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テーマ:日々自然観察(9828)
カテゴリ:昆虫(テントウムシ)
「ダンダラ」と言う言葉を調べてみると、本来は「段だら染め」から来ており、間隔が同じ横段の縞模様(段々模様)のことを言うのだそうである。一方、「段だら模様」と言うと、これは新撰組の着ていた羽織(半被?)の袖にある波形のギザギザで染め分けた模様とのこと。 私の語感では、「だんだら=まだら」なのだが、どうやら、これは間違いらしい。しかし、Internetで調べてみると、「だんだら=まだら」の意味で使っている人が少なからず居る。
このダンダラテントウ、此処に掲載した写真を見る限り、何れの「だんだら」にも該当しない。しかし、ダンダラテントウはナミテントウ同様に斑紋の変化が著しく、6紋型と言う殆ど赤い地に黒の波形模様が入るものもある。恐らく、この波形模様からダンダラテントウと名付けられたのであろう。ダンダラテントウは、本州中部以南(以西)から熱帯にかけて広く分布し、北方(関東)のものでは赤色の部分が少なくなり、殆ど黒になってしまう。しかし、全身真っ黒になることはなく、前翅の肩の部分に三日月状の赤色紋が若干は残る。
大きさにはかなりの変化があり、図鑑に拠れば3.7~6.7mm。一般にナミテントウよりも小さく、ヒメカメノコテントウよりは大きい。虫体の輪郭はナミテントウによく似ており、ナミテントウと間違えることもあり得る。しかし、ダンダラテントウ属(Menochilus)の触角は先端が細く尖るのに対し、ナミテントウでは太く丸い。
ダンダラテントウは、我が家に居るナミテントウ、ムーアシロホシテントウ、ヒメカメノコテントウ、或いは、我が家では見られないナナホシテントウ等と同じく、幼虫、成虫共にアブラムシを捕食する。しかし、クサカゲロウやヒラタアブ類の幼虫とは違って、テントウムシにより食べるアブラムシの種類がかなり限定されている様である(なお、ムーアシロホシテントウは、「シロホシテントウ」と付くのでシロホシテントウの所属するカビクイテントウ族と間違えて、白渋菌(うどん粉病菌)を食べる、としているサイトがかなりあるが、ムーアシロホシテントウはテントウムシ族のシロトホシテントウ属に属し、アブラムシを食べる)。
これらのアブラムシを食べるテントウムシの中で、一番広食性なのはダンダラテントウの様に見える。今日掲載した写真はハギに居たものだが、他に、コナラ、フヨウ、その他の色々な木本、草本でアブラムシを捜して走り回っている。一方、ナミテントウはハナモモに居たアブラムシを好み、一時は1本の木に数100頭が群がって正にゴマンと居たアブラムシを全滅させた。このテントウムシもコナラやクリ等、かなり多くの木本植物に付くアブラムシを食べる様だが、ハギやフヨウに付くアブラムシには無関心に見える。 ハギに付くアブラムシ(ハギオナガヒゲナガアブラムシ)を最も好むのは、この中ではヒメカメノコテントウである。このテントウムシが来ると、双方の数のバランスにも由るが、数日でハギのアブラムシは全滅する。コナラにも来ていることがあるが、その他の木や草で見た記憶はない。また、ムーアシロホシテントウは、コナラに居るものしか見たことがない。
ナナホシテントウは我が家には居ないが、少し奥の草地には沢山居る。何故我が家にやって来ないのか疑問であったが、この春観察したところに拠ると、草地のヒメジオン、ハルジオン等にはナナホシテントウの幼虫、蛹、成虫が無数と言っても良いほど居るのに対し、その10m奥の木が茂っている所にあるケヤキの樹に居るのは全てナミテントウで、ナナホシテントウは全く見られなかった。その他の樹を調べても、居るのは全てナミテントウだけであった。 どうやら、ナナホシテントウはキク科その他の草本に付く特定のアブラムシを食べ、木本植物のアブラムシは食べないらしい。逆にナミテントウは木本植物に付く特定のアブラムシを食べ、草本植物に付くアブラムシは食べない様である。 我が家の庭には、アブラムシが沢山付く草本は一つも無い。これが、我が家にナナホシテントウの居ない理由と思われる。
世間では、テントウムシはアブラムシであれば何でも食べるかの如く思われているらしい。しかし、テントウムシとアブラムシの間には、種による捕食選択性があることは明らかである。アブラムシを退治して貰おうと、アブラムシの集っている所にテントウムシを連れてきても、相性?が悪ければ、何の役にも立たないのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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これダンダラテントウというのですか。
体長5~6ミリですよね。 夕方など葉の付け根のところに潜っているのを見かけますね。 私も何枚か写していますが、小さいので今一精細さが欠けてしまっていますが、多分この虫かと思います。 (2008.07.08 15:36:00)
ナナホシテントウとナミテントウでは食べるアブラムシの種類が違うのですか。初めて知りました。
ナミテントウばかり目にして、ナナホシが来ない理由がこれでわかりました。 ご紹介いただいたテレプラスを使う方法は、かなり有効そうです。画像処理ソフトと組み合わせると一段と解像度が上がることも実感しました。なんとかアーチャーンさんのような写真が撮れる様になりたいと思っています。ありがとうございました。 (2008.07.08 19:19:39)
ダンダラのご説明も面白くよませていただき アブラムシの種類を選んで食べることは、初めて知ったことです。今日も ありがとうございます♪
(2008.07.08 19:31:06)
ここで、紹介されている、ダンダラテントウはこれまで、みたことがありません。背中も光沢が眩しいほど光っていますね。アブラムシにもそんなに種類があったとは全く知らなかったです。
(2008.07.08 21:08:06)
