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テーマ:日々自然観察(9867)
カテゴリ:昆虫(アブラムシ)
今、丁度ワタムシ(雪虫)の季節である。しかし、このワタアブラムシの名前は、寄生植物である植物のワタ(アオイ科ワタ属)から付けられたのであって、体に綿状の衣を纏うワタムシ(主にタマワタムシ亜科の有翅形)とは全く無関係である。 なお、以前紹介したエノキワタアブラムシは、ワタムシ同様、有翅形が綿状の衣を纏うので「ワタ」の名が付いているが、これはタマワタムシ亜科ではなく、マダラアブラムシ亜科に属し、寄主転換も行わない。アブラムシの名前も結構紛らわしい。
ワタアブラムシは、アブラムシ科アブラムシ亜科に属し、図鑑に拠れば、温帯では完全生活環(春~秋は単為生殖で増殖し、晩秋に有性世代が出て交尾、産卵する)を持つアブラムシとして代表的な存在だそうである。ワタやムクゲなどに冬寄生(晩秋~初夏)し、夏(真夏~秋)は多岐に亘る植物(主に草本)に寄生する。図鑑に拠れば、暖かい地方では、有性世代を生じないで、単性世代のまま越冬する(これを不完全生活環と言う)個体群もあるとのこと。
このアブラムシ、体色の変化が著しい。我が家に居る無翅成虫は黒と緑の斑だが、図鑑を見ると、黄、橙黄、緑、濃緑、殆ど黒などの個体もある。また、幼虫は別の色をしており、我が家に居る終齢幼虫は暗青灰色に白い粉を吹いた様な色をしている。
多くのアブラムシでは寄生する植物が決まっている。しかし、このワタアブラムシは実に多くの植物(作物ならば、ワタ、タバコ、キウリ、カボチャ、サトイモ、ジャガイモ、ナス、ミツバ・・・、図鑑に小さい字で約2/3ページ分載っている)に寄生する。しかも、その色が様々なので、かつては別々の種類と見なされ、個々に固有の名前が付けられていた。シノニム(synonym:同じ種に付いていた別の学名)が41もあると言うからかなりのものである。 我国では、ムクゲアブラムシ、イモアブラムシ、イヌゴマアブラムシ、ビンボウカズラアブラムシその他の和名があり、それぞれに異なった学名が付いていた。このアブラムシの被害が、どれだけ広い範囲に及んでいるか御分かり頂けるであろう。因みに、北アメリカではメロンアブラムシ(melon aphid)と呼ばれているそうである。
大きさを書かなかったが、このワタアブラムシ、アブラムシとしては小さめである。無翅成虫の体長は1.5~1.7mm、有翅虫はこれより更に小さい。先日紹介したイバラヒゲナガアブラムシの1/2位である。図鑑に拠れば、春に出現するものは、これらよりもかなり大きいとのこと。それでも、アブラムシとしては小さい方に属す。 今日掲載した写真の内、2~4番目の3枚は、テレプラスを使って約2倍の倍率で撮影してある。その他は、普通の等倍接写なので、この3枚以外がやや見劣りするのはやむを得ない。 緑と黒の斑模様をしているのが無翅成虫である。角状管から何か液体が出ているのが見える。角状管はワックスやフェロモンを出す器官とされているので、警戒フェロモンを放出中なのかも知れない。くっ付いている葉っぱを散々に動かされたり、ストロボの光を浴びたりして、屹度アブラムシもビックリしているのであろう。
その小さいアブラムシの背中にずっと小さな黄色いものが乗っている(上の写真)。良く見てみるとダニの形をしている。此処には掲載していない隣接するコマを調べてみると、この黄色い「物体」はアブラムシの背中の上を少しずつ移動している。明らかに生き物であり、ダニであることは間違いないと思われる。 ダニの体長は約0.13mm。こんなに小さなダニは見たことがない。寄生性のダニには随分小さいのも居るものである。認識を新たにした。
このアブラムシ、普通はかなり密度の高い集団を形成するが、今はもう晩秋のせいか、最初の写真の通りかなり疎らである。しかも、幼虫ばかり。有翅虫を見る機会は余り多くないが、先日漸く見付けたので掲載することにしたのである。無翅虫だけだと、何となく物足りないと言うか、絵にならない。
