秋の庭と言うのは、本来風情のあるものなのだが、我が家の庭は、今かなり殺風景である。秋咲く花が少ないのである。キク科の花が少々ある他は、ホトトギスが打ち捨てられた様に咲いているだけ。
このホトトギス、親から家を継いだときには、庭中に蔓延っており、徹底して引っこ抜いて定住地を1平米程の範囲に落ち着かせた。ところが、どうもこの場所はネキリムシが跋扈するに適した環境にあるらしく、春先は成長がよいのだが、段々と下降線を辿る様になり、酷い年には殆ど花が着かないこともある。今年はどうかと言うと、まァ、平年並みに花が着いた。
ホトトギスとタイワンホトトギスの交雑種(多分)
右の花は咲き始めで3つに分かれた花柱が斜上する
左は少し時間が経っており花柱の先が垂れている
(2008/10/19)
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例によって掲載する前に、これが本当のホトトギスか否か、一応図鑑で確認してみた。すると・・・、図鑑の記載とは一致しない所がある。図鑑には、花は葉腋から2~3個束生するとあるが、上の写真では束生していない。この部分は茎の先端部で、下の方を見ると、確かに束生している。しかし、図鑑の絵では先端に着いている花も束生である。
調べてみると、他にタイワンホトトギスと言う種類があり、これは散房花序が頂生する。しかし、下位の葉から腋生する花は殆ど無い。我が家のホトトギスには腋生の花が沢山着いているから、タイワンホトトギスでもないことになる。
上から見た「ホトトギス」の花.花弁6、下向きの葯6
花柱の先端は3つに分かれ、その先は2裂する
(2008/10/18)
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これはどうやら、在来種のホトトギスとタイワンホトトギスとの交雑種らしい。今、庭で咲いている「ホトトギス」は昔からあったものではなく、改築後に植えたものである。今園芸店で売られている「ホトトギス」の多くは、タイワンホトトギスとホトトギスの交雑種だと言うから、まず間違いないであろう。
花柱先端の拡大.一見蜜の様な透明な突起が沢山ある
(2008/10/18)
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この花、ユリ科だが、よく見ると随分変な花である。6本の雄蕊と雌蕊が一体になって花の中央に突出し、雄蕊は下を向いて開裂し、雌蕊の先端はその上で3つに分かれ、更にその先が2裂する。
その雌蕊が3つに開いている部分に、透明で黄色を帯びが突起が沢山着いている。この突起、初めは、色と言い屈折率と言い花蜜かと思った位で、触ってみたり舐めても見たが、ベタ付きもせず味もなく、只の透明な突起であった。
花柱先端にある突起.これだけ拡大してもまるで蜜の様(2008/10/19)
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蜜線があるのは、花柱の付け根である。こんなところに蜜線がある筈はない。それが証拠に、ホシホウジャクはチャンと花柱の付け根に口吻を向けている(下の写真)。
「ホトトギス」で吸蜜するホシホウジャク.口吻は花柱の付け根に
向いている.6年前にコンパクトデジタルカメラで撮った写真
(2002/10/22)
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この構造、一体何の為にあるのだろうか。花蜜風に見せて虫を引き寄せる為か、それとも・・・???、No idea!!。虫ばかりでなく、「植物の天地?も複雑怪奇」と言って逃げることにする。