こんなに可愛いお顔をしているのに、
こんなに激しい食べ方をするのですね。 必死で生きている様子が伝わってきて、 壮絶な印象を受けました^^; テントウムシの種類によって、 アブラムシの食べる・食べないの区別が違う、というのは、面白いですね☆ 相性、というのは、とても大切なのですね*^^* (2008.07.08 21:48:28)
はじめまして
とても面白いですね マクロの撮影が良く出来ているのに 感心しました うちの家庭菜園にいたのも 同じダンダラなのでしょうか? また見に来させて頂きます。 (2008.07.08 23:44:41)
>このテントウムシが来ると、双方の数のバランスにも由るが、数日でハギのテントウムシは全滅する。
え!共食い?とドキッとして読み返しましたが後の「テントウムシ」の部分は「アブラムシ」の間違いですよね? クラスメートの女の子に、「ノンケン君を虫に例えたらテントウムシだね」と言われたことがあります。 これって好評価? 真意が気になるなぁ。 (2008.07.09 00:08:10)
Mitch29さん
>体長5~6ミリですよね。 ----- その辺りが一番普通の大きさと思います。 >夕方など葉の付け根のところに潜っているのを見かけますね。 ----- 色々な所でウロチョロしているテントウです。 >私も何枚か写していますが、小さいので今一精細さが欠けてしまっていますが、多分この虫かと思います。 ----- かなり撮り難い虫です。 (2008.07.09 11:04:55)
ヤスフロンティアさん
> ナナホシテントウとナミテントウでは食べるアブラムシの種類が違うのですか。初めて知りました。 > ナミテントウばかり目にして、ナナホシが来ない理由がこれでわかりました。 ----- テントウムシにより捕食選択性のあることは以前から知っていましたが、ナナホシテントウが居ないのは今年になって漸く分かった次第です。どのテントウムシがどの種類のアブラムシを食べるかを調べてみるのも中々面白く、且つ、有用な「研究」かも知れません。 > ご紹介いただいたテレプラスを使う方法は、かなり有効そうです。画像処理ソフトと組み合わせると一段と解像度が上がることも実感しました。なんとかアーチャーンさんのような写真が撮れる様になりたいと思っています。ありがとうございました。 ----- スズバチの写真拝見しました。フルフレームでシッカリ構図が取れているのでビックリしました。私の写真は殆ど例外なく、トリミングをしています。 (2008.07.09 11:09:09)
るる555さん
>ダンダラのご説明も面白くよませていただき アブラムシの種類を選んで食べることは、初めて知ったことです。今日も ありがとうございます♪ ----- お役に立てれば幸いです。 (2008.07.09 11:09:42)
kotiaitiさん
>ここで、紹介されている、ダンダラテントウはこれまで、みたことがありません。 ----- 何処にお住まいか分かりませんが、関東以北には棲息しないとされています。 >背中も光沢が眩しいほど光っていますね。 ----- ストロボの反射です。 >アブラムシにもそんなに種類があったとは全く知らなかったです。 ----- 良く分かりませんが、日本には300種位いる様です。 (2008.07.09 11:21:17)
夢のはしさん
>こんなに可愛いお顔をしているのに、 >こんなに激しい食べ方をするのですね。 >必死で生きている様子が伝わってきて、 >壮絶な印象を受けました^^; ----- 食べているところを見ると、カマキリよりスザマジイ頬張り方ですね。 >テントウムシの種類によって、 >アブラムシの食べる・食べないの区別が違う、というのは、面白いですね☆ >相性、というのは、とても大切なのですね*^^* ----- 毛虫や芋虫も多くは特定の種類しか食べないのと同じです。 (2008.07.09 11:23:28)
goghVさん
>うちの家庭菜園にいたのも >同じダンダラなのでしょうか? ----- かなり色々な所をウロチョロしているテントウムシです。神奈川県には居るはずです。 >また見に来させて頂きます。 ----- 今後とも宜敷。 (2008.07.09 11:26:02)
ノンケンさん
>>このテントウムシが来ると、双方の数のバランスにも由るが、数日でハギのテントウムシは全滅する。 > >え!共食い?とドキッとして読み返しましたが後の「テントウムシ」の部分は「アブラムシ」の間違いですよね? ----- 御指摘有難う御座います。急いで書き込むと碌なことはありません。早速訂正致しました。 >クラスメートの女の子に、「ノンケン君を虫に例えたらテントウムシだね」と言われたことがあります。 >これって好評価? 真意が気になるなぁ。 ----- マメに働く、と言う意味では・・・。テントウムシは一般に人気のある虫ですから、悪い意味ではないでしょう。 (2008.07.09 11:30:05)
だんだら・・・まだらの意味に解釈していました。
テントウムシ・・みかけるのはナナホシが大半です。 ハチがブンブンいってます ツチバチあたりがまだ可愛かったのに・・ (2008.07.09 12:04:13)
ukon6624さん
>だんだら・・・まだらの意味に解釈していました。 ----- やはりそう思っている人は少なくない様ですな。 >テントウムシ・・みかけるのはナナホシが大半です。 ----- アブラムシの集っている草本はありますか? >ハチがブンブンいってます >ツチバチあたりがまだ可愛かったのに・・ ----- まァ、アシナガバチも可愛いものです。以前掲載したセグロアシナガバチ http://plaza.rakuten.co.jp/Wolffia/diary/200706210000/ は、私に獲物を横取りされて不満そうでしたが、別に危害を加えるようなことはありませんでした。 (2008.07.10 07:38:13) |