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テーマ:日々自然観察(9856)
カテゴリ:昆虫(ハチ)
写真でみると、キンケの雄とよく似ている。しかし、黄色い部分がキンケよりも一寸多い。特に、小楯板に2紋あるのが目立つ。その後にある後胸背板と、頭部に続く前胸背板の後縁も黄色い。また、一寸見たときには気が付き難いが、ヒメの腹部の黄色横帯は第1~第5節の5本あるのに対し、キンケでは第4節までで4本しかない。なお、前肢と中腿の腿節外側先端と脛節外縁が黄色いのはキンケと同じだが、一般にヒメの方がその範囲が広い。 これらの斑紋の色は、同じ黄色と言っても、キンケの方は正に黄色なのに対し、ヒメではかなり白っぽく、時として象牙色に近い。 キンケとヒメの雄は、多くの場合、これで区別が付く。しかし、ヒメの雄は小型になると小楯板の2紋が消失することが多いそうで、また、小型のキンケ雄の黄色はかなり白っぽくなってヒメの色に似てくる。更に、ヒメの第5節の黄色横帯は細いし、また、ハラナガツチバチ類は花に留まると体を丸めるので、写真には第5節の横帯が写らないことが多い。なお、ヒメの雌はキンケの雌とは異なり、翅端近くに明確な暗斑を持つが、ヒメの雄はキンケの雄や雌と同じく、この暗斑を持たない。
ところで、ヒメの雄はキンケの雄よりもずっと小さい。写真では、虫体を出来るだけ大きく表示する様にトリミングしてあるので、虫の大小が分かり辛い。そこで、キンケの雄の写真を見ていただきたい。キンケ雄の体長は「北米原産シオンの1種」の花径の1.2倍以上あるのに対し、ヒメではその径よりもかなり小さい。 北隆館の圖鑑に拠れば、キンケの雄16~23mm、ヒメの雄11~19mmである。写真の雄は体長2cmに近かったから、これでも最大級と言える。 前述の様に、小型のヒメの場合、小楯板の黄紋は時に消失することがあるが、実際的には、キンケの雄が幾ら小さくても普通のヒメの雄程度の大きさはあり、一方、ヒメの場合その程度に大きければ小楯板の2紋は必ずあると言って良い。言い換えれば、体長15mm以下であれば、背中の黄紋の有無に拘わらずヒメ、それ以上で背中に黄色い紋があればヒメ、無ければキンケである。また、腹部に横帯が5本あるのを確認できればヒメ、どう見ても4本しか無ければキンケとなる。
ヒメの雌の所で書いた様に、ハラナガツチバチ類の雌は触っても逃げないことがある位落ち着いているのに対し、雄は非常に臆病で直ぐに逃げてしまう。逃げるにも色々な逃げ方がある。ツマグロキンバエやハナアブ類は、逃げても直ぐ隣の花に留まったりするので写真を撮るのに大した問題は生じないが、このヒメの雄は、隣の花ではなく、隣の敷地まで逃げてしまう。全く気弱なヤツである。
キンケの雄もかなりの臆病者だが、それでもまだ、充分に近づいて、少しはカッコウの付いた写真を撮ってやることが出来た。しかし、このヒメの雄は全然ダメであった。ソモソモ、等倍接写出来るまで容易に近づけないのである。何とか接近して撮ったのが、下の写真。しかし、何とも頼りない格好である。
これで夏から秋にかけて、この辺り(東京都世田谷区西部)で発生するハラナガツチバチ類の雌雄はほぼ全部紹介した。キオビツチバチの雄は紹介していないが、これはもう一つのWeblogに掲載してあるので、興味のある読者はこちらを参照されたい。 他に、この辺りで夏期~秋期に出現する可能性のあるハラナガツチバチはアカスジツチバチだけである。しかし、このハチは中学~高校の頃に数回見たことがあるだけで、その後は、残念ながら、一度も見ていない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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黄色い紋が前脚にもありオシャレです。1センチ強の大きさですと つい見逃してしまいそうです。
天敵が多くて身を守るために気弱なのかもしれません。大きな蜂を見つけて観察したくなりました♪ (2008.11.13 18:10:31)
>このヒメの雄は、隣の花ではなく、隣の敷地まで逃げてしまう。全く気弱なヤツである。
この一文に、くすくす笑ってしまいました。 臆病な子なのですね・・・。 リンクされている部分は、全部開いて、拝見していますが、 どれもこれも、非常に美しく、 また、微妙な違いから、名前も全然違うことがわかり、 一巻の図鑑を開いているみたいで、夢中で拝読してしまいます☆ 来年、もう一度虫たちに逢えたら、 是非このように、毛の一本一本まで見えるような写真を、 撮れるようになりたいものだ、と、思います。 暖かな日が、またやってきたら、 日のあたる場所の土を、ちょっと掘ってみましょうか*^^* (2008.11.13 18:46:21)
ハラナガツチバチて翅が重なっていて、ほかのムシとはちょっと違ってみえます。よこから撮った写真がかわいいです。ムシはみつけたらいろんな角度からみないとおもしろさがわからないでのですね。
(2008.11.13 21:38:39)
るる555さん
>黄色い紋が前脚にもありオシャレです。1センチ強の大きさですと つい見逃してしまいそうです。 ----- 体長は頭部の先端から尾端までですから、実感する大きさ(触角や脚を含めた大きさ)はかなり大きくなります。感じとしては3cm近い感じです。 >天敵が多くて身を守るために気弱なのかもしれません。大きな蜂を見つけて観察したくなりました♪ ----- 雄は毒針を持っていないので、自信が無いのでしょう。 (2008.11.14 12:19:41)
夢のはしさん
>>このヒメの雄は、隣の花ではなく、隣の敷地まで逃げてしまう。全く気弱なヤツである。 >この一文に、くすくす笑ってしまいました。 >臆病な子なのですね・・・。 ----- 全く信じがたい程臆病です。 >リンクされている部分は、全部開いて、拝見していますが、 >どれもこれも、非常に美しく、 >また、微妙な違いから、名前も全然違うことがわかり、 >一巻の図鑑を開いているみたいで、夢中で拝読してしまいます☆ >来年、もう一度虫たちに逢えたら、 >是非このように、毛の一本一本まで見えるような写真を、 >撮れるようになりたいものだ、と、思います。 ----- フジのコンパクトカメラは余り接写には向いていない様です・・・。 >暖かな日が、またやってきたら、 >日のあたる場所の土を、ちょっと掘ってみましょうか*^^* ----- 木の洞と皮剥がしの方が簡単です。土を掘るのならば、少し大きめの石の下や大きな木の根元が狙いめでしょう。 (2008.11.14 12:24:25)
クーン43さん
>ハラナガツチバチて翅が重なっていて、ほかのムシとはちょっと違ってみえます。 ----- 翅を重ねるのは極く普通ですが・・・。 >よこから撮った写真がかわいいです。ムシはみつけたらいろんな角度からみないとおもしろさがわからないでのですね。 ----- 斜め横の触角に邪魔されない方向から撮るのが一番可愛く、また、更にその下側から撮ると格好良く写ります。 (2008.11.14 12:26:56) |