今日は「北米原産シオンの1種(紫花)」とセイタカアワダチソウにやって来た新顔のハナアブを紹介しよう。キゴシハナアブ、この辺り(東京都世田谷区西部)ではかなり少ないハナアブで、我が家で見るのは初めてである。
しかも、1回ではなく、数回やって来た。写真の最初の2枚は雌で、それ以降は雄だから、少なくとも2頭は来たことになる。

キゴシハナアブの雌.メスは左右の複眼が離れている
背中の縦筋が鮮やか
(2008/10/29)
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このハナアブ、写真の様に中々際立った模様をしている。しかし、この辺りにも沢山いる
アシブトハナアブや
ナミハナアブ等よりかなり小さく、肉眼ではその折角の模様が余り目立たない。体長は僅か10mm程度。平均すれば、体長に関しては
ホソヒラタアブの方が大きいと言える。

上と同じ個体.複眼に胡麻塩模様がある
(2008/10/29)
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背中(胸背)に強い艶があり、縦筋が鮮やかである。しかし、このハナアブの最大の特徴?は眼にある。これまでに複眼に縞模様のあるアブを何種(
ツマグロキンバエ、
アメリカミズアブ、
オオハナアブ)か紹介したが、このアブの複眼には縞模様ではなく、胡麻塩的な不規則な模様がある。
実は、その複眼の模様をシッカリ撮りたかったのだが、中々敏感なヤツで、遂に等倍で撮ることが出来なかった(このハナアブの正面からの写真は、既に別のWeblogに載せてあるので、興味のある読者は
こちらを参照されたい)。

キゴシハナアブの雄.花はセイタカアワダチソウ
(2008/10/31)
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この様な背中に顕著な縦筋があり、眼に不規則な胡麻塩模様をもつハナアブは日本に10種近く棲息する。しかし、関東に産する種類で橙色の小楯板を持つのは、このキゴシハナアブだけの様である。

同じ個体を横から見た図.全身に毛が多い
(2008/10/31)
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しかし、妙なことに気が付いた。雄(3~5番目の写真)の複眼には毛が生えているのがハッキリ見えるのに対し、雌(1,2番目の写真)では毛がよく見えない。ハナアブ類では、複眼の毛の有無は、屡々重要な種の指標となる。そこで、種類が違うのかと思ってもう一度調べてみたが、やはり両方ともキゴシハナアブ以外には考えられない。色々なサイトを参照してみると、どうも雄の方の毛は長くて明瞭なのに対し、雌の方は短くて見え難いらしい。複眼ばかりでなく、体全体の毛も雄の方が長い様に見える。

キゴシハナアブの顔.雄では左右の複眼が頭頂で接している
真っ正面からは遂に撮れなかった
(2008/10/31)
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東京では、数日前から急に気温が下がり、それに連れて我が家のキク科植物の花にやって来る虫達も激減した。このキゴシハナアブはその後一度も見ていない。紫花のシオンに群れていたハラナガツチバチも、今や全く姿を現さなくなってしまった。
兪々、冬の到来が迫ってきた様である。