ワタアブラムシでは産性雌(有性生殖をする雌を産む雌)と雄の双方にそれぞれ無翅形と有翅形があることが知られている。この写真の有翅形が雄なのか、或いは、産性雌なのか、私には区別が付かない。 フヨウは冬寄生の植物である。だから、ここで産性雌が産んだ産卵雌(有性雌)と雄との間で有性生殖が行われ、産卵雌は越冬卵をこの辺りの何処かに産むはずである。と言うことは、今居る幼虫は産性雌の産んだ産卵雌(有性雌)の幼虫なのであろうか?それにしては、随分前から此処にアブラムシが付いている様な気がする。もどうも良く分からない。 そこで、もう一度フヨウを見に行った。・・・すると、何やらややこしいことになっていた。さて、何があったのかは、次回のお楽しみ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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>何やらややこしいこと
アーチャーンさんのおっしゃるややこしいことは、かなり理解するのに難解?なことなのでしょう・・・ 黒いアブラムシの拡大写真を見れて嬉しいです。 有翅形もいるのですね~発見したことなかったです。 (2008.11.15 20:20:11)
いつもながら凄いです!
ダニを背負った終齢幼虫の写真!!! そして警戒フェロモンが球体でわかる写真。 う~凄い、凄いと見ていると 「ややこしいこと」ですか? 何なんでしょう?? (2008.11.15 23:33:48)
アブラムシの生態は、本当に面白い・・というか、感心させられます。
季節や環境によって、親からいきなり生まれたり、卵でうまれたり、羽が生えたり、有性生殖だったり、なかったり・・・・。変幻自在なところがスゴイと思います。 アブラムシが人気がないなんて、そんなことはないですよ。次回が楽しみです♪ (2008.11.15 23:41:56)
るる555さん
>>何やらややこしいこと >アーチャーンさんのおっしゃるややこしいことは、かなり理解するのに難解?なことなのでしょう・・・ ----- 別に大したことではありません。 >黒いアブラムシの拡大写真を見れて嬉しいです。 >有翅形もいるのですね~発見したことなかったです。 ----- ワタアブラムシ有翅形の写真は比較的少ない様です。 (2008.11.16 10:38:55)
snowrun29さん
>いつもながら凄いです! >ダニを背負った終齢幼虫の写真!!! ----- これには我ながら一寸驚きました。 >そして警戒フェロモンが球体でわかる写真。 ----- 本当に警戒フェロモンなのかは不明です。 >「ややこしいこと」ですか? >何なんでしょう?? ----- 大したことではありません。余り期待しないで下さい。 (2008.11.16 10:40:47)
あるかねっとさん
>アブラムシの生態は、本当に面白い・・というか、感心させられます。 >季節や環境によって、親からいきなり生まれたり、卵でうまれたり、羽が生えたり、有性生殖だったり、なかったり・・・・。変幻自在なところがスゴイと思います。 ----- 亜科や属、或いは、種により生活環が異なり、更に同じ種類でも個体群で異なる生活環が複数あったりして、記事を書く方も間違っていないか調べるのに大変です。 >アブラムシが人気がないなんて、そんなことはないですよ。次回が楽しみです♪ ----- そう言っていただけると安心です。 (2008.11.16 10:44:58)
いつもお世話になっているukonです。
9/30のツマグロキンバエ、あらためて拝見しました。 見てるはずなんですけど・・・汗 アーチャーン先生の超接写写真があまりにも素晴らしいので自分の撮った写真となかなか結びつかないようです・・ 解説文も一生懸命理解するよう努力しているのですが 正直所々ワ-プして読んでしまいます・・汗・汗 ですが、これからもよろしくお願いします。 (2008.11.16 11:32:56)
