模様とのこと。 私の語感では、「だんだら=まだら」なのだが、どうやら、これは間違いらしい。しかし、Internetで調べてみると、「だんだら=まだら」の意味で使っている人が少なからず居る。
このダンダラテントウ、此処に掲載した写真を見る限り、何れの「だんだら」にも該当しない。しかし、ダンダラテントウはナミテントウ同様に斑紋の変化が著しく、6紋型と言う殆ど赤い地に黒の波形模様が入るものもある。恐らく、この波形模様からダンダラテントウと名付けられたのであろう。ダンダラテントウは、本州中部以南(以西)から熱帯にかけて広く分布し、北方(関東)のものでは赤色の部分が少なくなり、殆ど黒になってしまう。しかし、全身真っ黒になることはなく、前翅の肩の部分に三日月状の赤色紋が若干は残る。
大きさにはかなりの変化があり、図鑑に拠れば3.7~6.7mm。一般にナミテントウよりも小さく、ヒメカメノコテントウよりは大きい。虫体の輪郭はナミテントウによく似ており、ナミテントウと間違えることもあり得る。しかし、ダンダラテントウ属(Menochilus)の触角は先端が細く尖るのに対し、ナミテントウでは太く丸い。
ダンダラテントウは、我が家に居るナミテントウ、ムーアシロホシテントウ、ヒメカメノコテントウ、或いは、我が家では見られないナナホシテントウ等と同じく、幼虫、成虫共にアブラムシを捕食する。しかし、クサカゲロウやヒラタアブ類の幼虫とは違って、テントウムシにより食べるアブラムシの種類がかなり限定されている様である(なお、ムーアシロホシテントウは、「シロホシテントウ」と付くのでシロホシテントウの所属するカビクイテントウ族と間違えて、白渋菌(うどん粉病菌)を食べる、としているサイトがかなりあるが、ムーアシロホシテントウはテントウムシ族のシロトホシテントウ属に属し、アブラムシを食べる)。
これらのアブラムシを食べるテントウムシの中で、一番広食性なのはダンダラテントウの様に見える。今日掲載した写真はハギに居たものだが、他に、コナラ、フヨウ、その他の色々な木本、草本でアブラムシを捜して走り回っている。一方、ナミテントウはハナモモに居たアブラムシを好み、一時は1本の木に数100頭が群がって正にゴマンと居たアブラムシを全滅させた。このテントウムシもコナラやクリ等、かなり多くの木本植物に付くアブラムシを食べる様だが、ハギやフヨウに付くアブラムシには無関心に見える。 ハギに付くアブラムシ(ハギオナガヒゲナガアブラムシ)を最も好むのは、この中ではヒメカメノコテントウである。このテントウムシが来ると、双方の数のバランスにも由るが、数日でハギのアブラムシは全滅する。コナラにも来ていることがあるが、その他の木や草で見た記憶はない。また、ムーアシロホシテントウは、コナラに居るものしか見たことがない。
ナナホシテントウは我が家には居ないが、少し奥の草地には沢山居る。何故我が家にやって来ないのか疑問であったが、この春観察したところに拠ると、草地のヒメジオン、ハルジオン等にはナナホシテントウの幼虫、蛹、成虫が無数と言っても良いほど居るのに対し、その10m奥の木が茂っている所にあるケヤキの樹に居るのは全てナミテントウで、ナナホシテントウは全く見られなかった。その他の樹を調べても、居るのは全てナミテントウだけであった。 どうやら、ナナホシテントウはキク科その他の草本に付く特定のアブラムシを食べ、木本植物のアブラムシは食べないらしい。逆にナミテントウは木本植物に付く特定のアブラムシを食べ、草本植物に付くアブラムシは食べない様である。 我が家の庭には、アブラムシが沢山付く草本は一つも無い。これが、我が家にナナホシテントウの居ない理由と思われる。
世間では、テントウムシはアブラムシであれば何でも食べるかの如く思われているらしい。しかし、テントウムシとアブラムシの間には、種による捕食選択性があることは明らかである。アブラムシを退治して貰おうと、アブラムシの集っている所にテントウムシを連れてきても、相性?が悪ければ、何の役にも立たないのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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