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テーマ:日々自然観察(9868)
カテゴリ:昆虫(カメムシ)
また、体全体の棘がずっと少なくなる。腹部の棘が事実上、腹部背側の真ん中にある腹背盤上の2対だけになり、胸部や頭部の棘も消失する。しかし、軍配を連ねた様な触角の形は変わらない。
色彩的にも変化がある。4齢までは腹部に緑色の部分があったのが消失して全体的に青みを帯びた灰~黒系の色合いに変わり、脚や触角は赤味を帯びて来る。また、頭部胸部は真っ黒に近かったのが、終齢ではかなり薄くなっている。
まァ、一言で言えば、「奇怪な虫」だったのが、終齢になって漸く普通の虫に近くなった、と言う感じである。「小学生の頃は天才、・・・大人になれば凡人」の昆虫版か? しかし、それでも、この終齢幼虫は普通の虫よりはずっと変わった形をしている。
5齢幼虫がこの様な色合いになるには、少し時間がかかる様である。勿論、脱皮直後は真っ白に近いが、その後、中々色が濃くならず、下の写真の様な状態がかなり長く続いた。丁度、雨模様の天気が続いた時だったので、日光が当たらないと色が濃くならないのかも知れない。
最後に些か悪趣味な写真(下)を載せておく。5齢幼虫の腹部を後から撮ったものである。 幼虫は性的に成熟していない。だから、お尻の先は排泄口があるだけの極めて単純な構造をしている。しかし、この写真を出したのは、それだけを示すのが目的ではない。 腹部背側中央に、2本の棘を持つ大地状の盛り上がりが2つ見える。これを腹背盤と言う。その左右の側面に黒っぽい色をした横向きの穴が1対、全部で4個見える。これが臭線の開口部である。此処から、くさい(種によっては爽やかな)匂いを出す。
面白いことに、成虫の臭線は腹部ではなく、胸部の中脚と後脚との間に開口する。カメムシは不完全変態だから、この5齢幼虫は蛹を経ることなく脱皮して直接成虫になる。一皮剥いただけで、臭線の開口部が腹部から胸部へと移るのである。 恐らく、5齢幼虫の体内では既に胸部への通導が出来ており、老熟するにつれて胸部の開口部が形成され、腹部の開口部は閉鎖されるのだろう。不完全変態と言っても、成虫への変化は外部生殖器の形成と翅が伸びるだけではないのである。・・・当たり前か。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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