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テーマ:日々自然観察(9870)
カテゴリ:植物(草本)
実を言うと、閉鎖花の時期はもう過ぎていて、今は狂咲きの開放花の方がずっと多い。しかし、この開放花、キチンと開かないので観賞には堪えない。何とも中途半端な代物である。
閉鎖花と言うのは、花を開かず、と言うか、花弁が無く、開く前に自家受粉で受精して、開いたときには成熟した種子だけが出て来る「花」である。始めは、上の写真の様に下を向いているが、やがて上を向き、果実は3つに開裂する(下)。
上を向いたときには、成熟した種子はもう休眠に入っているのが普通である。休眠に入った種子は、播いても一定期間の低温を経ないと発芽しない。しかし、上を向く前のまだ白っぽい種子はまだ休眠に入っておらず、これを播くと、直ぐに発芽する。今はもう秋なので意味はないが、スミレを増やすときには、この白い種子を使うと、年内に充分成長し、翌年にはシッカリ花を咲かせることが出来る。
個々の種子はどの様な顔をしているのか、超接写システムで撮影してみた(下)。種子の長さは約1.5mm、直径は1.2mm前後である。種子の上側にヘソの様なものが見える。一体何であろうか?
こう言う構造を見ると、これは種子に栄養を供給した組織(胎座)が付着していた跡ではないかと思ってしまう。しかし、このヘソは果実の中心を向いている。閉鎖花が開いたときには、果実の中心には何もない。スミレの種子に栄養を供給する胎座は何処にあるのであろうか。
そこで、まだ若い閉鎖花を裂いて中を見てみることにした。何と、残っている若い閉鎖花は最初の2枚の写真に写っている閉鎖花、ただ1個だけであった。これを裂いて中を見たのが上の写真である。 果皮の内側に、何やらペラペラしたものが沢山付いている。恐らく、これが栄養を供給する組織(胎座)なのであろう。また、左下の種子には、何か半透明の組織がくっ付いているのが見える。これが剥がれたのが、そのペラペラした物と思われる。そこで、右側の2個の種子を除去して、反対側から撮影してみた。
この半透明の組織は、確かに種子にピッタリとくっ付いている。これが栄養を供給する組織(胎座)であるのは間違いないであろう。種子の無いところにあるペラペラした物の形を見ると、恐らく、写真では見えない裏側にも、この半透明の組織がくっ付いているものと思われる。 しかし、そうだとすると、種子の上側にあるヘソのような構造は一体何なのであろうか? 本当は、開放花にくっ付いた種子の写真だけを掲載して終わりにするつもりであった。しかし、何時もそうだが、細かい構造を見ると何やら疑問が湧いてきて、更に何かをせねばならなくなる。その何かをすると、また更に疑問が湧いて来て・・・となり、結局のところ???で終わるしかないことと相成る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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