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テーマ:日々自然観察(9857)
カテゴリ:植物(草本)
どんな類似種があるかというと、只のイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ、オオイヌホオズキ、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキ、ケイヌホオズキ等がある。 多くは帰化種であるが、イヌホオズキやテリミノイヌホオズキなどは史前帰化種、或いは、在来種の可能性もあるらしい。
この内、ムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキについては情報不足で、どの様な形態的特徴を持つのか良く分からない。しかし、ムラサキ(以下「イヌホオズキ」を略すこともある)は植物全体に紫色が強い様で、アカミノは赤い実が着くのだろうから、今日の写真のイヌホオズキには該当しないと思われる。また、ケイヌホオズキは全草に腺毛が多くてベタ付くとのことなので、これは明らかに異なる。
カンザシは「簪」で花序が上向き、また、テリミノの果実は名の通り光沢が強く、萼片が著しく反り返るので、この2種も候補から脱落と相成る。後は、イヌホオズキ、アメリカイヌホオズキ、オオイヌホオズキの区別がつけばよい。
イヌホオズキは少し前に別のWeblogに掲載したが、果柄は下の写真の様に果梗の先端から放射状に出るのではなく、果梗の先にほぼ左右交互に並ぶ感じで付く。また、花冠は常に白で青味や紫を帯びることはないとのこと。従って、イヌホオズキも落第。残るはアメリカとオオの2種である。
アメリカは花冠が写真の様に青~紫色を帯びることが多い。しかし、オオも花冠が時に青~紫色になるので紛らわしく、しかも、植物体全体の雰囲気がイヌホオズキに似たものや、アメリカに似たものなど色々あるそうで、かなりややこしい種類の様である。 両者の相違点を挙げて見よう。先ず、一つの花序に着く花(果実)の数が異なる。アメリカでは2~4で稀に5、オオでは普通は5~8とずっと多い。また、花柄の付き方も少し違い、オオでは先端の1個所から数本出るが、その他に基部寄りのやや離れた個所からもう1本出ることが多い(一般的?)らしい。
写真の個体全体を調べてみると、果実の数は1~4、5個付いている果穂は無かった。また、果柄はほぼ1個所から散形に出ており、離れてもう1本出ている果穂は見当たらなかった。 ・・・これで、この植物はアメリカイヌホオズキに落ちた、と言えるだろう。しかし、何となく不安が残る。実際の個体変異の幅はもっと広くはないのか。自然交雑種は生じないのか・・・。 対象がややこしいにも拘わらず、キチンとした文献で調べていないのが難点である。この様な帰化植物も全部含めた、大井次三郎氏の「日本植物誌」の様なシッカリした植物誌を出版して欲しい、と思うのは私だけではないであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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イヌ、オオイヌ、アメリカ、テリミノ…まで
昨年の秋教えてもらったものの 「混乱!」したまま今年に突入しておりました。 その上まだ「カンザシ」だのもありましたか(*_*) 知れば知るほどゴールライン?が下がってゆく気がしますが まずは1つでも基本が解れば、、とは思うので このアメリカの写真、物凄くありがたいです。 (2008.11.30 15:39:30)
類似種が交雑したらかなりの種が増え、収拾がつかなくなる・・なんて思ってしまいました・・
雑草が交雑するエリアは意外とせまいのでしょうか? (2008.11.30 15:44:14)
こちらの公園内には白い花しか咲かないので、それがイヌホオズキかと思っていましたが・・・もしかして違う種なのかもしれないと・・・改めて思いました。
何度見てもこちらで勉強になります。 紫色の花が本当に綺麗です。 ヨモギハシロケタマフシ・・・教えていただいたとおりだったので、本当に嬉しくなっています。 自然界は芸術です~ (2008.11.30 18:22:01)
難しいお話ですが、やはりひとつの物語のように、
