我が家の庭の生き物たち (都内の小さな庭で)

2008/11/30(日)09:36

アメリカイヌホオズキ

植物(草本)(35)

 ここ数日の間に何度か雨が降り、その度に木々の葉が落ちて、我が家の庭もかなり冬の様相を呈してきた。植物ネタも兪々乏しくなりつつあるが、まだ花を着けた雑草が1本だけある。道路に面した外庭に生えているイヌホオズキの1種である。  北向きの夕日しか当たらない場所に育っているせいか、徒長気味でおよそ頼りない代物である。茎は細く、自分で立っていられない。サツキの上を這う様に拡がっており、そのサツキの縁を越えた部分は垂れ下がっている。葉は小さく薄くペラペラ、イヌホオズキの仲間は茎が黒ずむことがあるが、茎は緑色で黒化した部分は見られない。果実は熟すと紫を帯びた黒色となり、直径は約6mm、多くは一つの果穂に2~3個の果実が着いている。  一見してアメリカイヌホオズキと思われるが、このイヌホオズキの仲間、先日のタネツケバナと同じく、類似種が色々あって紛らわしい。キチンと種類を見極めなければならない。 アメリカイヌホオズキ.サツキの上を這っている 茎も葉もイヌホオズキより細く薄く頼りない (2008/11/29)  どんな類似種があるかというと、只のイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ、オオイヌホオズキ、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキ、ケイヌホオズキ等がある。  多くは帰化種であるが、イヌホオズキやテリミノイヌホオズキなどは史前帰化種、或いは、在来種の可能性もあるらしい。 今は花は殆ど無く実ばかり (2008/11/29)  この内、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキについては情報不足で、どの様な形態的特徴を持つのか良く分からない。しかし、ムラサキ(以下「イヌホオズキ」を略すこともある)は植物全体に紫色が強い様で、アカミノは赤い実が着くのだろうから、今日の写真のイヌホオズキには該当しないと思われる。また、ケイヌホオズキは全草に腺毛が多くてベタ付くとのことなので、これは明らかに異なる。 唯一残っていた花穂 (2008/11/29)  カンザシは「簪」で花序が上向き、また、テリミノの果実は名の通り光沢が強く、萼片が著しく反り返るので、この2種も候補から脱落と相成る。後は、イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、オオイヌホオズキの区別がつけばよい。 花の拡大.最後の花だが、既に少し傷んでいる (2008/11/29)  イヌホオズキは少し前に別のWeblogに掲載したが、果柄は下の写真の様に果梗の先端から放射状に出るのではなく、果梗の先にほぼ左右交互に並ぶ感じで付く。また、花冠は常に白で青味や紫を帯びることはないとのこと。従って、イヌホオズキも落第。残るはアメリカとオオの2種である。 果柄は果軸のほぼ1個所から散形に出る (2008/11/29)  アメリカは花冠が写真の様に青~紫色を帯びることが多い。しかし、オオも花冠が時に青~紫色になるので紛らわしく、しかも、植物体全体の雰囲気がイヌホオズキに似たものや、アメリカに似たものなど色々あるそうで、かなりややこしい種類の様である。  両者の相違点を挙げて見よう。先ず、一つの花序に着く花(果実)の数が異なる。アメリカでは2~4で稀に5、オオでは普通は5~8とずっと多い。また、花柄の付き方も少し違い、オオでは先端の1個所から数本出るが、その他に基部寄りのやや離れた個所からもう1本出ることが多い(一般的?)らしい。 アメリカイヌホオズキの果実.多少の艶がある 萼(ヘタ)は僅かに反り返る (2008/11/29)  写真の個体全体を調べてみると、果実の数は1~4、5個付いている果穂は無かった。また、果柄はほぼ1個所から散形に出ており、離れてもう1本出ている果穂は見当たらなかった。  ・・・これで、この植物はアメリカイヌホオズキに落ちた、と言えるだろう。しかし、何となく不安が残る。実際の個体変異の幅はもっと広くはないのか。自然交雑種は生じないのか・・・。  対象がややこしいにも拘わらず、キチンとした文献で調べていないのが難点である。この様な帰化植物も全部含めた、大井次三郎氏の「日本植物誌」の様なシッカリした植物誌を出版して欲しい、と思うのは私だけではないであろう。

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