ややこしい展開、とても楽しみです☆わくわくわく☆
いつ拝読できるのでしょう♪待ち遠しい~っ☆^^☆ 思わず大きく反応してしまったのが、 体長約0.13mmの、ダニ。 あたしは、ダニに対するアレルギー反応が高いのです。 ダニは、肉眼でも見えるもの、と認識しておりましたが、 ここまで小さいと、きっと見えないでしょうね・・・。 小さいダニ、おそろしや~っ。 ムクゲは、我が家の北側に、 真冬の北風よけの意味も込めて、植えてあります☆ 『虫がつきやすくて、そばで見るとぞっとする』というのが母の口癖で、 「それならどうして、ムクゲをやめてしまわないのだろう」と、不思議に思っております^^; アブラムシは、好きではないのですが、 アーチャーンさんのお写真を拝見しておりますと、 このように、愛らしいお顔をしているのか、と、 とても驚いてしまいます。 めまぐるしく変化するその姿、 なかなか興味深く、拝読しております☆^^☆ 続編が、楽しみです♪*^^* (2008.11.16 15:01:53)
ukon6624さん
>いつもお世話になっているukonです。 >9/30のツマグロキンバエ、あらためて拝見しました。 >見てるはずなんですけど・・・汗 >アーチャーン先生の超接写写真があまりにも素晴らしいので自分の撮った写真となかなか結びつかないようです・・ >解説文も一生懸命理解するよう努力しているのですが >正直所々ワ-プして読んでしまいます・・汗・汗 >ですが、これからもよろしくお願いします。 ----- 接写に関する光学的な話は少し難しかった様です。超接写をしない人には余り関係ない話ですから、気にしないで下さい。 (2008.11.16 17:04:41)
夢のはしさん
>ややこしい展開、とても楽しみです☆わくわくわく☆ >いつ拝読できるのでしょう♪待ち遠しい~っ☆^^☆ ----- 写真の調整に少し時間がかかります。余り写真が良くないので、場合によっては、撮り直すかも知れません。 >思わず大きく反応してしまったのが、 >体長約0.13mmの、ダニ。 >あたしは、ダニに対するアレルギー反応が高いのです。 >ダニは、肉眼でも見えるもの、と認識しておりましたが、 >ここまで小さいと、きっと見えないでしょうね・・・。 >小さいダニ、おそろしや~っ。 ----- ハチ(タマゴバチ)にも0.1mm位のが居るそうです。細胞の大きさは0.001mm位ですから、高々その10倍しか無い訳で、一体どういう細胞構成になっているのか知りたいものです。 >ムクゲは、我が家の北側に、 >真冬の北風よけの意味も込めて、植えてあります☆ >『虫がつきやすくて、そばで見るとぞっとする』というのが母の口癖で、 >「それならどうして、ムクゲをやめてしまわないのだろう」と、不思議に思っております^^; ----- 植えてある木を切るのは抵抗があるのでは・・・。 >アブラムシは、好きではないのですが、 >アーチャーンさんのお写真を拝見しておりますと、 >このように、愛らしいお顔をしているのか、と、 >とても驚いてしまいます。 ----- これでもブキミなヤツは出さない様にしているのですが、その内出すかも知れません。 >めまぐるしく変化するその姿、 >なかなか興味深く、拝読しております☆^^☆ >続編が、楽しみです♪*^^* ----- 一寸撮り方を間違えたので、解像度が低くなってしまいました。余り期待しないで下さい。 (2008.11.16 17:11:51)
こんにちは、こちらの素晴らしく綺麗に撮影された虫たちの写真に関心致しました
恐れ入りますがお撮りになられた写真の使用に関してお伺いしたい事がございます ご連絡先がわかりませんでしたのでこちらから失礼致します 恐れ入りますがアドレスをこちらに掲載して良いものかわかりませんでしたので ひとまずフリーメールアドレスをいれておきます ご返答いただけれましたら幸いです ikegami@mbox.re (2019.09.19 12:57:45) |