起承転結を感じつつ、拝読しました^^* 非常に印象的でしたのが、 「萼(ヘタ)」という漢字が、「夢」に似ているということ*^^*ひゃっはっはっはっはっ・・・ ごめんなさい、ふざけているわけではなくて、 本当にそれが、強く心に残ってしまったのです^^; この、反り返った萼と、まぁるい実が、 とても、とても、魅力的だと思います☆ (2008.12.01 00:15:08)
kotiaitiさん
>紫の花 実の色がナスに似ていますね。形はトマト似ですが。 >ただ、実のつき方は似ても似つきません。 ----- 何分にも直径6mmですから・・・。色はナスよりもずっと黒く、少し茶色も入っているかも知れません。 (2008.12.01 09:11:42)
snowrun29さん
>イヌ、オオイヌ、アメリカ、テリミノ…まで >昨年の秋教えてもらったものの >「混乱!」したまま今年に突入しておりました。 >その上まだ「カンザシ」だのもありましたか(*_*) ----- カンザシはテリミノの変種らしいです。 >知れば知るほどゴールライン?が下がってゆく気がしますが >まずは1つでも基本が解れば、、とは思うので >このアメリカの写真、物凄くありがたいです。 ----- 彼方此方から沢山サンプルを採ってきて比較すると頭が混乱します。葉の大きさや茎の太さ(自立できるか)等はかなり変異がある様です。 (2008.12.01 09:14:39)
ukon6624さん
>類似種が交雑したらかなりの種が増え、収拾がつかなくなる・・なんて思ってしまいました・・ >雑草が交雑するエリアは意外とせまいのでしょうか? ----- この仲間の交雑種については情報を持っていません。 植物と言うのは動物と違い多少の欠陥があっても死なない(動物は運動器官に少しでも障害が出れば、餌を得ることが出来なかったり、或いは、補食されて簡単に絶えてしまう)ので、交雑や4倍体が容易に生じます。例えば、アカマツとクロマツの交雑種とか、カシワとミズナラの交雑種(ナラガシワ)などがあるので、これらの区別は時に難しいことがあります。 しかし、植物でもF1(交雑1代目)は出来ても、染色体に問題があって減数分裂が巧く行かずF2(交雑種の子)が出来なければそれで絶えてしまいます。 (2008.12.01 09:23:24)
あかつき蒼さん
>こちらの公園内には白い花しか咲かないので、それがイヌホオズキかと思っていましたが・・・もしかして違う種なのかもしれないと・・・改めて思いました。 ----- 植物と言うのは動物よりも交雑が簡単なので交雑種の可能性もあり、こう言う連中は始末に負えません。 >何度見てもこちらで勉強になります。 ----- 学術論文ではないので、いい加減に誤魔化している時もあります。余り信用しないでください。 >紫色の花が本当に綺麗です。 ----- 最後の花の萎む直前の姿で、少し汚れが出ています。 小さい花と言うのは、拡大すると結構綺麗な場合が多い様な気がします。 >ヨモギハシロケタマフシ・・・教えていただいたとおりだったので、本当に嬉しくなっています。 >自然界は芸術です~ ----- 虫えいと言うのは奇妙なものです。ヨモギに付く虫えいは他にも幾つかケタマフシがあり、タマバエの種類に付いても色々議論がある様です。毛が黄色いものも報告されているそうで、桃色のも何処かに報告しておいた方が良いかも知れません。 (2008.12.01 09:37:45)
夢のはしさん
>難しいお話ですが、やはりひとつの物語のように、 >起承転結を感じつつ、拝読しました^^* ----- 最近はユーモアに欠けた硬い文章になってしまう傾向が強く、我ながら困ったものだと思っております。 >非常に印象的でしたのが、 >「萼(ヘタ)」という漢字が、「夢」に似ているということ*^^*ひゃっはっはっはっはっ・・・ >ごめんなさい、ふざけているわけではなくて、 >本当にそれが、強く心に残ってしまったのです^^; ----- コンピューター用の活字は、縦横のビット数に制限がありますから、字数の多い場合は誤魔化しているときがあります。それで時として妙な形に見えたりします。 >この、反り返った萼と、まぁるい実が、 >とても、とても、魅力的だと思います☆ ----- 真ん丸で結構可愛い実です。 (2008.12.01 09:42:49) |